某野球場
土曜日。天気は快晴で、絶好の野球日和となった。
惇(今日の試合、俺は予定通りセンターでスタメンか・・・)
この日、惇達旭高校は、3回戦の試合に臨んでいた。ちなみに初戦の二回戦は、15-0と快勝している。
惇(さて、気合入れっか!)
惇は、気合い入れて試合に臨んだのだった。
同時刻
風太郎「・・・ふう、間に合ったか。」
五月「一花が寝坊するからどうかなと思いましたが、何とか間に合いましたね。」
一花「ごめんね、皆・・・」
風太郎達は、惇の試合を見に、球場に足を運んでいた。
二乃「今日足立君の試合だったなんてね。アンタに言われなかったら来なかったわ。」
風太郎「何だよ、それ・・・」
四葉「そういえば上杉さん、私達が入った高校って、野球部強いんですか?」
風太郎「ああ。全国を代表する名門校として有名だぞ。今年の夏を含めると、27回夏の甲子園に出てる。春も、22回出場してるしな。その内、夏3回、春1回の全国制覇を果たしているしな。」
四葉「そうなんですか!?」
五月「強いんですね・・・今年の夏はどこまで行ったのですか?」
風太郎「今年は後一歩で全国制覇を逃して、準優勝に終わったな。」
五月「・・・そうだったんですか。」
三玖「・・・それって、ジュンも出たの?」
風太郎「当然だ。なんたってアイツは、野球部のエースで、プロのスカウトが注目しているからな。」
五月「そうなんですか!?」
三玖「・・・それって、ジュンは凄い有名人って事だね。」
すると
二乃「あ、ググったら出てきたよ。ええっと・・・『旭高校足立惇、最後に力尽き涙の準優勝!!』って書いてある。」
横でスマホをいじった二乃が、画面を皆に見せた。
風太郎「俺も見に行ったが、あの時は本当に惜しかったな。最後に打たれて、1-0で負けたんだからな。」
一花「そうなんだ・・・」
三玖「・・・ジュン、可哀想・・・」
五月「足立君・・・」
風太郎「けど、アイツはもう前を向いているから大丈夫だ。」
二乃「それはそうと・・・今日足立君は試合出んの?」
風太郎「出るけど、投げないって言ってたな。」
これに
二乃「なーんだ。つまんないの。」
と二乃は言った。
一花「けど、試合には出るんだよね。」
風太郎「ああ。一応アイツから聞いたしな。」
一花「なら、それで良いじゃん。ね、二乃?」
二乃「まあ・・・うん。」
四葉「あ、選手が出てきましたよ!」
審判「これより、試合を始めます。礼!!」
「「「しゃーっす!!」」」
そして、試合が始まった。旭高校は、初回から点を取りまくって、優位に試合を進めた。
アナウンス『3番、センター、足立君。センター、足立君。』
そして
カキーン
「うおっ!ホームラン打ったぞ!」
「この調子じゃ、足立はマウンド行かねーな。」
惇はホームランを打った。
「ナイスバッティング惇!」
惇「サンキュー!」
そして、ベンチから戻った惇は、たまたま観客席に目を向けると
惇「ん?へーっ。」
風太郎と五つ子がいた。それを見た惇は
惇「監督!ちょっと良いすか?」
西辺「ん?何だ?」
惇「1イニングだけ、投げる事出来ますか?」
監督に投げたいと言ってきた。
西辺「・・・それは構わんが、何か理由があるのか?」
惇「いえ。ちょっと調整したいので・・・」
西辺「・・・良いだろう。この回のウチの攻撃が終わったら、マウンドに上がれ。」
惇「はいっ!」
二乃「ねえ。足立君、投げる気配すらないんだけど?」
風太郎「しょうがないだろ!それに、ホームラン打ったんだから良いだろうが!」
二乃「確かに打ったけど・・・」
一花「試合も、ウチの高校が圧倒的に有利だしね。」
風太郎「4回の裏が終わって10-0だからな・・・」
三玖「・・・そうだね。」
四葉「三玖、何かちょっと嬉しそうだね。」
三玖「ジュン・・・ホームラン打ったから。」
四葉「三玖・・・」
五月「何か変わりましたね、三玖。」
三玖「・・・そうかな?」
その時
アナウンス『旭高校、選手の交代をお知らせします。ピッチャー○○君に代わりまして、センターの足立君が入り、センターに○○君が入ります。3番、ピッチャー、足立君。センター、○○君。」
選手交代のアナウンスが入り、惇がピッチャーとしてマウンドに上がった。
これに
風太郎「嘘!?」
一花「あ、ジュン君投げるね!」
二乃「やった!投げる姿が見れる!!」
三玖「・・・ジュン!」
四葉「三玖・・・嬉しそう。」
五月「・・・そうですね。」
風太郎を含め、五つ子達も驚き、二乃はちょっと興奮して、三玖は嬉しそうな表情をした。
「うっそ!?ここで足立!?スピードガンスピードガン!」
「あいつら、ちゃんとビデオ撮ってるかな?」
周りも、まさか惇が投げるとは思わず、慌てて準備した。
そんな中、キャッチャーと一言二言話した後、マウンドの土を均したその瞬間、惇に纏った雰囲気と表情が変わった。
一花「あれって・・・ジュン君だよね、フータロー君?」
風太郎「ああ。正真正銘、惇だぞ。」
二乃「何か・・・雰囲気変わった?」
四葉「何というか・・・オーラが変わりました?」
五月「私も感じました。」
それぞれ惇の雰囲気に戸惑っている中
三玖(・・・カッコイイ。)
三玖だけ惇に見とれていた。
その間に投球練習は終わり、打席には、相手のバッターが構えていた。
そして1球目、惇は真っ直ぐを投げ込んだ。
審判「ストライークッ‼︎」
気合の入った審判のコール。
二乃「えっ!?」
四葉「は、速いです!?」
すると
「うえ!?いきなり151!?」
「うっそぉ!?もっと速く感じたぞ!!測り間違ってね!?」
他校の偵察が、惇の真っ直ぐに驚いていた。
風太郎(すげぇ、いきなり自己最速タイか。・・・つーか、あの偵察と同じく、俺も速く感じたな・・・)
風太郎も、惇の真っ直ぐに驚いていた。それを聞いた五つ子達は
「「「・・・」」」
唯々絶句していた。
三玖(・・・ジュン。カッコイイ)
・・・三玖を除いて。その時
惇「・・・」
惇がふと風太郎達がいる方向に目を向け
風太郎「!」
風太郎は少し驚いた。
それは風太郎だけじゃなく
一花「今・・・こっち見たよね。」
二乃「私も思った・・・もしかして、私達に気付いたのかな?」
三玖「・・・そうだと良いね。」
四葉「三玖・・・?」
五月「三玖。あなた・・・」
五つ子達も感じたのだった。そして、惇はその回をあっさり三者三振に抑えて、チームは快勝したのだった。
その帰り、風太郎達、特に五つ子達は惇の姿に唯々興奮しており、特に三玖は
三玖(・・・ジュン。)
頬を赤く染めながら彼の姿を頭に浮かべていたのであった。