元自衛隊員、学園都市で教師になる 〜暁に咲く約束のエレジー編〜   作:風間しんや

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第七話

第七話

数時間後、ヴァルキューレ警察学校の留置所に護送されてきたアマリア達は取り調べを受けるが協力的ではなく手を焼いていた、

その後どのようにして情報を引き出すか考えていた時、先生が訪ねてくる

「彼女達と少し、話をさせてくれ」

 彼はそれだけ言い、取り調べ室に入る

同時に三人を相手にすることもだがそれを一人で対応するのは危険行為だがカンナは先生を信じ多対1での取り調べを許可した

 

 

 ヴァルキューレ 取り調べ室

「改めて挨拶しようか……僕は高橋信也、連邦捜査部シャーレの先生をやっている」

 と先生が名乗るが

「「………………」」

「…………?」

 と警戒する2人と全く状況が分からない一人は黙っている

「…………そうか、じゃあ、こうした方がいいかな?」

 と先生は懐から愛銃の9mm拳銃を取り出し自分にもそれ以外にも届かないような位置に捨てる

 そして席に戻ってきた先生へアマリアは言う

「……そんな行為で〝軍人〟の口を割れるとでも?」

 とアマリアは睨みながら言う、右隣のセラフィナも同じようだった

「君達は軍人じゃない」

 と先生は言う

「そうですね、私達は国から操られている人形ですね」

 と言うセラフィナ、

「違う……そうじゃないって」

 と言う先生

「…………では、なんだと言うんですか?私達のような作られた存在に軍人や人形以外の言葉がありますか?」

 とアマリアは言い、そして

「〝私達には戦う以外ありません〟」

 と告げる

 そんな彼女に先生は口を開く

「それ以外のことを知らないんじゃなくて?」

 それには少しアマリアもセラフィナも動じる

「……きっとそのはずだ、感情も、何もかも……」

 と先生は言う、その言葉には彼女達に向けられた彼の悲しみも混じっていた

「なぜ、そのように悲しい顔を?そんな顔でも無駄です」

 とアマリアは言うが

「…………君達は確かに作られた存在だが、それは同時に人のエゴで生み出されてしまった存在でもある、君達がここに来るまでにどんな扱いを受けていたのか知らないが……僕はそんな作られた存在の君達も同じ生徒として、責任を負う者として、保護する」

 と先生は言う

「意味がわかりません」

 とアマリアは言う

「私達はあなたを殺しかけたのです、そんな人物をそばに置くなど……それでも元軍人ですか!」

 とアマリアは机に手を力強く叩きつけ立ち上がる

「アマリア、君は少し軍人を勘違いしている」

 と先生は静かに言う

 それにアマリアは驚き少し身を引く

 そのまま先生は席を立ち上がり取り調べ室を後にする

 その閉まった扉を見ながらアマリアは考える

「…………(軍人を勘違いしている……?)」

 そこで彼女の脳裏にある言葉がよぎる

 

「(いいか!軍人は戦う為の存在だ!戦って勝利を収める!それが諸君ら軍人の務めだ!きっちり覚えておけ!)」

 

 彼女らアマリア、セラフィナ、リラを育てた教官からの教えだった

 軍人については一通り知り尽くしていたと思っていたアマリアにとって、先生の言葉は彼女へ疑問をかきたてるものだった。 

 

 

 翌日

「先生、頼まれていたことですが……国際法に書いてありました、…………私達に関する法律が」

 とユウカは入ってくるなり先生へその調べたことに関することをまとめた書類を差し出す

「やはりね……海外派遣の時にそういう国際法を見たことがあったから、「もしかして」と思ってはいたが……」

 と言いながら書類をめくり、そして、あるページで先生は手を止める

「ユウカ、よくここに気づいたね」

 と先生はユウカがマーカーで線を引いていたその文字に指を置く、そこにはこう書いてあった

 

[キヴォトス人保護に関する国際条約

 

 第二条

1 本条約において「キヴォトス人」とは、ヘイローを有し、キヴォトスに由来する生物的存在をいう。

2 本条約において「非人道的行為」とは、次に掲げるものをいう。

 一 身体の一部又は機能を兵器として改造する行為

 二 本人の同意なく研究又は実験の対象とする行為

 三 人格又は記憶の改変を目的とする行為]

 

 

「先生、これ、国際法ですよね……?こんなものがあるのになんで……ヴァルグラントは」

 とユウカは少し億劫になりながら尋ねる

「…………まだ、知らなくていいさ」

 と先生はそれだけ言い立ち上がるとその足でキッチンへ向かい、戻って来ると彼女へコーヒーとお菓子を差し出す

「……?」

 その一杯を口にしたユウカは少し首を傾げる

「これ……なんですか?」

 尋ねるユウカに先生は

「◯レンディスティックのカフェオレとネ◯レのふわラテのココアのブレンドだ、うまいか?」

 と解説して、彼もまた一口飲む

 カップを置くと先生は立ち上がる

「黒服、いるか?」

 先生が言うと黒服が彼の背後に現れる

「こちらに」

 すると先生は振り向きもせず言う

「国連及び、ヴァルグラント連邦への抗議文の作成を頼む」

「承知しました、それと……先生」

 と黒服は承諾しながら自分の用件も伝えようとする

「なんだ?」

先生が尋ねると黒服は言う

「現在、海上に第二波と思われるイージス艦およびその艦載艇を数十艇確認しました、連邦生徒会も早急な対処に出ようと準備中です、対処を」

 それに先生はため息を吐きつつ答える

「……分かった、ユウカ、市民の避難誘導を頼む」

「了解です」

 とユウカは答え三人はその場を後にする

 

 

 サンクトゥム・タワー司令室

「状況は?」

 先生は入ってくるなり情報収集のために尋ねる

 そこの指揮を執っているリンは振り向いて先生の問いに答える

「現在、領海近海にてヴァルグラント軍所有イージス艦艇および上陸艦艇数およそ30を確認しています。」

続けざまに先生は尋ねる

「こちらの状況は?」

「現在、再編成したゲヘナトリニティ混成戦車部隊10両、そしてトリトン海軍学校のイージス艦および護衛艦の3隻です」

それを聞いていた先生は顎をさすりながら考え、少ししてから言う

「リンちゃん、ハイランダーと連絡は取れる?」

「誰がリンちゃんですか!…………できなくはないです」

 とリンはいつものようにツッコみながら答える

「よし、後は……カイザーPMCにも連絡を」

 と先生は言うと

「え?カイザーPMCに……ですか?」

 とポカンとするリン、すると先生は立ち上がる

「それじゃ、僕は準備があるから、ハイランダーとカイザーには後で僕のところに来るよう伝えて」

 と言い、司令室を出ようとすると

「それと……サオリを戦術補佐に付けて、サオリなら言い補佐になるはずだ」

 と先生は助言を残し司令室を出ていく

「待って……!――――はぁ……」

 とリンは先生を止める間もなくその場に取り残されるのだった

 

 それから程なくして、ヴァルグラント連邦は動き出す

「敵艦隊動きました!」

 司令室のオペレーターの一人が叫ぶ、それにリンは一度目を瞑り、そして開くと同時に息を吐くように告げる

「全部隊、迎撃行動を!」

 その号令を聞き、戦車は砲塔を旋回させ、海上にいる艦艇は砲を上下させ、照準を合わせる

「敵艦艇確認、距離500!」

戦艦のオペレーターが叫ぶと艦長は指示を出す

 護衛艦の76mm単装速射砲とハープーン対艦ミサイル発射機を起動させるると艦長は告げる

「対艦攻撃よーい、敵艦距離30、速射砲射程圏内、対艦ミサイル初弾装填完了、目標、敵戦艦!」

照準が徐々に定まっていきそして敵の戦艦に定まる

「撃て!」

 艦長が号令を飛ばすと同時に3隻の戦艦から砲撃が放たれる

 それは弧を描き、そしてヴァルグラントのイージス艦の甲板に着弾する

「全弾命中!」

 オペレーターは告げる

「………………」

 リンはしばらくの間沈黙する、なぜなら

「戦闘に慣れている集団がこうも簡単にやられるはずがない……行政官」

 とサオリが尋ねると

「……ええ、しかしどこから……」

 とリンはキヴォトス全域の地図を見ながら考える

 すると突如、警報が鳴る

「別ポイントに敵の上陸艦艇を確認!」

 オペレーターが告げた後、映像が映る

「既に上陸している部隊もいるようです!」

 それを聞きリンは凍りつく

「別方向からか!私が対処する!」

 とサオリは自分の武器を手にして司令室を出ていこうとすると

「問題ない、こちらで対処する」

 と聞き馴染みのある声が響く

 直後、映像に映る鉄道のトンネルから全車を何両も載せた貨物列車が出てくる

 そのまま砲塔を旋回させて海上の上陸艦艇へ砲撃を浴びせる

「あれは……!76式戦車!?」

 リンは突然のことに驚く

「リン、今のうちに戦力の再編成を、上陸されてしまった以上、最終防衛ポイントはサンクトゥム・タワーだ、その他の各学園の自治区もだが、キヴォトス全域を束ねている機関のある連邦生徒会が占領されちゃ意味がない」

 と先生は言う、それにリンは頷き、告げる

「海岸線に展開している戦力の4割をここの直援に回してください、

 それ以外を周辺防衛に!」

 リンの号令の後、戦車部隊は砲塔を旋回させ、後退していく、その間にヴァルグラントの戦艦も後退して行った

 

 そのリンの号令を聞いた後、先生は自身の乗っていた戦車の無線をつかみ指示を飛ばす

「各車へ通達、我が隊は海岸線へ戦力を展開、援軍到着までの足止めを行う」

 先生がそう指示するとその戦車のうちの1両に乗るカイザー理事が叫ぶ

「足止めだと!?この戦力での足止めなど……!」

「やるんだ……これもお前らの贖罪の一つだ……まぁこんなんでも済まないがな?」

 と先生は急に声のトーンを下げて言う

 それにはカイザーPMC全員が怯える

「分かったならさっさと行け!」

 彼はそう冷たく突き放ち、自身の車両は海岸線ではなくその反対方向へと向かっていった

 読者のために説明しよう、なぜカイザー理事が彼の尻に敷かれているのかと言うと、過去のホシノの一件のことをまだ先生は許しておらず、今回のように贖罪と称してこき使っているのだ。

 




設定解説

トリトン海軍学校

キヴォトスの主に領海を防衛する海軍学校、士官学校であるがたまに自衛隊との共同訓練を行うことがあり実戦には強い。
所有兵器は自衛隊から下された旧型艦である「あさぎり型護衛艦」「むらさめ型護衛艦」「こんごう型イージス艦」を運用する

保有兵器(世代・由来)
こんごう型イージス艦
自衛隊からの払い下げ艦艇を改修・運用。本来のイージス艦と同じ運用がされている
あさぎり型護衛艦(旧型揚陸/護衛) — 自衛隊からの払い下げ艦艇を改修・運用。弾薬庫や機関系は制限付きで維持。沿岸監視・小規模対艦支援・補給阻止任務向け。
むらさめ型護衛艦(旧型多用途護衛) — 哨戒・対潜・近海防衛を担う。学園の整備班が即席改修を行い、沿岸戦術に最適化している。


おまけ
人工キヴォトス人

ヴァルグラント連邦国がキヴォトス人の遺伝子などから生み出した人工的な存在
黒服曰く
「神の似姿を再現した“契約なき被造物」

ヘイローも確認でき、また弾丸などによる負傷もしないといった部分も再現されている

キヴォトス、キヴォトス人はそれぞれを保護するため法が制定されていた、しかしヴァルグラント連邦国はその法、そしてそれ以外にも様々な国際法違反を重ねて3名生産した

それぞれコードネームは
アマリア
セラフィナ
リラ
である
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