その日も平和な1日だった。
(………ウッソだろ)
高校の授業を受けている最中、普段から使っている携帯端末はJアラートを受信した事を告げる警報が鳴る一方、スマホ型デジヴァイスには大型デジモンが出現した事を告げるメッセージが表示されていた。
その為、担当の先生に断りを入れて早退するのと同時に広大さんへ連絡を入れた。
「敵性デジモンが現れたんですって!?」
「あぁ! 電脳科のメンバーに非常呼集及び出撃命令が出た。お前にも招集が行くかもな!」
「畏まりました! 現場付近で待機します!」
「そうしてくれ! 詳細は追って送る!」
「お願いします!」
5年前、俺がデジタル・ワールドから帰ってきたのに伴って電脳空間にデジモンが出現する様になったが、現実世界でもそれは同じ。
ある者は希薄ながらデジタル・ワールドと現実世界が繋がる道を辿って、ある者は電脳空間を介して、ある者はデジモンを悪用する者に従わされて現実世界にやってくる。
その結果、政府は重い腰を上げて増加傾向にあるデジモンが関わる犯罪に対抗する為の組織を警察と軍隊の両方に組織させた。
それが、公安の電脳科と防衛軍の電脳戦闘団。
両者共に、警察や軍などで採用されている使役犬(作業犬)と同じ様なもので暴走するデジモンに対するカウンターとして使われるが、電脳科所属のデジモンは国内の治安維持に使われるのに対して電脳戦闘団の方は国防に使われる。
その為、今回の様なケースだとまずは電脳科のメンバーから動くのだが、それで抑えが効かない場合は電脳戦闘団が出る様になっている。
とは言え、両者共に創設されてから3年程と日が浅い組織でデジモンの育成も手探りな状態だった為、組織として安定してコントロールできる状態なのがデジタマから孵化させて成熟期まで進化させるまでで、完全体まで進化させた人はちらほらいるものの安定運用はまだまだと言った感じだ。
勿論、個人として扱う分には完全体まで進化させた輩は多数いるものの究極体まで進化させた輩は世界でも10人にも満たない為、複数体の究極体を率いている俺が如何にイレギュラーなのかが分かると思う。
そんな状態での非常呼集となれば、敵性デジモンが完全体か究極体のどちらかで非常呼集に伴ってJアラートが鳴ったともなれば、強力なデジモンだと推測できるので俺も対応できる様に指定された現場付近まで行く事にした。
「あっちゃあ………完全体かぁ………」
「どうする? 処す?」
「いや、まずは電脳科の連中に任せよう。今はまだ彼らの領域だ」
渋谷のスクランブル交差点に現れたデジモン、マスターティラノモンと呼ばれる完全体のデジモンなのだが、特徴なのは激戦を勝ち抜いたティラノモンだけが進化できる胸にX字の模様を持った黒に近い灰色系の体色の恐竜型デジモンだと言う事だ。
これが、天使型デジモンの様な知性と理性があるデジモンであればおいそれと赤の他人の物を壊したりしないのだが、彼の場合はそうではない様で周囲にある車などを所かまわず壊しまくっている。
あれだけ、壊されれば補償が大変だねぇと思いながら様子を窺っていると数名の人間が人数分のデジモンを伴って現場に到着し、各々の命令でマスターティラノモンに攻撃を加え始めた。
(
スペック的には決して悪くはないが、イマイチ決め手に欠ける編成なので時間を稼いで増援を待つ戦法でも採用しているのかな、と思いながら戦闘の行方を見守っているとアンドロモン達側が押し負けた。
「しゃーねぇ。割り込んでマスターティラノモンを倒すよ」
「あいよ!」
個人的な所感になるが、電脳科側の戦い方自体は決して悪くはない。
組織として日が浅い、と言っても今回のチームの連携プレイは良い線行っていたと思うし、ちゃんと進化させればそこそこ強いデジモンになると思うし、そうなったら今回の様な相手でもちゃんと勝てたであろう。
但し、それらがしっかりと組み合わさっていればの話であって、マスターティラノモンを行動不能にまで持っていくには火力不足なのは否めないので割り込んで戦闘を行う事にした。
放置して人も含めて死なれたら目覚めが悪いしね。
「誰!?」
「通りすがりの者だ。あなた達と同じ様にデジモンを扱える為、助太刀するつもりだがどうする?」
「バカな事を言っちゃいけない! 早く逃げ 」
「待って!」
突如として現れた俺に、電脳科の連中は警戒心を露わにしながら聞いてきたので素直に答えると公安としてのプライドなのか、アンドロモンに指示を出していた男が俺に逃げる様に促そうとして、クーガモンに指示を出していた女性が止めて俺に聞いてきた。
「その人達、究極体ですよね!?」
「おい!? 何を勝手に!」
「お願いしますぅ! 増援が来るのが後10分は掛かるんですぅ!」
「勝手に情報を漏らすバカがどこに居る!」
「………」
彼女の言葉に、男が口止めをしようとして言い争いに発展したので俺は何とも言えない表情を浮かべてしまったが、ア○ニマス風の印象的だがどこか不気味な雰囲気のある仮面を顔に装着しているので悟られずに済んだ。
とは言え、そんな彼らを制して説明している時間はないのでリリスモン達にマスターティラノモンの撃破する様に合図を送ると、サクヤモンとオファニモンが攻撃に出てあっという間に倒してしまった
「周囲の被害を抑える為に撃破しましたけど、大丈夫でしたか?」
「………全く、今回は彼女達がいたから良かったものの本来は我々、警察の管轄だからな?」
「その割には押されていた様に見えましたがねぇ」
「それも作戦の内だ!」
「えぇ〜? 本当ですか〜?」
その為、その事を伝えるとアンドロモンに指示を出していた男が受け答えに応じてくれたので多少のやり取りをしていると、スーツ姿の男達が集まってきた。
「班長、何故民間人が居るんです?」
「民間人ではない。テイマーだ。最上位クラスの」
「っ!」
「………? どーしましたー?」
どうやら、アンドロモンに指示を出していた男が電脳科の中でも上の立場らしいのだが、そんな彼の言葉にスーツ姿の男達が目の色を変えてこっちを見てきたので首を傾げながら聴くと次の内容を言われた。
「公務執行妨害の容疑で君を逮捕する。素直についてきてくれたら助かる」
「どーする? 離脱する?」
「君らは一旦、ファームに戻れ。警察に追いかけ回されると面倒だからな」
「わかった」
「分かりました! その前に連絡を取りたい人がいるからしばしお待ちを!」
その言葉に、リリスモンが気怠げに聞いてきたのでスマホ型デジヴァイス内にあるファームに戻る様に伝えてから、彼らの指示に素直に従って広大さんに連絡を取って保証人として来てもらう旨を伝え、リリスモン達にはデジヴァイスに入ってもらって彼らのお縄に付いた。
リクエストをいくつか貰っていますが中々、本編に反映できずに申し訳ないと思っています。
ただ、リクエストをしっかりと反映するには世界観をしっかりと構築してから反映したい、と思っていますので今暫くお待ち下さい。
早ければ、次回辺りにでも反映しようかなと思ってはいるんですがね。