元自衛隊員、学園都市で教師になる 〜暁に咲く約束のエレジー編〜   作:風間しんや

11 / 13
第九話

第九話

キヴォトス領海近海

 ニミッツ級航空母艦艦内

「甲板を制圧する」

先生は静かに言い、足音を殺して通路を進む。

 

「え?ブリッジじゃなくて?」

ヒナが首を傾げる。

 

「空から追加の増援が来るんだ」

と、先生は短く答え、20式小銃に実弾入りのマガジンを装填する。

金属の擦れる音が低く響く。

 

「よし……行こう」

 

彼の声に、全員が小さく頷いた。

「背を低くして。いくら弾丸で怪我しないとはいえ、被弾しすぎると保たない。それに――その顔が台無しだ」

 

その一言に、背後で頬を染める二人。

その気配に気づかぬまま、先生は一歩前へ。

影が揺れた瞬間、兵士の喉元にナイフが走った。

――静かに、ひとりの命が絶たれた。

 

 

 サンクトゥム・タワー司令室

「海岸に展開していた戦車部隊の到着まで、あとどれくらいですか!」

リンが声を張る。

 

「遅くとも約二十分です!」

オペレーターの声が混線する通信の中から返ってきた。

 

「敵部隊の侵攻率は?」

 

「DU北側、西側からの増援が増加傾向です!

 ヴァルキューレ警察学校の公安課とSWATが対応中ですが――市民の避難誘導もあり、苦戦しています!」

 

報告を聞くリンの表情が一瞬だけ歪む。

それを後方で見ていたサオリは、小さく息を呑んだ。

 

「(無理もない。相手はこちらよりも手慣れた部隊……苦戦は当然だ)」

 

タワー内に鳴り響く警報音が、二人の思考を急かす。

 

「RABBIT小隊からの連絡は?」

 

「DU地区にいることは確認していますが、足止めを受けています! 増援を求めています!」

 

「……っ」

短く息を吐くリン。

彼女は一瞬、指先を握りしめた。

 

「西側より増援要請!」

「北側防衛戦より、戦線維持困難との報告!」

 

矢継ぎ早に飛び込む報告が、室内の空気をさらに重くする。

 サオリはふとあることを提案する

「リン行政官、先生の国へ救援要請をしてみてはどうだろうか?キヴォトスはニホンのゾッコクと聞いたことがある、事情を聞けば取り合ってくれるんじゃないか?」

 それにリンは首を横に振る

 同時刻、同じ質問をヒナからされた先生は答える

「日本の軍……つまり自衛隊は他国の争いに介入ってよりも自国――つまり国土を守るのが役目なんだ、他国へ派遣されたときも武器も最低限持たされるけどあくまで自衛用、自衛隊は他の派遣されてきた国の戦闘補助が主な行動になる」

「なんでそんな……」

とヒナは呟くと

「日本は被害を出しすぎたんだ、過去の戦争で……だから〝もう争いはやめて、国を守ることに専念しよう〟そう考えた結果が自衛隊なんだ」

[核兵器を持たず、過剰な戦力を持たず、そして自国を守れる力]

 それが自衛隊――そして、かつて僕がいた場所

 先生は顔を曇らせながら答える

 

 リンは説明を終えて、サオリの方を向く

「取り合ってはくれなくはないのですが、協議などの話し合いが入り、その間にもこちらの状況は悪くなる一方だと思うので期待はしないほうがいいでしょう」

 と言うリン、それにサオリは小さく頷く

 

「……さて、戦線の立て直しですが……」

 とリンが話を切り出すと

「それなら心配ない、今、姫……アツコがアリウス自治区から皆を呼びに行っている、ざっと100人だ」

 その頃アリウス自治区とトリニティ自治区との間をつなぐ通路――カタコンペを通じて数十人のガスマスク装備のグレネードランチャーやライフルを持った少女達がアリウススクワッドのアツコを先頭にサンクトゥム・タワーへと向かっていた

「助かります」

 とリンは礼を述べる

「礼を言われるほどではない」

 とサオリは言うと

「RABBIT小隊より通信!現在、敵部隊を制圧しこちらへ向かっているとのこと!間もなく西側第二次防衛ラインへと到着するとのこと!」

 とオペレーターの一人が声を張って言う、そしてそれに続き

「海岸線に展開していた戦車部隊は現在DU東地区の敵部隊と交戦中!もうまもなくで侵入できるとのこと!」

 立て続けに入ってくるその知らせは重かった空気を軽くしていきそしてやる気を漲らせる

 

 その頃DU地区西側

 銃声が鳴り響き、爆発が起こる

「RABBIT2、攻撃開始!」

 そう叫び攻撃ヘリからロープを伝って降下してくるのはサキ、彼女は器用にそのロープだけで体を支えながらライフルや手榴弾を使い、敵集団を殲滅していく

「RABBIT1、現着、直ちに攻撃を開始します!」

 その下でスマホを片手にラジコンを操作しそのラジコンを敵の集団へと走らせるのはミヤコ

「ら、RABBIT4、援護します……」

 とゴミ箱などを転々としながら狙撃位置を変えているのはミユ

 そしてサキが乗っている攻撃ヘリを操縦しているのはモエだ

 彼女達は今、西側第二次防衛線へ向かう敵の増援を制圧していた

 そして今、それが終わった

「敵部隊の増援の制圧完了、合流を急ぎましょう」

 とミヤコは言い、彼女達はサンクトゥム・タワーへと急ぐ

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。