がんば麗羽さん!リターン!?エターナルストーリー   作:髪様

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……少しの間だけ、評価がなんか真っ赤になってた。
今後変わるかもしれないけど、びっくり。


サクを知る

 幾時ばかりかが過ぎた。

 

 このとき袁紹は洛陽に残してきた耳より、汝南より何顒が洛陽に入ったことを聞いた。この世界で党錮の禁があったのは、ちょうど袁紹が喪に服していた頃、曹操と袁紹が何かしらの問題(先の花嫁強奪事件など)を起こしていた以前の時期(つまり曹操と出会う前)でもあり、その時何顒は洛陽より離れ官を正すための行動をしていたとのことだ。

 

 すぐさま戻らなかったのは、おそらく彼女の知り合い、清流派であったか、党錮の禁自体は黄巾の乱が大きくなった際にすぐさま解除されたが、洛陽にすぐさま戻らず今の今まで静かだったのは、彼女が準備をしていたからであり、以前の繋がりをもってして今の漢の政治を幾分ばかりか正そうとしているのではないだろうか?

 

 

 党錮の禁の際に誅されたらしい司隷校尉・李膺や太傅陳蕃とも仲が良く、身分差ありながらの友誼もあったとの話を洛陽に来る以前の噂でも聞いたことがある。なんせ何顒、人のことはバカスカ言うくせに自分のことは棚に上げる性格で、非常に義に厚いことでも有名である。彼女何顒がまだ一諸生であったころ、虞偉高(ぐいこう)という友人がいたそうだ、その者が病に伏せた際に少しつぶやいただけである「父の仇を討てない事が無念だ」との言葉によりその仇であり当時財を持つことで名が知れた者を討ち、虞偉高の墓前に首級を添えたらしい。

 

 

 あの顔でその過激さである。

 

 

 さらには郭泰(かくたい)、賈彪(かひょう)等の親しき友人も党錮の禁よりそのあと少しで連座する形に亡くしている。宦官共にかける恨みもを一入のものであろうので、成功したのならば確実に皆殺しにするだろう。

しかし、奴らも馬鹿ではない、袁紹も一応の忠告をしたが熱くなった彼女を知らないのでどうなるかもわからない。本来の正史であれば彼女は董卓に殺されることになるのだろうが、袁紹は恋姫世界の董卓が傍若無人でないことを知っている。……が、それを補って余りあるほど宦官共が腐っていることも知っている。もし彼女が死ぬのならば企てが失敗し返り討ちにあった時であろう。

 

 

 

「袁本初、先の騒乱の罪に問わぬ。

 が、各地に檄を飛ばし董卓を討て、これは勅命である」

 

「謹んでお受けいたしまする」

 

 

 豚のように肥え太った(このとき袁紹は歩くのも大変だろうなと思った)、文官に読み上げられる勅。正しく玉璽の印が押されたこれは確かに勅命となるのだろう。だが実際は袁紹がいなくなった洛陽で宦官たちに請われ相国についたはずの董卓は、都で善政を敷くがあまりに宦官にとっては目の上のたんこぶとも呼べる存在になっていた。喉元過ぎれば熱さを忘れる。彼ら宦官にとっては恩義も自分たちに有益かどうかですぐさま捨ててしまえるものなのであろう。……そこまで考え違うことに気づく。

 

 

「なるほど、想智さん考えましたわね」

 

 

 そう、何顒は上手いこと宦官を謀ったのだろう、董卓を討つように唆した。おそらく、おそらくであろうが、宦官自身を使って宦官を排除させようということか。

 

 ワタクシが董卓さんよりも宦官を討つことを優先させると知っているか……使えるならば友でも使う、ましてや利害も一致している。洛陽に入場する際にどさくさに紛れて焼き討ちにし彼女らは長安に移るのだろう。おそらくは全てを董卓に押し付けて……。清流では濁流に飲み込まれるのなら、それを飲み込む海を用意すればいいということであろうか?

 

 

「貸しがひとつですわよ、想智さん」

 

 

 ならば道化を演じましょう。

 

 

 

 

”おーほっほっほ ちょっと董卓さんが洛陽で悪政を敷いているそうですので、

 みなさんで懲らしめますわよ、だから河内に集まりなさいな“

 

 

 檄文を発するのにでもこれである、本当に馬鹿みたいに思えるかもしれない。彼女は一部の人間の前を除いてある意味猫をかぶっているのだ。ほとんどの場合彼が知る原作の袁紹のように高笑いばかりしてアフォのフリだ。ついたあだ名は名門(笑)、袁家の二大看板、うつけ。彼女が俗人に理解できない開発や改革を領地で行い、それが財を食いつぶすように見えたこともそれに拍車をかけた。他の雄たちは彼女が野心のため、董卓に嫉妬したために兵を起こしたと思うことであろう。ならばかぶる汚名はさらに増えるが、どうせやらねば公式チートに殺される、いまさらである。

 

 

「……安穏が欲しい」

 

 

「姫〜、持っていくのはこれだけ〜」

 

「そうですわね。元皓さん、文若さん兵糧はこれだけですの?」

 

 

 人の気も知らないでとも思わないでもないが、正史、もしくは演義世界を望むであろう左慈達に対抗するには武は必須である。催眠であったか、そのようなものも使えたはずだがそれの対処はどうしようもあるまい。ならば恋姫でも演義でもどちらにでも居た顔良、文醜は必須。うまくいけば恋姫のように漢土を旅するルートになるかもしれない。そうなれば三国が興ったあとに蜀にでも行ってのんびりすればいい。

 

 

「はっ!我軍の糧はこれだけであります!これとは別に諸侯にせびられるであろうものは別に確保しているであります!」

 

 

 自分の頭の大きさよりもさらに長い冠をかぶる幼女、彼女の名前は田豊元皓、真名は老老。白髪、合法ロリな元不遇の武将である。我らが麗羽様はもちろん死ぬのは嫌なので身内の話はよく聞くようにしている。田豊さんは裏切るようなお人でないが、荀彧さんはすぐに出奔しそうなので、常日頃気を使っているのだ。

 

 

「せびるってあんたねぇ……

 はぁ〜本初様、本当に攻城兵器を持っていかなくてよろしいのでしょうか?

 おそらく、いえ確実に虎牢関を攻略するならばあれらは必要になるでしょう」

 

 

 我らがツンデレ猫耳軍師の荀彧さん、登用されてから今まで、袁家にてその敏腕を思う存分揮っている。本来の恋姫なら既に曹操の下に去っているのだが、今のところはこの地に落ち着いているようだ。この二名のおかげで本来の恋姫袁紹の数倍の資金と国力を得ている。兵に関してもそこそこ精強、袁紹直属の親衛隊や顔良文醜の兵に至っては虎豹騎並みの精鋭ぞろいとの評判である。

 

 

「何を言っていますの?そんな面倒なことは他の方々にお任せすればいいのですわ。

 ……ん〜ですが、文若さんの言いたいこともわからないでもないですわねぇ〜。

 少しぐらいは持って行っても構いませんことよ?」

 

「では一軍団ほど用意させます」

 

 

 バカのフリのためあまり派手なことは出来ない、だがヤりすぎると荀彧はささっと出奔してしまう。結構、非常に胃の痛い話である。

 

 

「文ちゃん!どこにぃって!こんな所にいた!面倒臭いからって細かいこと私に押し付けないでよ!」

「げっ!顔良っ!?ひめっひめっ!助けてっ、斗詩に殺される!」

「文ちゃん!人聞きの悪いこと言わないでよ!」

「あんな文字の羅列をあたいにみせたら死んでしまう!」

 

「「またはじまった」」

 

 

 ため息をつく、軍師達とそれを少々冷めた目で見る一人の女性。そこには多分の諦めも混じっていた。

 

 

 その後、荀諶、許攸等に留守を任せることにして彼女本人の出立の準備を開始する。許攸は袁紹が洛陽にて一暴れしてすぐに彼女の下にやって来た。どうせ許攸のことである、金蔓が居なくなったのが嫌か、董卓の下での金策が難しかったかしたのであろう。本人も「金さえあれば裏切らないアルね」といっそ清々しいまでに豪語している。まぁ、それ相応の働きをするから別によいのであるが。結局八万ほどの兵を、本来ならばさらに三倍を優に越す兵を動員できるわけだが、正直金もかかるし他の諸侯に睨まれるのも面倒なので殆ど置いていく。将兵に関しても結構な数がいるが、連れて行くのは田豊、荀彧、文醜、顔良で、それ以外の将は全て無名の者ばかりである。他の袁家の有名どころは基本守備を任せ置いていく。

 

 

 

 

 

 

 

烏騅(うすい)や、もう少しゆっくり歩きなさいな。

 他の者を置いてゆけば、ワタクシが狙われますのよ」

 

 

 黒馬踵が白き、名馬あり。

 

 その黒きの濃きは、本来彼女がいつも話す優雅とは程遠い色である。それこそ彼女が本当に優雅を目指すならば白馬なのだろう、だが彼女はそうはしなかった。彼女周りを囲む親衛隊の馬も全て黒馬、彼女の乗る馬はそれより一回り二回り大きいがやはり黒馬である。その上に金の細工がされた鞍を装備し、馬の胴体を足で挟んで騎乗している。

 

 

「姫様、此度は鐙を用意せんでよろしゅうございましたか?」

 

 

 30代半ば程、口髭と顎鬚を見事にの伸ばした一人の男が袁紹の話しかける。男の名を呂誕という、兗州東平郡の生まれで後の袁家の主将呂翔、呂曠の父である。先代より袁家に仕え、袁紹が袁家を継いだ際に汝南よりこちらに移ってきた(生家があちらのため子ら二人は兗州東平郡にいるらしい)。数少ない、袁紹自身を知る人間である。他には、何顒、田豊(少々前にバレたが袁紹は気づいていない)、郭援、郭栄、劉単等である。ちなみに前者二人以外は親衛隊の隊長格であり、袁家に仕えて長いものばかりである。

 

 

「構いませんわよ、別に乗れないわけでもありませんですし。今はあまり派手なことはしない方がいいですわ。まぁ、ワタクシが広めなくとも同じものを天の御使い様が広めますわよ」

 

「天の御使いですか、恐れ多い者ですな。占家管路は何を思ったか、私は奴が気でも狂うたのではないかと、そう思いましたな」

 

「既に龍も息断える寸前、民にとっての天は龍にはないのでしょう」

 

「誰が聞いておるかわからぬのです。あまり派手なことは申さぬほうがよろしいかと」

 

「……そうですわね。ああ、もうそろそろ御輿を用意してくださいな。烏騅は後ろに回しておいてください、演技も面倒くさいものですわねぇ」

 

 

 ならば止めればいいだけの話であるが、それをしないのは何かしらのこだわりが既に彼女の中にあるのだろう。少しばかりしてやって来た御輿、地に下ろされたそれに乗ると備え付けられた座に足を組んで座る。前六人、後ろ六人の計12二人によって抱えられたそれは実は馬車よりも乗り心地が良い。

かと言って移動が遅すぎるので普段は全く使えないのであるが、彼にとっては恋姫の袁紹の乗り物=御輿で繋がれてしまっている。個人的にはこれって格好の的だよなと思い、狙ってくださいって言ってるようなものだと、ある意味原作の袁紹の大物さに感心していた。そこまでするなら乗らなければいいのに。

 

 

 ここで親衛隊の話をしよう。

 

 他の袁紹軍の兵は鱗一枚が厚さ一ミリもない粗鉄の魚鱗甲に真鍮メッキである、いわゆる太陽にすら反射する金ぴかで、晴れの日は目が痛いことこの上ない。だが、親衛隊に関しては三ミリほどの鍛造甲冑に漆を塗り、さらに甲冑に穴を開け糸に針金を巻き込んだもので更に魚鱗を繋いであるのである。

更には魚鱗にはセメントに黒を混ぜ込んだモノを薄く塗りつけている。全員が甲冑面を付け黒ずくめ、装備品、剣、槍、諸葛弩の三点セットをそれぞれ与えられ、それらまでも全てが黒く塗られ、もちろん相当な金がかかっている(剣の刀身は別)。

※諸葛弩は10連装式の弩、三国志時代一般の設置型の複数発射のものや複数装填複数発射のモノではない。ちなみに連弩と諸葛亮の関係は有名であるが、諸葛弩と諸葛亮は関係なく、両方とも連弩扱いである。

 馬も黒に統一、普通の中国馬よりも優秀な夷狄の馬を莫大な食料と引き換えに手に入れている。ついでに蹄鉄も装備済みである|(蹄鉄工の育成、未だ研究中)。親衛隊1000騎で普通の騎兵の5倍近くの金がかかっているのだ。

 

 

 そこまで金がかかっているのならば、さぞ強いのだろう。もちろん強い、元々曹操に貸し出した兵や黄巾の軍に少数突貫させた兵の生き残りで構成されており、一振りで人間を弾き飛ばす公式チート共には流石に敵わんが、それでも時間稼ぎと盾にはなる。(余談だが曹操は兵の返還の際、新兵と入れ替えて返還するかどうか迷った。)甲冑の性能で言えば、流石に強弩は無理だが、普通の弓矢ならばほとんど通さない。蹄鉄の打ち直しやらなんやらで維持費も馬鹿にならないが、虎の子であり実戦訓練以外では殆ど使われていない。今回もついでに長距離行軍の訓練ついでに同行はさせている、がおそらく出番はないだろう。

 

 

 御輿に移ってからは袁紹は軍の前方に移る。代わりに親衛隊は後陣に移り袁紹直下の兵と悟られない様にする。もちろん口止めはほとんど安心してよい。なんせ親衛隊員の全てが警邏(ある意味監視)付の一等地に住居を構えているのだ。

 

 

「目的の集合場所まで、あとどれほど時間がかかりますの?」

 

 

 金ピカ装備の前を行く袁紹軍では普通の騎兵に尋ねる、もちろん先ほどまでの会話の呂誕ではない。前方というが流石に先頭ではない、彼女の前には騎兵が三百騎が索敵合わせて展開している。

 

 

「二日ほどでしょう、今日はそろそろ夕刻、日が暮れ始めますのでもう少し開けた場所に出たら野営します」

 

 

 宣言通り、その後二刻ほどで開けた場所に出、簡易設営をはじめる。丸太でできた、差込式の簡易馬坊柵やら二メートルほどの見張り台などである。見張り台等を組み立ても実際は殆ど今のところ役には立たない、なんせ奴さんは洛陽付近の関に閉じこもり出てこないはずだからである。これが集結する前に各個撃破等でも試みれば、地形的周囲の地理においても待つのは挟撃であり、そうなった場合敗北が確定するのでまずない。と言っても、今の段階で袁紹軍が壊滅すれば連合結成すらもおぼつかないだろう。流石に賭けの要素が強すぎるので、董卓軍の軍師であり、できる限り確実な結果を求めるであろう賈詡等は絶対に繰り出さないことが分かっている。これがもし曹操ならば一か八かに賭けて出撃したかもしれないが……

 

 

 そして二日、同じように行軍し続け、宣言通りに目的の場所へと到着した。まだほとんどの諸侯が到着しておらず、孫旗と鮑旗、陶旗が翻るばかりである。袁紹はそのまま設営を命じると、親衛隊の数騎のみを従え虎牢関へと向かう。

 

 

「……関というよりは城塞ですわね」

 

「ふむ、姫様は見たことがありませんでしたかな?」

 

「洛陽を出た時は、見つかりにくい獣道に毛が生えた程度のものを選びましたわ。あの時はそこまでの数がいたわけではございませんもの。まあ、おそらく塞がれているでしょうし、兵も置かれているでしょう。何よりその道を通れば時間がかかりすぎますわ」

 

「ですが、相手は天下に名高い虎牢関、順当に攻めれば被害が大きくなりませぬか」

 

「諸侯は名を得るためにこの地に集まっておるのですわよ。関を落とす役目を誰かに押し付けるならまだしも、董卓の将が守る城を回り道をしたら臆病風に吹かれたかと、こぞって笑うでしょう。それこそただの侵攻ならば、これらも気にする必要がなかったのでしょうけれどもね」

 

 

 それから二刻馬を走らせたであろうか、ようやく目的の虎牢関の姿が見え始める。なるほど、関とはよく言ったものか、谷間の中央に要塞を置き左右の隙間を城壁で埋めている。※本来後漢の時代では虎牢関は関ではなく、城塞であったらしい。汜水関と虎牢関は今回同一の物の別称として扱う。左右の薄い城壁を攻めようとすれば城壁と要塞からの攻撃、普通に前方から真っ向に攻めても高く頑丈な門扉。難所の名を欲しいままにしておろう。

 

 

「そろそろ戻りますわよ、これ以上は目立ちましょう。いつ他の諸侯も着陣するかわかりませんし、挨拶に来たときいなければあとが面倒ですわ」

 

「ふむ、そう言ううちに遠目にて気づかれたようですな、非常に目が良いものがいるようです。広目天の千里眼もかくやとこそ、これで顔まで判別されていたら笑えましょうな。今はまだあちらも様子見のようですが……、これ以上滞在すると向かってくるでしょう」

 

「広目天ですか?」

 

「遥か西より伝来した教えにある千里を見渡す者の名です。あまり広く知れ渡っているものではないので、知らなくてもよろしいでしょう」

 

「そうですわね、興味も殆どないですし」

 

 

 そこまで呟き共に踵を返す。元々そこまでの情報は必要ない、単に興味がてらに有名な戦場を眺めに来ただけである。彼女と話す呂誕、そして少し離れた位置よりそれを眺める親衛隊。このとき袁紹は外套をまとい、その目立つクルクル頭|(髪型であり中身の話ではない)をストレートに降ろしていた。金髪は目立つが、これだけでも結構印象が違う。虎牢関にもそこまで|(人影がギリギリ見えるぐらい)近づかなかったので、彼の言ったようにおそらく誰かという所までは気づかれていないだろう。

 

 

「しかし、自分でやったとはいえ、あの鎧は目立ちますわねぇ〜」

 

「ここからも光の反射が見えますな。ですがよろしいのでは?晴れの日ならば弓で狙われた際には目くらましになるやもしれません」

 

 

 そう簡単に董卓軍の兵が出撃しても追いつけない位置まで馬を走らせ、その後は歩かせる。毎度のごとく呂誕は横に、残りは前に三騎、後ろに四騎である。

 

 

「……確かにそうかもしれませんが、朝駆、夜駆には絶対使えませんわね。普段は私のように外套を用意させましょうか?全く、軍とはお金がかかりますわ」

 

「ならば軍が必要のない、姫様が漢を再び立て直せばよろしいでしょう。あなた様が立ち、天下に名を轟かせるのはそれこそ袁家に使える者たちの悲願でありましょうぞ」

 

 

「……そう簡単にそれができたら困りませんわよ」

 

 

 消え入りそうな、隣に居る呂誕には聞こえるか聞こえない程度に呟き、最後に袁紹は烏騅を駆けさせ、前をゆく三騎を追い越し陣へと走り去る。もちろん他の者も慌ててそれを追うが、かたや名だたる馬に匹敵する烏騅、もう一方もそこそこ名馬であるが、流石に烏騅には及ばない。彼らはあっという間に引き離され置いてかれてしまった。結局彼らが彼女に追いついた?のは、陣の入口の前で袁紹が勝ち誇った目で親衛隊員を眺めている所であった(人はそれを最後まで追いつけなかったと言う)。


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