隠居したわたしが訳あり少女に"幸せ"を教えようと思う 作:けーか
たい焼きを食べた後、からあげやお団子を食べながら歩いていれば既に
「あ、
そう言って
大きく開けていて店の奥まで見えるような作りになっているが、この商店街にあったお店のなかでも特に広いだろう。
店先には靴下や帽子のような服飾小物が置かれており、奥の方にはアクセサリーだったりインテリアだったり……動物のぬいぐるみがこちらを覗いていたり。
「いいけど、何か買うの?」
「うん、まあ、ちょっと」
少し、言葉を濁される。
絵原さんは明るく感情的なように見えるため、勢いよく話しそうなものだが、実際は今のように言い淀むようなことが多い。
雑貨屋の中に入っていく絵原さんの後に続く。
店先からでは見えなかった場所には、食器や文具なんかが置かれている。
「うーん」
色々なものがあるので、少しキョロキョロとしていて目を離していると、絵原さんの軽い唸り声のようなものが聞こえてくる。
アクセサリー類……?
ヘアゴムやヘアピンが置いてある辺り。
「何見てるの?」
「んー、澄色ちゃんさ。髪伸びちゃってて邪魔そうにしてるから、いいのないかなーと思って」
かみ。
確かに。
最後に切ったのはSEAに入る前なので、当時は肩にかからないくらいだった髪が、今では腰ほどまでに伸びている。
せめてしばらないといけないのは
まあでも、買う機会が巡ってきたわけだし、何か買ってもいいかもしれない。
見てみると、花やリボンといった
……こういうのは、わたしには少し可愛すぎる気がする。
「澄色ちゃんなら、こっちの方じゃないかな?」
絵原さんがわたしの見ていたところから、少しずれたところを指す。
しかしこちらは
「いつものお礼にどうかなー、って。私買うからさ」
「えっ、お礼ならさっきまでで十分……というか。返しておきたいくらいなんだけど?」
たい焼きの後。
からあげやお団子までお金を出されてしまった。
払おうとする前に払われて、お礼だからの一点張り。
あまり品のある考えではないかもしれないが、現状わたしの方が稼いでいると思うので、それが負い目に拍車をかける。
渋るわたしを見て、絵原さんが少し考えた後に言う。
「えっ、あー……。じゃあ、さ。一緒に出掛けた記念で、二人で買うのはどう、かな?」
こういう機会はそうないだろうし、と絵原さんが付け加える。
――まあヘアゴムは、ずっとほしいとは思っていたし。
こういう機会がほとんどないのも、事実だ。
「……自分の分は、自分で買うから」
これは流石に譲れない。
確かに絵原さんはわたしより年上だが。
わたしは絵原さんの先輩でもあるのだ。
「ん。んー、じゃあさ! お互いに似合いそうなのを相手に買うのはどう?」
「あー」
それは。
それは、いいかもしれない。
自分にどういったものが似合うのか、というのはあまりピンとこないが、絵原さんに似合うものを選ぶなら、多分できる。
ずらっと並べられたヘアゴムを改めて見る。
絵原さんは別に、わたしのようにヘアゴムがないわけではないので、ほかのもの……アクセサリー類とかでもいいのかもしれないが。
ピアスやペンダントといったアクセサリー類をつけている人がSEAもはいないため、縁遠いものとして感じてしまう。
それにそういうものを付けていると、任務の際に邪魔になる可能性もある。
今の絵原さんのヘアゴムを確認しようと横目に見てみるが、ヘアゴムがあるであろう部分が髪で覆われていてよく見えない。
まあ隠しているということはシンプルなものなんだろう。
くっ、わたしのセンスで選ぶしかない……。
遅くなってごめんなさい!