僕のヒーローアカデミア 空拳ヒーロー エアーマン 作:ダレ狐
スタジアム 砕条視点
障害物競走が終わり、選手達はステージ中央に集まった。
ミッドナイト先生がステージに立ち、次の種目の説明を始めた。
「さて、次の種目は――騎馬戦!」
「今度はチーム戦か」
ルール自体は普通の騎馬戦と同じだが、雄英高校は“個性あり”。
さらに驚いたことに、先の障害物競走の順位がポイントに変換されていた。
「俺の順位は5位だから……190ポイントか」
「なお、1位の緑谷出久は――1000万ポイント!」
『1000万!?』
周囲が緑谷を“獲物”を見る目に変わった。
まあ、1位を狙うのが最も確実な点数だ。
「さて、俺は誰と組むか……」
「制限時間は15分! チーム決めを開始!」
「麗日さーん!!」
横を見ると、緑谷が滝のように泣いていた。
この状況でも組んでくれる麗日に感動したらしい。
「あの、砕条君! よかったら僕のチームに入ってくれないかな?」
「ん? 俺? 俺、騎馬戦向きに見えないだろ」
「そんな事ないよ! 砕条君が入ってくれたら、あとは飯田君と組むだけで最高のチームになるんだ!」
「まあ、アテも無いしそれで良いぜ」
緑谷と麗日と合流し、飯田のいる場所へ向かった。
だが飯田は緑谷のスカウトを断り、轟のチームへ行ったようだ。
最低でもあと一人必要になるが――
「…!? そうだ、彼なら!」
緑谷はステージ端で壁にもたれている、カラスの男子生徒へ声をかけた。
「緑谷、クラスメイトか?」
「うん。常闇君。彼のダークシャドウと砕条君の空気圧、そして麗日さんの無重力……合わせれば勝てる!」
「ほう。俺のダークシャドウがどう関わるのか、聞かせてもらおう」
緑谷の作戦を聞いた俺たちは、一気に勝機を見出した。
「流石、障害物競走1位だな。面白い発想だ、乗ったぜ緑谷!」
「デク君、行こう!」
そんな中、俺の視線はB組の心操に向いた。
彼の騎馬のメンバーを見ると――
A組1人、B組1人、サポート科1人。
接点が無さそうな組み合わせ……多分、あれは心操の個性を使ったんだろう。
「どうしたんだ、砕条?」
「いや、何でもない。確認するけど、俺が前騎馬。左に常闇、右に麗日でいいな?」
「うん、砕条君はこの中で一番安定してるし、個性も正面に強いから」
「了解。じゃあ行こうぜ!」
緑谷チーム
緑谷:10,000,000
砕条:190
常闇:180
麗日:135
合計:10,000,505
「さぁ〜チーム分けが終わったぜ!!」
「ほぉ〜面白い組み合わせだ」
「緑谷、選択の時だ」
「もちろん、逃げの一手!」
「騎馬戦開始!」
ミッドナイト先生の合図と同時に、選手たちが動き出した。
狙いは当然、1位の緑谷に向かって――
「まずは1位を狙うぜ! 骨抜、頼む!」
B組の鉄哲が前騎馬の骨抜に指示を出した時、地面が柔らかくなり始めた。
「麗日、緑谷の足を浮かせろ! その勢いで飛ぶぞ!」
「うん、わかった!」
「ありがとうよ、B組。地面が柔らかくなったお陰で――全力で殴れるぜ!」
「何だ、アイツ!?」
「衝突・壱式 正拳・
ドォン!!
俺の右手の正拳が柔らかくなった地面に衝撃波を叩き込み、
地面は津波のように鉄哲チームごと周囲を飲み込み始めた。
「何じゃ、あの攻撃は〜!? イレイザーヘッド、どうなってるんだ!」
「あれはB組の骨抜の個性で柔らかくなった地面に、砕条の“空気圧”が逆に押し返され、
地面が津波のように流れたんだろう。
(あの個性の使い方……緑谷みたいだな)」
「そのまま飛ぶぞ! 飛脚・壱足!」
麗日の個性で軽くなったおかげで、俺たちは4人分の重さを感じずに移動できた。
しかも、あの津波でほとんどのチームが動きを止められていた。
「逃がすか! クソデク!!」
「かっちゃん!」
「耳郎ちゃん、お願い!」
「任せて!」
下からは耳郎のイヤホンジャックが伸び、上空からは爆豪が爆破で追撃してくる。
「常闇君!」
「任せろ、ダークシャドウ!!」
「あいよ!」
ダークシャドウが瞬時に動き、2人の攻撃を防ぐ。
「着時の瞬間は狙わせないぜ! 衝突·弐式 足払い!」
俺たちが地面に着地する瞬間、足払いの衝撃で周囲を怯ませ、
その隙に距離を取った。
「すごいよ、みんな! 麗日さんの個性で僕たちは軽くなって機動力が上がる。
常闇君のダークシャドウはタイムラグなしで周囲の牽制ができる。
それに砕条君の空気圧の技は足止めにも空中移動にも使えるんだから!」
「ダークシャドウの采配をしたのは緑谷だ」
「デク君のおかげだよ!」
「まだ終わってねぇーんだ。勝ってから言ってくれ!」
周囲が見渡せる位置に移動したが、巻き込まれなかった1チームが向かってきた。
「後半に来ると思ってたが……偉く買われたようだな、緑谷」
「悪いが、お前には勝つぞ、緑谷……」
轟って奴、こんなに対抗心むき出しのタイプだったか?
USJの時はこんな印象なかったが……
障害物競走でも本気出してたし……
何でだろうな。
アイツの目……父さんが死んでスライサーに復讐を誓った時の俺に、似てる。
「飯田、前進」
「任せろ!」
「八百万、準備を頼む!」
「任せてください!」
「上鳴、準備が出来次第――」
「任せとけって!」
「来るぞ、緑谷!」
「麗日さん、個性で浮かせて!」
「わかった!」
「常闇君、ダークシャドウを!」
「任せろ!」
「砕条君、僕の合図で!」
「あぁ、いつでも良いぜ!」
轟チームが前進を始めると、他のチームも接近していた。
俺たちは麗日の個性で軽くなった3人を背に乗せたまま、バックステップで距離を取る。
「「轟さん、準備OKです!」
「上鳴、頼む!」
「行くぜ、無差別100万ボルト!!」
轟は八百万から耐電圧シートを身にまとい、上鳴の個性の電撃が周囲に放電していた。
俺達はダークシャドウが盾になることで防がれた。
轟はさらに氷結で後方にいたチームを凍らせた。
「砕条君、今だ!」
「了解、飛脚·壱足!」
「何っ、頭上を!」
俺は緑谷の合図で飛脚·壱足を使ったが、それは後方に逃げるためじゃなく、轟達の後ろを飛び越えるためだった。
「何!?」
「常闇、フォロー頼む!!」
「ダークシャドウ、凍らせたチームを掴んで移動だ! ついでにハチマキも取れ!」
「りょーかい!」
跳んだ勢いで、ダークシャドウが凍らせた拳藤チームの頭のハチマキも取りつつ、その肩を掴んで移動に使って氷結地帯を抜けた。
「おいおい、すげー攻防だな!」
「轟は障害物競走で氷結による足止めが上手くいかなかったから、上鳴の放電で動きを止めたところで氷結で封じた。
それに対して緑谷はダークシャドウで放電を防ぎ、氷結から逃げるために砕条の空気圧での空中移動をした。
しかも、その前は後方に逃げるようにして、ダークシャドウで姿を隠している間に轟達の背後を取るために跳んだ。 ご丁寧に他のチームのハチマキも取る。」
「解説サンキュー」
「いくら足に自信がある飯田でも、氷結で止められた他のチームの前では正面突破は無理だろう」
「しかも常闇君がさらにポイントゲットは凄いよ」
「取れる時に取らないと、いざって時に怖いからな」
「うん、他のチーム含めて僕達の事を諦めたわけじゃないからね」
「さて、騎馬戦が開始から7分経過したぜ。途中経過発表するぜ」
途中経過発表
1位 緑谷 10,000,730
2位 物間 1,360
3位 鉄鉄 1,125
4位 轟 685
「おい爆豪、ハチマキ取られてる! どうなってるんだ?」
プレゼントマイク先生の実況で観客が驚いていた。
あの爆豪がハチマキを取られることに…気になる所だが――
「悪いが逃がさないよ、緑谷君!!」
頭上を見上げると轟チームが、先の俺のように飛び越えて現れた。
よく見ると向こうに氷のジャンプ台があった。
「もう追いかけてきたよ、轟君チーム!」
「緑谷、正直上鳴の電撃は不味い…ダークシャドウが弱腰になる」
「…向こうには気づかれてないよね」
「ああ。この事を知ってるのはチームと口田だけだ。アイツは口が堅いから恐らくこの事は気づかれてない」
「なら、ダークシャドウと衝突·弐式 足払いで時間稼ぎをしよう」
「残り3分を切った」
「とにかく、こっちは右側に移動して牽制体制だ」
なるほど、轟の氷結は奴の右手。対角線になれば氷結は前騎馬の飯田に当たる。
上鳴の攻撃をしないところを見ると向こうも個性を無尽蔵に使えないようだ…助かるぜ、こっちも無尽蔵に撃てない…
「轟君、今から奥の手を使う…使うと俺は1分間使い物にならない。ハチマキ頼むぞ!」
「飯田?」
「しっかり捕まってろよ! トルクオーバー、レシプロバースト!!!」
「右へ!」
緑谷の掛け声と同時に何かが横切った…
俺達はその刹那の出来事に理解が追いつかなかった…
「何だ今の加速?」
「トルクと回転数を無理上げて、爆発力を生んだんだ! 反動でしばらくエンストする。クラスメイトには教えてない裏技だ」
「あぁ」
「言っただろ? 緑谷君。君に挑戦すると!」
マジか、あの飯田がこんな隠し球持ってるとは。
「不味い、すぐに取りに返さないと!」
「無茶だ、向こうには上鳴が居るんだ。他のハチマキを取るべきだ!」
「ダメだ! 中間発表されてから数分経つ、今のポイントの把握はしてない」
「…なら、上鳴の放電を防げばいいんだろ? 残り時間わずかだ。こっちも1発限りの奥の手使う…緑谷、麗日、常闇…一気に間合い詰めて電撃は防いでやるから…頼むぜ」
「砕条君、何を?」
「時間が無い! お前はハチマキ取ることだけ考えろ!
麗日、常闇、俺が轟チームの間合いに入るタイミングで両手を使いたい!
常闇は緑谷のフォローを頼む」
「うん、わかったよ! デク君、行こう!」
「わかった、フォローは任せろ!」
「取り返そう!」
「派手に行くぜ! 飛脚·壱足!」
俺は一気に踏みつけて轟チームに接近した。
向こうは飯田が動けない様子。
けど上鳴の放電をしようとした時に――。
「衝突·参式 空気砲!」
俺は両の掌を前に突き出し、瞬時に空気圧を最大まで溜め込む。
形としては《衝突·参式》だが、左右同時――そして“叩く”ように放つ特殊な応用技。
「
左右の掌を、まるで“猫だまし”のように叩き合わせた瞬間――
正面の空気が激しく振動し、目に見えない“扇状の衝撃波”が広がった。
バシュウッ!!
電撃が砕条に届く直前、振動の壁に触れた途端、
放たれた雷が左右に霧散し、地面に逃げるように散っていく。
「なっ…電気が、通らねぇ!?」
「空気の壁だ。
振動が強すぎて、電気の流れが俺に向かって来れねぇんだよ!」
上鳴の放電は砕条に届かず、消し飛んだ。
「さぁ、追いついたぜ、緑谷!」
「ありがとう砕条君!」
緑谷は集中しているのか、拳を構えていた。
対する轟は緑谷を見て、ここまで一度も使わなかった左手の炎が灯っていた。
「(イメージは電子レンジで卵が割れないよう…そして今回は人に当てるんじゃなくて)払う!」
シュン!
緑谷が右手を轟の左手の前に横払いして、轟はその勢いで左手を弾かれたようになり、隙が生じた。
「今だ!」
緑谷はすぐに轟の首に掛けているハチマキを取った。
一番上は恐らく俺達のハチマキ…あれ?
轟の奴いつの間に点を取った?
先まで俺達と一騎打ちしていた…その時はハチマキなんて…
「まさか! アイツら…」
「このハチマキ70点…まさか」
「残念ですわ! そのハチマキは貴方達が私達から逃げた後、凍らせたB組のポイントですわ。
緑谷さん達のハチマキと位置を入れ替えたのです」
「緑谷! まだだ! 時間があるぞ!」
クソ、掌の痛みで…先の衝扇の反動で痛みが…
「まだ、この間合いなら…!」
「させるか、緑谷!」
「クソデク、1位のハチマキを!?
しまった…ハチマキ取られてるのかよ!」
緑谷が再度アタックを仕掛けたが、そのタイミングで爆豪も乱入。
しかし既に緑谷がハチマキ取られたことを寸前で知ったので、急遽、轟に狙いを定めたが――。
「時間終了、そこまで!!」
騎馬戦は終了した。
「タイムアップ! さて、順位の発表と行くぜ」
1位轟チーム 10,000,505
「勝てましたが白線を踏む思い出した」
「すまない俺が足を引っぱったせいだ」
「飯田さんは悪くありませんわ、飯田さんが居なければ私達は負けていましたから」
「ウェーイ!」
2位 爆豪チーム 1,360
「2位か〜」
「何上々だよ、あそこから取り返せたんだから」
「爆豪がそう思うかよ…」
「クソがー!!」
3位 心操チーム 1,125
「って、鉄鉄チームいつの間に取られたんだ?」
「皆、おつかれ」
「皆、ごめん」
「緑谷…おっ、 見るよ常闇を」
「緑谷、お前としては1位のハチマキを取り返したかったんだろうが、上手くは行かなかったが、あの轟を追い詰めたことで、警戒が緩かった 轟の頭のハチマキは取れたぞ」
「!!!」
「俺達は勝ち取ったぞ! 」
「すげーなダークシャドウの2つのハチマキ獲得したぞ」
4位 緑谷チーム 920
「うわぁぁぁぁぁ!」
緑谷の噴水の様な涙にチームの俺達は笑っていた。
ここからは昼休憩に入るようだ。
「よぉ、心操…お互いに決勝トーナメントまで残れたな」
「あぁ…しかし、ヒーロー科はすげぇーな」
「確かにな…特に追い詰められた時に必死になるA組は恐ろしい」
「でも、ここまで来たら勝つだけだ…勿論、お前にな」
「あぁ、全力でな」
昼休憩後はいよいよ決勝トーナメントだ。
騎馬戦難しい