ご了承ください。
僕と下鶴監督の計画通りに
レギュラーと監督の座を賭けたこの試合は
チームに相互理解を生み出しはじめていた。
いきなり二つの学校が合併すれば
不平や不満が出るのは当然だ。
だが九州最強と名を馳せている
東風異国館を相手にするならそれではいけない。
ただでさえ東風異国館の選手たちは
各国から勧誘された選りすぐりの精鋭たちなのだから。
仲違いをしては勝てる可能性は
限りなくゼロに近付いてしまう。
そこで下鶴監督と一芝居を打った。
互いの監督を交換した
この試合は選手たちのサッカーへの見方を変えた。
元北陽の選手には南雲原のサッカーを。
南雲原の選手には北陽のサッカーを。
互いの長所や短所を理解することで
元の北陽とも南雲原とも違う
新たな南雲原として強みを見出すことができる。
一つ意外だったのは下鶴監督が
監督という立場を辞退し
更に南雲原から立ち去ると言ったことだった。
正直に言えば
南雲原の監督は自分でありたい。
その気持ちが全くないといえば嘘になる。
南雲原は僕にとって特別なものだから。
僕がみんなを誘い 作り上げたチームだから
皆を導き一緒に頂点からの景色が見るのが責任だとも思う。
それに僕にとってのサッカーはもうこれしかない。
だけど優先するべきはチームの勝利だ。
自分勝手な都合やプライドを選ぶ訳には行かない。
少しでも勝率が上がるなら僕はそっちを選ぶ。
それがみんなに対する誠意だと思うし 僕の覚悟だ。
だからこそ下鶴監督と手を組むことを決めたのだが。
その提案は本人によって拒否された。
「船頭多くして船山に上るという言葉がある。
私が南雲原に居続ければ必ず君と私がぶつかる時が来る。
そして私という異分子は
南雲原と北陽の間にまた軋轢を産む」
そう言われると否定はできない。
作戦や戦術というのは実際に行わなければ分からない。
勝てば正しいし負ければ間違っていたことになる。
そうなれば意見が割れた時 絶対に僕は譲らないだろう。
だからこそ悩む。
南雲原が大差をつけて勝てたのは
ナツという隠し札があったからだ。
たまたま上手くいっただけで負け筋はいくらでもあった。
「色々考えているようだが気に病むことはない。
どのみち私は試合に負けたんだ。
いつの時代も勝者だけが残り敗者は去るのみ。
ただそれだけのことさ。
それとも君は勝ち続ける自信が無いのかな?」
「やらせてもらいます」
明らさまな挑発に思わずムッとなる。
下鶴監督は愉快そうに微笑むと僕の肩に手を載せた。
「あの子達を頼んだよ」
そう告げて下鶴監督は喫茶店を出て行った。
その姿はまさに名将と言われるのに相応しかった。
これでまたひとつ負けられない理由が肩に乗った。
随分重くなってしまった
自分の肩書きに苦笑いを浮かべつつ
砂糖を沢山入れた珈琲を口に運んだ。
あの試合が終わったあと
北陽の監督は南雲原を去り
改めて雲明が正式な南雲原の監督に戻った。
北陽の選手達も初めは不満そうだったり
雲明の実力に半信半疑と言った様子だったが
数日経てばもう文句を言うやつはいなくなっていた。
まだ見慣れない顔はいるものの
今まで通りの南雲原の光景が取り戻されつつある中
一つだけ明らかに違うのはその中にナツがいない事だ。
今までナツに頼りすぎていたのはわかった。
だからこそ東風異国館戦はナツ抜きでやる必要がある。
それも勿論わかっている。
だがそれでもナツは明らかにいないことが増えた。
雲明や忍原によると
色々な部活を体験入部しては辞めてを
繰り返しをしているらしい。
……わけがわかんねえ。
さらにこれは雲明の指示でもなく
ナツ本人からの希望らしく
流石の雲明も少し困惑していた。
……さらに意味わかんねえよ。
まあとにかくサッカー部を辞めるとか
そういう話ではないらしい。
少なくとも忍原がそう騒いでたのを聞いた。
雲明は雲明で部活が終わったあとに
ナツと隠れてコソコソ何かを練習しているらしい。
これも無駄にテンションが高く
騒ぎまくってる忍原と木曽路から聞いた。
……まじであいつら喧しいな。
何かを感じたのか後ろに座ってる忍原が
俺の座ってる椅子を蹴る。
……なんでわかんだよ。
ミーティングルームの扉が開いて
雲明とナツが入ってくる。
息付く間もなく雲明から
東風異国館について説明が入る。
「東風異国館は留学生選手を多く擁しており
FF初出場ながら九州最強と名高いです」
周りの元北陽の選手たちが顔を顰める。
まあ最強の名を奪われれば面白くないわな。
雲明はそんな様子を気にせず続ける。
「このチームは選手個人のセンスや
判断を重視していて戦術を持ちません。
ですがそれすらも行動が読めず対策が立てづらくなる
強みにもなっている非常に厄介なチームです」
「そしてこの二名の選手を倒すのに
現状の必殺技では通用しません。
なので必殺技の強化をする必要があります」
思わず反論したくなるがグッと堪える。
後ろの忍原も必死に堪えてるんだろう。
「FWのカイ吉崎」
「GKのマルティノレオーネ」
「この二名に気をつけてください」
ここまで読んでくださりありがとうこざいます。
間が空いてしまい 誠に申し訳ないです。
今回のお話はペースを考えて
いきなり東風異国館戦まで
飛ばしてしまおうか考え悩んだ結果
本編と重なる部分が多いですが書くことにしました。
そのためだいぶ短くなっています。
ストーリー攻略した方は
ほぼ変わらない展開になってしまい申し訳なく思ってます。
ここから飛ばしたり解釈や
オリジナル展開が多くなっていくと思いますが
何卒ご理解いただけると有難いです。
お気に入りしてくださる方が
想像より多く大変嬉しく思う反面、
展開に悩むことが多く
お待たせしてしまうことを
大変申し訳なく思っております。
これからも無理のない範囲で頑張っていきますので
何卒よろしくお願い致します。