無限ダンジョンエンチャ掘りゲーム世界に転生した ※なお、現地住民はエンチャント?何それ?な模様   作:一宮 千歳

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第2話

 

「ばくはつふぁいあぼー、ばくはつふぁいあぼー♪ みんなふきとぶばくはつふぁいあぼー♪

ばくはつふぁいあぼー、ばくはつふぁいあぼー♪ みんなだいすきばくはつふぁいあぼー♪」

 

自作の【爆発ファイアボール】の歌を歌いながら1層〜10層の周回でレベリング。

しかし、こんな強力エンチャントが二束三文で売られる世界って何なんだろうな。まあ、拾ってすぐにもある程度の性能がわかるとはいえ、《完全鑑定》済みでなければわからない事もある。指輪つけて虚空に向かって当たりっぽい呪文を唱えるというのがハードル高いか。

【ファイアボール】ではなく【爆発ファイアボール】なのがミソだ。前者の呪文は「ジ・ダンジョン」に存在しない。マジックスクロールに書いてある呪文名を覚えて、なおかつ条件を満たして呪文名を唱えないといけない。まあ、無理だろ。

 

そしてその全部を吹っ飛ばせる知識無双、最高〜! 優越感がすごい。

実際優越している。レベリング効率が段違いなので、これはこの世界トップ層にもすぐ追いつけるかもしれんね。

 

さて、エンチャは目に見えない。が、【鑑定】すれば《完全鑑定》済みとなり、詳細がわかる。

ただ、【鑑定】のマジックスクロールは高値で売られていて、その理由はダンジョン産のものを鑑定するのではなく、高価な美術品を【鑑定】するのに役立つ、というか必須だ、というもの。

 

まあ、古美術は真贋大事だよね。それに比べてダンジョン産のものは量産されがちだから、なおのこと。

でも俺は声を大にして言いたい。深層で出てくる得体の知れないエンチャント付きアイテムの把握のためには【鑑定】が必須だと。で、そのためには使うたびに消耗するマジックスクロールではなく、《鉄の指輪》に【鑑定】がついてるのを狙いたい。

 

というわけで、《鉄の指輪》を求めてボスウルフ狩りである。

一度ダンジョン外に出るとダンジョンはリセットされるというのは、一度外に出ないとリセットされないと同義。【爆発ファイアボール】のおかげで高速周回できるのだが、それするとメチャクチャ目立つので、ダンジョン内では適当に時間を潰しつつ。

 

呑気に鼻歌を歌っているのは、基本的にダンジョンは個人ごとに区切られているせい。いわゆるインスタンス制なのだ。これにより探索者(シーカー)のプライバシーは保護される。極端な話、ダンジョン内で大声出しながらオナニーしても誰にも迷惑をかけない! 俺はしないけどね。でも、してる人いそうだな。

 

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何度かウルフの群れを狩ったが、【呪文】付きの《鉄の指輪》のドロップは一度だけ。まあ、元々《鉄の指輪》がそこそこ低確率なんだよね。《鉄の指輪》のほかにそこそこ小さくて換金率が高い兜、帽子、あとマジックスクロールをたくさん抱えて売り払いに向かう。

 

売り払ったら、市場に新たな《鉄の指輪》を探しに行く。あと、明らかに非ダンジョン産の装飾品!なネックレスにダミーの《鉄の指輪》を通してファッションぽくする。俺はこのファッションでやってるんだぜ、みたいな顔して市場を回るのだ。

 

結論から言うと、銀貨三で【鑑定】付きの《鉄の指輪》を手に入れてしまった。

なに? 俺これせどり系転生なの? 俺転売って好きじゃないし

なんか知識差、弱みに漬け込んでるようで少しやだね。ありがたく活用はさせてもらうけどさ。

 

他の【呪文】と違い、【鑑定】に限ってはダンジョンの外でも使えるのだが、【鑑定】とボソッと呟くだけでもだいぶヤバい人だ。目立つので、これはやらない。結局《鉄の指輪》以外のお得装備はないものとして諦めた。多分ウルフ倒した後に取れる宝箱からたまに出る《鉄》武具シリーズにもワンチャン【呪文】付いてんだよな。

 

《鉄》の悪いところは《卑金属》(懐かしい言葉!)扱いであること。身につけている、あるいは持っている《卑金属》の重量によってほとんどのマジックスクロールや【呪文】の効果が落ちるところだ。固定ダメージの【爆発ファイアボール】はその影響を受けないが(この点でも【爆発ファイアボール】付き《鉄の指輪》は優れている)、今後【呪文】を主体にするのであれば《鉄》などの《卑金属》装備はなるべく減らしたいな。

 

しかし思いとは裏腹に効果なし(ある)の鉄の指輪を買い漁る変人だから、ということで【『鉄の指輪の』ニール】と言う通り名で呼ばれるようになってしまった。なんだかなー。あ、ニールは俺の名前です。

 

この一週間で得たウルフ宝箱の【鑑定】した結果は以下!

 

鉄の靴…重い。エンチャなし。その場に捨てて帰った。

鉄の鎧…重い。エンチャなし。その場に捨てて帰った。

 

鉄の剣…普通のショートソード。エンチャなし。まあ持っておく。

鉄の斧…重い。一応【水弾】付きだったが、売った。

 

鉄の指輪…エンチャなし。ダミーの飾りにした。

鉄のメイス…俺は固定値教信者ではない。エンチャなし。売った。

 

鉄の兜…エンチャなし。売った。

鉄の鎧…重い。エンチャなし。その場に捨てて帰った。

 

鉄の剣…エンチャなし。売った。

鉄のメイス…エンチャなし。売った。

 

鉄の指輪…【石弾】がついてた。使わないけどキープ。

鉄の棒…棒と言ってもちゃんと武器。売った。

 

鉄の槍…エンチャなし。ショートソードあるからいいかな。売った。

鉄の短剣…【攻撃力アップ+1】が付いていた。一般的にも小当たりだが、ショートソード以下ではある。使い出のあるナイフとしてキープ。

 

一日二回ペースで周回したが、それでもちょっとペース早めかも? と見られているらしい。うーん、難しい。

あとこの割合なのに【爆発ファイアボール】と【鑑定】は何で市場に流れたんだよ。

 

「おっさーん。鉄装備買いとってー」

「またかニール。ショートソードじゃなく斧を使えばいいのに」

「重いじゃん。やだよ」

 

「がらくた市」のおっさんもこの一週間ですっかり顔馴染みだ。

 

「あとなあ、お前が鉄装備なんて持ち込むと「がらくた」じゃなくなるだろうが」

「だって他の商人商売っ気強すぎるもん。俺、おっさんに売るのが一番いいわ」

「はあ……で、今日の売り物は何だ?」

「《鉄の槍》。振った感じは重くもなく軽くもなく、ふつーだね。モンスター相手は試してない」

「槍なら敵に近寄られたくないって女の冒険者に売れるな」

「槍振り回す女、やだな」

「男避け効果もあるって言っとくか!」

 

ガハハ、と笑うおっさん。がらくた市なんて主催してるんだから相当酔狂なおっさんなんだが、実際楽しそうだ。この世界、こう言う過ごし方もアリなのかな。でもエンチャ掘りしたいし。頼む【究極】属性武器、早く俺のもとに来てくれ。

 

【究極】属性は文字通り究極の属性で、弱点にならない代わりに軽減だの無効だの吸収だの反射だの厄介なダメージ軽減の対象にもならない。まあ言っちゃうと別ゲーの『万能』属性と同じだ。

これは【究極】属性が場所を問わない、エンチャ掘りの【究極】のスコップであることを意味する。エンチャ掘りはスコップを手に入れてから本番であり、それまではチュートリアルに過ぎない。

 

……が、【究極】属性、そもそも100階以降でしか出ないレア属性だ。そこまでは敵の耐性に合わせて武器を持ち替え攻撃に合わせて体制を整えヒーコラ言いながら潜る下積み期間がある。これをうまいこと楽したい。【究極】武器獲得RTAの100階到達安定チャート、思い出せたらなー。

 

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