僕のヒーローアカデミア 空拳ヒーロー エアーマン   作:ダレ狐

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苦い勝利

回想 3年前 砕時視点 十文字道場

 

「師範、何で俺は個性伸ばしじゃなくて身体強化ばかりなんだ? クラスの皆は個性伸ばしが多いのに」

 

アレは中学一年のゴールデンウィークの頃の話。 周囲が個性の使用を中心に励む中で俺は未だに武術の基本の型や筋トレばかりに疑問に感じていた時の話だ。

 

「拳志、確かに個性に磨けばお前強くなる。 ヒーロー科受ける同級生の中でも上位になるが…ヒーロー科入学でピークになってしまう」

 

「何でだ! 俺は個性に頼って武術を疎かにしない! そんな半端なことはしない!?」

 

続けて文句を言おうとした時に父さんに静かにする様にじしんの人差し指を口元に当てた。

 

「個性の幅を狭める事を言っている。 半端に強い個性は可能性を狭める。 個性の本格的に伸ばすのは高校からで良い」

 

「そんなんじゃ、ヒーロー科の高校に受からないぜ!」

 

「心配しなくても中学の間は拳に空気圧を留めるだけで十分に受かる。 後は高校から他の生徒や先生達の個性を見て学びなさい」

 

「個性の幅って、そんなの幼少期の個性検査で決まってるんだから」

 

「まだまだですね。 個性の有無は幼少期の検査のみでは決まらない…いずれ分かるさ」

 

この時の父さんの言葉に半分も理解出来てなかったけど

 

 

 

 

 

現在 医務室 砕条視点

 

昔の夢を見ていて、気がついたら…何度か見た医務室の天井で

 

「ん? 何で医務室に居るんだ?」

 

周囲を見ると誰も居なくて時計を見ると2時間近く経っていた。

 

「2時間!? 」

 

2時間も寝ていた事に驚いていたら、医務室の扉が開いて人が入ってきた。

 

「おっ! 砕条 気がついたんだな! 砂藤!! 砕条起きたぞ」

 

「本当か! 良かったぜ〜 あっ、俺リカバリーガール呼んでくるわ!」

 

医務室に入ってきたのは切島で、砂藤も呼ばれて俺の様子を見たら直ぐにリカバリーガールを呼びにその場を離れていった。

 

「切島、悪い 何があったんだ?…セメントス先生から2人を担いでゴールに着いた所までは覚えてるが…」

 

 

「おぉ、その事だけどよ」

 

 

「お前は2人が担架に運ばれてる様子を見てる時に倒れたんだ」

 

『相澤先生!』

 

俺と切島は突然の相澤先生の訪問に驚いた、確か4戦目で

 

「今は上鳴·芦戸·交野の試験だ…それまでの試験状況としてはお前達の以外は試験をパスしてる」

 

それを言われ、俺と切島は悔しかった。

 

「切島と砂藤は気絶によりリタイアだ。 そして、今問題なのは砕条…お前の合格の有無だ」

 

 

「ちょっと! 相澤先生 、何でですか? 砕条はちゃんとゲートくぐったんですよ!!」

 

「確かに、試験としては合格してるが、2点内容が悪い…」

 

「…合格後に直ぐに倒れたからですか?」

 

 

「そうだ、以前に緑谷に言った事だが、1人助けてダメになる奴をヒーローとして認める訳には行かない。 特にお前は個性ををキャパオーバーになって倒れている。緑谷の様に身体を壊してはいないが、状況としては同じだ」  

 

「でも、試験はゲートをくぐる事なら……砕条が倒れた事はノーカンにされるべきだと」  

 

「確かに試験としての評価なら合格だ。だが、砕条はお前ら二人を担いでゴールを目指した。アナウンスで二人は失格と宣言されていたのに」  

 

「いや、それは……でも、人助けとして!」  

 

「切島、ありがとうな。でも、これがプロの世界なら、俺の行動の結果はお前ら二人と一緒に倒れている……“要救助者三名”に増やしてるんだ」  

 

「その通りだ。市民のピンチを助けるヒーローが要救助者になる……ヒーローとして恥ずべき行動だと、俺も思う」

  確かに、切島達を助けたのは俺の本心からの行動だった。けど、結果として状況を悪化させてしまうなら――  

 

「HAHAHA〜! 私が見舞いに来た!!」  

 

『オールマイト先生!』  

 

俺達の話の途中で、試験準備中のオールマイトが俺の所に来ていた。  

 

「オールマイト先生、貴方はそろそろ試験の準備をする時間ですよね?」  

 

「分かっているさ。先程、砂藤少年とすれ違ってね。砕条少年が目を覚ましたと聞いて、顔を見に来たのさ〜」  

 

オールマイトが俺の近くに寄ってきた。

 

「砕条少年、確認するが……もし今後、同じ様な事になれば、君はどうする? 試験で不合格と言われてしまったとしても」  

 

オールマイトの問いに、ヒーロー殺しの顔がチラついた。だが、俺は迷わずに言う。  

 

「それでも、動くと思います。人を助ける為にヒーローがいると……そう信じたいので」  

 

 

「OK〜! この状況でもそれが言えるなら、君は大丈夫だ。だが、今後はより個性の扱いを学んで強くなるんだ。君はまだまだ成長の余地がある“有精卵”だから」  

 

「オールマイト先生……」

 

「では、私は試験の準備に行くさぁ〜! HAHAHAHAHA!!!!!!」

 

  凄いテンションでこの場を離れていき、俺達は呆然としていた。

 

「おーい、リカバリーガール連れて来たぞ!」

 

「やれやれ、落ち着きが無いね〜」

 

医務室にリカバリーガールをおんぶして来た砂藤が来て、俺達は我に返った。

 

「さて、体調はどうだい?」

 

「ん? そうだな、身体がダルいのと…」

 

ぐぅぅ〜

 

「腹がめっちゃ減ってるかな?」

 

「すげぇ〜音したぞ、砕条」

 

「あっ、俺のヒーロースーツ個性の都合で携行食バーあるから食うか?」

 

「おっ、良いのか? 貰うわ〜」

 

砂藤から貰った携行食バーを2本セットを三口で食べた。保須の時もそうだが、やたらと腹が減るよな…個性の反動なのか?

 

「すげぇ〜食いっぷりだな、今ならラーメンの大食いも出来そうだぞ!」

 

「もう一個あるから食えよ」

 

「良いのか?」

 

「問題ねぇーよ、むしろそれ位しか、砕条にお礼できないから」

 

「砂藤…」

 

「本当だな〜すまん砕条! 俺達が足引っ張った」

 

2人が俺に向かって謝罪した。直ぐに否定するのは簡単だが、

俺達はヒーロー目指す為に日々頑張ってるなら、下手な甘えは失礼だよな…

 

「借りにしとくぜ、いつか返せよ」

 

『おう!』

 

「砕条、お前は試験に合格だが、林間合宿では補講とまでは行かないが厳しめのメニューがある覚悟しておけ」

 

 

「わかりました」

 

相澤先生はそう言って去って言った。俺はそのままモニタールームに向かった。

切島達は自分達の反省会したいから見に行かないっと言って別れた。 部屋に着くと ……

 

 

 

『砕条君!?』

 

緑谷·飯田·八百万·蛙吹·焦凍·鷹野·心操が居た。 特に緑谷と蛙吹と飯田が俺の元に物凄い勢いで駆けつけてきた。

 

「おいおい、どうした急に?」

 

「だって、モニターで試験終了後に倒れてたから!」

 

「緑谷君から話は聞いて焦ったのさ。保須の時もかなりヤバい状態だったからね」

 

「ケロ。私も緑谷ちゃんから聞いて焦ったわ。緑谷ちゃんと同じくらい保健室にお世話になってるから」

 

「俺の扱いって緑谷と同じなのかよ」

 

「仕方ねぇだろ。無茶する点は緑谷と同じだろ、砕条は?」

 

「俺らの試験の時もぶっ倒れてたからな」

 

「本当に無事で良かったですが、ヒーローが心配をかけるのはあまりよろしくありませんよ」

 

「うっ……すまん。努力はする」

 

焦凍に心操、八百万まで先生同様のことを言われると、自覚はしているつもりだが、こうも言われると言い訳ができないな……。

 

「んで、お前の試験の扱いはどうなったんだ?」

 

「あぁ、合格ではあるが、他の生徒より厳しめにするって相澤先生に言われた」

 

鷹野が気を使ってくれたのか話題を逸らしてくれて、俺は試験結果を話した。

 

「そうか。それは良かったが、くれぐれも無茶はしないように!」

 

「おう、気をつけるよ」

 

『演習試験 芦戸・上鳴 試験開始。交野は三分後に開始!』

 

モニターには芦戸達の試験開始が表示され、俺達は画面に注目した。

 

「えっと、芦戸さん達の対戦相手は……」

 

「根津校長だな……まずいな」

 

「どういう事だ、砕条?」

 

「そう言えば、普通科の時に根津校長に勉強を見てもらってるって言ってたな」

 

焦凍と心操が、根津校長の事を知る俺に注目していた。確かに、このメンバーで校長と接点があるのは俺だけだからな。

 

「あぁ。校長は動物が個性を持つ珍しいタイプで、『ハイスペック』という個性だ。簡単に言えば、とてつもなく頭の良いネズミになる個性なんだが……」

 

「ケロ。戦闘向けの個性ではないのね」

 

「あぁ。けど頭の回転が凄くてな……特にこういう待ち伏せ状況なら、接近戦に持ち込まないと……あいつら落ちるぞ」

 

『え!?』

 

「それは、根津校長はその頭脳で罠や作戦を駆使して翻弄するのですね」

 

「多分な」

 

「それなら、交野と合流するまで大人しく待った方が――」

 

バコォーン!!

 

モニターに映る工場区域で、開始早々に建物が破壊された。芦戸達は何か叫びながら逃げていた。

 

「そんな隙を与えるタイプじゃない……」

 

芦戸達はマップから見て左端にいた位置から、壁を酸で溶かして道を作り、そのまま真っ直ぐ移動していた。

 

しかし工場の建屋の先には既に瓦礫の山が築かれており、芦戸達は徐々に追い込まれていた。

 

「そんな……どうしてあんな所に瓦礫が?」

 

「校長がいるのはマップ右上だぞ!? 彼等から最も遠い位置だ!」

 

「おそらく、あの重機で壊した建屋をドミノ倒しのように連鎖させて、芦戸さん達の進路を塞いでいるのでしょう」

 

「ケロ。あんな遠い所からでは、二人の個性では届かないわ」

 

「あの二人の天敵が校長先生なんだよ。二人は対人戦なら強いけど……こういう遠距離戦や移動手段がない相手は苦手だ」

 

「交野はどうフォローするんだ?」

 

「確かにな。交野があの二人に何のアドバイスもしないのは不自然だ」

 

「そう言えば、心操と鷹野は事前に相談したのか?」

 

『勿論』

 

二人の即答で、やはり自分達の敗因にはチームの連携不足が大きかったのだと痛感する。

 

『交野 演習試験開始!』

 

(待ってたぜぇー! 頼むよ 交野ちゃん!!)

 

アナウンスと同時に、上鳴が懐から、交野のヒーローコスチュームで持っているペイントボールを上空に向けて投げた。

 

直後に2人の上空に現れた。

 

(お待たせ、さて反撃開始です)

 

 

ここから交野達の反撃が始まる

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