僕のヒーローアカデミア 空拳ヒーロー エアーマン 作:ダレ狐
保須市 路地裏
「チッ、効果時間が!?」
「よそ見するなよ! このボケがぁ!!」
ステインが、拘束から復活した飯田に気を取られた隙を突き、
背後から来た砕条に気付かないまま振り向いた瞬間――
首に巻かれたマフラーを掴まれ、そのまま轟たちのいる場所から、
無理やり引き剥がすように投げ飛ばされた。
「飯田君! 砕条君!」
「解けたか。意外と大したことねぇ個性だな」
「けど、俺たちは個性じゃなくて、アイツの純粋な戦闘力に押されてるけどな」
「轟君も緑谷君、そして砕条君……
関係ないことに巻き込んで、申し訳ない」
「また、そんなことを……」
「だから、もう……
3人に、これ以上血を流させるわけにはいかない」
「感化され、取り繕おうとも無駄だ!
人間の本質は、そうやすやすと変わらない……
お前は私欲を優先させる偽物にしかならない!
ヒーローを歪ませる癌だ。誰かが正さねばならないんだ!」
「時代錯誤の原理主義だ。
飯田、人殺しの理屈に耳を貸すな!」
「いや……奴の言う通りさ……
僕にヒーローを名乗る資格など……ない。
それでも、折れるわけにはいかない……
俺が折れれば、インゲニウムは死んでしまう」
「――論外だ!」
ステインが飯田に向けて攻撃を仕掛けようとした瞬間、
砕条が割って入り、両手でステインの腕を掴み、拘束した。
「うるせぇーな、先から学生相手に偉そうに説教垂れてるけどよ…
飯田に対して私欲どうのほざくが…
てめぇーの小さな枠組みごときで人のあれこれ決めつけてるんじゃねぇーよ!!
てめぇの物差しで人を切り捨てて、それで何が“正義”だってんだよ!!」
砕条がステインの腕をミシミシと言う音が鳴るほど握り締め、
ステインは持っている刃物を落とし始めた。
「こいつ…何処にこんな力が…」
「粛清気取りで、やる事は闇討ちだろ?お前が正しいなら同等と正面から来いよ! てめぇーは逃げただけだろ?」
「何だと!」
「てめぇーがやってるのは刃物や武器持って、
勝てそうな相手にしか挑まないチンピラなんだよ。
それをヒーロー社会どうの屁理屈並べて、反吐が出るぜ」
「貴様にこの社会の何が分かる?」
「知るか!
けど、てめぇーはその個性で一人でも助けたのかよ?
一度でも災害地や事故現場で救助したのかよ?
やりもしねぇで、一丁前に飯田の兄貴のインゲニウムを否定するな!!」
「!?砕条君…」
「偽物はテメェーだ ステイン! このまま牢屋にぶち込んでやる!!」
砕条は残る全ての力を込めて、ステインの腕を握り潰すようにした。
「違う! 俺は間違っていない! 間違ってるのはこの社会だ!」
ブチュン!!
ステインは砕条に握られた腕を無理やり捻り拘束を解放した。
無理やり拘束を外そうとしたから、砕条に握られた箇所は流血が飛んだ。 ステインはそのまま落ちた刃物を拾って、砕条の懐に入り刀を横薙ぎで振り抜こうとしていた。
「ありがとう、砕条君…兄の為に怒ってくれて」
ドォーーン!!
レシプロ·バーストで加速している飯田の飛び蹴りでステインは距離を離された。 その隙に焦凍は炎で応戦した。
「しまった!さきの蹴りで脚のマフラーが…」
「馬鹿、逃げろよ! やつの狙いは俺と白アーマだろ? 他のプロの応援を呼ぶべきだ!」
飯田の左脚のマフラーが煙を吹き、緑谷は凝血で動けず、砕条も個性が使えない程の体力消費、轟も腕に刺されたナイフから血が出ている。 プロヒーロー ネイティブの言う通り撤退するのがセオリーだが
「そうしたいが…あいつがそうさせてくれない…」
轟が炎と氷で牽制し、砕条が轟に対して近接に持ち込むステインの牽制してるが、このままでは数分も均衡が保てない…
「このままでは…!? 轟君、個性の調整は出来るか?」
「左は無理だが、どうした急に!?」
「俺の左脚を凍らせて欲しい、排気口を塞がずに」
「させるか!」
グサ!
「飯田!」
轟が飯田に対して個性を使う瞬間にステインが4本の投げナイフを投擲した。 砕条も動いたが間に合わず飯田が左腕前に出して庇った。
すぐさまに、砕条はステインに接近して轟達の距離を離すように攻撃仕掛けた。
「くそ、これ以上好き勝手させるかよ!」
「飯田、大丈夫か!」
「俺の怪我は良い! 今は冷却を急いでくれ!」
(腕は捨て置け! 今は足を)
「飯田君! 砕条君!! …動ける」
(足に痛みはあるけど…でも今は…)
「いい加減に退け! がぁ!」
ステインは折れた刀を砕条の首に目掛けて投げた後、腹部に目掛けてナイフを刺そうとしたが、砕条はその握られたナイフを持つ拳の骨をへし折る、拳打でカウンターを決めた。
「まずは片腕潰した。 これで刃物は持てないだろ?」
「貴様!」
ステインは一旦、距離を離れようとバックステップして背後のビル飛び、体勢を整えようとした。 だが、ステインが砕条に注意してる間にステインのサイドを緑谷と飯田が挟み込むように飛び込んでいた。
「!? いつの間に」
「(ワンフォーオール フルガウル) 逃がさない!」
「ヒーロー殺し ステイン! 今度こそ、お前を捕まえるヒーローとして!」
「ぶち噛ませ!!」
(拳が動く限り!)(脚が動く限り!)
ドカ×2!!!
「一気に畳みかけろ!!」
緑谷と飯田の技がステインに炸裂し、トドメは轟の炎で決まり、ステインは意識を失い、轟の氷の台に横たわるようになった。
「…終わったか?」
「多分な…」
轟と緑谷はステインの拘束と武器を取り出し作業をしていた。
砕条はフラついて倒れそうな所を飯田が支えた。
「飯田…悪い」
「いや、大丈夫だ、 砕条君はどうしてそんなにボロボロなんだ?」
「ここに来るまでにUSJと違った脳無と戦闘…その後にビルに取り残された家族の救助…んでここに来るまで個性使って…」
「!? そんな状態であのステインと近接戦闘を…本当にすまない…下手をすれば君にも被害が」
「心配するなステインに対しては俺はケガはしてない…反省はアイツを引き渡してからだ」
「そうだな」
彼らはステインを拘束して大通りに出ると、先までの戦闘していた路地裏とは違い静かな景観だった。
「さて、まずは警察と救急車を呼ばないとな」
「デク! 何故お前がここに?」
「グラン・トリノ!」
「誰だ?」
「僕の職場体験先のプロヒーローで」
「この馬鹿、新幹線で座ってろって言っただろうが!」
グラン・トリノは命令無視の行動に対しての叱責もかねて足で緑谷を踏みつけた。
「ごめんなさい、居てもたってもいられなくて」
(全く、こういう所は俊典そっくりなんだ…そして、このボウズ…)
「おっ、エアーマン! ショート君!!」
グラン・トリノに続いて、バーニンとエンデヴァーが応援を寄越した数名のヒーローも現着、ここでヒーロー殺しステインの身柄確保や救急車の呼ぶ手筈を進めていた。
事件はこれで終わりだと誰もが思った。
「クア〜」
「いかん! 伏せろ!!」
グラン・トリノの呼び声で周囲の人間は警戒を取ろうとしたが、上空から空を飛ぶ脳無が急降下して緑谷を捕まえて、そのまま飛び去ろうとしたが
「正さねば…誰かが、血に染まらねば…」
意識を失っていたはずのステインが隠しナイフを取り出して拘束を解いて、傷付いた脳無から零れて返り血が付着したヒーローの頬を舐めて、個性で脳無の動きを封じた隙にステインは脳無に強襲した。
「アイツ、まだ動けるのかよ…」
「ステインが助けた?」
「馬鹿、人質をとっただけだ!」
「戦闘体勢を取れ!」
「貴様ら、ここに逃げ込んだヴィランが…奴は!」
「…エンデヴァー!」
バーニンとプロヒーローが構えたタイミングでエンデヴァーも駆けつけた。 エンデヴァーはターゲットであるヒーロー殺しを見つけて、脳無諸共焼き尽くそうとしていた。
「待てエンデヴァー! あそこには学生が居るんだ!」
「正さねば…誰かが、血に染まらねば…ヒーローを…取り戻さねば!」
顔を隠していた包帯が取れたステインの姿は鼻を削ぎ落とした顔面に狂気じみた表情に周囲のヒーローは動きを止めてしまった。
「来い…来てみろ、偽物共!俺を殺していいのは本物のヒーロー…オールマイトだけだ!」
その執念の叫びに誰もが圧倒された。 中には尻餅付くものがいた。
経験豊富なグラン・トリノやエンデヴァーさえも動けずに居た。
同時刻 砕条視点
ステインの執念の雄叫びに金縛りみたいになって動けなくなりそうだった。 でも…俺は自分の言葉を曲げたくねぇ
【粛清気取りで、やる事は闇討ちだろ?お前が正しいなら同等と正面から来いよ! てめぇーは逃げただけだろ?】
「ふざけるなぁーーー!!!!」
俺はがむしゃらに叫んだ!
「……貴様は」
俺は身体を預けた飯田から離れ、フラフラした脚でも前に進んでステインの元に歩いていた。
「お前みたいな、腰抜けなんてヒーローが相手するまでもねぇーよ クソガキの俺で充分だ…来いよ! 俺が相手してやる」
「…望む所だ!!!!」
ステインは隠していたナイフを持って俺の所に駆けつけた。 先までの路地裏と比べて遅いが、こちらも疲労困憊でろくに動けない。
それでも、この勝負には勝たないとダメだ。
「そんな大ぶりの突きが当たるかよ!」
半身になってステインが右手で持つナイフの攻撃を避けた。
その後、ステインの腕を掴んで身体を入り込んでステインを浮かせた。
「これは」
ドカ!!
綺麗な背負い投げをしてステインを地面に叩きつけた。 その瞬間の痛みが強烈なのかステインはそのまま気絶した。
「はぁ…はぁ…はぁ…ハード過ぎるだろ」
緊張の糸が切れたのか…俺も限界みたいで膝が崩れて
そのまま膝立ちの状態になってしまった。
「砕条君! 大丈夫!?」
「緑谷…あぁ、疲れて力が抜けただけだ」
こうして、保須市の事件は終わった。 けど…この事件から、俺たちの日常を変え始めた。