僕のヒーローアカデミア 空拳ヒーロー エアーマン   作:ダレ狐

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筆がノリ、ヒロアカ描いてる時には一度は付けたいタイトルがまさかの主人公よりも先にオリジンを付けるとは思わなかったけど
、そのぶん気合い入れて書いたので読んで欲しいです。


交野環奈:オリジン

交野視点 10年前

「いいか、環奈。個性をむやみに人前で見せるな。我々はこの国を古くから支える由緒ある一族なのだから」

それが、私の一番古い記憶だった。

交野家は、江戸時代から続く由緒ある財閥の家系。

幼い頃から祖父に何度もそう言い聞かされて育った。

個性黎明期の混乱を目の当たりにした当時の当主は、個性という存在そのものを「汚らわしい」と嫌悪していた。

それ以来、交野家は世間で言う"個性否定派"となり、財界でも異端の一族として知られていた。

「財力のある者に個性など必要ない。個性は下々の者が使えばいい」

そんな時代錯誤な思想を持つ者ばかりの家。

私は、そんな家で育った。

個性社会となった今でも、同年代の子供と遊ぶ機会はほとんどない。

会う機会があるのは、財閥同士のパーティーくらい。

その中で本音で話せる相手は、変わり者の小根くらいだった。

それ以外は、交野家の財産や権力目当てで近付いてくる人達ばかり。

だから私は幼い頃から決めていた。

「私は、この家を出ていく」

そのために勉強も礼儀作法も、厳しい教育も必死に耐えてきた。

だけど、家の中はずっと冷え切っていた。

父と母は必要最低限しか言葉を交わさず、食事ですら同じ席に着くことは少ない。

幼かった私は、「名家とはこういうものなんだ」と思い込もうとしていた。

だけど、それは違った。

ある日、お父様には別の女性との間に子供がいることを知った。

しかも、一族が待ち望んでいた男の子だった。

跡継ぎを望んでいた一族は大喜びし、その子を交野家へ迎え入れることを決めた。

私は跡継ぎではなくなった。

それだけじゃない。

まるで最初から必要なかったかのように、私は簡単に捨てられた。

世間体のため離婚こそしなかったものの、父は屋敷へ帰ることが少なくなり、母も心を壊したように家を空ける日が増えていった。

やがて母は、ほとんど帰ってこなくなった。

広い屋敷の中で、残されたのは私一人。

私を捨てた父。

私を置いていった母。

そんな二人の血が流れている自分自身が、心の底から嫌になった。

 

「どうせ私なんて……最初から必要なかったんだ」

 

誰にも必要とされない。

誰にも見てもらえない。

そう思った私は――

静かに川へ身を投げた。

 

「HAHAHA!! 大丈夫だ! 私が来た!!」

 

薄れゆく意識の中、誰かに抱き上げられる感覚があった。

目を開けると、そこにいたのは――

 

「オールマイト……?」

 

「うん。危ないじゃないか。こんなところで遊んでいたら」

 

その笑顔を見た瞬間、押し殺していた感情が一気にあふれ出した。

 

「違う……!」

 

「私はもう嫌なの!」

 

「私を捨てたお父さんも、お母さんも!」

 

「その人達と同じ血が流れている自分が嫌なの!!」

 

オールマイトは何も言わず、私を優しく抱きしめてくれた。

 

「そうか……辛かったね」

 

その一言だけで、堪えていた涙が止まらなくなった。

しばらくして、オールマイトは静かに口を開く。

 

「でも、君はお父さんでも、お母さんでもない」

 

「君は君自身だ」

 

「君が諦めなければ、君自身を見てくれる人は必ず現れる」

 

「その一人に、私もなろう!」

 

そう言うと、当時身に着けていたゴールデンエイジのマントを少し裂き、そこへサインを書いて私に手渡してくれた。

「私はこれからもヒーローとして、君の希望になる」

 

「だから君も、自分自身を諦めないでくれ」

 

あの日から私は、オールマイトのインタビューや活躍を追いかけるようになった。

そして、あるインタビューで彼はこう語っていた。

 

「個性というものは親から子へ、子から孫へと受け継がれていく。しかし、本当に大切なのは、その繋がりではない。自分自身を"自分"だと認めることだ。

だから私は、こう言うのさ。"私が来た!"とね」

 

その言葉は、ずっと私の支えになった。

それが――

私がヒーローを目指すようになった、オリジン。

 

 

 

 

現在 演習試験 交野視点

 

 

「私は二度と諦める訳には行かないの!」

 

疲労で意識が朦朧とする中、過去の出来事が脳裏をよぎった。

だからこそ、ここで止まるわけにはいかない。

 

「交野さん……でもよ」

 

「分かった! まだ試験が振り出しに戻っただけだもんね!」

 

「私も上鳴も元気だからさ! いっぱい個性使って勝とうよ!」

 

「うぇーい! ここでカッコ悪いところ見せられねぇよな!」

 

「心配すんな! 何とかなる!」

 

「芦戸さん……上鳴さん……」

 

二人の声を聞いた瞬間、狭くなっていた私の視界が少しだけ広がった。

そうだ。

あの頃の私は一人だった。

でも今は違う。

ここには――

同じ夢を追う仲間がいる。

 

「ヒーローを目指す俺らが、簡単に諦めるわけないだろ!」

 

「そうだよ! ピンチの時こそ頑張るのがヒーローなんだから!」

 

「……ええ。その通りよ」

 

「うんうん、生徒たちの和気藹々する姿を見るのは良いけど、今はヴィランとして追い詰めるよ!」

 

工場内の何処かにあるスピーカーから校長先生の声が聞こえた瞬間に遠くの倉庫から何かが破壊される音がして連鎖的に私達の近くの建物まで破片が飛び崩れてしまって、そのまま下敷きになりそうだった。

 

「げぇ〜! 校長先生!!」

 

「瓦礫なら私に任せて!!」

 

「くっ、このまま逃げの一手ではこちらの体力が削れて終わります……何か打開策を」

 

改めてこの演習所のMAPと構造を想像した。 先の重機とこの爆発が遠隔操作なら、何処かに電気を通してるはず……けど電線の類は無い……それに一見工場の建物でごちゃごちゃしてるけど、ブロック事に綺麗されてるならライフラインは地下配管……

 

「芦戸さん、そこのマンホール手前の道路を完全に溶かして欲しい

 

「もしかして、そこに校長先生が居るのか?」

 

「いえ、この攻撃を停めるためよ」

 

「わかった! 私の全力の酸で溶かすよ!」

 

芦戸さんに酸で道路を溶かして貰ったお陰で電線が通ってる配管がむき出しになって現れた。

 

「そう言う事か!後は俺に任せな!! 最大電力200万V!!」

 

上鳴さんは私の意図を理解してむき出しになった配線に高圧電流を流した。 その影響で周囲の工場の無いの発電所が煙を噴いた。

 

「これで、電気のラインを停めました! 暫くは攻撃は来ないので今のうちに出口に向かいます!」

 

「うぇ〜い!」

 

「上鳴さん……仕方ないですね、私が個性で」

 

「ううん、交野さんは先に行って……私と上鳴はここでリタイアだわ……」

 

「芦戸さん、何を先まで……芦戸さん!? その身体は……」

 

先と違い、急にネガティブな事を言う芦戸さんに疑問を持ち近づいて見ると手のひらが桃色の肌が消えて瞳の黒目が私たちみたいに白くなっていた。

 

「滅多に無いんだけど……私も個性使い過ぎると皮膚とか目が皆みたいになるんだ……しかもこういう変化してる時が結構痛くてね」

 

「なら、私の個性ですぐにゴールに」

 

「ダメだよ! 交野さんも、スタミナが限界に近いんでしょう?」

 

確かに今の私では1人でゴールの所に移動するのが限界……しかも、攻撃を停めても校長先生がいつ動くか分からない……そんな時に戦闘不能状態の2人を動かすのは……

 

「先生も言ってたじゃん、無理な時は応援を待つなり逃げるのも1つだって」

 

「確かにそうです……が」

 

「やっぱり、交野さんいい人だ!」

 

打開策が思いつかなくて苦しんでたら芦戸さんに抱き寄せられた。

 

「芦戸さん?」

 

「交野さん、普段から皆と距離取るし、怖い言い方してるけど……私らの事真剣に思ってくれてるよね」

 

「そんな事は……私は自分しか考えない人間です」

 

「それは無いよ、もし そうなら多分私と上鳴を囮に使えば、交野さんの個性なら簡単に脱出出来るもん」

 

「それは! そんな事をしたら今後の学生生活にプロとして活躍に支障が出るだけで……」

 

「私はバカだから、効率とか駆け引きは分からないけど……こんな時にそれだけ悔しそうに私達のことを思える交野さんを冷たいなんて私もクラスの皆も思わないよ」

 

「うぇ〜い」

 

「……」

 

「ここで全員リタイアだけは嫌だから……お願いだよ 交野さん」

 

私達の反対エリアから何かの機械音が聞こえる……このままでは先の繰り返しになる。 残り僅かな体力を考えるなら、芦戸さんの提案しか方法は無い。

 

「この後の反省会……私が奢りますね」

 

「うん、 駅前のケーキ屋が良いな!」

 

「ええ、約束します」

「芦戸さん……上鳴さん……」

 

 

二人の言葉に背中を押され、私は残っていたダーツ・フィンを展開する。

これ以上二人を巻き込むわけにはいかない。

 

私は拍手を打ち、『置換変換(チェンジ)』を発動した。

一気にゴール前へ転移する。

 

『芦戸、上鳴。戦闘不能によりリタイア』

 

「くっ……」

 

二人の名前がアナウンスされる。

私は唇を噛み締めながら、そのままゴールゲートをくぐった。

 

『交野、演習試験クリア』

 

試験終了のアナウンスが演習場に響く。

試験には勝った。

だけど――

 

胸の中には、勝利の実感なんて少しもなかった。

今の私は、二人を置いて自分だけ助かった。

 

ヒーローとして正しい判断だったのかもしれない。

 

それでも私は、二人を救えなかった。

その事実だけが胸に重くのしかかる。

 

今の私には、誰一人救う力がない。

 

そう突き付けられた気がして、悔しかった。

だけど――

あの日、川でオールマイトは言ってくれた。

 

「君が諦めなければ、君自身を見てくれる人は必ず現れる」

 

今の私は、一人じゃない。

芦戸さんがいて。

上鳴さんがいて。

A組のみんながいる。

だから私は、もう諦めない。

ヒーロー科への入学はゴールじゃない。

ここで力を付けて。

誰かを救えるヒーローになる。

それこそが――私の本当のゴールなんだ。

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