僕のヒーローアカデミア 空拳ヒーロー エアーマン   作:ダレ狐

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今回は救助訓練レースの続きの内容になります


救助訓練レース2

ヒーロー基礎学 緑谷視点

 

「後で私の所に来なさい。ワン・フォー・オールについて大事な話があるから」

 

救助訓練レースが終わった直後。

オールマイトが、誰にも聞こえない声で僕にそう告げた。

ワン・フォー・オールの大事な話。

グラン・トリノの修行を経てから、分からないことはむしろ増えている。

考え事をしたまま歩いていると、気づけば皆が集まっている広場に着いていた。

 

「デク君、おつかれ! さっきの凄かったよ!」

 

声をかけてきたのは、麗日さんだった。

 

「麗日さん! ありがとう!(近いよ!!)」

 

ぐっと距離を詰められて、思わず背筋が伸びる。

嬉しい。でも、心臓に悪い。

 

「次の試合楽しみやね! 爆豪君と砕条君のリターンマッチやもん!」

 

「うん。僕も発表の時から気になってた」

 

体育祭決勝から数週間。

あの二人がまたぶつかる――それだけで空気が張り詰める。

 

「緑谷、さっきの凄かったな」

 

振り向くと、心操君が立っていた。

 

「心操君! ありがとう。心操君も、この前の救助訓練凄かったよ!」

 

「よせよ。あれは交野達のお陰だ。俺一人じゃオールマイトには対処できない」

 

少しだけ視線を逸らす心操君。

すると――

 

「その理屈で言うなら、私も同じですよ、心操さん」

 

落ち着いた声で割って入ったのは交野さんだった。

 

「そもそもプロヒーローですら、オールマイトに勝てる人はほぼいません。そこまで卑下する必要はありませんよ」

 

「えっと……交野さん、だっけ?」

 

「えぇ。こうしてお話しするのは初めてですね、緑谷さん」

 

「交野さん、凄いんよデク君! さっき女子更衣室で――」

 

麗日さんが言いかけた瞬間。

 

「麗日さん」

 

交野さんが、やんわり遮った。

 

「褒めていただけるのは嬉しいですが、男性の前で女子更衣室の話題を出すのは得策ではありませんよ」

 

一瞬の沈黙。

 

「……ほら、緑谷さんも困っていますから」

 

「え、いや、その……」

 

助かったけど、別の意味で心臓が忙しい。

 

「さて」

 

交野さんが、視線をスクリーンへ戻す。

 

「そろそろ2戦目ですね。皆さんはどんな結果になると思いますか?」

 

「私は……爆豪君かな」

 

最初に答えたのは麗日さん。

 

「砕条君の個性、溜めが必要そうやし」

 

「俺も同意見だ」

 

腕を組んだまま、心操君が続く。

 

「同じ編入組としては砕条を応援したいが、対空機動ができる爆豪の方が有利に見える」

 

「体育祭時点なら、私も爆豪さんですね」

 

交野さんが、淡々と言い切る。

 

「性格と言動はともかく、センスは確かですから」

 

「交野さん、厳しいね……」

 

僕は苦笑しながらスクリーンを見上げた。

 

「職場体験の時、砕条君は個性が使えないほど消耗してた」

僕は思い出す。

 

「それでもヒーロー殺しと戦ってたから……正直、予想がつかない」

 

少し考えてから、僕は轟君を見る。

「轟君は?」

 

「俺か……」

 

一拍置いてから、轟君は答えた。

「救助レースなら機動力勝負だ。陸式の改良がどこまで進んでるかで決まる」

 

「陸式の改良って?」

 

「見た方が早い」

 

『演習スタート!』

 

スクリーンの中で――

爆豪の爆速ターボと、

砕条君の《衝突・陸式 空衣無叢》が、同時に弾けた。

 

「爆豪、速ぇぇー!」

 

上鳴君が思わず叫ぶ。

 

「マジで反則だろ、あの機動力!」

 

切島君も興奮気味に続く。

確かに。

攻撃、防御、機動力を同時に成立させる個性は、それだけで脅威だ。

 

僕も……ずっと、かっちゃんの背中を追いかけてきた。

 

「でも、砕条も速いぞ」

 

冷静に分析したのは轟君だった。

 

「さすが、砕条、体育祭で渡り合ったのは伊達じゃない」

 

尾白君の言う通り、派手さはない。

でも、砕条君の動きは無駄がない。

ヒーロー殺し相手に近接戦をやり切った実力。

あれは――本物だ。

 

「ケロ……気のせいかしら」

 

蛙吹さんが、ぽつりと言った。

 

「爆豪ちゃん、少しスピード落ちてる?」

 

「え? 何で?」

 

麗日さんが首を傾げる。

 

「爆豪君の個性、時間経つほど火力上がるのに」

 

「恐らく空気抵抗ですね」

 

交野さんが即答する。

 

「高速移動時、爆豪さんは爆破加速型。でも、その分、前面抵抗をモロに受けます」

 

「なるほど……!」

八百万さんが頷く。

 

「逆に砕条さんの陸式は、空気圧で全身を保護している。高速域では差が出ます」

 

「うぇ〜い、交野と八百万のインテリの会話について行けない〜」

 

「アンタには無理でしょう…ジャミングウェイ」

 

交野さんと八百万さんの会話に着いて行けない上鳴君に容赦ないツッコミする耳郎さん…

 

そして――

 

「WINNER! 砕条少年!」

 

オールマイトの声が響いた。

身体ひとつ分。本当に、僅差だった。

 

「轟君」

 

僕は、隣の轟君に聞いた。

 

「陸式の改良って、具体的には?」

 

「前は肺に溜めた分しか使えなかった」

 

轟君は、淡々と説明する。

 

「今は外気を取り込み続けて循環させてる。継続時間は……5分らしい」

 

「5分!?」

 

思わず声が出た。

フルカウルで全身出力を維持する難しさは、僕が一番分かっている。

僕でも3分が限界なのに。

1分 → 5分。

しかも、この短期間で。

(凄いよ、砕条君……)

 

 

 

同時刻 爆豪視点

 

「くそ…」

 

スタートは俺の方が早いはず…現に最初にオールマイトを見つけたのは俺が先だった。 けど、アイツは直線上に入った瞬間に壁を全力で蹴り、加速して進んだ。

俺もすぐに動いたが…爆破と次の爆破には僅かな隙間が生まれる。

けど、空気圧のアイツは、最初の加速を上げて空気抵抗を調整したら、スピードが落ちねぇ…

爆破で加速力あげれば全身に掛かる空気抵抗で身体に負荷がかかった。

 

「爆豪、これで一勝一敗だ。 いずれ勝ち越す」

 

「舐めんな、次にテメーが勝つ事はねぇーよ!」

 

"お前もかよ"_俺が1週間職場体験でバカな事してる間…いや、砕条は体育祭以降からずっと…俺よりも場数を踏んでやがる…

 

「クソが!」

 

俺は"オールマイト"を超えるNo.1ヒーローになるんだ…こんな所で差を開いてる場合じゃ無いんだ!!

 

 

 

数分後 砕条視点

 

 

「さぁー次の3戦目のメンバー彼らだ!」

 

オールマイトが次のレース参加者を発表して、モニターに映し出された。

 

青山、障子、八百万、切島、口田、交野

 

「おっ、次は交野が出るのか」

 

「砕条君、お疲れ様! 凄かったよ!! 」

 

「サンキュー緑谷」

 

「凄いわ、砕条ちゃん、爆豪ちゃんに勝つなんて」

 

「オマエと爆豪が凄すぎて同じレース参加したオイラ達、霞んだぞ」

 

 

「まぁ、職場体験で個性の使い方を伸ばせたお陰だな」

 

緑谷、梅雨ちゃん、峰田が俺の所に寄って来た。何だが、USJの時みたいだが…まさか、雄英高校に編入するとは2ヶ月前は想像付かなかったな。

 

「調子、良さそうだな 砕条」

 

「焦凍、あぁ悪かったな、職場体験迷惑掛けて」

 

「いや、お前が元気良いならそれで良い。 それと母さんも喜んでたよ」

 

「そうか、何処かのタイミングで直接お礼言わないとな」

 

「なになに〜何の話してるの?」

 

「気になる〜」

 

焦凍と話してたら、内容が気になるのか、芦戸と麗日が寄って来た。 流石に俺と焦凍の家庭事情はこの場では話せないよな…

 

「俺が1週間、焦凍の家で世話になった事だよ〜」

 

「ふっ、そうだな 飯を作ったり、個性伸ばしと格闘技の訓練…いつもより充実しただけだ」

 

「かぁ〜轟が言うとカッコ良く聞こえるのズリィ〜」

 

「峰田、俺も分かるぞ〜」

 

何か端の方で血涙流しながら恨めしそうに見る峰田と同情する上鳴居るが今は第3戦目のレースが気になる所だ。

 

「お前らは大人しく見れねぇのかよ?」

 

「鷹野、熱心に見てたんだな」

 

「バーカ、ヒーロー科編入はゴールじゃねぇーんだ。特に私はオマケみたいなもんで入っただけだ。 実力見せるためにも、クラスの個性使う所は見ねぇとダメなんだよ」

 

「鷹野…」

 

「鷹野の気持ちは俺も分かる…ヒーロー科編入もまだまだ実力が見合って無い事は自覚してるからな」

 

「心操…」

 

2人の言う通りだ。 ヒーローに成れた訳じゃ無いんだ。さらに高みを目指す勢いで頑張らないと…ヒーローになった後か…俺は

 

 

『3戦目スタート!』

 

オールマイトの合図で画面を見ると、交野は手に持つボールを、

サッカーボールみたいに上空に蹴り上げた。

そして、拍手してボールの位置と入れ替わった。

しかもボール飛んだ勢いのまま上空に居た。

 

 

「凄い、映像とかで見たけど、交野さんの個性の入替!」

 

「確かにな緑谷! さっきの蹴りの時のおしりのラインがエロかった」

 

「最低よ峰田ちゃん」

 

梅雨ちゃんの舌でツッコミを受けながら、モニター見ていると、

交野は腰部にマウントしていた。ダーツを周囲に展開するように射出した。

 

すぐ様に拍手して、入れ替わりでダーツの場所に飛んで、オールマイトを探し、見つけ、最後に別のボールをオールマイトの近くに飛ばして入れ替わり、到着した。

時間にしたら10秒も掛かってない。

 

「WINNER! 交野少女!」

 

 

『早い!』

 

「あっという間にゴールしたよ! 凄いよ!!」

 

「(早口)索敵能力が無いのを、あのサポートアイテムを使って補ってるんだ、交野さんの手を触れた物を入替する個性を活かすように左右にマウントしてる。 しかも、あのボールもあのダーツが使えない時を想定して…」

 

麗日が感心する横で例のごとく、ブツブツと言う緑谷に呆れていたが、 確かに、交野は自身の個性を最大限に活かしたやり方だった。

前の救助訓練でも、あの作戦立てる速さと行動力…戦闘能力は高くは無いが、個性の熟練度では間違いなく、交野がはるかに上だ。

 

「すげぇ奴らばかりだな」

 

『さぁー4戦目に行くぞ!』

 

蛙吹、麗日、上鳴、耳郎、心操、轟

 

「んだよ、女子が多い試合なんてずるいじゃねぇーか!」

 

「それで外されたんだろ、峰田」

 

峰田のぼやきを聞き流しながら最後のメンツを見ると、

個性的に焦凍が有利だが、この手の入り組んだところなら梅雨ちゃんの方が良いかもしれない。

 

「さて、4戦目は誰が勝つと思う?」

 

「個性や実力で考えたら轟だろうな」

 

「汎用性が高いからな」

 

瀬呂が4戦目の予想の話題をだした。 それに対して切島と障子が轟と回答した。

 

「緑谷君の予想は?」

 

「うーん、轟君も勿論だけど、対空移動なら麗日さん、でも今回のようなごちゃごちゃした建物なら蛙吹さんの跳躍が期待出来るから」

 

飯田が緑谷に予想を聞いて、その分析内容で俺も同意見だった。

 

「後は心操が捕縛布を使いこなせるかだな」

 

「そう言えば、相澤先生と同じアイテム身に付けてたな」

 

鷹野が心操の事を取り上げたから、気になってた事を聞いた。

 

「あの救助訓練以降、相澤先生の所で捕縛布の使い方を教わってたらしいぜ」

 

「そうか、心操も頑張ってるんだな」

 

『4戦目スタート』

 

スタートの合図で焦凍は氷塊を出して架け橋の様に出して、先行していた。

同じように梅雨ちゃんが建物の壁を飛び移りながら進んでいた。

そして、麗日も個性使って浮遊しながら、壁を蹴って加速していた。

 

「3人ともいい動きするねぇ」

 

「麗日の個性楽しそう〜!」

 

葉隠と芦戸が試合を楽しそうに観戦してる中で俺は心操に注目していた。 あの捕縛布を瀬呂のテープや鷹野が使った鞭の様に配管に巻き付けて移動していた。

 

「心操もいい動きだな」

 

ぎこちなさはあるが、体育祭の頃は洗脳の個性のみから、新たなスキルとして磨き掛けてる。 どれだけ真剣に取り組んだが分かる。

 

「気を抜いたら追い越されるな…負けねぇーぜ」

 

4戦目は焦凍の勝利に終わった。

オールマイトの言うように体育祭の頃よりも個性の使い方が上手くなっていた。

心操を初め、他の編入組の追い上げの空気は俺を含めたクラスメイトに大きく影響を与えたと思った。

 

オマケ

数分後 更衣室

 

「久々の戦闘訓練きつかったな」

 

「汗かいちゃった」

 

救助訓練レースを終えて男子更衣室では先程の訓練終えて一息ついていた。

 

「俺は機動力課題だな」

 

「情報収集で補うしか無いな」

 

「でも、それだと後手に回るんだよな〜 瀬呂達が羨ましいぜ」

 

切島、常闇、上鳴は自身の課題について話してる最中に1人の男子が壁紙に貼られてるチラシを見て興奮していた。

 

「おい、緑谷 見ろよ」

 

「何、峰田君?」

 

「こっちへ来いよ」

 

峰田は剥がれかけている壁紙のチラシに指を指していた。

よく見ると人の人差し指くらいの大きさのアナが空いていた。

「見ろよ、この穴 ショーシャンク

恐らく 諸先輩方が頑張っただろう

隣はそうさ 分かるだろ? 女子更衣室!!」

 

「峰田君 やめたまえ 覗きは立派な犯罪行為だ!」

 

「と言うか、そんな小さい穴で見えるのか?」

 

飯田が注意し、心操はそもそも無理があるとツッコミをしていたが

 

「オイラのリトル峰田はもう立派な万歳行為なんだよ!」

 

だが、そんな事で止まらない峰田はチラシを剥がして穴を覗き込んだ。

 

「八百万のヤオヨロッパイ! 芦戸の腰つき! 葉隠の浮かぶ下着!

交野のヒップライン!麗日のうららかボディーに! 蛙吹の意外おっぱーい!」

 

「峰田、穴が貫通してるならお前の声…」

 

ブスリ

 

「全部、向こうに聞こえてるぞ」

 

「目がァァァ!!」

 

「恐ろしい耳郎さんのイヤホンジャック!」

 

砕条の指摘通りに峰田の叫びが女子更衣室まで聞こえ、耳郎のイヤホンジャックが峰田の眼球を突き刺していた。

 

そして、女子更衣室では…

 

「ありがとう 響香ちゃん」

 

「なんて卑劣 すぐに塞いでしまいましょう!」

 

耳郎の対応に感謝する葉隠と、早速、個性で穴を塞ごうとする八百万だが、

肝心の耳郎の心中は

 

(ウチと鷹野だけ…何も言われてなかったな)

 

耳郎はこのクラスの女子達は平均的に発育の良さに嫉妬と落胆していたが…

 

「どうした、耳郎?」

 

編入した鷹野は八百万と同じぐらい身長があるが体格ががっちりして、筋肉質のため、胸囲は耳郎と同じ位のため

 

「鷹野…あんたはウチの味方だよ」

 

「何を言ってるんだお前?」

 

同士が来てくれたことを心底喜んでいた事は彼女のみしか知らない。




次回はアニメオリジナルの梅雨ちゃんのお友達が出るエピソードになります
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