一人、ビルの中を一通り見て回ったあと、表裏は人質役の確認に戻る。
「それで、十人か、」
砂藤、八百万、角取、回原、小森、柳、口田、尾白、凡戸、拳藤この十人である。
「まぁ、知識の共有くらいなら問題はないか、」
「そうだな、ヴィランの概要がつかめない場合、被害者の言葉からその奥行きを探る」
「それじゃあ、一分たったら来てくれ」
人質を連れて、なかにはいった黒裏は、最上階に二人ずつ配置したあとに。
「独奏・擬似
毀れず、屈せず、歪まず、のアイアス以外で防ぐすべはないとされる、大英雄の槍である。
そして、ミノタウロスを閉じ込めるための難攻不落の迷宮に挑戦するヒーローチームはというと、
「……どうすればいいのこれ?」
「完全に迷宮だよな、」
「しかも、明らかに外見と中身が一致しない、」
「意地が悪いねぇ、A組は!」
「物間今それどころじゃねえぞ!」
入り口を前に二の足を踏んでいた。
「オールマイト、これ大丈夫なんですか?」
「踏む、聞いて「その必要はない、簡単に言えば難攻不落の迷宮の再現だ、安心しろ、クリア不可能というわけではない贋作物だからな、それではミノタウロスを閉じ込めたラビュリントス、頑張って攻略してみてくれ」
「……なぁどうするこれ、」
「行くしかないだろう、幸いこちらは十八人数では有利だ、人質に一人つけたとしても、八人は戦える、三人一組で行動しよう!」
黒裏の言葉から動きが止まった一同だが、飯田天哉の作戦によるそれぞれ動き始める。そして幸いなことに人質の、それも白黒表裏から神話についてある程度学んでいる八百万を助けることに成功する。
「このまま、外に出るぞ、目印は残してあるからそれをたどれば!」
「いやぁ〜ヒントなしはダメだって言われたから、入り口付近に配置したけど思ったより早いね、俺が扱うのは不毀の極槍、トロイア戦争において【兜輝くヘクトール】と謳われたトロイア側最高の英雄であり、後世では欧州で騎士道精神の体現者とされている【九偉人】の一角に名を連ねる英雄の一人、彼の英雄は彼が剣の柄を伸ばし、槍として投擲する戦術を好み、その槍は全てを貫くと讃えられる。防衛戦で右に出る者はいないという認識だ、八百万百の力を借りながら見事贋作者を突破してみろ」
八百万の救出に成功したのはB組の骨抜、鉄哲、宍田の三人である。
「鉄哲氏、八百万殿を守っていただきたい。行きますぞ!」
「ああ、」
鉄哲徹鐵を八百万の護衛に置き、残り二人で攻め込むが、黒裏の槍さばきを崩すことはできなかった。
『……崩せない、B組への個性の理解は低いと思っていたが』
『それ以上に、個性を除いた技術のレベルが違う、不利な状況で戦うほど意固地な男じゃないんでね?!地面にもぐれない?!』
「骨抜柔造、個性【軟化】物質を柔らかくする個性、ミノタウロスを封じる迷宮だぞ、簡単に柔らかくできると思っているのか?そして宍田獣朗太、個性【ビースト】体を獣に変化させる、防衛戦に力任せはオススメしない、そして護衛がいるからと、人質から離れすぎじゃないか?」
「「!!」」
攻め込む二人に対して、悪い部分を指摘したうえで、八百万のもとに戻ろうとするのを槍をもってとめる。武器だけではなく、戦い方に対する知識にも差があるのだ。
「ちなみにだが、不毀の極槍を柔らかくすることはできんぞ、贋作物ではあるが、英雄の武器を舐めないほうがいい、」
「標的確認
方位角固定
擬似
放たれた槍を、防げるはずもなく、骨抜と宍田は気絶する。そして新たに黒裏が作った武器は。
「擬似
「……ではその剣は?」
「ネロ・クラウディウス、にまつわる物語から生み出した剣だ、宝剣とかではないから普段使っているものよりかは脆いな」
「基準がわかりませんね」
「それ含めてのヒーロー活動だ……範囲を狭くしたのは失敗だったな、」
八百万を元の部屋に戻す過程で、こんどはA組の轟、切島、青山が、人質役の砂藤と尾白を助けて来ていた。
「二人は人質を守れ!俺が戦う!」
「一対一、相手の領域なら、無理をしてでも二人で来るべきだぞ、」
轟が展開する氷を簡単に切り裂く黒裏、剣の質や技術だけではなく、炎の剣であることも要因である。
「クソっ!」
「炎の剣に対して氷での応戦、それ自体はいいが、炎も使わなければ、馬鹿の一つ覚えだな」
轟が展開するのは、周囲を凍らせるだけのもの、氷塊も凍り方も狭い通路では限られる、故に動きが単調になっていく。
「
「はぁ?!壊せんのかよこの壁!」
「峰田ちゃん、五月蝿い、」
壁を壊して、その場にいた者を別の部屋へと引きずり込むと、残るA組が、揃っていた。迷宮で迷い出会ってしまったようだ。
「がっぁ……」
「手加減はしているがとっさに右で防いだが、いいクッションになったな……人数もちょうどいい、」
「我が才を見よ!
万雷の喝采を聞け!
インペリウムの誉れをここに!
咲き誇る花のごとく
……開け 黄金の劇場よ!!
擬似
「皆さん!すぐに破壊してください!暴君ネロに関わる技です!」
「なるほど、いい考えであるか、この先の展開をお前らは知るまい」
「我が劇場の最後を看取るがよい
天幕は二度と上がらずともこの瞬きは奏者のために
受けよ!
擬似
「流石に指摘はできないか、」
A組全滅、黒裏一人で対応できるが黒裏が本気を出しているわけではなく、他の生徒もまだ伸び代がある。
「あれれれれ?!?!A組もう全滅したのぉ?!?!」
「二重奏・擬似
「ガッ」
「無駄話をする暇があるのなら、構えろ」
既に、ヒーローチームの半分が動けないのだが、A組との対抗心を優先して、あっさりと記別する物間、黒裏がいるのは広めの部屋だが、合流したB組は通路にいた。
「まずい!全員逃げろ!」
全員退避を優先するが、遠距離攻撃をするものに背中を見せるのは愚策である。
「防御体制くらいは取るんだな出身地が少し違うが
「擬似
B組の頭上を通り過ぎたその技は余波で全員を気絶させた。
「……前者にしておけばよかっかな」
「おい、時間過ぎてるんだが」
「解除した途端説教ですか、」
「時間は守れ、黒裏、しかし、容赦がないな」
「これでも手加減しました、最低評価は物間寧人、味方が倒れているのに煽りを行おうとした」
「……分かった」
時間制限を超えるという問題は起きたものの、初の戦闘訓練は幕を閉じた。