ちょっと長くなって2つに分けようかと思いましたが、内容的にひとつにまとめた方が良いと思いました。普段より長めです。
最後までお付き合いありがとうございます。
「キミも…………私を否定しに来たのか」
悲しくもあるが同時に仕方がないとも思う。
オーブに移り平和に暮らしていたというのなら、デュランダルによるDPの強行は悪政でしかないだろう。
知っていたら、というのは言い訳でしかない。止まることはなかっただろうと分かっている。
「いや? そんなつもりはないが」
「…………ならばなぜここに」
否定をするつもりがないのならいったい、
「協力すれば上司の昇進祝いを出してくれるというのでね」
「…………………………………………?」
よく分からない。
今なんと言ったのだろう。上司の昇進祝い? そんな理由で? 下手をしなくても死にかねない、助かった命を戦場へ持ち込んできたというのだろうか?
同じように隣で呆気に取られているタリアとレイだが、クルーゼはむしろ自慢するように笑う。
「お世話になっているのでね、せっかくだからと頼み込んで参加させてもらったよ。すまないねギル」
世界の滅亡を、人類の復讐を望んでいた男のあまりの変わりようにもはや言葉も出ない。
「……………………彼はいったい「「あっ」」…………?」
なおさら気になったのだが、部屋の隅でこそこそとしていた彼らが声をあげた。
顔を向けるといつの間にいたのかアスランが2人の襟元を掴んで締め上げていた。
「おいっ! いったい何をした‼」
「いやぁーせっかくだしもうここいらないだろうから爆発させようかと」
「遠隔操作のつもりが間違えて即起動になった」
規則的な電子音と共に減っていく数字が時を刻む。戦闘の余韻があるのかこれまでにないほど素早く計算したアスランの脳みそは、的確な指示を言葉にした。
「全員即座に脱出!」
「話はまたあとでだな」
戸惑っていたタリアをユウキが、安堵から腰が抜けていたレイをキラが、最後に未だに足取りがおぼつかないデュランダルをクルーゼが担ぎ、メサイアの崩れていく通路をアスランを殿に走っていく。
「…………おいおい、なんだかやばくないか?」
陽電子リフレクターをすり抜けレクイエムを破壊してきたムウだが、戻ってくればいろいろな場所で爆発が起きていくメサイア。ミリアリアからは4人が乗り込んだまま帰ってこないと言われた。
「何してんだよ」
「はぁーアホらし」
「バッカじゃねぇの?」
同じくレクイエムの破壊を手伝っていた3人だが、同じ情報を共有されて呆れた声しか出ない。
「メサイア、崩壊します‼」
ドミニオンのオペレーターが叫ぶと同時に大きな爆発が起きた。
「……………………機影観測、数4!」
「…………はぁ、おい戦闘は終わりだ。部隊の撤収をはじめろ」
人知れずこっそりと握っていた拳を緩めて指示を出すナタル。付き合いの長くなったドミニオンのクルーたちは指摘することなく仕事を始める。
アズラエルからの要請で残った部隊をまとめ上げたハルバートン提督が到着した時、エターナルでは3人のパイロットが正座をしてラクスに叱られていた。笑うクワトロに順番待ちをしているマリューはタリアと話し合い、別室に拘束されていたデュランダルは天を仰いでいた。
後にメサイア攻防戦と呼ばれる戦いはこうして幕を閉じた。
ラクス・クラインと現場にいたイザーク・ジュールの呼びかけによって戦闘は終了、ハルバートン提督と残ったザフトの指揮官のもと両軍は撤退、戦後処理へと進んで行く。事実上の第二次連合・プラント大戦の最終戦となり、世界はようやく手を取り合うように進んで行く。
アズラエルは自身の生存と同時に暴走はジブリールの独断だと世界へ放送し、オーブと協力の元地球の復興支援、広がった戦火の鎮圧を進めている。プラントも戦後の編成のためラクス・クラインをプラント評議会へ招聘、カガリ、ブルーピリオドの顔として派遣された女性の3人が手を取り合う姿を世界へ届けた。ニート志望のボンボンも悲鳴をあげながら日々仕事に忙殺されながらも、合間をぬってゲームをしている。
タリアは軍を退役、息子の元へと帰った。泣くかと思われていたアーサーは涙を見せることなく敬礼して見送り、ザフトの副官として日々忙しなく働いている。
イザークを始め、戦争中にザフトを離脱しラクスの元へと移動していた兵士たちもザフトへ戻り、戦後の後始末を手伝っている。
アスランによって撃墜されたハイネも、またいつかリベンジできないかと怪我を癒していた。さらりとめんどくさい仕事から逃げられたのは偶然だろう。
そしてデュランダルはというと、
「すまない、仕事が長引いて遅くなった」
少しくたびれたツナギを着て現れたクルーゼは、ガラス越しに悪びれないあいさつをした。
「…………本当に働いているのだな」
疑ったわけではないが、かと言って目のあたりにしなければ半信半疑であったのは事実だ。本気で悪いと思っていない謝罪も今のデュランダルには気が付けないほどの衝撃を与えていた。
「さて、どこから話そうかね。聞きたいことを聞けばいい、何にでもこたえよう。それくらいはしなければいけないとは思っている」
という割には足を組んでふんぞり返っている。
とはいえデュランダルに突っ込む気力はない。
「……………………彼がナチュラルだというのは」
「そうだが?」
「……………ではこの経歴も」
「事実だ」
手元のタブレットに映し出されていたのはユウキの情報。とはいえ機密ではなく、一定の立場のある人間なら閲覧できる程度の、オーブに乗っているものだ。間違っても軍の機密にアクセスする必要などない、ブルーピリオドへのクラッキングなどしなくても手に入るものだ。
ナチュラルであり、元少年兵。現在はコーディネイターの夫婦に引き取られたただの一般人。確かにモビルスーツパイロットとという強みはあるが、キラ・ヤマトのような特殊な産まれはない。
アズラエルの秘蔵っ子? 自分の知らないスーパーコーディネイター? はたまたエクステンデッドの成功例? 予想していたどれもと違う事実にデュランダルは変わりた笑いしか出ない。
「は、はは…………なんだというのだ………………DPなど……………………モビルスーツパイロットの素質は」
「彼は気合と根性で乗れるようになったらしい」
もはや笑うしかない。
コーディネイターといえど、才能は多岐にわたる。デュランダルの専門は遺伝子工学であり、モビルスーツパイロットとしてならそこいらの一般兵にでも負けるだろう。だがそれを理由にしても誰もバカにはしない。そういうものだ、と思われているからだ。
だというのに、
「アスカ兄妹は素質があった……………間違いなく、私自身が確認した。のだが」
腕前だけでならキラ・ヤマトにも匹敵するであろう、戦闘の調整を受けていないコーディネイター。これはDPを間違いなく進めるうえで強力な事実であった。だが、
「調べさせてもらった。まさか許可が出るとは思わなかったが」
好きにすれば? という本人の投げやりな了承の元調べたが、彼には素質がない。適性のある職業はいくつかあったが、ユウキ・イチノセにはモビルスーツパイロットとしての才は見つからなかった。いくら調べてもだ。才能を磨いた、どころではない。文字通りなかったものを開花させた。
まかり間違って両親の遺伝子も調べさせてもらったが、こちらも一般的なコーディネイターでしかない。当然のことだが、DNAも繋がっていないので才能が受け継がれたということもない。そもそも、DP以前にプラントの婚姻制度では夫婦になることもない2人だ。ゆえにオーブにいるのだろうが。
「……………………」
自分のありえた未来と重ねてしまう。
見惚れた女性が、相手がいると分かっていながらも惹かれてしまった相手がいた。お互いがコーディネイターであり子どもができないと分かったのをきっかけに、距離をとった。仕方のない事だと言い訳するように推し進めたDPで、結ばれないのは論理的な事実だと言い聞かせるように。
アスカ兄妹を見つけたことで、その熱は加速した。
何せ自分の答えは正解だと言ってもらえたのだから。
素質さえ、適正さえ調べれば誰もが才能を発揮できる世界に、と思った計画は素質のないナチュラルの、化石染みた理論で覆された。皆が望む世界? 望む望まない以前に、選ぶことができないのだ。
いや選んでしまった結果がこれだ。夫とは死別したとここに来てから知った。その事実だって、踏み出せない臆病者が選んだのだ。
一歩踏み出せば彼女と彼女の子ども、そしてレイを交えて仲睦まじく暮らせた可能性を、自らが捨てたのだ。
「……………………私は大バカ者だ」
「まったくだな」
遠慮のない友人の口ぶりに救われる。
「とはいえ、連絡のひとつもくれたら…………何を見ているのかね?」
「ふむ…………まぁいいか、騒ぐなよ?」
「何を……………………」
時折確認していた端末の画面を見せてもらったデュランダル、この日オーブの特別留置所から笑い声と涙が止まることはなかった。
「来たかった場所ってここ?」
「うん」
「…………良い場所だな」
「こんなとこあったんだ」
「わたしも初めて来ました」
オーブ沿岸部にある名もなき慰霊碑。
集まっているのはシン、マユ、ルナマリア、メイリン、レイの5人。
プラントの戦後のゴタゴタがあるが、気を利かせたアーサーが身体を労わって欲しいと特別休暇を与えた。まとまった時間をどうするか、と考えた時に「……オーブに行きたい」シンが言い出し、賛成した。
海水を被り萎びていく花が悲しくも、美しい情景を生み出していた。
「……ここで、人と出会ったんだ」
「ひと?」
「うん、花が枯れちゃってるだろ? これを見てさ、おれどうしようもないって思ってたんだけど」
何度植えても吹き飛ばされる花を見て、守る力が欲しいと願ったシン。だが、偶然居合わせた相手が花の植え方を、守り方を考えてくれた。
「あの人がいたから……………………でも、間違えたんだ」
「シン…………」
花を植えることも、守ることもできずに吹き飛ばすことしかできなかった自分、握られた拳にそっと添えられたルナマリアの手によってほどかれる。各々が進んでしまった道、しでかしてしまった後悔を思い返し静かに噛みしめた。
「あれ? もしかして……おーい」
「え?」
突然後ろからかけられた声、振り返ればあの日出会った人が集団の先頭にいた。
「あ、あの時の」
「だよね、後ろにいるのはお友達? …………って、あ」
紹介した方がいいのか、と思ったが何故か後ろを見て止まる。振り返れば珍しく眼を見開いた顔のレイと親し気に手を振っているメイリン。
「知り合い、なのか?」
「……………………彼はフリーダムのパイロットだ」
「えぇ⁉」
「そう、なんですか!?」
ルナマリアと一緒に驚くシン。ひとりよく分かっていないマユだが、キラの後ろにいる知り合いを見て駆け出した。
「あれ、なんか大勢いんなって」
「ユウキさん!」
元気よく飛び込んだ先は自分を助けてくれた恩人、相手も驚くも誰だが分かったのか支えるように軽く手を添えた。
「久しぶり…………身体の調子は大丈夫?」
「はいっ! …………いやちょっと元気ないかもしれないんで、手を貸してもらってもいいですか?」
「ん? それくらいなら」
今走っていたのでは? というツッコミもなく片腕にしがみついていくご機嫌なマユ。シンたちともあいさつし、キラの事を知れば素直に驚きの声をあげた。
「まったく何をしているんだ」
「あ、この前の子だ。って、いいの? ラクス」
「…………それほど子どもではありません」
さらに現れたのは呆れた顔のアスランに、どこか納得のいかない顔のラクスと見覚えのある顔に手を振るフレイ。
大所帯となり、お互いが驚いたり何とも言えない顔であいさつをする中で、また新しく車が止まった。
「何アレ、人多くね?」
「めんどくせーしもう帰ろうぜ」
「だな、連絡だけしておい! 飛び出すな!」
オープンカーから飛び出した影は一目散に目的の人物の元へ走っていく。
「シン!」
「おわっ、ステラ!?」
「そうだよ! 会えてうれしい‼」
体温を確認するように顔を埋めて抱きしめるステラ、受け止めるシンは横にいるルナマリアが微妙な顔をしていることに気が付いていない。
ユウキによってアズラエルの元へ送り届けられたステラだが、ブーステッドマンのデータとこっそり拝借したエクステンデッドの情報を元に治療されていった。メサイア攻防戦の時に飛び出していったが、完治していなかったことが判明し、オルガたちによって泣く泣くシンと剥がされていった。
「ほぇーモテモテだなシンの奴……………………なに? 何この空気?」
おかしなことを言っていないのに謎の圧が降りかかってくるユウキ、心なしか腕を掴むマユの力が強くなったし、射抜いてくるラクスの眼からは光が消えかけている。ものすごく何か言いたげな男たちに、メイリンは何故か笑っていた。
居心地の悪さに空気を変えようと端末を取り出すと、溜まっていたメッセージ画面を開いてしまった。
やらかしたと思うも、目についた写真やメッセージに無言で口が開いていく。
「? どうしたんです?」
「今度は何をやらかしたんだ」
隣にいたマユや慣れたようにアスランが画面をのぞき込むと、同じように固まった。
「どうかしたの?」
「何があったんです?」
気になって近づいてきたメンバーの中で、真っすぐにシンの元へ向かっていくユウキ。キラですら見たことのない不思議な表情にシンが首を傾げると、
「あお、お、おれ……………………おにいちゃんに、なった、みたい」
向けられた携帯端末に表示されている写真には何人かが映っている。
緩んだ表情でお腹に頬ずりをするシキに目元の赤いミサキと支えるカリダ。全員が覗き込み一斉に騒ぎ立て、驚いた海鳥が羽ばたいた。
「まったく、終わりのない仕事ってのは嫌ですねェ」
「出産祝いを考えるのに時間を取られ過ぎたな」
新たに作られたブルーピリオドの施設で、永遠に続く後始末というやる気はないがやらねばならない仕事に飽き飽きとしていたアズラエルとウズミ。有事の時ほどでないが、それでも忙しいのには変わりなく周りはバタバタとしていた。
「理事、お時間です」
「分かりましタ。ミーアさんの調子は如何でス?」
「相変わらず元気でしたよ」
ニコルが渡したタブレットには、黒髪となったミーアが戦地などで復興支援ライブを行っている記事が載っていた。
プラントとしては扱いづらく、しかし無下にはできないというミーアの存在の引き取り手となったのがブルーピリオドであった。ニコルという信頼できる相手からの紹介だったおかげか、アイドルをしたいという意気込みをそのまま叶えてもらい、復興支援のアイドルとしてミーアの名前で行っている。活動に関して賛否はあるが、それでも日々忙しそうに充実しているらしい。
「さてさて、彼女にも負けないよう我々も働きますか。ビジネスの時間でス」
ネクタイを締めなおし部屋を出ていくアズラエルが抱えている書類、その題名には「世界平和監視機構(仮称) 設立案」と書かれていた。
ありがとうございました。これにて「スーパーコーディネーターの悪友」DESTINY編完結です。1度やってるので言いますが、ちょっとストーリーを練ってからFREEDOM編に行きます。気長にお待ちください。
前回と違い、デュランダルが戦う相手じゃないのでどうしたもんかと悩んでたんですよね。自らを運命に縛り付けて周りに強要した弱腰の理想家、というのが作者の認識なので運命を切り開いて幸せを掴んだ相手がいるというオチです。
SEEDでも書きましたが、シキ(主人公父)とミサキ(主人公母)はコーディネイター同士で子どもはほぼできないです。その影響で主人公を養子として引き取りました。でも作れちゃいました。がんばったそうです。ゼロじゃないならできるやろ、というシキのバカげた行動力が身を結びました。ゼロじゃないのでやるかの精神、見事に息子へ引き継がれています。流石親子
デュランダルはプラントでも扱いが難しいのでオーブに引き渡しに、遺伝子工学者としての知識で貢献しつつレイやクルーゼの寿命問題を解決できないか貢献しています。もっとも必要なさそうですが、ここでもおいたわしいな。タリアとは戒めの為に謝罪の手紙を送って連絡をとらずにいます。タリアも止められなかった申しわけなさがあるので、謝罪を受け止めて親子二人で暮らしてます。
レイは身体の調子を調べながらザフトに在籍し、たまにオーブに来てます。シンたちとは少し砕けた関係になってそう。
シンは議長殴ったりしないのか、とかよく言われましたがマユも無事だったので何もしないと思ってます。逆に兄妹揃って手伝うって言ったのにできなくて申し訳ない、って謝ってると思います。議長にさらにダメージ。
マユ、ステラは健康に。ステラは経過観察しながら、マユは「ゆりかご」の影響はないです。軽い暗示で集中力を高めていただけなので、薬とかはないです。パイロットはやめてブルーコスモスに就職できないかがんばってます。理由はわかりませんねぇ。
キャラ多すぎて誰を書いてないかわかんねぇなこれ。もうちょっと書きたい場面とかあったんですが、それはまた次回で!
と、これくらいですかね。また疑問があれば感想でもXのDMでも聞いてください。
せっかくなので、8月8日(土曜日)夜21時からフリーダムの同時視聴をしようかと思います。お暇であれば、下記URLからYouTubeの枠をとるのでお暇であれば来てください。お話とかできたらいいなぁと思います。
→https://youtube.com/channel/UCC6H0Y2Pp8ZEfcauF0b490g?si=P1zCku2NtPpB-fN9 「アオノクロ放送室」
では以上! またFREEDOM編で!
いつも感想や誤字報告、ここすき等ありがとうございます。励みになってりました。
……………………帰らないとダメかぁ。いやでもさぁ…………やっぱなぁ。
────最後までぐずった結果スパコやズラに引き摺られて帰宅したバカ