僕のヒーローアカデミア 空拳ヒーロー エアーマン 作:ダレ狐
演習試験会場 砕条視点
地獄の三日間の筆記試験が終わり、いよいよ演習試験が始まる。
緑谷たちの話によると、体育祭で使われたロボットとの戦闘訓練と聞いているが……。
「それじゃあ、演習試験を始めていく。この試験でももちろん赤点はある。林間合宿に行きたければ、みっともねぇヘマはするな」
「あれ、先生、多くない?」
相澤先生の説明が終わり、耳郎の指摘の通り、ヒーロー科の先生がやけに多い。
確かにロボットの実技演習に、わざわざここまで集まる必要はないはずだ。
「諸君なら事前に情報を仕入れて、何をするか薄々分かっていると思うが……」
「入試の時みたいなロボ無双だろ!」
「楽勝〜花火!」
「残念、諸事情があって今回から内容を変更しちゃうのさ!」
相澤先生の捕縛布から、校長が満面の笑顔で登場してきた。
『校長先生!?』
「あの変更というのは……」
上鳴と芦戸の余裕の掛け声も、根津校長の鶴の一声で打ち消された。
これは……エグい内容だぞ……。
「これからは対人戦闘、活動を見据えたより実戦に近い教えを重視するのさ」
根津校長は相澤先生の肩から降り、てくてくとこちらへ近づいてきた。
「というわけで、諸君らにはこれから二人一組で、ここにいる教師一人と戦闘を行ってもらう!」
『え? 先生方と!?』
マジかよ……。前の救助訓練の時よりも、条件が厳しくなってるぞ……。
「なお、ペアの組と対戦する教師は既に決定済み。動きや傾向、成績、親密度等を諸々踏まえて、独断で組ませてもらったから……発表していくぞ」
一戦目
切島・砂藤VSセメントス
二戦目
蛙吹・常闇VSエクトプラズム
三戦目
飯田・尾白VSパワーローダー
四戦目
轟・八百万VSイレイザーヘッド
五戦目
青山・麗日VS13号
六戦目
芦戸・上鳴VS根津校長
七戦目
口田・耳郎VSプレゼント・マイク
八戦目
障子・葉隠VSスナイプ
九戦目
瀬呂・峰田VSミッドナイト
十戦目
爆豪・緑谷VSオールマイト
「なお、編入組の四名は既に救助訓練で似た試験を行ったため、君たちはこの箱に書かれた数字のカードの所にヘルプヒーロー枠として参加してほしい」
「校長先生、ヘルプヒーロー枠の説明は後でされるのでしょうか?」
「もちろんさぁ〜。さぁ〜、引いてみよう」
交野が校長に質問していたヘルプヒーロー枠……さっきの二人一組とは別ルールがあるのか?
そんな疑問を抱きながら、箱の中のカードを取ると――
砕条①
心操④
鷹野②
交野⑥
『やったー! お助けマンだぁ!!』
芦戸と上鳴はさっきまで死にそうな顔をしていたのに、
急に喜び出したな。
「さて、ここから試験の説明をするね」
――試験内容――
制限時間三十分。
生徒の目的は、ハンドカフスを教師にかけるか、生徒の誰か一人がステージから脱出すること。
「そしてヘルプ組は二人とは別の地点で三分後にスタートする。これは実際の現場に、応援要請を受けて来るヒーローの立場となって参加する想定だ。なお、ヘルプ組と二人組はあえて無線などの連絡手段がない想定で行う」
「先生を捕らえるか、脱出するか……なんか戦闘訓練と似てんな」
「本当に逃げても良いんですか?」
「うん」
「とは言え戦闘訓練とはわけが違う〜。相手は超〜格上!」
「えっ、格上に見えないな」
「耳郎、その考えはやめた方が良いぜ……単純に先生方はUSJを襲撃したヴィランとの戦闘を多く経験してるんだ……その意味、分かるだろ?」
「!?」
「♪〜さすが、編入組〜。いい判断だぜ!」
心操の一言で、プレゼント・マイク先生をなめていた耳郎も実力差を理解した。
「今回は極めて実戦に近い状況での試験……僕らをヴィランそのものだと考えてください」
「会敵して戦いで勝てるならそれで良し……だが」
「実力差が大きすぎる場合、逃げて応援を呼んだ方が賢明」
「轟、飯田、緑谷、砕条……お前らはよく分かってるはずだ」
相澤先生の名指しは、明らかに保須事件のことを指している。
「そう、君らの判断力が試される! けど、こんなルール逃げの一択じゃね?……って思っちゃいますよね〜。そこで私たちサポート科にこんなのを作ってもらいました〜」
オールマイトが何かを取り出した。
「超圧縮おもり〜!」
どこかで聞いたキャラの物真似で紹介したおもりを、教師陣は装着し始めた。
「体重の半分の重さを付ける。いわゆるハンデってやつさ。古典的だがこれが一番……あっ、やば、結構重い」
その重りを付けることで、先生たちの動きには多少制限がかかるが――。
「戦闘を視野に入れてるのか……舐められてるな……」
「HAHAHA……どうかな?」
「ちなみに、ヘルプヒーローがいる所でも先生たちのハンデは変わらないのですか?」
「いや、変わらないさ。君たちが参加できるのは三分後だ」
「つまり先生たちは、三分もあれば重りのハンデがあっても生徒二人を抑えるのに問題ない……」
これは思ったよりも厄介な試験になったな……。
しかも俺が一番先とは……とにかく、試験の方向性だけでも確認しないとな……。
「それでは演習試験の準備に入る。第一試験の切島、砂藤、砕条、準備に入れ」
『はい!』
「切島、砂藤。確認だけど、試験の方向はどうするんだ?」
「この試験、逃げるよりも先生方を捕まえた方が点数高くなるよな」
「そうだと思うぜ」
「分かった。教師との戦闘だな。作戦は――」
「砕条、お前は二人とは離れた位置でスタートだ。早く移動開始しろよ」
「作戦も立てられねぇのかよ」
「心配するな。俺と砂藤でセメントス先生と戦ってる最中に参加できるはずだ」
「その時に奇襲すれば勝てるだろ!」
「分かった。それで行こう」
そう言って俺は、二人よりも先にスタート地点へ向けて移動した。
モニタールーム 緑谷視点
相澤先生から試験準備の間、チーム間で相談やモニタールームで他の試験を視聴が出来るので、僕はモニタールームに来ていた。
既にリカバリーガールも居て待機していた。
「さて、今日は激務になりそうだね」
「あれデク君も見学?」
「うん、みんなと先生の戦いを見れる機会なんて、
あまり無いし__それに…ちゃんと作戦の話し合いをしようと思っても……」
かっちゃんと話し合いをしようとしても出来なかった。
期末試験前から、前よりも僕に対する態度が悪化していて…話し合いの出来る空気じゃない。
「そっか〜相手、爆豪君やもんね〜」
「うん、麗日さんはどうして?」
「こっちは…話が通じない感じ」
その場に居ないのに青山君が一人たそがれてる姿が容易に想像出来る。
「青山君……」
「だから、みんなの戦闘を少しでも参考にしようと思って」
『1戦目 切島·砂糖 演習スタート』
モニターには切島君と砂糖君がゴール地点目指して走り出している。
「2人は開始早々走り出したね」
「何を考えてるんだろうね、折角数のアドバンテージ生かさないなんて」
「確かに、しかも周囲の警戒しないで真正面から行くなんてリスクしか無いよ」
「え? どういう事?」
画面に映る2人の開始早々の行動にリカバリーガールがダメ出しして、麗日さんが状況が分かっていない様子だった。
「切島君たちは折角3人で行動出来るのに、砕条君が動けるまで待たずに行動したんだ。 しかも、セメントス先生を何処にいるか分からないのに真正面から探すなんて」
「そっか砕条君は2人が何処に居るか分からないんだ」
「そうさ、しかも他のチームと違って事前に打ち合わせもロクに出来てないんだ。 なのに、あんな独断専行したら数の有利を潰してるよ」
多分、切島君たちは、自分2人ならセメントス先生に勝てるっと思ってる、そうじゃなくても足止めが出来て、その時に砕条君の奇襲が出来たら大丈夫。 そんな考えだと思うけど…
「でも、ほら2人はゴリゴリの近接系でパワーあるから壁なんて」
モニターの切島君と砂糖君はセメントス先生を発見して真正面から突撃してきた。 セメントス先生は地面からセメントの壁を出し続けていた。 2人は個性を使って次々と壁を破壊して行った。
「あれなら、セメントス先生の所に」
「いや、今のままなら届かない…2人には致命的な弱点があるんだ」
「弱点?」
「耐久戦に弱い事…そして、セメントス先生の個性は それが無い」
「!?」
モニター見ると攻防が始まって2分ほど過ぎた辺りで、2人の攻撃スピードが落ち始めていた。
(くそ! 殴っても殴っても壁が生えてくる)
(やばい…思ったよりも……ダメだ…頭が眠い)
『3分経過 砕条 試験参加』
「3分たった! これで砕条君も参加_」
「いや、間に合わないね」
(うわぁぁぁ!!)
切島君達はセメントス先生のセメントの攻撃に呑み込まれてしまった。
『切島・砂糖 気絶によりリタイア』
「うそ! 切島君たちが…一方的に」
「個性の相性が悪すぎたんだ…しかも、砕条君とも悪い」
倒れる2人の元にビルから飛び降りて登場した砕条君は悔しそうな表情していた。