スーパーコーディネーターの悪友   作:アオノクロ

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 最近逆シャアを見直しました。かなり昔に見たので新鮮な気持ちと同時に、クオリティの高さに驚きました。息つく暇もなくストーリーが進み、戦闘シーンで興奮して最後で切ない気持ちに、やっぱすげぇよ御大は。

 作品を汚す木っ端欠片の自分ですが、同じガンダムが好きな人が楽しめたらいいなと思います。

 とりあえずシンを曇らせてと、


勝者

 あるザフトの拠点にて、連絡船の待合室に設置されたモニターには、エンジェルダウンの様子が映し出されていた。

 

 追い込まれながらも切り抜けていくアークエンジェルを相手にヤジを飛ばし、最後の爆発には歓声をあげる様はまるでスポーツ観戦の様で。

 

 爆風に巻き込まれながらもフリーダムを追い詰め、コンコルディアを倒したインパルスが称賛される中、ひとりの少女は病的なまでに白い顔で赤い瞳を曇らせながら静かに呟いた。

 

「…………やっぱり、わたしががんばらないと」

 

 

 

 

 

「周囲警戒! 海面から眼を離さないで!」

 

 爆発が収まった後、まっさきにタリアの口から飛び出た命令。勝ったと思い気が緩んだ瞬間に飛び出た言葉は、アーサーをはじめ全員の気を引き締めなおした。

 

 ただひとり赤髪のオペレーターを除いて。

 

 

 

 未だ現実だと思えない光景を目にし、放心していたアスラン。片腕を吊っているルナマリアに促されモビルスーツ格納庫に向かえば、やはりというかあるモビルスーツの元に人だかりができていた。

 

 伝説の機体をたった1機で追い詰め、艦の裏切り者を討った英雄。

 

 というにはあまりにも、重すぎる空気だった。

 

「アス…………ラン………」

 

 今にも死にそうな顔をしてゆっくりと歩いてくる姿は死人の様で、いろいろと言いたいことがあったアスランさえも口をつぐんだ。

 

「…………仇、とれましたよ」

「っ!」

 

 言っていることは分かる。何のことについてなのかも分かる。それ以上に、

 

「そんな、ことを言っている場合じゃ「なんだなんだ、しんみりしてんな」…………ハイネ」

 

 空気を切り裂くように届いた気楽な声、振り向けばハイネが立っている。

 

「すげぇ活躍だったなシン。でもわるいな、とどめは俺が貰ったからフリーダムキラーの名前は俺のもんだぜ」

「ハイネ! 何を!」

「ほらほら、お前らも今回の作戦の立役者だぞ! 拍手とかねぇのか⁉」

 

 半ば反射的にパチパチとまばらな拍手が鳴り響く。人数にしてはかなり小さいものだが、ハイネは手を振るとシンの肩を組み歩いていく。

 

「おーっし、じゃあ俺たちは疲れて休むから。整備頼んだぜ!」

 

 通路の奥へ消えていく2人を見送り、ようやく人だまりは散っていった。

 

 

 

「まったく、お前らはホントどうしようもねぇなぁ」

 

 更衣室の椅子にシンを座らせて着替え始めるハイネ。声をかけられてもシンは微動だにせず床を見続けている。

 

「アスランにも言ったけどよ、そらな? 顔見知りを撃てって言われても、そう簡単に割り切れるもんじゃねぇよ? だけどな」

 

 赤い軍服に袖を通し、襟元を整える。首元の飾りが輝いた。

 

「俺たちは軍人だ。どれだけ嫌でも撃てと言われたら撃つしかない。お前もその覚悟があってザフトに入ったんだろ?」

「!」

 

 光のない赤い瞳が揺れる。

 

 なぜザフトに、何故忘れていたのか不思議なほどのきっかけがこみ上げてくる。

 

 爆発音が鳴り響き、大地が揺れ、悲鳴が上がるあの場所で、

 

 

 

 自分と家族を守るように立ちふさがる白い背中を。

 

「う、うぅ…………ぐぁ、あぁ…………」

 

 乾いていた瞳が潤むとしたたり落ち、床に模様となって消えていく。

 

 ひとりきりとなった部屋でシンの嗚咽だけが部屋に響いた。

 

「…………はぁーったく、バカばっかだな」

 

 物音を立てずに部屋を後にするハイネ、髪型を整えると報告の為に足を進める。

 

「あんな爆発に巻き込まれても生きてるんじゃないかって思ってしまうなんてな」

 

 止まりそうになる足を無理やり動かし歩き続ける。それがハイネの道なのだから。

 

 

 

 

 

 

 

「あんたらバカなの?」

「「………………………………」」

「いや言わなくていいわ、バカだったわね」

 

 アークエンジェルの医務室でベッドに寝かされて、身体のいたるところに包帯やガーゼを張られている2人。

 

 その前に仁王立ちで睨みつけている紅髪の看護師。

 

「暇だからってゴムボールで遊んでんじゃないわよ。ここは医務室で遊ぶ場所じゃない、って5歳児でも分かるわよ」

 

 片手にはピンク色の良く弾む小さめのゴムボール。改めて睨みつけられた2人の頭には同じサイズのたんこぶができている。

 

「次騒いだら麻酔ぶち込んで治るまで寝かせるわよ」

 

 看護師が出ていき、ぴしゃりとドアが閉められたのを見てようやく息を吐いた。

 

「「お前が/そっちが」」

 

 同時に口を開く2人、何を言おうとしたのかなど誰にでも分かる。

 

 のっそりとベッドから身体を起こそうとしたが、

 

「騒いだ?」

「「騒いでないです」」

 

 開いた扉から顔を出したフレイを前に素早く戻った。

 

 再び出ていった後も足音が遠くなるまで息を殺し、十分時間が経ってようやく息を吐いた。

 

「…………負けたね」

「……………………だな」

 

 アークエンジェルが被弾したエンジンの一部を切り離し、ミネルバのタンホイザーが直撃。燃料が残っていたのかかなりの爆発が起きた。

 

 キラはコンコルディアを抱えた後NJCを停止させ翼の付け根をパージ、グフの攻撃が当たりこちらも爆発したがその勢いに押されて2機は海中へ。

 

 海中へ落ちたところをムウとカガリに回収された。

 

 何の言い訳もできない、完敗である。

 

「あの、インパルス? 強かったね」

「そりゃそうだろ。俺とズラが鍛えたからな」

「やっぱり、動きが似てるなって思ったんだよ」

 

 すぐに医務室へと運ばれ治療、かなりの傷だったが命に別状はなく目が覚めた時にはすでに遊んでいた。その結果がフレイである。

 

「まぁ俺が鍛えたし? コンコルディアは悪くない機体だけどあわなかったしな」

「ボクだってフリーダムは型落ち機体だから仕方ないよ」

「慣れた奴なら勝つ」

「新しい機体ならまけない」

 

 お互いがお互いに何言ってるんだと顔を見あわた。

 

「「…………負け惜しみ」」

 

 結局暴れた2人はフレイによって鎮静され、その後回復するまで静かされて過ごした。

 

 

 

 エンジンの一部を失いながらも海中を進み、マリューたちがたどり着いた先はオーブモルゲンレーテ。ボロボロになったアークエンジェルを見てエリカは懐かしさに微笑んだ。

 

「あの時と同じ、でもないわね。ジュリ! 彼らが帰ってきたわよ、みんなに教えてあげて」

「はぁーい」

 

 少し間延びした返事を返すと操作していたタブレットから顔をあげ、友人の元へと走っていく。

 

 通達は既に広がっているだろうが、それでも通りがかりにアークエンジェルが入港したことを伝えていくと途中で目的のひとりと出会えた。

 

「マユラ! アークエンジェル戻って来たって」

「そうなの? またボロボロになってそう」

「今回はそこまでだって、それよりアサギは?」

「ん? たぶんいつものとこ、ってもしかして」

「そうなの! 彼いるのよ!」

 

 急に生き生きとしだした友人を連れて駆け出しいく。以前モルゲンレーテ社でテストパイロットをしていた2人は、大戦の後そのまま残り就職していた。

 

 テストパイロットは降りて事務や開発などに携わるようになった2人だが、1人だけテストパイロットを止めなかった人物がいる。

 

「アサギ! いる⁉」

 

 地下に作られたモビルスーツ開発の区画で、雑に用意された簡易ベッドに突っ伏して寝ている金髪の少女。そこそこの大きさであるマユラの声にも反応せず、ピクリとも動かない。

 

「もーまた徹夜したの? ほら起きて」

「ん…………ぁ」

 

 ゾンビのようなうめき声をあげて起き上がるアサギ。キレイな金髪もボサボサに跳ねており、目の下の隈もひどく年頃の女性としては見せられない顔をしている。

 

「なに…………あさ……?」

「ここはいつでも夜でしょ。アークエンジェル来たって」

「んぁ…………そ」

 

 起き上がったのだが、再び顔を伏せて寝息を立てるアサギ。作業用グローブをつけたままツナギの上をはだけて、シャツ1枚である。ほぼ泊りがけではあるが職場でする格好ではない。とはいえ注意しようにも起きる気配はない。

 

 せっかく教えようと思っていたのだが、これはこれでおもしろいかもしれないと放置することに決めたジュリとマユラ。

 

 目的の人物を連れてこようと出ていく後ろ姿では、伝説となった白い悪魔の後継機が静かにたたずんでいる。




 ズラが何も言えないくらいにヤバかったシンです。ハイネがいないとたぶん終わってた。流石兄貴。

 暗い展開が続いたので最後は明るく、出てきた機体は皆さんお待ちかねのアレです。その前にズラの大脱走ですが。

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 なー試し乗りしたんだけど、起きた? 起きろってのあsゴフッ⁉

 ────何故か怪我が増えた白い悪魔のパイロット
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