ギフト『全知全能』 絆の系譜 ―神獣と精霊の祝福―   作:煌人

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10話め


第十話: 熱狂と羨望、Dランクカード

 

 

ギルドマスター・ガゼルとの模擬戦闘が終わり、特別闘技場は熱狂的な雰囲気に包まれた。

ガゼルはヨシテルにDランクへの飛び級昇格を承認し、彼の異例の才能は、この街の冒険者たちに強烈なインパクトを与えた。

ヨシテルは、ガゼルに深く頭を下げた後、闘技場からギルドへと戻る廊下を歩いていた。

 

廊下に出ると、すぐにAランクパーティー【雷光の剣】の面々がヨシテルを取り囲んだ。

彼らの視線は、もはやFランクの新人を見るものではなく、強者に対する敬意と、複雑な羨望が入り混じったものだった。

リーダーの聖騎士ベルナールが、感嘆の息をつきながらヨシテルの肩を叩いた。

 

「ヨシテル、驚いたぞ。まさかマスター相手に、あそこまで持ちこたえるとは!Cランク上位の実力という評価は、決して過大ではないさ!」

 

賢者のリーヴは、鋭い観察眼でヨシテルを改めて見つめた。

 

「あなたの魔法剣士としての能力は、噂以上ね。特に、光と火の複合魔法。そして、あの二振りの魔剣。あれだけの速さで、魔剣を自在に操れるのは、あなたの技術レベルが相当に高い証拠だわ」

 

リーヴの言葉には、感心と同時に、ヨシテルの背景に対する深い探求心が窺えた。

 

(やはり、ユニーク装備と、それに合わせたステータス偽装が効いた。この装備があれば、Cランク上位の実力者として、この街で完全に溶け込める)

 

ヨシテルは、あくまで謙遜の姿勢を崩さない。

 

「いえ、ガゼルさんの圧倒的な実力の前に、俺の魔力は完全に尽きました。あの剣神の技量と経験は、想像を遥かに超えていました」

 

拳神のジンは、相変わらず無言だったが、その目はヨシテルの双剣に注がれていた。彼の直感は、ヨシテルの偽装を本能的に探っているが、魔剣という「外部要因」が、彼の疑念を打ち消しているようだ。

僧侶のイーリスが、優しい声で話しかけてきた。

 

「本当に、怪我がなくてよかったです。あなたの光属性の回復魔法、素晴らしいですね。もしよろしければ、今後、情報交換などさせてもらえませんか?」

 

「ありがとうございます、イーリスさん。光属性魔法はまだ修行中の身ですが、喜んで」

 

Aランクパーティーとの交流は、ヨシテルにとって重要な情報源だ。

彼らは、この街の最高峰の情報を持っている。

ヨシテルは、彼らとの関係を友好的に維持することが、今後の活動に不可欠だと理解していた。

 

ヨシテルがカウンターに戻ると、そこは朝の比ではないほどの熱気に包まれていた。

他の冒険者たちは、彼を一目見ようと集まり、彼の功績を囁き合っている。

 

「あれが、ギルドマスターにCランク上位と認められた新人か…」

 

「FランクからDランクへ飛び級だぞ!歴史に残る快挙だ!」

 

この騒ぎの中心で、ヨシテルは受付のリーファに迎えられた。彼女は、まだ興奮冷めやらぬ様子だ。

 

「ヨシテルさん!本当にお疲れ様でした!そして、Dランク昇格、おめでとうございます!」

 

「ありがとう、リーファさん。手間をかけてしまった」

 

「いえ!こんなに嬉しい仕事はありません!では、昇格試験の結果と、コボルトキング討伐の報酬を含めて、最終的な清算を行います」

 

リーファは、ヨシテルにDランク昇格の正式な書類と、報酬である金貨33枚と銀貨40枚を手渡した。

そして、彼女は慣れた手付きで、新しいギルドカードを差し出した。

 

「こちらが、あなたの新しい冒険者カード、Dランクです」

 

ヨシテルは、新しいカードを受け取った。

前のFランクの素朴なカードとは異なり、このDランクカードは、銀色に輝き、中央にはDの文字が刻まれている。

彼は、ギルドカードをスロットに通し、自身の最新のステータスを確認した。

もちろん、表示されるのは、昨日更新した偽装ステータスだ。

 

 

Dランク冒険者ヨシテル

ランク: D

レベル: 35

体力 (HP): 650

魔力 (MP): 720

攻撃力 (STR): 650

防御力 (VIT): 600

魔力 (INT): 700

俊敏性 (AGI): 720

 

 

「確認いたしました。ステータスに間違いありません。これで、あなたは正式にDランク冒険者です。今後は、Dランクの依頼を自由に選ぶことができます」

 

リーファは、続けてDランク冒険者としての注意事項を説明した。

 

「Dランクからは、危険な依頼も増えます。主に、人里離れた場所の討伐や、遺跡の探索などです。特に、Bランク以上の依頼では、単独での受注が難しくなります。パーティを組むことを推奨します」

 

ヨシテルは、内心でほくそ笑んだ。

 

(遺跡の探索……まさに俺が求めていたものだ。この世界の歴史、文明、そして魔法の根源を知るためには、遺跡が最高の情報源になる)

 

「分かりました。パーティーについては、今後検討します」

 

 

ギルドでの手続きを終えたヨシテルは、静かな宿屋の自室に戻った。

彼は、手に入れた金貨と、新しいDランクカードをテーブルに置き、改めて自分の道のりを見つめ直した。

 

(Fランクでの活動は、この世界での立ち回り方と、基礎的な情報の収集に成功した。そして、Dランクへの昇格は、俺がさらに自由に動くための最高の足場だ)

 

彼の脳裏には、ガゼルとの模擬戦闘での緊迫感が鮮明に残っていた。ガゼルの圧倒的な実力は、ヨシテルの「全知全能」で生み出した偽装ステータスを、限界まで追い詰めた。

 

(ガゼルさんの戦闘経験と直感は、ステータスの数字だけでは測れない領域だった。だが、俺はまだ、自分の全能力の0.0001%も解放していない。彼の鑑定スキルを欺き通し、Cランク上位の実力者として認められたことこそが、最大の成果だ)

 

俺の目標は、この世界で気ままに好きな事をして生きて行く事、遺跡やダンジョンを巡ったりするのも良いな。

後、『全知全能』を使いこなす事と、自分自身の戦闘や生きて行く術をスキルアップしていくことだな。

 

彼は、金貨の一部を使って、この街の図書室や情報屋から、古代の歴史や、近隣の遺跡に関する情報を徹底的に集めることを決意した。

ヨシテルは、双剣の柄を握り、決意を新たにした。

彼の異世界での本格的な冒険は、Dランクから始まる。彼は、誰も到達しえない高みへと、一歩ずつ進んでいくのだ。

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