ギフト『全知全能』 絆の系譜 ―神獣と精霊の祝福―   作:煌人

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11話め


第十一話: 図書館での探求とナビゲーターの創造

 

 

Dランク昇格を果たし、大量の資金を手に入れた俺、ヨシテルは、次の目標である「古代遺跡の探索」に向けた準備を開始した。

その第一歩として、俺はエルドラの街で最も知識が集まる場所、北地区の図書館へと向かった。

図書館は、ギルドとは対照的に静謐な石造りの建物で、厳重な魔法で保護されていた。

中に入ると、年代物の書物特有の紙とインクの香りが鼻腔をくすぐる。

俺は、まず図書館の受付で司書に声をかけた。

 

「すみません。古代の歴史、特にこの大陸にかつて存在した文明や、魔法の起源に関する書物を探しています」

 

司書は、品のいい老婦人で、ヨシテルのDランクカードを見て、丁寧に対応してくれた。

 

「Dランク冒険者様ですね。古代に関する書物は、特に貴重なものが多いため、書庫の最上階に保管されています。ただ、書庫内の閲覧には、特別な許可が必要です」

 

ヨシテルは、ガゼルからの昇格試験の直後のため、ギルドからの評価が非常に高いことを利用した。

 

「冒険者ギルドのガゼルさんから、特別に研究資料を探すよう命じられています。どうか、ご配慮いただけませんか?」

 

老婦人は、ガゼルが直々に認めた新星とあって、無下に断ることはできないと判断したようだ。

 

「……分かりました。ですが、くれぐれも丁重に扱ってくださいね。特に古い文献は、この世界の知識の宝です」

 

ヨシテルは、特別な許可を得て、図書館の最上階にある厳重な書庫へと足を踏み入れた。

そこには、この世界の歴史の深淵に触れるような、古びた書物がびっしりと並んでいた。

 

(ここだ。俺の『全知全能』の力を、最も効率的に使える場所)

 

俺は、全ての書物を手にとって読む時間はない。

そこで、ユニークスキル『鑑定』を、情報収集の道具として限界まで解放した。

ヨシテルは、書庫の中央に立ち、周囲の何千冊という書物に向けて、スキルを発動させた。

 

 

「ユニークスキル、『鑑定』──広域情報抽出(ワイド・インフォメーション・エクスプロージョン)」

 

 

俺の体から、目に見えない魔力の波が広がり、書庫のすべての書物に触れた。

それは、書物に刻まれた文字、図像、そしてそこに込められた知識そのものを、デジタルデータのように脳内へと取り込む作業だ。

 

 

鑑定結果(情報抽出:古代文明・魔法の起源)

 

古代文明:アトランティア大陸: 1万年前に存在した最盛期文明。高度な魔導技術と魔法工学を持っていたが、突如として滅亡。

滅亡の原因は不明。

 

魔導都市エルドラ: 現在のエルドラの街は、アトランティア文明の都市の遺跡の上に建設されている。

地下には、当時の巨大なエネルギー炉(魔力炉)が残っているという伝承がある。

 

魔法の起源:源素魔法(げんそまほう): この世界に存在する火、水、風、土、光、闇の六大属性魔法は、古代アトランティア文明が基礎を確立した。

属性複合魔法: 複数の属性を組み合わせることで、既存の魔法を遥かに凌駕する力を発揮する。

一部のレジェンド級魔術師のみが到達できる領域とされる。

 

危険な情報:未確認の魔物: 記述されている最高レベルの魔物は、レジェンド級ドラゴン(レベル200超)。

それ以上の強力な魔物の存在を示唆する断片的な情報がある。

次元の歪み: 極稀に、世界のどこかに「次元の歪み」が発生し、この世界の物理法則を無視した現象が起こることがある。

 

 

ヨシテルは、脳内に流れ込んできた膨大な知識を一瞬で整理した。

 

(やはり、この街の下には、古代文明の遺跡が眠っている。

そして、魔法の根源は、その古代文明が作り出した魔力炉にある可能性が高い)

 

俺は、得られた情報の中から、特に「遺跡の場所」「魔力炉の構造」「次元の歪み」に関する断片的な記述を抽出し、頭の中で地図を構築した。

 

この膨大な情報を、今後の冒険で瞬時に活用し、的確な判断を下すために、ヨシテルは新たなユニークスキルが必要だと判断した。

『全知全能』のギフトは、全ての知識と創造を可能にするが、日常の探索や戦闘の指示を出すには、常に意識を集中させる必要がある。

それを、より自動化し、円滑に情報を提供させるためのスキルを創造することにした。

 

「ユニークスキル、『ナビゲーター』を創造する」

 

ヨシテルは、自身の持つギフトの力を使い、自身の脳内に、高度な情報処理と対話インターフェースを持つ、もう一人の自分のような存在、『ナビゲーター』のスキルを創造した。

 

 

ユニークスキル:ナビゲーター

機能:全情報リンク: 『全知全能』で得たすべての知識、情報(地図、魔物データ、歴史、魔法構造)と常時リンク。

 

状況分析: 周囲の環境、戦闘状況、魔力レベルをリアルタイムで分析し、最適な行動を提案。

 

対話インターフェース: ヨシテルとの音声対話を通じて、情報を迅速に提供。

 

危険予測: 自身のリスクレベルを超過する危険を事前に察知し、警告。

 

備考: ヨシテル自身の精神から分離した、思考の最適化を図るための補助AIのような存在。

 

ナビゲーターは、ヨシテルの意識の奥深くで起動した。

 

『起動完了。ヨシテル様、こんにちは。私はあなたのユニークスキル、『ナビゲーター』です。』

 

その声は、ヨシテルの思考に直接響く、冷静で論理的だが、どこか人工的な女性の声だった。

 

ヨシテルは、周囲の目を気にせず、思考だけでナビゲーターと会話を始めた。

 

「ナビゲーター。ナビゲーターだと呼びにくいからこれから(クオーレ)と呼ぶよ。それで現在のエルドラの地下遺跡の位置情報を、図書館のデータとリンクさせてくれ」

 

『クオーレ、了解いたしました。図書館の情報と、街の建設記録を照合。地下遺跡の推定入り口は、ギルドの地下倉庫、そして旧市街の古井戸の二か所です。』

 

(やはり、コボルトキングがいた古井戸は、ただの魔物の巣ではなかったか。コボルトキングは、遺跡の「守衛」だった可能性が高い)

 

『その可能性は極めて高いです。コボルトキングの魔石は、古代遺跡の魔力炉を稼働させるためのキーアイテムであるという記述が見つかりました。』

 

(なるほど。では、遺跡探索の計画を立てる。最もリスクが低く、かつ情報量が多いルートはどこだ?)

 

『分析を開始します。ギルドの地下倉庫からの侵入は、ギルドマスター・ガゼルの警戒が厳重なため、リスクレベル:高。旧市街の古井戸からの再侵入は、すでにコボルト集落が壊滅しているため、初期警戒レベル:低。推奨ルートは、古井戸からの地下遺跡侵入です。』

 

クオーレは、ヨシテルが求める情報を、一瞬で提供し、リスク分析まで行った。

これは、俺が「全知全能」の力を意識的に使うよりも遥かに効率的だ。

 

(古井戸か。Dランクに昇格したことで、堂々と街の外に出られる。次の依頼は、古井戸の調査を兼ねた魔物討伐にしよう)

 

ヨシテルは、心の中でクオーレに指示を出した。

 

(クオーレ。ガゼルさんと戦ったことで、俺のステータスが「Cランク上位」として認識された。この評価を維持しつつ、次回の昇格に備えるには、どの程度の魔物討伐が必要だ?)

 

『分析結果を提示します。次なる昇格(Cランク)のためには、現在のDランク依頼では効率が悪いと予測されます。次の目標は、Bランククラスの魔物、具体的には『黒竜の森』周辺の討伐実績が必要です。』

 

(黒竜の森か。Aランクパーティー【雷光の剣】が探索に行った場所だ。彼らが目を付けている場所なら、古代遺跡に関する情報も眠っているかもしれない)

 

ヨシテルは、図書館で得た情報と、クオーレの指示に基づき、次の行動を完全に決定した。

俺は、古びた書物の中から、次の探索のキーとなりそうな古代文字の写しをいくつかアイテムボックスに収め、図書館を後にした。

Dランク冒険者ヨシテルの次なる舞台は、古代文明の謎が眠る「黒竜の森」と、その下にある「地下遺跡」だ。

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