元自衛隊員、学園都市で教師になる 〜暁に咲く約束のエレジー編〜   作:風間しんや

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第五話

第五話

次彼が目覚めた時質素な天井が目に映る

「…………」

 近くでは電子音が規則的に鳴りすぐに病室だと理解した

「…………」

 体を起こしてみるが胸のあたりが痛む

「(……慣れないことをさせちゃったな……)」

 心のなかでそう思いつつ立ち上がろうとすると、彼のいた病室の扉が開く

「……あ、先生」

 その声の主はサオリだった

「サオリ……、良かった、……リンはどこ?心配かけたし」

 と立ち上がろうとする先生、点滴の針を腕から引き抜き、ベッドから起きようとすると、

「先生!まだ治りかけなんだ、安静に」

 と言うがそれを聞かない先生、仕方なく彼女は肩を貸してリンのいる元へ向かう

 その道中、先生は口を開く

「……サオリ、その怪我は?」

 よく見ると彼女の体にはあちこち傷付いており包帯などが巻かれていた

「…………、〝少し〟転んでしまってな」

 とかは答えるが

「…………嘘はいい、何か良くない方向に事が進んだ……ってこと?」

 と先生は尋ねるが、サオリは黙ったままだった

 

 サンクトゥムタワー司令室

「各地域の防衛ラインを再度整えてください、次またいつ来るか分かりません!」

 その司令室で指揮していたのはリンだった

 本来この役職は防衛室長であるカヤの担当だが、彼女は今拘禁中な為リンが担当している

 彼女は扉が開いたことも気づかずにいると

「リン行政官……先生が目覚めたのだが……」

 とサオリが声をかけたことで気付く

「!!、先生!」

 急いで振り返り目を輝かせるリン

「あはは、迷惑かけたかな……?」

  微笑む先生は空いた手を振る

「よかったです……」

とリンはホッとするが

「それで?何があったの?」

先生は尋ねる

「………、お見通しでしたか……」

とリンはため息混じりに言う

 

 

[それは先生が重傷を負って帰還した時]

「急患です!」

セリナは先生を乗せたストレッチャーを押してゲヘナ学園に入る

「トリニティの生徒がなんで?」

そう言われるが彼女は気付いていない

「こちらです」

そう声をかけたのは救急医学部の生徒――セナだった

「ありがとうございます」

セリナはそう言い運び込む

「した…患者は」

と尋ねようとしたがその顔を見て理解する

「右肺に弾丸が、左肺は血糊と言っていますが、念のため確認を」

そうセリナは言い

「了解です」

とセナは答える

 

その一報を聞いたリンは驚く

「先生が撃たれた!?」

その報告を持ってきたのは、血濡れたヒナだった、涙を流した後があり、少し虚だった

「……ええ……1発目は先生に………2発目が私に来たのを……」

と堪えきれず泣き出すヒナ、それを風紀委員会副委員長のアコが寄り添い慰める

「……分かりました」

とハンズフリーで誰かと話していたミヤコは答えて通話を切る

「先生は今、手術室に入りました」

「分かりました」

とリンは答える

しかしこの時、ここにいたほとんどの生徒が悲しみと同時に怒りを持っていた

 

翌朝、ヴァルグラント連邦からの通信がある

「まさか、回答をせず無理やり奪うとは……少々、舐められたものですな?」

ヴァルグラントの大統領はため息混じりに言う

「貴国の要求には応えられないと判断したからです」

とリンは鋭い目つきで睨む、彼女だけではない他の生徒たちも彼を睨んでいる

「貴国の若者を奪い取った? いい戯言だ。君たちの“救出”は、ただの泥棒返しに過ぎない。国際社会は我々の側を見るだろうな。」

「!!」

それにリンは怒りを覚える

「致し方あるまい、貴国がそのような行動をとるならば、我が国もそれなりのことをする」

そう言い残し通信は切れる

 

翌日からキヴォトスは騒々しかった

「オーライ!オーライ!ストップ!」

戦車の誘導をしていたゲヘナの生徒はそこにずらりと並んだ戦車に少し唖然とする

それだけでは無い、その後ろには迫撃砲も置かれている

そしてサンクトゥムタワーの周りには何台ものバスが止まり、そこからトリニティ、ゲヘナ、アリウスの生徒たちが降りてくる

綺麗に整列した彼らはリンから指示を受け、それぞれの持ち場へ向かう

そうしてその日のうちにキヴォトスは臨戦体制を整えた

 

今回、キヴォトスはその持てる力を全て投入してこの戦いに臨んでいた

海上には2隻の護衛艦「あさぎり型護衛艦」と「むらさめ型護衛艦」そして「こんごう型イージス艦」だ、3隻で三角形を描くような陣形を組んでおりそれは眼前に広がる太平洋を監視していた

 

そしてその日の晩

「行政官!」

連邦生徒会の生徒が1人が走って彼女のいる部屋へと入ってくる

「敵がもう領海に来ています!」

それを聞き、彼女は座っていた椅子から立ち上がる

 

彼女はサンクトゥムタワーの司令室に行き指揮を取り始める

「ゲヘナ学園戦車隊、準備は?」

リンが尋ねると

「いつでも行けます!」

答えたのはヒナの代わりに指揮をとっているアコだった

「トリニティ総合学園迫撃部隊、準備は?」

「いつでも行けます」

答えたのはナギサだった

「トリトン海軍学校、準備は?」

「いつでも!」

トリトン海軍学校の生徒が答える

それを確認し、リンは目を瞑り、息を吐き、そして告げる

「迎撃戦、ーーー開始です!」

リンが叫ぶと同時に駆逐艦の76mm単装速射砲とハープーン対艦ミサイル発射機を起動させる

「対艦攻撃よーい、敵艦距離30、速射砲射程圏内、対艦ミサイル初弾装填完了、目標、敵戦艦!」

照準が徐々に定まっていきそして敵の戦艦に定まる

「撃て!」

 リンが号令を飛ばすと同時に3隻の護衛艦から砲撃が放たれる

 そしてその後に続き迫撃砲も放たれる

 それらは全て海上に降り注ぎヴァルグラント連邦国軍の艦船をあおる

「間髪入れず第二波、撃て!」

 リンは再度号令を飛ばす

 76mm単装速射砲とハープーンは再装填し次の攻撃に備えようとすると護衛艦の艦橋に警告が鳴る

「!?」

するとレーダーをみていた兵士が言う

「ミサイル、魚雷、砲弾接近!着弾までおよそ30!」

 すると護衛艦の艦長は指示する

「CIWS起動!対空迎撃!艦回頭60度!回避!」

 すると近接防御火器――ファランクスが起動して接近するミサイルと砲弾を迎撃し、艦の角度を変えて魚雷も回避する

 

 

 するとトリトンの生徒の1人が気づく

「!、艦長!敵の上陸部隊です!」

 それを聞き艦長はブリッジの前方を見るとたしかに数隻の上陸艇が海上を走っていた、その船体に抱えているのはT-90という戦車だ

「っ!機銃でもいい!撃て!」

 そう指示するが上陸艇はそれを掻い潜り陸へと向かう

それに気付いたアコはハンズフリーへ連絡を飛ばす

「リン行政官!敵の上陸部隊です!」

 するとリンは

「ゲヘナ学園戦車部隊にて迎撃を!トリニティも可能な限りの援護を!」

 それにアコは即座に指示を飛ばす

「戦車隊砲撃用意!」

 すると待機していた74式戦車が51口径105mm砲を動かす

 この戦車は旧型だがそれなりに近代化改修もされているためキヴォトスでは主力・現役である

 砲身に初弾が装填され照準も定まる

「撃ち方よーい、撃て!」

アコの号令の後、時間差で1両ずつ発射する。

 海岸線にびっしりと約10両も並べられているため、敵からすれば多連装砲にも見えるかもしれない

 そこから放たれた砲弾は海上へ着水する

 爆発とともに揺さぶられるが、上陸艇はそれでも突き進む

「!!」

 アコはそれに気づきすぐさま指示を出す

「戦車隊後退!敵戦車が来ます!」

 その号令の後、74式戦車は砲門を海岸へ向けたまま後退する

「迫撃砲担当は戦線離脱!後方で待機しているアリウスと合流を!」

 アコはトリニティの迫撃砲を担当していた生徒へ号令を飛ばす

 しかし、アコは気付いていなかった、上陸したのは戦車だけではないことに

 上陸した戦車は1両のみである、それに気づいたゲヘナの生徒が言う

「副委員長!敵戦車は1両です!数の差でやれます!」

 そう言われアコも

「全車砲撃よーい!」

 そう指示した時だった

 敵戦車の横に1人の〝少女〟が立つ、彼女達と同じように制服を着て、そして頭の上に「ヘイロー」がある

 しかしヘイローは彼女達には見えない。

 そしてその少女は何か大きな武器を構え引き金を引く

 それが着弾すると1両の76式戦車が爆発する

「!?」

 アコはそれに驚く

「まさか、対戦車兵器!」

「全車砲撃よーい!敵に撃たれる前に叩きます!」

 その指示に従い戦車隊は砲門を動かす

「撃て!」

 アコが叫ぶと同時に砲門から砲弾が放たれ一瞬にして砂埃と黒煙により姿は見えなくなる

「や、やった?」

 そうアコが呟いたとき

その黒煙の中から「FN P90」と「H&K UMP」を構えた少女達が飛び出す

「みんなで遊ぼー!」

 と言いながら「FN P90」を撃つ小さな少女――リラと

「みんな、壊れてしまえー!」

 と叫びながら「H&K UMP」を撃つ少女――セラフィナ

 彼女達の攻撃により瞬く間に3両の戦車が破壊される

「なんて火力なの!?全車、白兵戦に!」

 アコはそう判断し、戦車を放棄する

 それをT-90の残骸から見ていたもう一人の少女――アマリアが呟く

「無駄よ」

 風紀委員の生徒が対応するために戦車から降りるが次々撃たれ、気絶する

「!?」

 何が起こっているのか分からず困惑するアコ、すると

「援護する!撤退しろ!」

 そう叫び声が響き、サオリが飛び出てくる

 リラとセラフィナへ牽制射撃を行い二人を相手取る

「…………」

 少しの間固まっていたアコだが、ハッとして指示を出す

「負傷した生徒を連れて撤退します!」

 その指示の後、急ぎ足で逃げていく風紀委員会、サオリはその後方で殿をしながら茂みの中へと消えていった

 

 こうしてキヴォトスに敵の上陸を許してしまうのだった――

 

「……話はよく分かった……」

 と聞いていた先生は言う

「上陸した敵は?」

 と先生が尋ねると、司令室の扉が開く

「しつれーします!」

 そう言いながら入室してきたのはC&C のネルだった

「ネル」

 と先生が声を掛けると

「あ、先生!目ぇ覚めたんだな!良かったぜ!」

 と言いながら先生の背中を叩くネル

「ゲホッ、ちょ、ネル!痛い!」

 と言いながらたまに吐血する先生、少し心配になったがそのまま話を続ける

「それで、ネルはどうしてここに?」

 先生は尋ねる

「それは……」

 とネルはリンの方を見る、それにリンは頷いて答える

「…………実はな」

 と彼女は語り始める

 

 




第四話そして第五話いかがでしたでしょうか?
ここまで話が来たので言いますが、キヴォトスで戦争が起こったらどうなるのかな?という疑問からこの話を書き始めました。

まぁ、戦争…いや、戦闘が当たり前のところではありますけど、気になるものではあると思います。

さて、次回話投稿日は21日を予定してます。
私は地方民なのでふぇすには行けませんが、20日に合わせて血と鉄の匂いのする話を出しても縁起が悪いので、投稿日をずらすことにしました。

それでは、また次回お会いしましょう。
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