俺のデジモンは女性型しかいない   作:八雲ネム

4 / 10
手持ちのデジモンを少し修正
サンドリモン → エンシェントイリスモン


第2話 探偵助手

   ほーん、それで俺を誘ったのか」

「お前ならアングラなサイトに行く術を知ってると思ったからな!」

「そうそう。最近、噂になってる場所がちょー危険な場所でさー。下手に入ったら情報がすっぱ抜かれるって場所なんだよ!」

「あのなぁ。そう言うのは普通の奴なら寄り付かねぇよ?」

 

 放課後、今日もバイトと称してよく立ち寄っている探偵事務所に行こうかなと思っていると、バカップルに話しかけられたので聞いてみたらアングラなサイトに行こうとの誘いだった。

 その為、アングラなサイトの危険性や入る際の手順を説いたものの俺がいれば大丈夫だ、と言う俺頼みの返答が返ってくる暖簾に腕押しな状態だったので俺はため息を吐くしかなかった。

 アングラなサイト、恐らくだがダークウェブの様なVPNと言う通信を暗号化するツールを使わないと、個人情報を抜き取られて犯罪の片棒を担がされたりする様なサイトに飛ぼうと言う話だ。

 

 今世における電脳空間は、サイスル/ハカメモに登場するEDENの様なフルダイブ型の空間が広がっている為、危険度は前世とは比較にならない。*1

 

「分かった分かった。ただ、そう言う空間に入ったら俺の指示に従ってもらう事を確実に約束できる奴だけを誘ってくれよ? じゃねぇと色々面倒だからな。破ったら二度とこう言った話は受け付けねぇ」

「さっすが話が分かる〜!」

「半ば強制だったがな!」

 

 その為、悠馬達には条件を付けて誘いに乗る事を伝えると参加するメンバーといつ行くかの日程が確定した後、有料で使っているVPNの友達を招待できるURLをLANE(コミュニケーションアプリ)のメッセージで送信する事を約束してから下校した。

 一応、部活動では図書委員として在籍しているものの今日は担当ではないし、担当だったとしても下校時には必ず立ち寄る場所がある。

 

 暮海探偵事務所

 

 デジタルワールドで知り合ったロイヤルナイツの1人がお世話になっている探偵事務所であり、彼*2の紹介で父娘で営む探偵事務所の専属助手として席を置き、デジモン関連を中心に探偵業務をこなしている。

 プログラミングの勉強だったり、探偵助手だったりと私生活では忙しいものの前世の記憶がある事に加えてデジタルワールドで10年も過ごした結果、知識と言うのは無形の宝だと言う事を実感しているのでそこまで苦行ではない。

 プログラミングに関しては、受験で出る範囲で学んでいるので多少のハッキング技術を有しているだけだし、探偵助手だって本職としてやっていないので未熟なのは彼らも百も承知だ。

 

 今はまだ、学業の合間にできる範囲で技術と経験の蓄積を優先しているので、卒業後に探偵事務所へ本格採用するんじゃないかと言う話があったりなかったりする。

 そんな訳で、暮海探偵事務所に入ると顎髭が似合うナイスミドルな男性と胸元が肌けた女性がいつもの様に待っていた。

 

「来たな、宮本君」

「少し遅かった様だが、道草でもしていたのかい?」

「えぇ、友人と少し話していたので遅れました」

 

 暮海探偵事務所の社長さんにして、雇用主である暮海 広大さんと彼の娘さんにして先輩探偵の杏子さんがいつも通り、話し掛けてきたので返事をすると広大さんから依頼の資料を手渡された。

 

「今回、とある人物のアカウントが2ヶ所、別々の場所で同時に活動している事が確認されたのでね。その調査及びアカウント情報の奪取を行なってほしい」

「東京都在住の会社員の男性、42歳。片方のはアンダーグラウンドのLV.2で頻繁に活動している、ですか。アカウントの人物がアウトローな存在や組織と繋がっていると言う可能性はありますか?」

「いや、本人は真っ当な社会人だよ。彼の経歴について裏を取ってあるからね」

「分かりました。すぐに潜ります」

「よろしく頼む」

 

 その為、彼と依頼内容の確認と打ち合わせを行なった後で事務所に設置してある電脳空間にフルダイブできるヘッドセットを起動させ、頭に装着してから電脳空間に飛び込んだ。

 

 

 

 

 

 アンダーグラウンド LV.2

 

「こちら、衛。LV.2に到着したのでこれより、調査に入ります」

『ふむ、いつもの事ながら探偵業務は焦らず、急いで確実にだ。朗報を期待しているよ』

「えぇ、お任せください」

 

 URL先の電脳空間に降り立った俺は、杏子さんに連絡を取ってからリリスモン達を周囲に出してから対象のアカウントの追跡調査に入った、のは良いのだが以前なら女性型アバターを見ただけで色目を使ってきたハッカー達が俺らを見た途端、大多数はそそくさとどこかに行くので話を聞くだけでも一苦労だった。

 

「しっかし、こうもフリーハンドで調査できる様になるとはなぁ」

「人間界の電脳空間での活動が実を結んだ結果じゃない。凄腕ハッカーなんて言われてるわよ?」

「その殆どは君らの活躍なんだがなぁ」

「そうやって謙遜しなくていいの。私達をこっちの世界に来てまで貴方に逢いたいと思わせたのよ? 少しぐらい、誇っても良いと思うわ」

「そーそー、究極体まで従えてるんだから並大抵のハッカーじゃ太刀打ちできないでしょ」

 

 彼らの判断も当然で、リリスモンとサクヤモンの他にエンシェントイリスモン、オファニモン、ベルスターモン、ユノモン、の4体が手持ちとして来てくれたのだが彼女達の誰もが究極体まで進化できる事は普通のハッカーは勿論、デジモンを従えているハッカー達も知っているので大半がこちらに手を出してこない。

 その結果、余計なバトルが起きずに済む一方で聞き込みに一苦労しながら位置を特定するとそこには如何にも普通の会社員です、と言うサラリーマン風の男がいた。

 

「よー、ちょっと良いか?」

「はぁ」

「探偵をやってる者でね。ここら辺で悪質なアカウント狩りが起きてるっつー噂があるから調査しに来たんだけど何か知らないかな?」

「知りませんね」

「なに、難しい話じゃねぇんだ。噂の1つや2つ、知ってたら教えてくれたら助かるよ」

 

 そんな彼と軽く会話をしながら、俺の能力でアバターの情報に接触するとビンゴであり、本来の持ち主のアカウントに巧妙なハッキングを仕掛けて乗っ取ってコントロールしている様子だった。

 通常、こう言う事が起きない様に運営側でもセキュリティの向上やらで対処しているものの人間が作っている以上、システムの脆弱性を示すセキュリティホールという物がどうしても発生してしまう。

 また、スパムメールやチェーンメールと言った悪意ある情報をメールなどで送って相手を動揺させる手法も定番と言えば定番なので、運営が対処するにも限界があるのでユーザ側でも冷静な対処を求められている。

 

 その為、可能であればアカウントの奪取が目的なのも相まって冷静に話しかけているのだが、サラリーマン風の男性は覇気のない様子で返答をするだけなので、本当に巧妙なハッキングができるのか?と思っていると彼に変化があった。

 

「アカ………アカ、ウント」

「ん?」

「アカ、ウント………よこせぇぇ!!」

「っ!」

 

 口調が怪しくなったと思ったら、サラリーマン風の男性の後ろにデジモンの姿が現れて俺に攻撃を仕掛けてきた為、リリスモン達の反撃によってによって一瞬で消滅させられてしまった。

 すぐに消滅したので、ちゃんとは見れなかったものの赤い表皮と成人男性の身長を超える巨体で恐竜風の見た目だったからグラウモンだと思われる。

 デジモンは付き従う人物によって、精神性が大きく変わるのでテイマーズのタカトみたいな純粋な人物であれば頼もしい仲間になるが、今回のハッカーの様な悪意がある人物であれば悪に染まり、逆にその人物を乗っ取る場合だって発生する。

 

 消滅したデジモンは、後者の人物によって悪に染まった挙句に欲望を抑えきれなくなったのだろうと思いながら、彼のアバターにアクセスするとハッキングによって集められていた情報は解放された様子なので杏子さんに報告した。

 

『なるほどな。デジモンを収集するコレクター気質のある人間がいる様に、デジタル化した人間の情報を集めるデジモンもいて然りと言った所だろうな』

「倒れた彼はどうします?」

『そこまでは依頼に入ってはいないのでね。放置しても良いのだが………流石に他のデジモンに襲われても困るのでね。すぐに移動できる場所に運んでおいてくれ』

「分かりました。運んだ後で戻りまーす」

 

 京子さんの言葉に頷きながら、グラウモンに乗っ取られていた彼について聞いてみると俺らですぐに逃げれる場所まで運ぶ様に言われたので、京子さんとの通話を切ってからため息を吐きながら彼を運ぶ事にした。

*1
表沙汰にはなっていないが、サイスルに登場する“生き人形、死に人間”の様な事案も稀に発生している。

*2
デジモンに性別がないので便宜上、そう呼んでいる。リリスモン達が主人公の性癖を揶揄ったのは彼を通して人間の女性を学習した結果である。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。