隠居したわたしが訳あり少女に"幸せ"を教えようと思う   作:けーか

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どうも百合豚です。名探偵プリキュア!は百合だと思います。


過去編:人にまともな贈り物なんてしたことないけど何を選べばいいのだろうか(2)

 今日のような髪型を普段することは、まだしばらくないだろうから、それは考慮しないので単純に彼女の明るいブラウンの髪に合うものを選べばいい。

 絵原(ぬいはら)さんなら目立つようなチャームでも似合うだろうが、今回はお互い"送り合う"わけなので、絵原さんがわたしに似合いそうと言っていたようなシンプルなものを見る。

 さっき目についたビーズや(シェル)に加えて、ストーン系やプレートといったシンプルなものが並んでいる。

 似合う色としては……シルバーや透明(クリスタル)なら合うだろうか。

 まあその二色は、ある程度どんな髪色にでも似合いそうなものだが。

 

 ――頭を掠めるのは、あの厭世的な目。

 (くら)く、(くら)く、(くら)いあの目を思い出す。

 夕焼けのような茜色のものを探してしまうが、ブラウンの髪にはあまりに合わないかもしれないと思い――ああ、いや。

 あのブラウンの髪も、そう遠くないうちに、わたしと同じような色になってしまうのか。

 絵原さんは最前線で戦闘をするわけではないが、だとしても星堕(ほしおち)が消滅する際に散らす星片(stella dust)の影響は受けてしまう。

 やはり髪色が変わる前と変わってしまった後の、どちらでも付けられそうなシルバーや透明(クリスタル)か……。

 そこまで思考して、いくつかに当たりをつけてみる。

 一人だったら「うーん」などと唸っていたかもしれない。

 こんなに何かについて真剣に考えたのも久しぶりだ。

 ――ふと。

 目に留まったものがひとつ。

 透明(クリスタル)の、小さいチャーム。

 慎ましやかなサイズでありながら入った光が内部で反射して、その小ささを感じさせない存在感を放っている。

 無難だと、思われるだろうか。

 そんな思考をしてしまうが。

 まだ二か月ほどの付き合いとはいえ、絵原さんがそういうことを思う人でないことは理解できている……はずだ。

 

「ええい、ままよ……!」

 

 見れば絵原さんも決まったらしく、何かを持っている。

 どんなものかは見えないように持っているが、服を見ればわかる。

 絵原さんはファッション強者……!

 そんな絵原さんにヘアゴムを送るという行為の重さが肩にのしかかる。

 似合うとは思うし、これ以上に似合うものを見つけられる自信もないので、このままこれを選ぶしかないのだが。

 絵原さんの提案に乗ったのはわたしであるわけだし。

 それに。

 絵原さんはわたしへのお礼だと言って、色々してくれたが。

 お礼をしたいのは、わたしの方なのだ。

 一人で星堕を狩っているだけの人生が、変わるような予感をくれた絵原さんへのお礼を。

 絵原さんがいなければ、お休みなんてもらっても、何をして過ごせばいいのか分からずに、ただ無為に溶かしてしまっていただろう。

 

「ありがとうございましたー」

「ありがとうございまーす」

 

 声がした方を見ると、絵原さんが既に買い終えている。

 わたしも買わなければ。

 

「すみません、これお願いします」

「はい、一点で七七〇円になります」

 

 相場というのがわからないので、比較のしようがないが、お金であれば使う暇もなく余らせているので、そこまで興味もない。

 

「これ、さっきの方へのプレゼントですか?」

 

 わたしがお金を渡すときに、店員さんがそんなことを聞いてくる。

 

「あ、すみません!不躾に……とても似合いそうだと思ったので、つい」

「似合いそう……本当ですか?」

「はい、とてもお似合いになるかと!」

 

 正直、そう言っていただけるのはすごく嬉しい。

 こういったお店をやっている人が言うのであれば、間違いはないと思うので少し安心だ。

 

「しっかり渡せるよう、応援してますねっ!」

「ありがとう、ございます」

 

 面と向かって応援されるというのは、相手が知己かどうかに関わらず、少し気恥ずかしい。

 しかし、だ。

 この直前になって、少し臆病な自分が顔を出そうとしていたので、小さな勇気をくれたその言葉が。

 わたしを、後押ししてくれたような気がした。




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