元自衛隊員、学園都市で教師になる 〜暁に咲く約束のエレジー編〜 作:風間しんや
第六話
「俺達は行政官から依頼を受けて敵について調べてたんだ……」
と言いながらある資料をネルは取り出す
「?」
先生は疑問に思いながらそれを手に取る
そしてそこに書いてあった文字を見てその資料を握りしめる
そこに書いてあったのは――
【人工キヴォトス人兵器化計画】
「読んでわかる通り、私らキヴォトス人を〝人工的に生み出して、兵器化する計画だな」
とネルは言う
「……っ!」
先生は立ち上がりその資料を地面へ叩きつけようとするが、力が無いのか、それともそんな姿を見てほしくないのか、その手を下ろし座り込む
「………続けてくれ」
と先生が言うとネルは続ける
「3人、ヴァルグラントは作ってる、コードネームはーー
狙撃担当ーアマリア
切り込み担当ーセラフィナ
制圧担当ーリラ
そして追加で数十人の一般兵を追加予定……だ、そうだ」
ネルはそう言いながら顔写真を先生の前に出す
「調べていったら分かったんだが、先生を撃ったのはアマリアだ」
とネルは言う
「……そうか」
とだけ、先生は答える
「…先生」
とリンは声をかけるが
「……あまり言ってこなかったが、前の職場で“世界の裏側”を見てきた。そこで痛感したんだ――もう子供に悲しい思いはさせたくないって。
武器を捨てろとは言わない。ここではそれも生きる手段だからな。
けど……悪い大人に利用され、人生を壊されることだけは絶対に許さない。
だから僕は教師に戻った。どんな境遇で生まれた子でも、生徒である以上は守る。嫌われても、銃を向けられても……それが僕の覚悟だ。」
すると先生はサオリを見る
「……例を出すなら、サオリだ。
あの時の君はベアトリーチェに操られていただけで、サオリ自身の罪じゃない。責任を取らなかった“大人”が悪いんだ。
今回だって同じだ……戦わずに子供に任せた大統領こそ、責めを負うべきだろう。
大人は責任を背負うものだ。
僕が教師として、君たちの責任を背負うように……。」
と先生は語る
「……先生」
リンは先生の言葉に少し泣きそうになりながらも堪えて言う
「………さて、そうとなったらやることは決まった」
そう言いながら先生は立ち上がる
「ネル、少し休んだら彼女達の位置を調べて」
先生が指示を出すと
「任せとけ!」
とネルは応える
「リンちゃん、今動ける子を全員呼んで」
「リンちゃんではありません、……分かりました、会議室へ集めておきます」
とリンも呆れつつ了承する
「セリナ、居るね?」
と先生はいないはずのセリナを呼ぶと、彼女は一瞬で現れる
「はい……、先生、一つ言いますが、完全完治は難しいです、私とセナさんで頑張ったのですが…」
とセリナは言う
すると先生は振り向き彼女の頭に手を置き、撫でる
「ありがとう、最善を尽くしてくれたんだろ?」
先生はそのままゆっくりセリナの頭を撫で
少ししてからその場を離れた
キヴォトスのとある自治区 廃墟ビル
「……今のところ敵の追っ手は無し」
アマリアは狙撃姿勢でスコープを覗きながら眼下に広がる都市を見下ろしていた
「
とセラフィナが言う
「む〜!つまんない!みんなすぐに倒れちゃってリラつまんない!」
とリラは悪態をつく
「そういや、リーダーの撃ったやつ、「センセイ」って奴なんだってな?」
とセラフィナは言う
「……それが?」
「キヴォトス人でも無い人って話だから、今ごろ死んでんのかなって、思って」
とセラフィナは言う
「元軍人と聞いていましたが、オリジナルを庇って胸に2発も撃たれたんです、それで軍人とは聞いて呆れます」
とアマリアは言いながら見張りをやめてセラフィナ達のいるところに来る
「しかしなんでヘッドショットをしなかったんだ?頭を狙えば一瞬じゃない?」
とセラフィナが尋ねると
「事前情報はありましたが、それでもしデマがありターゲットに銃弾が効かなかった場合を想定しあえて胸を狙いました、結果胸からの出血を確認しヘッドショットを狙いましたが運悪く、風が吹き軌道が逸れました…………まぁお人好しのせいでその2発で致命傷を与えられたので一先ず良しとしましたが……」
とアマリアは説明する
「なるほど……まぁ、どのみち茂みの中で息絶えたと思うよ、脆い体だから」
とセラフィナは言う
「でしょうね」
とアマリアは答える
少し間が空いて、リラが尋ねる
「ねーねー!リーダー!」
するとアマリアはリラの方を見る
「「センセイ」ってどんな人?遊んでくれるの?」
と尋ねる、この3人の中で幼いリラはたまにこうしてアマリアへ尋ねる、そしてアマリアはわかる範囲で答えるが
「……分かりませんね、」
と答える、すると
「教官みたいなやつなんだろ?
とセラフィナが答える
「ふ〜ん」
と尋ねたのにあまり反応が薄いリラ
するとアマリアは口を開く
「あまり死人のことを口にするのはやめましょう、リラ、見張りをお願いします」
アマリアはそう言い、スープを飲む
「……は〜い」
とリラは不満げにしながら立ち上がり双眼鏡を手にして先ほどまでアマリアがいたところへ行く
リラが離れたのを確認するとアマリアは言う
「……私達、何を知っていて、何を知らないんでしょう?」
その疑問が前からなのかそれとも今出てきたのかそれはわからない、だがそれを今セラフィナに聞いたほうがいい、その考えが彼女の頭によぎる
「え……?」
その問いに彼女は首を傾げる
やはり難しすぎたか……とアマリアは思い、「いえ、何でもない」と言いそうになると
「…………私には分からない……いや、リーダーも分からないなら、リラも分からない、まぁ私たちは作られた存在、結局その程度の知識しかないんだよ、ただターゲットを殺したり与えられた仕事をこなす、それだけの存在」
セラフィナはそう告げる
この3人のうち、アマリアとセラフィナは自身がどういう〝存在〟かは理解していた、そしていずれは体が限界を迎えるか、処分されるかのどちらかであることも〝同時に理解していた〟、リラはその精神の幼さゆえに理解に苦しむとされ彼女は知らない、だがそれでも彼女もまた戦うための存在であることに代わりはない、それを知って行動に支障がでないようにというのも理由の一つであった
しかしよく聞く分かりやすい言葉であれば「仕組まれた運命」である、その意味は文字通り、
「生まれたときから既に決まっている人生」
という意味である
「…………私達は」
アマリアが何かを言いかけると
「リーダー!敵と……「センセイ」がきた!」
その声に2人は急いで立ち上がる
「先生だと!?」
「あれほどの致命傷を受けて、よく……」
とアマリアとセラフィナが驚いていると
『致命傷だったことに代わりはないさ』
とアマリアの無線から先生の声が響く
「!!」
と咄嗟にアマリアは無線を投げ捨てる
「こちらは連邦捜査部シャーレ、貴官らにある条件を提示する、それは武装放棄および無条件降伏だ、無用な争いは避けたい」
そして少しの間を開け
「承諾いただけない場合は強制的に武装解除に応じてもらう」
彼のそばにはヴァルキューレ警察学校の面々とトリニティ、ゲヘナ両学園の再編成された迫撃部隊だった戦力を整えているあたり、先生はそれも想定しているのだろう
しかし同時にアマリア達のいるビルへ侵入する人影があった
「…………」
少しの間沈黙するが、彼女達はそれに応じる気などなかった、なぜなら「任務を着実に行う人形」だからだ
「そんな条件は飲めない」
そう言いアマリアは無線を撃つ
ブツッと切れた無線に先生はため息を漏らしつつ右耳に着けたハンズフリーへ手を伸ばす
「……制圧開始」
彼がそう言い放つと彼女達のいた階の上から綱伝いに何かが突入してくる
「!!」
セラフィナは武器を構えるが、相手の放った弾丸のほうが早く武器は弾かれる
「っな!?」
そうしているうちに相手に接近され制圧される
リラは訳が分からずにいるとおでこに弾丸を受け気絶する
最後にアマリアは抵抗し、弾丸を放ちながら牽制し、 距離を取ろうとするがその相手――ミヤコは一瞬のうちにアマリアの右腕をつかみ、アマリアの背中の後ろへその腕を回す
直後、アマリアは姿勢を崩し、その場に膝をつく
そのまま両腕を抑えられ、アマリアも無力化させられた
3人の無力化をしたのはSRT特殊学園のラビット小隊だ、キヴォトスにおけるこのような隠密作戦を得意とする彼女らは今回、先生がこうなることを予見しており、迅速な制圧のために彼女達を突入させていたのである。
「……先生、ターゲットの制圧完了しました」
とミヤコは右耳に着けたハンズフリーを通じて先生へ連絡する
「……ご苦労」
と先生は答え
「ヴァルキューレに身柄を引き渡したら、キャンプへ、後で報酬も出す」
と先生は言いハンズフリーの通話を切る
その後、ヴァルキューレの尾刃カンナに指示を出し、先生はその場をあとにするのだった
どうも、作者です
まず先に……
ブルアカふぇす楽しかったですね!(配信勢)
これだけは書かせてください
では、話を変えますが、今回名前などが判明したアマリア、セラフィナ、リラこの三人はこの話を書くに当たり、若干重い話にしたいと思い人工キヴォトス人というのを考えました
(※ガンダム、特にΖやSEEDシリーズを観たことのある人なら聞き覚えのある強化人間やエクステンデッド辺りや
エヴァなら綾波レイなどといった
人工的に生み出された人
というキャラを参考に書きました)
今後どうなるかは伏せさせていただきますが、ぜひ楽しんでいただければと思います。
では、また次回