黒白の歯車   作:紡縁永遠

4 / 17
入試

 「オールマイトに頼んでおいてよかった、雄英に行かなきゃ、うまく進まないからね」

 

 「今日は俺のライブへようこそ!エヴィバディセイヘイ!」

 

 よく通り、近場にいる人間には耳が潰れるであろう声量で、入試説明をライブと言うヒーロー、プレゼント・マイクに問題を感じる表裏だが、声量の問題で抜擢されたのであろうことに、気づいて、ため息が出る。

 

 「こいつぁシヴィ―――!!!受験生のリスナー!実技試験の概要をサクッとプレゼンするぜ!!アーユーレディ!?」

 

 ライブと言ったように合いの手が欲しいのだろうが受験の緊張感と、プレゼント・マイクのテンションについていけず反応は何もない。

 

 「入試要項通り!リスナーにはこの後!30分間の『模擬市街地演習』を行ってもらうぜ!持ち込みは自由!プレゼン後は各自指定の演習会場に向かってくれよな!O.K?」

 「演習場には”仮想敵”を()()多数配置してありそれぞれ『攻略難易度』に応じてポイントを設けてある!各々なりの“個性”で“仮想敵”を()()()()にし、ポイントを稼ぐのが君達リスナーの目的だ!もちろん、他人への攻撃等アンチヒーローな行為はご法度だぜ!?」

 

 機械により対人の心理的ハードルを下げるとともに、手加減などの気遣いを減らし、ゆえに本性が見えやすい仕組みである。

 

 「質問よろしいでしょうか?プリントには()()の敵が記載されています!誤記載であれば日本最高峰の恥ずべき痴態!我々受験者は規範となるヒーローのご指導を求めてこの場に座しているのです!」

 

 厳粛で厳格、道からそれることを嫌うタイプの飯田天哉という人間、何かイレギュラーがあった時に、視野が狭くなりやすく、融通がきかなくなる性格でもある。

 

 「オーケーオーケー。受験番号7111くん。ナイスなお便りサンキューな!四種目の敵は0P!そいつはいわば()()()()!各会場に一体!所狭しと大暴れするよう『ギミック』よ!戦わず逃げることをお勧めするぜ!」

 「ありがとうございました!失礼いたしました!」

 「俺からは以上だ!!最後にリスナーへ我が校の”校訓“をプレゼントしよう。かの英雄ナポレオン=ポナパルドは言った!真の英雄とは、人生の不幸を乗り越えていく者と!!更に向こうへ!”Pius Ultra!!”それではよい受験を!!」

 

 「いちおう裏になっておくか、独奏・擬似刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルク)

 

 必中必殺の槍の擬似を作る表裏裏となっているために色は白だ。槍を持ちスタートの合図を待つ一同に、

 

 『はい、スタート』

 

 軽い言葉が投げかけられる。

 

 『意地の悪いものだな』

 

 表裏は戸惑う受験生の中から、会場へ歩き始め、速度を上げて走りに移行する。

 

 『どうしたお前らァッ!実戦じゃあカウントなんざねえんだ走れ走れぇー!既に賽は投げられてんぞー!』

 「やっぱりか、」

 

 白い槍を仮想敵に向けて、突き刺し、薙ぎ祓い破壊していく表裏。弓より抉り、剣より長い、弓は彼らが最も扱う武器の種類でもある。

 

 「その心臓貰い受ける擬似刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルク)

 

 一直線上に仮想敵が並んでいるのを見て、表裏は槍を投げる。対象を後ろの仮想敵にしたために射線上にいる仮想敵含めて粉砕される。

 

 『次は……』「独奏・擬似天舟(てんしゅう)マアンナ」

 

 船の形をした弓、槍の次によく使う武器だ。

 宙に浮いているため自分で持つ必要がなくただ歩くだけで敵を迎撃できる。

 

 「……」『私見ではあるが人を助けるなとは言われてなかったな』「手、貸そうか?」

 「お、お願いします」

 「おお、」

 

 苦戦している人間に対して声をかけ、敵を殲滅する。

 

 「大丈夫か?」

 「は、はい、」

 「足、怪我してるな」

 「い、いや、後ろ!」

 

 足を怪我した少女と会話をする表裏の後ろに0ポイントの仮想敵が出てきていた。

 

 「……失礼…」

 「え、ちょっ、」

 

 少女を抱えて近くのビルに登る表裏は、0ポイントの仮想敵を見おろしてアマンナを向ける。

 

 「夜想曲、大いなる天から、大いなる地に向けて、擬似山脈震撼す明星の薪(アンガルタ・キガルシュ)

 

 夜想曲により広がった闇を切り裂くように、愛と美、豊穣、戦、金星などを司る女神の宝具が放たれる。

 

 「……怪我の方もなんとかしないとな、独奏・蘇生(ガブリエル)

 

 四大天使が一人蘇生のガブリエルにより少女の傷は癒される。そして回復したことを確認した表裏はそのまま出口へ向かう。試験が終わる時間であり、仮想敵がもういないからだ。

 

 「終了、ではあるが動くな!ヴィジランテ光闇だな?」

 「そう名乗った覚えはない」

 「それでも、ヒーロー免許を持っていない君がヒーロー活動をればそうなるんだよ、白黒表裏くん、驚いたよ、真正面から来るとは思わなかったからね」

 

 終わりを告げる合図とともに、表裏の周りを雄英教師が取り囲む。抹消ヒーローイレイザーヘッド、そして校長根津が声を掛ける。

 

 「ヘドロ事件を皮切りに出てきた特殊ヴィラン、バグへの対処それら全てにおいて登録されていないヒーローの攻撃がされていた」

 「………」

 「それらは、白か黒が一帯に広がった後に攻撃が飛ぶ。そして広がる、白か黒の中心には必ず君がいるのさ、正直言って嬉しかったさ、メディアには、ヘドロ事件以外で君の顔は出ていない、君がヒーローを目指すなら、今までの行動も考えよう」

 「なるほど、ヒーロー免許を持っていない人間が公共の場で個性の使用を禁止しているのは理解している、だが、バグを倒せるヒーローがいないのもまた事実、修正パッチは俺が知るなかで二つ、うち一つは元の持ち主に返し、もう一つは持ち主がいなくなったため俺が所持している、そして、それを渡すつもりはない。ヒーローにはなる、それと一つ俺を追うくらいなら、個性差別の対処に行くんだな」

 

 修正パッチ、本来回るはずだった歯車が外れて生まれたバグ、それを対処できる歯車は爆豪勝己の歯車と緑谷出久から生まれた歯車である。

 表裏は、イレイザーヘッドの個性の継ぎ目と共に闇を展開、目線を隠して

 

 「擬似顔のない王(ノーフェイス・メイキング)

 

 姿を消した。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。