僕のヒーローアカデミア 空拳ヒーロー エアーマン   作:ダレ狐

10 / 38
対戦相手の組み合わせを原作とは変えます。
詳細は本文参照


決勝トーナメント開始

医務室

 

「チュー」

 

「ありがとうございます」

 

俺は《衝扇》の反動で掌が痛み出したため、リカバリーガールに治癒をしてもらった。

 

「まさか、本戦に残るとはねぇ」

 

「先の試合はチームの力だけどな」

 

「どうだい、雄英に入った感想は?」

 

唐突な問いかけに思わず驚いた。

初対面以降、まともに話したことなんてほとんどなかったのに。

 

「突然だな」

 

「あんた、最初に会ってから一度も来なかったじゃないか。

てっきり父親の話とか聞きに来ると思ってたよ」

 

「気にならないわけじゃないけどな……正直、この2週間は“自分がヒーローになっていいのか”迷ってた」

 

「ほぉ〜、それで決勝トーナメントまで残るとはねぇ」

 

「緑谷と2週間、一緒に特訓して話して……そこで、まぁ色々あってな」

 

「そこで……何だい?」

 

「いや、それはトーナメントで結果を残してから話すよ」

 

俺は立ち上がり、医務室を後にした。

 

「やれやれ……自分の事より他人を優先するあたり、十文字に似てるねぇ。

さて、決勝トーナメント、どうなることやら」

 

 

 

昼食後 スタジアム

 

「さーて、昼休憩後はレクリエーションタイムだ! クラスごとの出し物楽しんでくれ〜……って、あれ? A組女子どうした?」

 

決勝トーナメント発表前のレクリエーションで、A組女子が目の死んだチアガール姿で踊っていた。

 

「峰田さん、上鳴さん! 騙しましたわね!!」

 

……そういうことか。どんまい女子。似合ってるけど。

 

「では、決勝トーナメントは騎馬戦上位の16名で行うわ! これからクジを引きなさい!」

 

クジ引き前に、A組の尾白とB組の正田が手を上げて辞退した。

記憶の無いまま騎馬戦に参戦し、勝ち上がるのは納得できないとのこと。

 

ミッドナイト先生は、そういう“こだわり”には理解を示し、辞退を認めた。

心操の洗脳の影響だろう。

なお、発目はそのまま参加するらしい。

 

空いた2枠には、鉄哲チームから鉄哲と塩崎が出場することに。

 

 

クジ引き結果

 

1試合目:緑谷 VS 心操

2試合目:轟 VS 瀬呂

3試合目:切島 VS 鉄哲

4試合目:爆豪 VS 麗日

5試合目:上鳴 VS 塩崎

6試合目:飯田 VS 発目

7試合目:芦戸 VS 砕条

8試合目:八百万 VS 常闇

 

「以上! 選手はレクリエーションに参加してもいいし、休んでもいいわよ!」

 

……さて、どうするか。こういうのは面倒だ。少し仮眠でも――

 

「いたわ、砕条ちゃん」

 

「どうした、蛙吹?」

 

「私じゃなくて、三奈ちゃんが話あるのよ」

 

「どうも〜! A組の芦戸三奈です! よろしくね!」

 

「……あぁ。で、なんで対戦相手のお前が呼び出したんだ?」

 

「さっきの尾白達の見てさ……私、騎馬戦は爆豪の活躍に乗っかっただけで、実力が見合ってるか不安でね。

それに砕条の個性は梅雨ちゃんと麗日ちゃんから聞いてるけど、私の個性知らないのはフェアじゃないなって」

 

「そんなの気にしなくてもいいだろ」

 

「ううん、これは私のわがまま」

 

思ったより筋の通った奴だな。第一印象では、ノリのいい人気者タイプだと思ってたが。

 

「……まぁ、俺は損しないし。好きにしなよ」

 

「ありがとう! 私の個性は“酸”。腐食も、滑りも、調整できるよ!」

 

「シンプルに厄介だな」

 

「ニシシ〜負けないからね!」

 

「俺も負ける気はない」

 

芦戸達と別れ、スタジアム裏の森へ入り、精神を落ち着かせる。

 

「瞑想なんて久しぶりだな……やるか」

 

空気の流れをイメージし、個性が身体を包む感覚に集中して――

 

バキッ

 

「!?」

 

小枝の折れる音。

見ると、そこにA組の轟がいた。

 

「悪い、邪魔した」

 

「いや、いいよ……むしろ集中しすぎて試合に遅れそうだった」

 

立ち上がり去ろうとすると、

 

「……」

 

「なんだよ、何か言いたいことあんのか?」

 

「お前……俺たちと最初会った時は、周囲を警戒しまくった目してたのに……今は、なんでそんな落ち着いてるんだ?」

 

「なんだよ、藪から棒に……」

 

あの時と今じゃ状況が違うだろ。

 

「いや……なんでもない」

 

「まぁ、お前が欲しい答えかはわからないけどな。

違いがあるとすれば……“周囲に、俺のことを応援してくれる奴らがいる”。それだけだ」

 

「応援……?」

 

「USJの時は、俺は孤独に復讐だけ考えてた。

でも、それだけじゃダメなのを痛感して……迷った時、手を差し伸べてくれたんだよ」

 

緑谷、蛙吹、根津校長、相澤先生、リカバリーガール……雄英の皆。

 

何気ない一言や行動が俺を導いてくれた。

ただ、それだけで嬉しかった。

 

「……そうか」

 

「これでいいか?」

 

「あぁ」

 

轟が何に悩んでるかはわからないが……いつか道が開けるといいな。

 

 

 

〇1試合目

俺は、同じ普通科でヒーロー科編入を目指す“同志”でもある心操の試合を近くで見たくて、入場ゲートで待っていた。

 

「1番手だな、心操」

 

「砕条……警戒しないのか?」

 

「ここで俺に洗脳使っても意味ないだろ?」

 

心操の個性は厄介だ。

話しかけて返事をしたら洗脳され、簡単な命令なら実行する。

 

対人戦闘なら強力。

だからこそ皮肉にも“ヴィラン向き”と言われてきた。

 

「ここまで無警戒なの、ムカつくな」

 

「だったら勝ち上がって来いよ。当たるとしたら決勝だ」

 

「互いに最後まで勝てばな……」

 

「不安か?」

 

「不安さ。他の奴らはヒーロー向きの個性だ。俺は……“ヴィラン向き”。」

 

「そうかもな。……で、それで諦めるか?」

 

「……俺は、ここまでなりふり構わず来たんだ。

勝ってヒーロー科に編入してやる!」

 

「おう」

 

試合開始。

 

緑谷は心操の言葉に返事をしてしまい、そのまま場外へ向かって歩き出した。

 

(このまま心操が勝つか……?)

 

ドンッ!!

 

緑谷の“指”が弾け、心操の洗脳が破られた。

 

「指動かすだけでこの威力……羨ましいよな」

 

【僕も“それ”昔思ってた】

 

「俺はこんな個性のお陰でスタートから遅れちゃったよ…恵まれた人間には解らないだろ!?」

 

【解るよ…でもそうだ…僕は恵まれた 】

 

「あつらい向きの個性に生まれて"望む場所に行ける奴らにはよ"」

 

【人に恵まれた! だからこそ…】

 

「何とか言えよ!」

 

心操に近づいた緑谷が必死に掴んだ。 心操も抵抗の為に殴ったりしてるが緑谷は食らいついていた。

 

【僕だって負ける訳に行かない!】

 

緑谷は押し出したが、心操は緑谷が怪我した指に強打を与えて動きを止めた。 その隙に心操は緑谷を場外に出そうとしたが、緑谷はそのまま背負い投げした。

 

「心操選手場外…勝者、緑谷選手 2回戦進出」

 

周囲は緑谷を祝福する空気だが…あの心操の叫び…あれは洗脳を誘導のためじゃ無い…本心なんだろうな…だからこそ…胸に来る。

同じ普通科でも…俺と心操では違い過ぎて…何も言えない…

 

「心操君は何でヒーローに?」

 

「憧れてしまったもんは仕方ないだろ?」

 

「心操…」

 

俺と緑谷は何て言っていいか分からなかった。 今の心操に何て言ったら良いか…

 

 

「カッコよかったぞ心操!」

 

出口に近づく心操に観客席のクラスメイトが声を掛けた。

 

「正直、ビビった!」

 

「俺ら普通科の星だな!」

 

「障害物競走1位の奴と良い勝負してるんじゃねぇーよ!」

 

クラスメイトが心操の行動に感動してエールを送っていた。

 

「あの個性、対ヴィラン戦にはかなり有効だろう…惜しいな」

 

「雄英はバカだろ〜あれ普通科かよ?」

 

「聞こえるか、心操! お前すげぇーぞ!!」

 

その声に、心操は悔しそうな顔をしながらも、どこか決意を宿した表情に変わっていた。

 

「覚えとけよ……今回がダメでも“絶対諦めない”。

ヒーロー科入って、資格取って、お前らより立派なヒーローになってやる。“絶対に”」

 

「うん【あっ、洗脳に? 試合が終わったのに何で?】」

 

「普通身構えるだけどな…俺と話した奴、そんなんじゃ、足元すくわれるぞ。 もう1人の普通科は俺よりもスゲーんだからな…」

 

【洗脳解けた!】

 

「心操…」

 

「だからみっともない負け方するなよな」

 

「うん!!【あっ!】」

 

 

 

「……かっこつかないだろ」

 

緑谷の洗脳を解いて、渡り廊下に来た心操。

 

「お疲れ様…」

 

「待ってろ…必ず、俺も編入してやる…」

 

「あぁ…」

 

心操はそう言って、拳を俺の胸に軽く小突いた。

 

「勝ってやるから……見とけよ、心操」

 

俺の戦う覚悟は、より強くなった。

 

 

 

 

 




心操戦は僕の中では、轟戦と同じぐらい好きなシーンなので書いてるうちに絶対入れたかった!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。