隠居したわたしが訳あり少女に"幸せ"を教えようと思う 作:けーか
今日のような髪型を普段することは、まだしばらくないだろうから、それは考慮しないので単純に彼女の明るいブラウンの髪に合うものを選べばいい。
さっき目についたビーズや
似合う色としては……シルバーや
まあその二色は、ある程度どんな髪色にでも似合いそうなものだが。
――頭を掠めるのは、あの厭世的な目。
夕焼けのような茜色のものを探してしまうが、ブラウンの髪にはあまりに合わないかもしれないと思い――ああ、いや。
あのブラウンの髪も、そう遠くないうちに、わたしと同じような色になってしまうのか。
絵原さんは最前線で戦闘をするわけではないが、だとしても
やはり髪色が変わる前と変わってしまった後の、どちらでも付けられそうなシルバーや
そこまで思考して、いくつかに当たりをつけてみる。
一人だったら「うーん」などと唸っていたかもしれない。
こんなに何かについて真剣に考えたのも久しぶりだ。
――ふと。
目に留まったものがひとつ。
慎ましやかなサイズでありながら入った光が内部で反射して、その小ささを感じさせない存在感を放っている。
無難だと、思われるだろうか。
そんな思考をしてしまうが。
まだ二か月ほどの付き合いとはいえ、絵原さんがそういうことを思う人でないことは理解できている……はずだ。
「ええい、ままよ……!」
見れば絵原さんも決まったらしく、何かを持っている。
どんなものかは見えないように持っているが、服を見ればわかる。
絵原さんはファッション強者……!
そんな絵原さんにヘアゴムを送るという行為の重さが肩にのしかかる。
似合うとは思うし、これ以上に似合うものを見つけられる自信もないので、このままこれを選ぶしかないのだが。
絵原さんの提案に乗ったのはわたしであるわけだし。
それに。
絵原さんはわたしへのお礼だと言って、色々してくれたが。
お礼をしたいのは、わたしの方なのだ。
一人で星堕を狩っているだけの人生が、変わるような予感をくれた絵原さんへのお礼を。
絵原さんがいなければ、お休みなんてもらっても、何をして過ごせばいいのか分からずに、ただ無為に溶かしてしまっていただろう。
「ありがとうございましたー」
「ありがとうございまーす」
声がした方を見ると、絵原さんが既に買い終えている。
わたしも買わなければ。
「すみません、これお願いします」
「はい、一点で七七〇円になります」
相場というのがわからないので、比較のしようがないが、お金であれば使う暇もなく余らせているので、そこまで興味もない。
「これ、さっきの方へのプレゼントですか?」
わたしがお金を渡すときに、店員さんがそんなことを聞いてくる。
「あ、すみません!不躾に……とても似合いそうだと思ったので、つい」
「似合いそう……本当ですか?」
「はい、とてもお似合いになるかと!」
正直、そう言っていただけるのはすごく嬉しい。
こういったお店をやっている人が言うのであれば、間違いはないと思うので少し安心だ。
「しっかり渡せるよう、応援してますねっ!」
「ありがとう、ございます」
面と向かって応援されるというのは、相手が知己かどうかに関わらず、少し気恥ずかしい。
しかし、だ。
この直前になって、少し臆病な自分が顔を出そうとしていたので、小さな勇気をくれたその言葉が。
わたしを、後押ししてくれたような気がした。