僕のヒーローアカデミア 空拳ヒーロー エアーマン   作:ダレ狐

2 / 38
精神的に病んだ時に、ヒロアカを見て、その勢いで書きました。


挫折

事の始まりは中国、軽慶市。『発光する赤児が産まれた』というニュースだった。

以降、各地で「超常」は発見され、いつしか「超常」は「日常」に、「架空(ゆめ)」は「現実」となった。

 

世界総人口の約八割が何らかの「特異体質」である現在。

個性を悪用する**(ヴィラン)**により混乱渦巻く世の中で、かつて誰もが空想し憧れた一つの職業が、脚光を浴びていた。

そう、「ヒーロー」と呼ばれる職業である!

 

テレビで活躍するヒーローを見て憧れを持つ人は多い――この俺、

砕条 拳志(さいじょう けんじ)もその1人で、高校受験もあの“オールマイト”が在籍した雄英高校を目指していた……あの日までは。

 

 

---

 

「道場が燃えてる……皆!」

 

中学3年の修学旅行の帰り。

家に向かうと、個性と武術を合わせた武術道場として育った家が燃えていた。周囲には野次馬が集まり、家へ入れなかった。

 

「どけ! 俺の家だ!」

 

野次馬を押しのけて中に入ると、燃え盛る建物の中に、生存者はいなかった。

血塗れの門下生たちが倒れていた。

 

「うっ……皆……誰がこんな事を……」

 

道場は火に包まれながらも、刃で斬られた跡が生々しく残っていた。

そして倉庫へ行くと、孤児の俺を育ててくれた道場主で父である男が、壁にもたれるように倒れていた。

 

「!? 父さん!!」

 

「……拳志、お前は無事か?」

 

「何でこんな事に……誰が……」

 

「私だ」

 

「お前は誰だ!」

 

背後を見ると、片目が隠れるほどの長髪の男。年齢は30代後半。

幼い頃から道場にいたが、俺は見覚えがなかった。

 

「だろうな。俺は村正 刃(むらまさ じん)。15年前に破門された門下生だ」

 

「門下生……? どうしてこんな事を」

 

「証明するためさ。新しい時代を切り開くにあたり、俺を否定した“道場の在り方”が誤りであるとな」

 

「村正……お前は昔から力に固執していた。

力を振るうのに一般市民を巻き込む危険性があった。

だから私はお前を破門した……」

 

「弱肉強食。強者が正義なのは、何が間違いだ?」

 

村正……初対面なのに、底知れぬ恐怖が伝わる。

 

「何が強者だ……歯向かわない人間にしか強く当たれない奴に、強者とは言わない」

 

「ふっ。現に“俺に負けた”お前が言っても説得力が無いな」

 

「父さん……」

 

「なるほど、“負け犬”のクソ親父が預かってるガキか?」

 

「今、何て言った? 誰が負け犬だ!」

 

父を侮辱された怒りに任せて殴りかかる俺。

村正は右手を手刀の構えにした。

 

「子供は単純だ」

 

「その腕ごとへし折ってやる!」

 

「拳志! 下がれ!」

 

父の怒号に反射的に下がる。

その瞬間、村正の手刀は空を切った。

 

「おいおい、せっかく真っ二つにしようと思ったのに」

 

「そいつは残念だったな」

 

「苦しむ怪我をしてよ」

 

「え……?」

 

次の瞬間、制服が裂け、血が吹き出した。

 

「拳志!」

 

「くっ……なんで……俺、手刀喰らってないのに……」

 

「いや、触れたさ。ほんの爪先程度にな」

 

 

---

 

村正 刃(むらまさ じん)

個性:切断

触れたものを切断する。

“触れた位置から腕の長さ”に比例して傷が深くなる。

 

 

---

 

「くそ……っ」

 

「……拳志!」

 

重傷を負いながらも、父はフラフラと俺に駆け寄った。

 

「父さん……?」

 

「この手負いじゃ、傷を“完全”には塞げない……が、それでも……」

 

「何言ってるんだよ父さん!」

 

「まさか個性を使う気か? かつてリカバリーガールの弟子と言われたディバインドさんよ〜」

 

「ふっ。

その名前はとっくに捨てた……今はただの**十文字 紋太(じゅうもんじ もんた)**だ。

この“砕条 拳志”の父親だ」

 

 

---

 

十文字 紋太(じゅうもんじ ぶんた)

ヒーロー名:ディバインド

個性:痛み分け(ペインシェア)

触れた相手の負傷を自身が肩代わりする。

または自分の傷を相手に移すこともできる。

 

 

---

 

父が俺の傷に触れると、痛みは消え、血も止まった。

代わりに、父の胸から血が噴き出した。

 

「父さん! 何してんだよ! なんで……!」

 

「血の繋がりがなくても……お前は俺の息子だ。

身体を張らなくてどうする……

……血を流しすぎた……もっと、お前の成長、見たかった……」

 

それが、父の最期の言葉だった。

 

「っ……父さぁぁぁぁん!!」

 

「ふん。俺が仕留めるはずが、自分から死ににいくとはな……火の手もやばい。ズラかるか」

 

「待てよ……こんな事しておいて逃げんのかよ!!」

 

追いかけようとした瞬間、倉庫の屋根が崩れ落ち、炎が道を塞いだ。

 

「お前程度のガキ、いつでも殺せる」

 

「待て、村正!!」

 

「ガキのくせに呼び捨てかよ。

……いや、俺の名前は今日から**切断者《スライサー》**だ。

ここから生き残って、もう一度俺に会いに来い。

その時は切り刻んでやるぜ。ハハハ!」

 

「スライサァァァァァ!!」

 

倒れた父を抱きながら脱出したが、煙と出血で力尽き、俺は意識を失った。

 

――後に学校の先生から聞いた話では、

葬式は地域の人が行ってくれたが、道場は跡形もなく焼け落ちたという。

 

俺は生まれて間もなく道場の前に捨てられ、本当の親も知らない。

家も家族もすべて失った。

 

残ったのはただ一つ。

 

スライサーへの復讐心だけだった。

 

故郷を捨て、奴の手がかりを追うため

俺は闇の世界へ足を踏み入れた――。

 




砕条 拳志(さいじょう けんじ)
好きな物 カレーライス
出身地 兵庫県
身長 176cm
個性 次回に説明
見た目 イメージ スクライド カズマ(アルター使用時の髪が逆立ち状態)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。