どうでもいいですが公開された兄貴の曲、ずっと妖精達が胸を刺激する。と思ってました。
宇宙では地球軍とザフトの戦いが始まっていた。
「説明は聞いたな、あのコロニーさえ潰せばいい!」
「分かりやすくて助かるね!」
補給を済ませたイザークとディアッカが攻め込むはプラントの目前に配置されているビーム偏光ステーション。レクイエムの軌道を変更するために必要不可欠なものだが、防衛機能の類は一切搭載されていない。発射までの充電にかかる時間は護衛艦隊に任されている。つまり、充電が完了するまでに壊しきれるか、守り切れるか、という時間との勝負である。
むろん地球軍月面ダイダロス基地への攻撃も行っているが、お互いが重要拠点だと分かっているがゆえにせめぎ合っている。だが時間が進むごとに有利になっていく地球軍、その背中を狙う艦の影があった。
「…………大丈夫? シン」
控室で隣に座るシンの肩に手を乗せるルナマリア。オーブ戦以降宙を見上げるか、たまにハッとしてシミュレーションを使用するかという極端な行動を見ている。ハイネも別部隊への所属となった結果止める者はいなくなり、妹を失った自分の悲しみが消えたわけではないが、それ以上に隣にいる仲間が心配になるほどシンの行動は異常であった。
既に部屋から出ていったレイからルナマリアに向けての鋭い言葉には庇う様に間に入ったが、今はまた座り込んでいる。
「……………………あ、ルナ。うん、大丈夫」
ずっと隣にいたはずなのに、今いることに気が付いたかのような反応をするシン。
「大丈夫って、ちょっとおかしいわよ」
「そんなことないって、大丈夫だよ。ルナは俺が守るから」
立ち上がったシンが良く見せる子どものような純粋な笑顔、だがすぐ近くで見続けたルナマリアには痛々しいものにしか見えなかった。
「……………………シン」
「え、ん……………」
勢いのままに無重力の部屋を漂うひとつとなった2人。ほんの少しだが、ゆっくりと感じられるほどの大事な時間が流れ、お互いを見つめ合った。
「うん、シンが私を守ってくれるように、私もシンを守るから」
「ルナ」
「ね、だから大丈夫よ」
母親が子どもをあやすように胸元に頭を抱き寄せる。目をつむりパイロットスーツ越しにも関わらす伝わった温度は、シンの心を温めた。
「……………………ありがとうルナ」
離れて笑うシンは少しだけ以前と同じ眼をしていた。
「タンホイザー起動! 目標ダイダロス基地!」
たった1隻による基地への奇襲、無茶とも思われたその作戦は見事というしかないほどに嵌った。
「……………………」
オーブ戦以降、戦闘時には叫ぶことが少なくなったシンだが、動きは今まで以上にキレがあった。
宇宙空間という事で使用できるようになったレイのレジェンドから射出され、周囲を取り囲むドラグーンから降りかかるビームの雨。陽電子リフレクタービームシールドを持つザムザザーやデストロイは防ぐことができるが、防御に意識が割かれた隙にアロンダイトを構えるデスティニーが懐へもぐりこみ切りかかる。
せめて反撃を、と胸元へ貯められたデストロイのエネルギーは、静かに添えられたパルマフィオキーナによって巨体を自ら焼き尽くす燃料とされた。
光輝く翼をはためかせながらも、冷静に敵を処理していく姿はフェイスデザインも相まって悪魔のようにも見えたという。
「チッ、役立たず共が」
ミネルバに攻め込まれるよりも一足早くダイダロス基地を脱出していたジブリールは、戦艦のブリッジで悪態をついていた。
せっかくのレクイエムは外れ、基地はボロボロに。ヤキンで活躍したというから女性艦長をも使ったが、失敗したと聞き使えないと吐き捨てた。
「まぁいい、私さえいれば立て直せる。わたしのような王がいれば、コーディネイターのバケモノなどすぐに駆除できる」
背もたれに体重を預け、この先どうするかを思案していたジブリールの目の前が揺らいだ。
「なっ、目前にモビルスーツ!」
「どういうことだ!」
センサーどころか目視もできなかった目の前には、どこかウィンダムにも似た黒い翼を持つザクに似た頭部のモビルスーツ。
『やぁジブリール殿、息災かな?』
「! ネオか!」
モニターに映ったのは見覚えのある仮面の男。ヘブンズベースで死んだと聞いていたが、生きていたのか。ではなぜここに、いや決まっている。上司である自分の援護のためだ。
そう決めたジブリールは歓迎するかのように両手を広げる。
「その機体は、いや後で聞こう。ひとまずここから離れるための援護だ」
『援護?』
「あぁ、薄汚いザフトが来たのでな。態勢を立て直すため『フッ、フハハハハハ!』…………何がおかしい」
突然笑いだすネオ、上司としても見たことのない反応に戸惑うジブリール。
『いやな? 余りにも予想通り過ぎる反応で賭けにもならん』
笑い声を抑えながらも喉の奥ではクククッ、と音が鳴る。
常々ブルーコスモスの真の王は自分だと言っていたが、王だのなんだの言っても部下のことも把握せず、大掛かりな作戦も失敗。そのまま我先にと逃げ出す王などとこにいるのやら。
『特に言いたいこともないし…………さらば、だな』
向けられた銃口に光が収束していき、何のためらいもなく引き金が引かれた。
「な、誰がお前をつくっ」
銃口だけでなく、羽から飛び出していく黒いドラグーンは戦艦のあらゆる箇所を撃ちぬいていき、火の手が上がるまで容赦なく光の雨を降らせた。
「……………………人間らしいってのはこういうことなのかね」
軽くなった心で沈んでいく戦艦を冷めた目で見下ろすネオ。飛ばしたドラグーンを回収すると、再び姿を消した。
崩壊していくダイダロス基地、ジブリールが乗った艦の撃破報告にデュランダルは周囲の部下に気がつかれないよう口元を歪ませた。
「ありがとうジブリール。君の贈り物はありがたく使わせてもらうよ」
ダイダロス基地、もといレクイエムはザフトが破壊したという情報はアズラエル、カガリは共に手に入れた。だが、これで終わりではないと確信しているが故に、宇宙へとあがる準備を完了させた。
別行動があると言ってウズミと共に消えたアズラエル、はいつも通りだとスルーされた。
ただカガリが付いてこないと宣言した時、驚かれながらも成長したのだとオーブ軍は感動で胸を満たし、熱があるのかと疑うキラたちとのケンカを見て変わっていないことに安堵した。
アークエンジェル、オーブ軍、共に宇宙へとあがる日が近づいてきた時、
「……………………クルーゼ隊長?」
アスランは見覚えのあるサングラスをかけた人影を見つけた。
「む、アスラン・ザラ君か、初めまして私はクワトロ・バジーナ。清掃会社リターンAの従業員だ。しばしの間同じ船に乗ることになるが、よろしく頼む」
「いや、あの……………はぁ」
昔から掴みどころのない人だと思っていたが、当時とはまた別の意味で分からない。
「なぜここに……………?」
アスランの疑問はもっともだが、同時に誰が原因なのかは分かっている。というかあのバカ以外にこんなことをするヤツがいない。
偶然とはいえオーブ軍のパイロットを救出し、ムラサメに乗ってオーブ本土の護衛をしていたクル、クワトロ。ザフトが撤退した後、取り調べではないが、事情の確認はしなければとモルゲンレーテ社に呼ばれていた。
経緯を聞き、有名人の顔見知りという事もあり、感謝を伝えられて会社へと連絡していた時だった。
「おい、宇宙行くから来い」
「…………」
通話先から大丈夫か? という声が聞こえるが、何よりも大事なのは目の前の人物だ。
自分の積もり重なった八つ当たりとも言える恨みを晴らしてくれた相手。むろん頼まれたのなら大抵のことは引き受けるつもりではあったが、
「…………すまないね。もうすぐ知り合いの昇進祝いがあるのでね、今回はお断り「その祝いの代金こっち持ちでいいぞ」ほう?」
大事な用事があると断るつもりだったが、思いがけない条件に思わず止まる。
「キャンセル料、変更先の店の代金と祝いの品全部出す」
「最後のは構わない、リーダー。昇進祝いですが、パイロットを助けたお礼が出るそうなので、日を改めましょう。えぇ…………えぇ、では。………ところでユウキ君、ご両親への連絡はちゃんとしているのかな?」
後日ユウナの元へ謎の請求書が届いた。
庶民からすればかなりの、ユウナからすれば特に気にするほどではない額。なんてことなしにあっさりと処理されたが、雇われたパイロットの腕からすれば安すぎる金額だと気づいた者はいない。
そういやズラとバカが無事なのは知ってますが、メイリンまでは知らないよなーって。その状態でシンを気遣うルナマリア、姐さん女房ですね。シンのメンタルが回復しました。
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なんでお前がここにいるんだよ!
────宇宙に上がってから艦にいることに気づいた鷹