ユニゾンクエストⅡ(仮)~筋肉とサイコパスと犬と神々~ 作:ケルベロス(通称・ベロちゃん)
僕のレベルは87だ。
何故なら、一度ハーゴンを倒す旅に出たことがあるからだ。
過去の僕らは純真だった。
世界に迫る危機がある、そして、僕たちはロトの子孫だ。
僕たちが世界を救わなければ。
なので、ザコと言えども侮らず、戦闘こそ修行とか言うどこかの脳筋のせいでレベルを上げまくっていた。
あの時。あの町で。
僕はハーゴンの呪いに罹り倒れた。
病床で思うことは、なんで僕だけ。つらい、苦しい。ロトの、ルビスの加護があるならば呪いに蝕まれるようなことはないんじゃないの。
そして思い出す。母はいつも優しかった、父は【妹を溺愛していた】。僕にも冷たいことはなかったけれども、どこか余所余所しかったように思う。
ああ、そういうことかと思った。
僕だけハーゴン討伐の命が下ったのも、何かあるとしか思えない。
つまり……自分はロトの血を引いていないのではないかとの疑問。
病床で思った。助けてよ。僕は生きたい。僕だけがなんで。
二人は間に合わなかった。いや、もしかしたらこんな僕は見捨てて行ったのかも。
憎い、つらい、愛しい、やっぱりつらい。色んな感情が交差する。
息もしづらくなってきた。額に誰かが冷たい布をあてる。気持ちいい。誰だろう。でも……。
最期の瞬間、甘い声が聞こえた。知っているような、知らないような。
『お前の無念を晴らすザーマス……加護をその身に』
僕が所持していた邪神の像が光った気がした。
そうしてもう一度ここにいる。解けていない呪いは別の形で発動したみたいだ。今の僕には、情熱や正義感といったものが抜け落ちている。
ムーンブルクが襲われることも知ってたけど別に興味がないのでスルーした。だってアイツ、あの酒飲み女、たぶん脳筋と一緒に僕のこと見殺しにしたし。
ほんともう、めんどくさいことに関わりたくないんだ。うどんを食べてのんびりして、討伐なんかに出かけたくない。でもおそらく自分はロトの血を引いていないかもしれないって気持ちをどうコントロールしていいかわからない。妹は可愛いし、両親もぎこちないとはいえ、良くしてくれているんだし。世界が滅亡すればいいとは思っていない。ただ、目の前の煩わしいことは徹底的に排除したいだけだ。僕は温厚な王子、剣も魔法も中途半端でちょっと頼りない、その仮面を脱ぐつもりもない。僕は生き延びればそれでいい。楽しく過ごせば満足だ。ロトの勇者が勝とうがハーゴンに旗が上がろうが興味はない。
やり直すということは、また遭わなければならないということ。
あの脳筋にも、呑んだくれ王女にも。
そんなわけで、リリザの町で彼を待っている。
おっとりと、いやあ、探しましたよ、なんて言うために。