無限ダンジョンエンチャ掘りゲーム世界に転生した ※なお、現地住民はエンチャント?何それ?な模様   作:一宮 千歳

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第3話

チャートはちゃーんと記憶しておきましょうね。

いや自分の走らないRTAチャートなんか覚えとらんよ。

と言うわけで行き当たりばったりで進めることになるが、現地民の縛りプレイを解放してやろう。

ということで、世話焼きのハーフレザーアーマーのおっさんにコンタクト。

 

「おっさんおっさん、この《鉄の指輪》あげるよ」

「おう『鉄の指輪』。なんだ? くれるんならもらうが」

「いや、たまたまわかったんだけどね、これ着けてると、ダンジョン内で『【石弾】』って唱えれば【石弾】が無限に打てる」

「……ハア!? 大事(おおごと)じゃねえか!」

 

せやろな。これまでジモティーは装備の【呪文】エンチャントに対して全く何も知らない状態だったんだから。

 

「でしょ! 大事すぎて俺の中だけでしまっとけないんだよ! で、【石弾】があるなら……」

「他のマジックスクロールの指輪もあり得る、ってところか……こりゃお前、大発見だぞ」

「だからその【石弾】の指輪がとりあえずほんとなの確かめてきてよ。で、俺が見つけたってのは内緒で、他の探索者(シーカー)にも広めて。おっさん顔広いでしょ」

「何で内緒にする必要が……ああ、『鉄の指輪』だからな」

「頼むよ〜、『鉄の指輪大量に持ってるのに気づかなかったクソボケ』でいいんだよ俺。名声とかいらないよ、鉄の指輪が好きなだけなんだからさ」

「よっしゃわかった。とりあえず試してくる」

 

成り行きを見守っていると、一度ダンジョンに行ってすぐ戻ってきたハーフレザーアーマーのおっさんは興奮した面持ちで他の探索者(シーカー)に【石弾】の指輪のことを教え始めた。

 

これでよし。これでジモティーにも【呪文】の指輪を活用する人間が現れる。そして実は一番活用してる俺が目立たなくなるって寸法よ。

 

----

 

ハーフレザーアーマーのおっさんに教えてから一週間、市場から鉄の指輪が消えた。わあ、大人気。まあ、ガチャみたいなもんだからな。当たりを引きたくなる気持ちはわかる。

 

11階からの敵は緑色の人型の鬼といった風情の、ゴブリンの群れだ。やつら、必ず5匹以上が一塊になって移動する上に、匂いか何かに反応してすぐこっちに襲いかかってくるうえ、そこそこ素早い。

9階までの、そもそも襲いかかってこないネズミやらうさぎやら犬やらの野生動物階層と比べると雲泥の差である。

なのでここからが本番なのだが、ゴブリンの数が多すぎて物資不足になりがち、というのがこれまでの探索者の課題だったようだ。

 

だが今は違う!

対応する指輪があれば【石弾】をはじめとした、マジックスクロールの呪文を無限に使える。これは近接攻撃しか持たないゴブリンへのアドバンテージになり、しかもこれまでのマジックスクロール大量持ち込みと違い荷物を圧迫しない。一石二鳥のゴブリン対策を探索者(シーカー)は得たのだ!

先駆者層が二十階に到達する日は近いであろう。

 

そして俺は、ダンジョン探索をサボって隣の街の奴隷市にきていた。

 

奴隷。前世日本ではよくないこととして教育された身分制度である。だが考えようによっては文無し八方塞がりになった自分を売ることによって生存する最終手段ともいえないだろうか。ないか。

奴隷市はイキのいい美少女がいるわけもなく、きったねえかつ生意気で行儀作法も知らなさそうな男のガキが一山いくらで売られている。

かわいそうにね。でも正直助ける気はないんだ。

 

「すみません、見目は問わないので、純粋で、奴隷紋なしでも命令に応じそうな少女を一人予約したいのですが」

「おやおやこれは『鉄の指輪』さま。一人でダンジョンに挑み稼ぎを飯と《鉄の指輪》に注ぎ込む変人、とこちらでも噂になっておりますぞ」

「マジか。そんなに有名ですか僕。いや、荷物持ち(ポーター)が欲しくてね。力仕事でも、いつも連れ歩くなら男よりは女がいい。鉄の武器を二つ持ち歩けるぐらいの筋力があればいいんだ、どうかな」

「では金貨100ですな」

「たっけ」

「同じ条件で男なら10金貨です」

「やっす。え、そんな違う?」

「女は女であるだけで価値がありますので……若ければ尚のこと」

 

ゲス笑い。わあ、なるほどね。

短期目標に金貨100稼ぐ、が追加されたぞ。

 

「うーん。ダンジョンで稼いでくるよ」

 

ゴブリンが落とす装備品は《石》の武器と《布》、《革》の防具。もちろん金属ではないのだが、硬さという点で装備としての格が鉄より一段落ちる面もある。まあ、攻撃を受けない方向で立ち回るもんだから、ジモティーには《革》は結構人気があるが。

また、記憶が正しければゴブリン産の装備にはエンチャントはつかない。売値は鉄装備の方が高く、逆転する要素もない。ならば、金策するならウルフ狩り一択だ。

 

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あとは、ウルフ狩りと並行して、11階にだけ潜入し、ゲームのテクニック『壁掘り』を解禁しようと思う。

「ジ・ダンジョン」のゲーム的フレーバーとして、「道中力尽きた探索者(シーカー)の所持品は壁に埋もれている」というものがある。これにより「壁を掘ると武器、防具、食料、マジックスクロール、お金が現れる」という現象が起こるのだ。【爆発ファイアボール】の【爆発】属性を活用して壁が掘れるし、11階の壁を越えられない探索者が山ほどいた以上、11階の壁はお宝が埋まっている可能性がある。そしてゴブリン()耐久力がなく【爆発ファイアボール】の一撃で倒せたため、ゴブリンは問題にならない。

 

ならやるしかないでしょ!

完璧な作戦だなあ〜ッ! 持ちきれない可能性を除けば!

 

そう、壁掘り一発でザクザクとマジックスクロールが出てきてしまった。これはよくない。マジで良くない。

 

「うそ、11階で死んだ探索者、多すぎ……?」

 

【石弾】【水弾】【火弾】【風弾】【闇弾】【光弾】【斬弾】【打弾】【突弾】の属性(バレット)シリーズ。

【爆発ファイアボール】【氷結アイスボール】【転ばしストーンボール】【吹き飛ばしウインドボール】の追加効果ボールシリーズ。

そして【鑑定】【脱出】【罠察知】【小治癒】のマジックスクロール。

 

1〜9階で出るマジックスクロールが山ほど出てきた。1〜9回で拾えるものの中で一番高く売れる【鑑定】ですら5枚ある。

え。これ持って帰るの? マジで? まとめて売ったら絶対怪しまれるじゃん!

 

なので、この探索で得たものを厳選し、さらに五回ぐらいに分けて、さらに時間を置いて売る。これなら一階の探索量としてまあまあ怪しまれない量になる。非効率だがやむを得ない。当然売り先は「ガラクタ市」のおっさんだ。

 

「おっさーん、【鑑定】のマジックスクロール買ってよ」

「だから俺はガラクタ売りだっていってんだろうが!」

「金百で買ってもらえると助かるんだけど?」

「アホか。そりゃ売値だ。買値なら二十だな」

「え、じゃあ五枚買ってよ」

「……なんかやらかしたか?」

「いや、今一枚しかないけど」

「驚かせんな!」

「あはははは!」

 

まあ、やらかしてるんだけどね。

どうしようかな持ち歩いてるスクロールの山。

 

「マジックスクロール、値下がりすると思う?」

「まあそりゃするだろ、《指輪》にマジックスクロールと同じ効果ついてることあるんだろ? みんなそっち狙いだよ今は」

「だよねー。いや、金貨百欲しくてさあ」

「ああ、知ってるぞ、奴隷買うんだろ」

「え、マジで」

「街の奴隷屋行っただろ、あいつ俺の親戚だからな」

 

なんつう縁だよ。

 

「じゃあ、お得なネタがあるんだけど、買わない?」

「なんだよ、俺は別に儲けたいわけじゃないんだが」

「指輪だけじゃなく、武器や防具にもマジックスクロールと同じ効果がつくことはあるよ。前に売った斧、あれに【水弾】がついてる」

「……売れてねえんだよなあれ。……その情報、いくら欲しい?」

「奴隷欲しいな〜。女の子で生娘なら顔はいいや」

「チッ、言っとくよ」

 

やったぜ。奴隷ゲットの目処がついたぞ。

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