ギフト『全知全能』 絆の系譜 ―神獣と精霊の祝福―   作:煌人

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第二十八話: 大都市エルドラ、再臨。波乱のギルド登録とBランク昇格

 

 

夜が明け、朝の柔らかな光が差し込む中、俺たち一行はついに大都市エルドラの街が見える丘の上にたどり着いた。

 

「あれがエルドラか。でけぇな」バルトが感嘆の声を漏らす。

 

「わぁ、ほんに立派な街ばい。あんな大きか壁、初めて見たばい」カグヤも目を丸くしている。

 

「ホンマにデカいな。あの城壁、どんだけ魔物から守ってきたんやろな」イシュタルが感心したように言う。

 

エルドラの街は、強固な城壁に守られたこの地方随一の大都市だ。

俺が最初にこの世界で冒険者登録をした街でもある。

俺の肩にいるリフィが、小さな声で報告してきた。

 

(マスター、街の門が見えます。魔力探知の結果、門には検知用の魔法陣が展開されています。マスターの『絶対手加減』が機能しているとはいえ、警戒は必要です)

 

(【クオーレ解析結果】:街への入場ゲート検出。前回マスターが提示した冒険者カードは有効期限内。ただし、他五名のメンバーは冒険者ではないため、手続きが必要)

 

「皆、気を引き締めて行こう。俺がDランク冒険者ヨシテルとして、俺以外は新米冒険者志望ってことで通すぞ」

 

俺たちは門へと進んだ。門番は二名おり、その横には巨大な水晶玉が設置されている。

犯罪者や危険人物は、この水晶で調べられるらしい。

門番の一人が俺たちを見て、警戒の眼差しを向けた。

特にバルトの龍人族という種族と、全員の格好が目立っている。

ジェネシス級の武具は、偽装を施していてもその存在感は隠せない。

 

「そこの者たち。ここはエルドラだ。入場料は一人銅貨十枚。そして、全員、その水晶に触れてもらう」

 

俺は懐からDランクの冒険者カード(レベル偽装済み)を取り出し、門番に見せた。

 

「俺は冒険者ギルド所属のヨシテルだ。こっちが俺のカード。他の五人は今日、この街で冒険者登録をする予定の仲間だ」

 

「冒険者、Dランクか。登録済みなら入場料は不要。他の五名、水晶へ」

 

俺は入場料として銅貨五十枚を支払い、五人は順に水晶に手を触れた。

アルシェラ、バルトロス、カグヤ、イシュタル、アレスの順だ。

 

「スキル『絶対手加減』のおかげばい。アタシたちの力は、誰にも見えんよ」カグヤが胸を張る。

 

もちろん、全員のステータスは『絶対手加減』によって極限まで抑制されているため、水晶に異常な反応はない。

 

「よし、問題なし。入場を許可する」

 

「どうも」

 

俺たちはエルドラの賑やかな街の中へと入った。

 

「ふぅ、通ったわね。あっさりしすぎて拍子抜けだわ」アルシェが言った。

 

「ホンマや。あの水晶、全然反応せえへんかったな」イシュタルが不思議そうだ。

 

「それにしても、ヨシテルの飯は最高だった。また食いたいな」バルトロスが呑気なことを言っている。

 

「まずは宿だ。俺が泊まってた『銀の剣亭』はもう引き払う。もっと広い高級宿を取るぞ」

 

俺たちはすぐに街で最も格式の高い宿屋へと向かった。

 

「すいません、広い部屋を二つお願いします。男性用と女性用で」

 

「かしこまりました。当『星彩の館』で最上階のスイートルームを二つご用意いたします。お食事もご用意出来ますのでご利用の場合はお声をおかけください。」

 

「わかりました。それでお願いします。」

 

男性陣(俺、バルト、アレス)と女性陣(アルシェラ、カグヤ、イシュタル)で部屋を分け、荷物を置くと、すぐに冒険者ギルドへと向かった。

 

冒険者ギルドは相変わらず活気にあふれていた。

受付カウンターには、以前俺が世話になったリーファさんがいた。

 

「リーファさん、お久しぶりです」

 

「あら、ヨシテルさん!お久しぶりです。しばらくお見かけしませんでしたね。……その、お連れ様は?」

 

リーファさんは俺の後ろに立つ、圧倒的な存在感を放つ五人に目を奪われている。

 

「彼女たちは俺の新しい仲間です。まず、以前受けた『古都の旧市街・西の古井戸周辺の再調査と討伐』の依頼達成報告と、素材の売却からお願いします」

 

俺は『アイテムボックス』から、規定のアイアンウルフ五体と巨大ゴブリン八体の魔石と素材を取り出した。

 

「確認しました。討伐数は規定通りです。では、売却金額を計算いたしますね」リーファは手早く計算し、俺に金貨と銀貨を渡す。

 

「ありがとうございます。それと、追加で売却したい素材があります」

 

俺は次に、西の古井戸周辺で遭遇し討伐したオークジェネラル(Aランク)とハイオーク三体(Dランク)の素材、そして昨夜討伐したグレイブボア十体分の素材をカウンターに並べた。

素材は『絶対手加減』のおかげで完璧な状態だ。

リーファはオークジェネラルの素材を見て、目を見開いた。

 

「え、オークジェネラル!?あ、Aランクの魔物ですか!?そしてこのハイオークも…。西の古井戸周辺で遭遇したのですか!?」

 

「ええ。ついでにグレイブボアも狩ったので、これも売却でお願いします。」

 

リーファが再び計算機を叩いていると、ギルドマスターのガゼルさんが奥から出てきた。

 

「なんだ、騒々しいな。……おお、ヨシテルじゃないか!また厄介なものを持ち込んでるな!」

 

「お久しぶりです、ガゼルさん。古井戸周辺の調査と調査以外追加の討伐報告ですよ。」

 

ガゼルはオークジェネラルとハイオークの素材を見て、険しい顔をした。

 

「まったく、Dランクのくせに…相変わらず無茶をする。それにしても、このオークジェネラルの素材、完璧すぎる。一体何者が…いや、お前がやったのか」

 

「ええ、俺ですよ。ブレイブボアは皆で狩りましたね。」

 

「売却は完了です、ヨシテルさん。大金になりますね」リーファが金貨の入った袋を俺に渡した。

 

「ありがとうございます。さて、次にこの五人の冒険者登録をお願いします。それで六人でパーティーを組みます。パーティー名は【ヴィンクルム】でお願いします。」

 

リーファは戸惑いつつも、登録手続きを始めた。

 

「では、能力検査用の水晶に順に触れてください。登録ランクはEランクからとなります」

 

俺は全員に目配せをした。当然、五人全員のステータスは『絶対手加減』で封印されている。

アルシェラ、バルトロス、カグヤ、イシュタル、アレスの五人が順に水晶に手を触れる。

しかし、彼らの真の能力は、微かな抑制を解いただけでも、ギルドの水晶の限界を超えた。

リーファは水晶に表示された数値を見て、パニックに陥った。

 

「よ、ヨシテルさん、この方々、能力値が高すぎて、ギルドの規定ではEランク登録しかできません!ええと、アルシェラさん、えぇ!。筋力、魔力、俊敏性……全てSランク。カグヤさん、イシュタルさん、バルトロスさん、アレスさん……そんな!全員、初期Sランクと表示されました」

 

「まあまあ、落ち着いてくださいリーファさん。表示は少し誤差があったようですね。それでは、俺の能力も再検査してもらえますか?最近少し成長したもので」

 

ガゼルが顎に手を当てて、険しい表情を浮かべている。

俺が水晶に手を触れる。

俺は『絶対手加減』の抑制レベルを少し解放した。

水晶に表示された数値はDランクどころか、一級冒険者の域を超えている。

 

「ヨシテル。レベル250。STR: 36000, AGI: 46500, VIT: 34500...」

 

ガゼルは水晶の表示と俺の顔を交互に見比べた後、大きくため息をついた。

 

「…わかった。もういい。リーファ、俺の権限で登録できる最大のBランクで登録しろ」

 

「えっ!ガゼルマスター!?」リーファが驚愕の声を上げる。

 

「いいか、リーファ。この六人をEランクやDランクに留めておくと、すぐにAランク依頼に手を出し、他の冒険者の期待値が上がっちまう。それで他の冒険者が依頼失敗なんかしてみろ!ギルドのEランクやDランクの評判ばかりかギルドの信頼も落ちちまう。—— ましては、受ける依頼が低いのばかりかだと、彼らが退屈でギルドを辞めるだろう。俺の判断だ。パーティー【ヴィンクルム】は、結成と同時にBランクに昇格とする!」

 

ガゼルはリーファの目を見て、威圧感を込めて続けた。

 

「ギルドマスターの権限で上げられるのはここまでだ!権限はあるが、権限を使う程の者たちが居なかっただけだ。彼らをEランクのままにしておくと、このギルドが崩壊する!すぐに手続きをしろ!」

 

「は、はい!わかりました!」リーファは震える手で、Bランクのカードを作成し始めた。

 

「チッ、手間をかけさせおって。まったく、お前たち六人がこの街に来たせいで、俺とリーファの苦労が増える事になるだろうが」ガゼルは頭を抱えながら、苦笑いを浮かべた。

 

俺たちの冒険は、この大都市エルドラで、早速ギルドマスターを巻き込んで波乱の幕開けとなった。

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