異端なる冒険   作:アカい宇宙

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《異端者》山城和泉

スペイン マドリード 病院の近くにあるバールにて

 

 常日頃であれば地元民たちによって賑わっているであろうバールであるが、今日は違った。人影が老人と少女しかないのだ。それもそのはず少女ひいては少女が所属する魔術結社が貸し切ったのだから、そして少女が老人に怒りを鎮めながら、ストレスを飲み込みながら話しかける。

 

 「それで出雲さん。我らが王、もとい命を投げ捨てようとした馬鹿の容体はどのような感じですか?」

 

 清々しいほど魔術師が奉るべき神殺しの王に対して敬意を表さない。ここまでくれば無礼すぎて見逃されるであろうほどの暴言。とても金髪金眼の美少女の口から出たとは思えない。

 

 「ええっとね。なんて言えばいいのかな、彼の容体はあまりマリアには話さないでくれと言われているからね。だから悪いんだけどあんまり説明できないんだ。まぁしいていうなら神殺しへと転生した時に全ての怪我が治ったみたいだから今は検査入院させられているくらいだよ。もう直ぐ退院することになる。彼はせっかくスペインに来たんだから観光地巡りするぞーって叫んでたよ。だから、あと1時間ぐらいすれば抜け出してくるよ。多分ね」

 

 出雲さん。そう呼ばれた老人はマリアと呼んだ少女を怒らせないように慎重に言葉を選んで話している。しかしだからと言って少女が怒らないわけがない。あの時は方法がなかったとはいえ、大騎士と呼ばれる領域にすら至っていない友人を単身神へと向かわせたことは今でもマリアが後悔していることなのだから。

 

 神を相手に時間を稼ぐのはいいが別に、アレを倒してしまっても構わんのだろう?なんて冗談を口にするよう仕向けたのはマリア。結果がどうであれ心配で心臓が押し潰されそう。

 

 そんな状況でさえ少年はマリアに心配をかけないように振る舞った。

 

 だからこそマリアは切れている。友が自分を頼らなかったことに怒っている。手を貸してくれ、その一言さえあれば命だってかけられたのに

 

 「私が彼と別れる前に彼がなんでいったか知ってますか?マリアには心配をかけたくないんだ。今までだって散々迷惑をかけたから。なんて言われたんですよ。そんな今生の別れみたいに別れた後に神様殺して検査入院なんてふざけてると思いませんか?私に心配かけさせた以上私にだって怒る権利はあるはずです」

 

 「いやぁ…しかしねえあんなに風に死ぬ覚悟で行ったのに生き残ったから恥ずかしくてマリアに合わせる顔がないんじゃないかな。そうじゃなかったら、病院を抜け出して観光地巡りをしようって誘ってくるしねぇ」

 

 「だとしてもです。そもそも病院まで歩いて行けるほど元気なら、私に一言くらいくれたからだっていいじゃないですか。それをあの馬鹿は私には何も言わないで勝手に病院までいって、その上なんです典礼団の依頼でこうなったからには典礼団が入院費を払えばいいですって?一言ぐらい言っていけって話ですよ。おかげで私はやらなくていいはずの書類仕事が増えたんですから。そもそもの話アレはあなたの孫でしょう?自分の孫のことくらい手綱を握っておかなきゃいけないのでは?」

 

 そんな発言に対して出雲は信じられないと言った目を向ける。

 

 「ねぇ……それが自分にブーメランが跳ね返ってくる発言だと知った上で発言してるの?君の祖父のシドからしたら君みたいな可愛い孫娘に命を賭けて欲しくないって思っていたはずだよ。それでも君がやるって言ったから仕方なく許可を出したはずなんだ。君が暴走する方が大変だから」

 

 「んぐ……仕方ないじゃないですか。やっぱり今回のことでミスが重なっていたのは私も同じだったんですから。名誉挽回できる機会があればやりたいと思うのは悪くないはずです。それにそれとこれとは話が別です。今はあの馬鹿が私に一言すら言わなかった話なのですから」

 

 神殺しにお似合いのろくでなしたちはバールで管を巻く。

 

 「で?結局どうするの新たな神殺しを支えるために一緒に来るの?来ないの?あいつが出てくる前に決めなきゃだよ?」

 

 「そんなのはもう決まっています。彼がまつろわぬ神に挑んだ時から私たちは一蓮托生、生死を共にすると誓ったのですから」

 

 その後ろからひっそりと近づく1人の少年、誰であろう。話に出てきた神をも殺す馬鹿である。ニタリと不気味な笑みを浮かべながら少女を煽りに行く。

 

 「それを俺が病院から出てくる時に言うなんて恥ずかしいね。俺だったら恥ずかしくて穴の中に入っちゃうね」

 

 「いたんだったら!!話を止めなさいこの馬鹿者!!」

 

 「あっははは……おかえり我らが王様。それともこう言うべきかな?よく帰ってきたな馬鹿孫よってね!!!」

 

 「ああ……ただいま。出雲、マリア」

 

 どのような時にあっても希望を捨てずに抗う。だからこそ少年は神殺しへと至ったのだ。

 

 かくして侃侃諤諤。文句を言いながらも新たに誕生した神殺しを支えることを誓う者と神殺し。

 

 

 

 これこそがのちに異端者の二つ名を得ることになる四人目の神殺しとその配下

 

 神殺しの少年と世界屈指の封印術師の出雲とスペインが誇る天才騎士マリアの一幕であった。

 

 さあ!!運命の歯車は回り始めたばかりだ!!今ここに始まりを!!! 天に背く反逆者に天罰を!!!人類は救われる!!神よ恐れたまえ新たな神殺しの獣が生まれたぞ!!

素朴な疑問なのですが、原作カンピオーネ!読んだことあるよという方は、どのくらいいらっしゃいますか ?

  • 読んだことない 。
  • ちょっと読んだことある 。
  • 全巻読んだことある 。
  • 全巻と神域とレルムズ読んだことある 。
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