「……本人が直接来るとはね、」
「本当にこのゴミ山に住んでるんだな」
「家無いからねぇ〜、で、イレイザーヘッド?」
「ああ、合格だそれも首席でな、そして、正式ではないが、仮免許だ、持っておけ、」
「どうも」
白黒表裏は、海岸のゴミ山に座ってイレイザーヘッドから雄英高校の入試に合否と仮免許について聞いていた。
「……家をと言っても拒否するんだろう?」
「もちろん、それに昼間ここにいるだけで夜は海のど真ん中に……冗談だよ、まぁ、家は探してみるよ…寮とかあれば楽なんだけどね」
「そんな物は知らん、」
「そう、じゃあね〜」『……家か、裏が、守ってくれたな、バクだと本人は言ってたけど、私としては誰よりもヒーローなんだけどな……』
白黒表裏の表は普通に存在する、ただ、裏というバグが生まれたことによって、雄英高校に関わるきっかけを持った。バグが表とか変わることで白黒表裏も歪な形へと変化していた。子供のままに無邪気なままに、痛みを知らず、痛みを理解する表と、子供ながらにただただ重く、痛み以外を知らず、喜びを理解する。
「……雄英高校……楽しめるといいな」
新学期、雄英高校のA組に誰よりも早く到着する表裏、後から入ってくる人達と、仲良く談笑をする、爆豪勝己がいないため、それを諌める飯田天哉もあまり喋らない。
「お友達ごっこをしたいならよそにいけ!」
それでも騒がしい教室に辛辣な言葉が突き刺さる。
「ここはヒーロー科だ、」
何かいると、寝袋に入った不審者感しかない人間にあっけにとられる一同。
「ハイ、静かになるまで八秒かかりました。時間は有限。君達は合理性に欠けるね。……担任の相澤消太だ。よろしくね」
「よろしくねと言われても、その格好だと不審者という単語が一番最初に出てきますよ、抹消ヒーローイレイザーヘッド」
「御託はいい、早速だが、体操服着てグラウンドに出ろ」
既に一度会話をしている表裏は目の前にいる人間がヒーローであるということを証明する。それによりほかの生徒の方の気も軽くなるが、グランドに集合と言われ、疑問が浮かぶ。
「……」
「A組も来たか、すまんなお前達……俺も入学式やガイダンスの後で良いとは言ったが、校長が許可したんだ。我慢してくれ」
「???」
「なんでB組も?」
「お前達が中学生になってからやってきた個性禁止の体力テスト。アレを個性を使って行う………まぁ説明するより実戦した方が早い。表裏、お前中学の時のソフトボール投げいくつだ?」
「さぁ?」
「お前に聞いた俺が間違ってたな」
バグとは関係なしに、表裏は学校に通っていない。受けることすら許されなかったのだから。
「個性使ってやってみろ。円の外から出なきゃ何やったって良い」
「了解……」
円の中心に立ち、黒き弓を展開する。
「独奏・擬似
「陽のいと聖なる主よ
あらゆる叡智、尊厳、力をあたえたもう輝きの主よ
我が心を、我が考えを、我が成しうることをご照覧あれ
さあ、月と星を創りしものよ
我が行い、我が最期、
我が成しうる “
この渾身の一射を放ちし後に
我が強靭の五体、即座に砕け散るであろう!
擬似
「……測定不能」
「痛い……」
「ちょっと待て!測定不能もそうだけど!砕け散るとか言ってただろ!」
「えっと、切島だっけ?」
「ああ」
測定不能距離を出したことよりも、その前の詠唱にあった【我が強靭の五体、即座に砕け散るであろう】の部分に騒ぐ切島、それに対して表裏は腕が痛いで済ませている。
「本物を使ったらそうなってたよ、私が使うのは全部偽物だから、」
「本物を使っていた場合距離はどうなる」
「2500kmかな、ボールがあるから分からないけど」
「そうか、腕をだめにするのは合理的で……「問題ない」そうか、それがあったな」
腕を痛めた表の代わりに裏が姿を現す。少し体型が変わったことに気付いたのは全員だった。
「胸が縮んだ!」
「失礼よ峰田ちゃん、」
「トップを取るために腕を駄目にするなんてA組は…「五月蝿い」
峰田や物間を筆頭に騒ぐ生徒に、相澤は、舌打ちをする。
「ちっ!ヒーローになるための三年間そういう腹づもりでいるのなら、トータル成績最下位の奴は見込みなしと言うことで除籍処分とする、各クラスそれぞれでな」
「なっ!?」
「俺たち雄英教師は三年間君たちに様々な困難と試練を用意して立ち塞がろう。生徒の如何は俺たち教師の自由だ。ようこそ雄英高校ヒーロー科へ、この困難もPlus Ultlaで乗り越えて見せろよ!とくに、君たちの代はすでに問題がある、それを理解しているのは……一人だけみたいだな。その状態はなんて呼べばいい」
「
「そうか…」
すでに個性差別の極致が昨年にあった。それゆえの教育方法の変更である。
「……」
「黒裏、立ち幅跳び無限」
「ずる!」
天舟アマンナに乗って立ち幅跳びを無限にした表裏に非難の声が降り注ぐ。反復横跳びで、三百人だそうと進言して、止められている。他にも測定不能は多く表裏が一年ヒーロー科でずば抜けていることを周囲が理解した。
「……分かってる、今までの計測から予想はしていた……」
「けど!」
「バイクは!」
「「「「駄目だろ!」」」」
ヒーロー科の男子の大半は相澤に抗議する。表裏はセイバー・モータード・キュイラッシェを作ってまたがっていた。その隣には八百万百が個性で作ったスクーターに乗っていた。
「ありだ、最初に言っただろう個性を使用したものであれば何でもいいと、だがまぁ…やりすぎではあるが、」
結果は、時速400kmを超える速度で独走した表裏の圧勝で終わった。
「……」
「言いたいことはいろいろあると思うがまずは結果だ、そして、最下位となった物間寧人、峰田実だが……」
「「……」」
「除籍はなしだ」
「よく考えればわかることですのに」
『他が落ちれば除籍してたな』
無事にとはいい難いが、全員同じクラスで高校を勧められることとなった。
「それと、誰か一人くらいなら家に泊めることができるやつはいるか?」
「「「「「「峰田以外なら考えることもできます」」」」」」
「安心しろ、白黒だ」
「別に問題は……」
「家がない時点で問題しかない」
「それなら私が……」
「八百万、頼んだ、見張っておくからしっかりと連れて行くように、では解散!」
相澤の言葉とともに視線は表裏へと向けられる。
「なんだ?」
「家ないの?」
「家出だ、個性差別の一種だよ、最近あっただろ?暇なら花束くらい置いてやれ、」
「……分かった、ならあんたの個性ってどういったやつなんだ?」
「……表裏一体、それがアイツの個性だ、俺はバグみたいなもんだ」
「では、作っていたあれは何ですか?」
「流星一条、古代ペルシャ神話の大英雄アーラシュのを元にした物だ。伝説において、数十年間続いた戦争を止めるために、彼は究極の一矢によってペルシャとトゥランの両国に「国境」を作ったという。たった一つの矢によって大地を割ったらしい。その射程距離は実に2500km。人にあらざる絶技と引き替えに、彼は五体四散して命を失ったという、俺が知っている英雄の技では最長の距離を誇る。ヒーローを目指すなら過去のヒーロー、英雄について調べてみると面白いぞ、何なら今後に使えたりな」
「なるほど……今の英雄に気を取られ過去を見ていなかった、精進しなくては」
「でも、神話とか難しそうだし」
「……何も神話にしか英雄は居ないとは言い切れないぞ、個性社会を除いた20世紀以前だと、ニコラ・テスラ、トーマス・エジソンなんかでもいいな、戦いに重きを置くなら李書文もその代だな、」
「李書文、は知らないが、前の二人は英雄と言っていいのか?」
「英雄の定義にもよるが、俺は、時代を左右する、または史実に名を残した人間こそが英雄と言える。あとは、ターニングポイントを見るのもいいな」
「ターニングポイント?」
「有名なところで言うと、フランス百年戦争、ローマ帝国、大航海時代、ヴィクトリア朝後期、ウルクメソポタミア文明、後は英雄として皆が知る、アーサー王伝説。
どの時代、どんな場所にもヒーロー入る、そのなかで英雄と呼ばれる人間は一握りだ。そんな人間にこそいろんな思いがある、それを直に学べないというのだけが残念なところだな」
表裏の言葉を聞き、個性から英雄へと興味を示す一同、そして、白黒表裏の存在がわからなくなった瞬間でもある。