「……ふぅ…」
「やっぱりか、いつからだ?」
「忘れた、それと連絡したのか?」
目覚めた黒裏に相澤は質問をする、忘れたと答え逆に痛いところを突いてくる黒裏に驚く。
「ああ、」
「わかった、ほかのやつらが聞くのもいい、だがアイツには合わせるな」
「親じゃないのか?」
「親はいない家族は白表だ」
「そうか、」
保健室を出てそのまま教室へと向かう、そこには、黒髪の女性が座っていた。
「ようやく……貴方じゃないのよ!」
「アンタに合わせるわけないだろう」
「落ち着いてください、」
「落ち着けるわけないでしょ!こっちは子供撮られてんのよ!」
「その子供を殴っていた奴が何を言っている、」
「黙りなさい!」
白黒表裏の母親、個性【贋作】模造品を作ることができる個性、数十分維持でき、作ったものは手から離れても操作可能である。
「いい加減返しなさいよ!」
「断る、俺も、表裏も、アンタのもとには帰らない、もとより表裏にその意志はない」
「てめぇのせいだぁ!」
釘や金槌、包丁が黒裏の体に傷をつけ続ける、それでも黒裏は動かずに、傷を増やしていく。
「どんだけ傷つけても、何とも思わないアンタにはわからないでしょうねぇ、子供を取られる痛みが」
「子供じゃねぇだろ、痛みで喚き、泣きじゃくる、サンドバッグが欲しいだけだろ」
「黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ」
自身がしたいことを理解して、それでもなお否定する。ヒーローの前ということもあるがそれとは別に、目の前にいる人間が己の行動を否定するのが許せないのだ。自分を認めてほしいのだ。
「そこまでです、これ以上は容認できません、お引き取りを」
「……いま直ぐに
「断る、もう、慈悲や親としての権利もアンタには無い、アンタは俺に、白黒表裏にとって、悪、敵意でしかない」
「……だっ!「黒裏、相手を煽るな、」もう、造華光ですらないと言うの……」
「……嘘泣きもいい加減にしろ、醜い……そして、名前の変更それが決別の意だ」
己を捨てられ、家族としても見てもらえず、姓名すらも変えて過ごすかつての娘の身体を扱う者を前に涙を流す。だが、それすらも黒裏は嘘だと切り捨てる。女の涙は武器というがそれとして、使いすぎたのだ。事あるごとに喚き散らし、不利になれば泣いて同情を誘う。それは、もう通用しなかった。
「……もう、いいぞ」
『うん』
「だいじょうぶですか?表裏さん、」
「黒裏はだいじょうぶ、「痛みを感じないからか?」?!」
「えっ?」
顔のない王を使って聞き耳を立てていた他の生徒は、心配そうに白表を見る、それでも笑って黒裏の無事を伝えると、相澤は黒裏にした質問を皆に聞こえる声で聞く。
「そう、だね、黒裏は後天的な無痛症、私を庇ってそうなった。けど、痛みを感じるからといって心配をするのは辞めてくれる?私は、自分が肉体的に痛みを感じることはないけど、それでも精神に対しての痛みはあるの、過去が重いからという理由だけで心配される方が嫌なの、まぁ、それだけじゃ納得はしないだろうけど」
そうして、白表は白黒表裏が造華光だった時の過去を話す。
「と言っても、雄英には一応
造華家に生まれた光は、普通の女の子だった、髪は元から白だったが父型の家がそうだったためあまり両親も気にしていなかった。
だが、四歳になり、髪の一部が黒くなり、右目が白から黒へと変わった。両親も訝しがり、病院へと向かうと個性の発現だと伝わった。公共機関の力を借りて個性について調べていけば、父母どちらの家系にも属さない個性ということが分かった、正確には全てが混ざり覚醒したとでもいうように共通点と違う部分が存在していたからだ。
始めに、光を操り始め、父の個性に通ずるものだと思っていた、だが髪が黒くなる理由は分からない、父の個性は〈
髪の変化がわからないまま、一月が過ぎ何もないという方向へと変わっていった頃、闇を操り始めた。
「なによ、あれ……」
「僕も知らないよ!」
DNA検査科から浮気などはなく確実に二人の子供ということは分かっていたが、それでも確実に違う個性の一端に夫婦としての疑念が生じ始めた。
「違う、こんなの光じゃない、」
「どんな個性でも、僕達の子供だろう?」
「黙りなさい、大体名前もあなたが勝手に決めて……」
「それは今は関係ないだろう」
闇という能力に、髪の変化に合点がいったが、それでも闇という異質さは、母がもともと持っていた人を見下す性格を台頭させていった。
「関係なくないわよ!いつもあなたは私に構わずに、自分の事ばっかり!」
「仕事だって言っているだろ、それに仕事をしていないのはお前だろうが!」
父の方は比較的に穏やかな性格ではあるが、それでも人に見下されているだけの人間ではない、反論をする。だが、母は否定ではなく共感が欲しかったのか、さらに声を荒げる。
「私が悪いっていうの!子育てすらしていないのはアンタでしょ!」
「その子育てに必要なお金をだな……」
「お金がすべてってこと!?仕事と私どっちが大事なのよ!」
「それは違うだろ!」
二択という選択肢ではあるが、それでもどちらを言っても地雷である、*1選択肢の無い選択肢に父もいい加減な母、妻に嫌気が差してくる。
「だいたい、闇なんで出さなきゃ…」
そもそもの原因が、光にあるとして、そちらを見れば、闇と戯れる光景が広がっていた。ただの闇ではなく、人の形をとった闇に話けるまでもしていた。これが黒裏の始まりである。
「やめなさい!気持ち悪い!」
「なんで?別に気持ち悪くないよ、お母さん」
夫にも自身の意見を否定され、子供にも共感がなくなり、目の前が見えなくなって、個性を発動する。
「
その攻撃を完ぺきに防いだ闇の影法師は、そのまま光を守るように立ちはだかり、口を作りしゃべり始める。
「危ない、それに、俺はなんだ、想定の外か、つまりバグか、身体借りていいか?」
「?いいよもともと私の個性だし」
「やめっ!」
「おお、体の構造も変わったな」
後の黒裏、もといバグは光の身体に宿ると度々出てくるようになった、その異質さから、光を飲み込む闇の特性から、父は自身の力を半減させるものかもと、仕事の評価が下がっている言い訳にし始めた。
立場が弱くなり始めた夫を罵るようになった母は、父がいない間イラつきを光にぶつけていた。最初の数日は光が受けていたが、途中からバグに変わるようになり、半年もたつと拳を振り上げたり、敵意を光に見せたりするようになると、すぐにバグ変わるようになっていた。
夫婦仲は改善されることなく離婚に向かっていき、光の押し付け合いが始まった。祖父母も光の個性については聞いていたために、引き取ろうとはせず、捨てられずに小学生へと成長していった。
虐待をさけるように、図書室や図書館に入り浸るようになった光の新たな楽しみは、英雄を追うことだった、平凡な家や戦時下、貧乏人や貴族が讃えられる人生を謳歌した事実を楽しんだのだ。アイアスは親からもらった絵本からの知識のためもとからそういった者が好きというわけだ。
小学生時代は学業と虐待を光とバグで分け生活をして、中学生に入って光は逃げた。白黒表裏と名を変えて……
「これが私の私達の過去、無理もないよ、六年、いや七年の数ヶ月黒裏は虐待を受け続けたからね、百ちゃん、今日は先に帰らせてもらうね、」
話終え、何も言えない皆を残して白表は帰路についた。