隠居したわたしが訳あり少女に"幸せ"を教えようと思う   作:けーか

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シンガーソングライターの活動も頑張ってほしいですね。


過去編:人にまともな贈り物なんてしたことないけど何を選べばいいのだろうか(1)

 たい焼きを食べた後、からあげやお団子を食べながら歩いていれば既に星堕対策機関(Stelladusk Eradication Agency)本部を出てから既に昼をまわるくらいに時間が経過していた。

 

「あ、澄色(くれあ)ちゃん。ここ入ってもいい?」

 

 そう言って絵原(ぬいはら)さんが指したのは……雑貨屋、だろうか。

 大きく開けていて店の奥まで見えるような作りになっているが、この商店街にあったお店のなかでも特に広いだろう。

 店先には靴下や帽子のような服飾小物が置かれており、奥の方にはアクセサリーだったりインテリアだったり……動物のぬいぐるみがこちらを覗いていたり。

 

「いいけど、何か買うの?」

「うん、まあ、ちょっと」

 

 少し、言葉を濁される。

 絵原さんは明るく感情的なように見えるため、勢いよく話しそうなものだが、実際は今のように言い淀むようなことが多い。

 雑貨屋の中に入っていく絵原さんの後に続く。

 店先からでは見えなかった場所には、食器や文具なんかが置かれている。

 

「うーん」

 

 色々なものがあるので、少しキョロキョロとしていて目を離していると、絵原さんの軽い唸り声のようなものが聞こえてくる。

 アクセサリー類……?

 ヘアゴムやヘアピンが置いてある辺り。

 

「何見てるの?」

「んー、澄色ちゃんさ。髪伸びちゃってて邪魔そうにしてるから、いいのないかなーと思って」

 

 かみ。

 確かに。

 最後に切ったのはSEAに入る前なので、当時は肩にかからないくらいだった髪が、今では腰ほどまでに伸びている。

 せめてしばらないといけないのは(わか)っているのだが……。

 まあでも、買う機会が巡ってきたわけだし、何か買ってもいいかもしれない。

 見てみると、花やリボンといったワンポイント(チャーム)のついたヘアゴムがずらーっと並んでいる。

 ……こういうのは、わたしには少し可愛すぎる気がする。

 

「澄色ちゃんなら、こっちの方じゃないかな?」

 

 絵原さんがわたしの見ていたところから、少しずれたところを指す。

 ワンポイント(チャーム)のついたヘアゴム、というのは同じ。

 しかしこちらはワンポイント(チャーム)が小さく、ビーズや(シェル)といったシンプルなものが多い。

 

「いつものお礼にどうかなー、って。私買うからさ」

「えっ、お礼ならさっきまでで十分……というか。返しておきたいくらいなんだけど?」

 

 たい焼きの後。

 からあげやお団子までお金を出されてしまった。

 払おうとする前に払われて、お礼だからの一点張り。

 あまり品のある考えではないかもしれないが、現状わたしの方が稼いでいると思うので、それが負い目に拍車をかける。

 渋るわたしを見て、絵原さんが少し考えた後に言う。

 

「えっ、あー……。じゃあ、さ。一緒に出掛けた記念で、二人で買うのはどう、かな?」

 

 こういう機会はそうないだろうし、と絵原さんが付け加える。

 ――まあヘアゴムは、ずっとほしいとは思っていたし。

 こういう機会がほとんどないのも、事実だ。

 

「……自分の分は、自分で買うから」

 

 これは流石に譲れない。

 確かに絵原さんはわたしより年上だが。

 わたしは絵原さんの先輩でもあるのだ。

 

「ん。んー、じゃあさ! お互いに似合いそうなのを相手に買うのはどう?」

「あー」

 

 それは。

 それは、いいかもしれない。

 自分にどういったものが似合うのか、というのはあまりピンとこないが、絵原さんに似合うものを選ぶなら、多分できる。

 ずらっと並べられたヘアゴムを改めて見る。

 絵原さんは別に、わたしのようにヘアゴムがないわけではないので、ほかのもの……アクセサリー類とかでもいいのかもしれないが。

 ピアスやペンダントといったアクセサリー類をつけている人がSEAもはいないため、縁遠いものとして感じてしまう。

 それにそういうものを付けていると、任務の際に邪魔になる可能性もある。

 今の絵原さんのヘアゴムを確認しようと横目に見てみるが、ヘアゴムがあるであろう部分が髪で覆われていてよく見えない。

 まあ隠しているということはシンプルなものなんだろう。

 くっ、わたしのセンスで選ぶしかない……。




遅くなってごめんなさい!
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