僕のヒーローアカデミア 空拳ヒーロー エアーマン 作:ダレ狐
第1演習試験終了後 休憩ブース
これは上鳴・芦戸・交野が試験前に作戦会議をしていた時のことだ。
「まさか、切島と砂藤がリタイアになるなんて……」
「これ、マジでムズいんじゃねぇ!」
初戦からリタイア者が出たことで、芦戸と上鳴は演習試験の難しさを痛感していた。
その横で、交野は端末に表示された試験会場のマップをじっと見つめている。
「少なくとも一つ分かったわ。この試験で真正面から先生と戦うのは悪手よ」
「どういうこと?」
「砕条君が投入された直後に、切島君達はリタイアした。つまり開始早々に先生と交戦したってこと」
「でも二人とも近接得意じゃん?」
「その実力が通じる相手ならね。先生相手に正面勝負するなら、オールマイト先生級の突破力でもない限り厳しいわ」
「うぇ~……」
「私達は基本的に格下。だから勝負する場所は自分で選ばないといけない」
上鳴も真面目な表情になる。
「じゃあ校長先生相手なら?」
「なおさら正面勝負はダメ」
交野はマップを拡大した。
「校長先生は演習場の構造を知り尽くしてる。私達が動く場所もある程度読まれていると思った方がいい」
「マジかよ……」
「だから私達は力比べじゃなく、連携で崩す」
交野は三人の中央へ端末を向けた。
「作戦はシンプルよ」
・私が参加できるまでは逃げに徹する。
・合流したらペイントボールを真上へ投げる。
・私はボールと位置を入れ替えて校長先生の位置を確認。
・ダーツ・フィンで二人を校長先生の近くへ送る。
・芦戸さんが重機の外装を溶かす。
・上鳴さんが電撃を流して機械を止める。
・そのままゴールへ向かう。
「……俺って電気流すだけ?」
「その"だけ"が一番重要よ」
交野は即答した。
「校長先生の攻撃は重機やロボット。どちらも機械だから、動きを止められれば一気に有利になる」
「なるほどな!」
「でもさ、その重機って電気対策してたりしない?」
「その時は別の手を考えるだけよ」
交野は小さく笑った。
「何もしないより、相手に対応を強いる方がいい」
上鳴と芦戸は顔を見合わせる。
「……よし!」
「やるしかないね!」
「ええ。私達三人なら勝機はあるわ」
モニター ルーム 砕条視点
交野が試験に参加した直後に上鳴がペイントボールを上空に向けて投げると、交野の個性『
「早い! しかも上空へ投げたボールと入れ替わることで、校長先生の位置まで把握してる!」
「そのために上鳴へボールを渡していたんだ。
触れただけじゃ個性は発動しない。
両手で拍手して初めて発動する個性だからこそ、こんな裏技みたいな使い方ができるんだ」
緑谷と鷹野が、交野の行動を解説する。
※()は演習組の会話として使用します。
((さぁ、反撃開始です)
交野の腰部に装備されたダーツ・フィンが展開し、四方へ飛んでいく。
(ようやく演習試験らしくなってきたね! そう来なくちゃ僕も出てきた甲斐がないのさぁ!)
クレーンの鉄球が建物へ激突し、砕けた瓦礫が交野へ襲い掛かる。
(ここは芦戸さん、お願い!)
(オッケー! ようやく思い切り個性を使える!)
交野は芦戸と入れ替わり、芦戸は大量の酸で瓦礫を溶かして相殺した。
「ケロ、三奈ちゃんの酸すごいわ!」
「対人戦じゃ制限があるが、それ以外ならかなり強力だな」
「うん! すごいよ!」
梅雨、心操、緑谷が二人の連携に感心する中、俺は上鳴が校長先生へ向かう姿を見ていた。
「アイツらの狙いは校長先生か?」
「ですが、いくら交野さんの個性が加わっても今のままでは厳しいですわ」
焦凍と八百万の言う通りだ。 何か狙いがあるのか?それにしては上鳴の表情を見ると……
(よっしゃー! 校長先生が2人に気を取られた隙に俺が校長先生に電撃放てば重機を止めれるぜ!!)
「交野の作戦…にしては雑に見えるが…」
「まさか、上鳴の独断?」
(ちょっ! 上鳴! 勝手に動き過ぎ!!)
(ちょっ、大声で俺を呼ぶなよ!!)
(いけないな〜ヴィラン確保の時にすぐにバレる行動してはダメだよ)
モニターで芦戸が独断で動く上鳴に注意喚起してる様に見えて、
結果奇襲がバレてしまった風に見えた。
校長先生はクレーンを今度は上鳴の頭上の建屋を壊した瓦礫が上鳴に追撃を仕掛けた。
(ぎゃああああ! )
「上鳴君!!」
瓦礫が当たる瞬間……
(何てなぁ!)
上鳴が石ころと入れ替わり消えた。
「そういうことか、交野の奴めまんまと騙された!」
鷹野に言われモニター見ると、いつの間にか芦戸がダーツ・フィンと入れ替わっていた。 俺たちが上鳴に視線に向いてる隙に入れ替わっていた。
(まさか、僕が手品のミスディレクションに引っかかるとは… さて、生徒は何処に?)
(ニシシシ! ここだよ!
芦戸は校長先生が乗っている重機の遥か上空に入れ替わっていた。 そこから酸の雨を飛ばした。細かな酸の雨は重機の表面を溶かしていた。
(意表突く攻撃でしたが、この重機の強度ならそうそうに壊れないのさ!)
(上鳴! 後は頼んだ!!)
パァン!!
(よっしゃ!任せろ! 100万V !!!!)
今度は上鳴と入れ替わった瞬間に、最大電力の放電して重機に直撃した。
「凄いですわ、交野さんの作戦…上鳴さんをわざと目立つ様にして視線を向けた隙に芦戸さんを隠し」
「そこから、上鳴を隠した。その瞬間は校長も俺らは見事に視線を足元に向け」
「更に重機の頭上で芦戸さんの酸で重機の表面を溶かして、そして追い打ちをする様に上鳴君の電気で」
「重機がむき出しになってる配線部分に高圧電気を流せば」
BOOOONNNN!!!!
重機から煙が吹いて崩れ始めた。
(交野さん助けって!!!)
上鳴は、落下中にも拘らず鼻水とよだれを垂らしていたが、直ぐに石と入れ替わり重機の崩壊には巻き込まれなかった。
そして、崩れた重機の傍に三人が建屋の陰から現れた。
「試合どうなったん?」
「麗日君、試験合格おめでとう!」
「今、三人が校長先生を捕まえるところですわ」
このタイミングで前の演習に出ていた麗日が来て、飯田と八百万が現状の説明をしていた。
その時、緑谷がモニターを集中していて気付いて無い様子に呆れていたが
「なぁ 先から疑問だったけど…あの重機で校長が乗ってる姿を見たか?」
「何を言うんだ、鷹野君、校長先生が動かさなければ重機が動くはずが」
「いや、鷹野さんの言う通りだ…僕たちは重機が動く所は見たけど校長先生が直接動かしてる所を見てないんだ」
鷹野と緑谷の問いかけで、俺達は最大の見落としをしてることに築いてしまった。
(校長先生、ホールドアップだぜ!)
上鳴が重機の扉を開けるとそこには校長先生のそっくりなぬいぐるみが置いていた。
(嘘! 何で校長先生が居ないの?)
(しまった!校長先生は重機を遠隔操作してたのよ!!)
(正解〜重機を追い詰めた所までは凄かったけど)
重機のスピーカーから校長先生声が聞こえ、交野は2人に呼び掛けて走り出した。
すると周囲の足場が崩れ始めた。
「足場が崩落した!」
「あの重機を壊される事を想定して、足場を緩くしてたのか……」
落下する3人だが、交野が一気に3回叩く事で離脱して、少し離れた道に移動していた。
(助かった〜危うくチビる所だった)
(サンキュー交野……さん?)
(はぁ……はぁ……はぁ)
2人が安堵していたが、既に頼みの交野は肩で息をする程体力が削られていた。
「交野さん、様子が変だよ」
「変じゃねぇーね、アイツの個性の置換変換は座標の入替だけど、交野自身はその移動した距離の分の負担が来るだ」
「移動した分の距離が負担って、もしかして」
「麗日の予想の通り、交野はこの数分の演習で長距離走分の負担するスタミナが削られるんだ……しかも今の間髪に連続したから」
交野の様子に不安になる麗日に鷹野と心操が説明してくれた。
俺も個性使うとスタミナが削れるタイプは一緒なだけに、ピンチな状況に悔やんでいた。
(心配しないでとりあえず2人をゴール付近に運ぶは……先の落下で3つのダーツが紛失……残り3つ……2人の入替可能な回数は2回程残ってる)
(ちょっ、待って交野さん! そんなフラフラの状態で個性使ったらマズイって!!)
(そうだよ! 無理したら)
(無理をしないとダメなの!!)
「交野の奴、あんなに感情的になるタイプだったのか?」
「……詳しくは言えないが、アイツはずっと一人でヒーローになる為に頑張ってたらしい」
「心操?」
焦凍の疑問に意外にも心操が答えていた。 確かに冷静沈着のイメージのアイツが、画面越しで声は聞こえないが……あんな必死な顔をするなんて いったい何があったんだ?
(私は二度と諦める訳には行かないの!)
ボロボロの交野の目に映るその決意とは……何があったんだ?