「…………」
折寺中学校を後にした表裏、そのまま商店街の方に歩いていく。雨の中傘も差していないのは、すぐに止むからだ。止んだ後、爆発音が響いていく。燃え盛る商店街……その中心地では爆豪を取り込んだヘドロヴィランが暴れ回っていた。
「私二車線以上じゃなきゃムリ〜〜〜!」
「爆炎系は我の苦手とするところ…! 今回は他に譲ってやろう!!」
「そりゃサンキュー!消火で手一杯だよ!状況どーなってんの!?」
巨大化の個性を持つMt.レディはその巨体が災いし、現場に近づく事も出来ず。
樹木の個性を持つシンリンカムイは、炎との相性が最悪な為、周辺のケガ人を救助するのが精一杯。
他にも周辺の消火で手一杯のバックドラフト、ヴィランとの相性が悪い事に加え、爆豪の抵抗のせいで近づく事も出来ずにいるデステゴロなど、誰一人爆豪の救助へ向かえずにいた。
「……これも歪みか、」
「スゲー何アイツ、ひょっとして大物敵じゃね!頑張れヒーロー!」
「てか、人質になってんの爆豪勝己じゃね?無個性イジメて自殺させた」
「うっわ、マジだ!近所の評判悪くして今度はヴィランの人質かよ!」
ヒーローがいるからゆえの楽観的な言葉、すでに爆豪は人から忌み嫌われるヴィランとして見られ始めていた。
「…………」
「あっ?!おい!下がれ!危険だぞ!」
そんな状況も見えていないかのように、まっすぐと歩みを進める表裏、そんな彼の目を狙うように爆発する。
「…………」
「な、なんで」
「
雲が分かれ日が差し始めた商店街が、闇にのまれる。光を飲み込み、すべてを閉ざす闇。表裏が扱う個性だ。
「な、何なんだ前、ヒーローなのか?」
「違うよ、歪みだよまぁ今はそんなことは必要ないけどね
闇に似つかわしくない神々しさ、闇の黒と対になる光の白、四大天使が一人、審査ミカエル、
『救出対象、爆豪勝己』
爆豪勝己を残しヘドロヴィランは罪という重さによって潰される。爆豪勝己がヘドロから離れた途端、一帯を覆っていた闇は瞬時に消える。表裏が解除したのだ。
「バカが!自由にしてくれるなんて」
「お前を倒すのは僕の役目ではないからね」
「情けない、助けることを躊躇して君にヒーローをやらせてしまうなんて、DETROITSMASH」
オールマイトが遅れて拳を振るう。罪の重圧から抜け出せたところで、本来のオールマイトに殴られて終わるという本来の道筋に近い形で、幕を閉じた。はずだった
「やっぱりそう簡単にはことは進まないか」
「下がりなさい、あれはただの敵ではない」
体からエネルギー状の歯車が溢れるような状態となっているヘドロヴィラン、それはヒーローが目にするヴィランとは明らかに逸脱していた。
「下がりな、「
先ほどとは打って変わって、光、当たりを照らす。すべての色がなくなったかのように、真っ白な場となった。
「本来君は、ここで捕まるのが正常なんだ、ごめんねぇまだやりたいこと等あるかもだけど、それは許されないかな」
「独奏・疑似
闇で作られた槍、狙えば必ず心臓を穿つ槍、躱すことなど出来ず、躱し続ける度に再度標的を襲う呪いの宝具が擬似的ながらもそこに存在していた。それは異質な存在となったヘドロヴィランへと飛んでいき、消し飛ばした。
「殺したのか?」
「いや、そこにいるわよ」
表裏が指さす場所には気絶したヘドロヴィランが倒れていた。そしてこの現象を間近で見ていた爆豪は、
「な、んなんだよ、俺は!助けてもらう必要なんか!」
「いえ、人の力によって貴方は助からなければならなかったのよ」
「俺はヒーローになるんだぞ!こんな奴なんかに!」
助けられたのに感謝もせず、ヒーローになると叫ぶ。
「それは無理ね、なぜなら「デクを自殺に追い込んだからか?」……知っているのならなおさらね」
「ふざけんな!俺のせいじゃ!」
「自殺を促したわけではないと言いたくても、ヒーローになることは無理よ、物事には対価がつくわ、
爆豪勝己の夢は緑谷出久を虐めることで不確かなものとなった、本来ならば、緑谷出久が生きていたことで、支払いは先延ばしになるはずだった。だが行為が終わればそれを払わなければならない。
「貴方はこれから、ヒーローになれず、多くの困難にぶつかる。過去は消えない、それを背負い込むかは貴方次第、……ああ、それと、本来あなたが廻すはずだった歯車、餞別代わりにもっときなさい、それじゃあ、また会うかもね」
表裏は爆豪勝己に緑谷出久が自殺した結果を突き付けた。そして、ヒーローが何かを言う前にその場を立ち去った。