逆に聞きますが、皆さんは歳を重ねて落ち着かれましたか?(血反吐)
で、ではどうぞ(瀕死)
「どういうおつもりなのかっ‼」
複数のコロニー群からなるコーディネイターの住まう独立国家プラント。
首都であるアプリリウスの会議室で国防委員長を務めるハリ・ジャガンナート中佐はコンパスの初代総裁、ラクス・クラインへ向けてオルドリン自治区での戦闘での不満をぶちまけていた。
「同胞が撃たれたというのに反撃できず、それどころか被害が増えた‼」
「ジャガンナート中佐、報告にもありましたが国境侵犯を止めるためであり「だとしてもだ!」……」
親子と言ってもおかしくないほど年齢の離れたラクスに向けて、八つ当たりどころではない罵倒を止めることなく続けるジャガンナート。
新たに議長となったワルター・ド・ラメントの言葉にも聞く耳を持たず、ため息をつかれているというのに一向に止まる気配はない。
「ハイネ隊長の判断は適切だったと思われます」
「同じコーディネイターの同士を攻撃することが適切だとっ! そうおっしゃられるのですか‼」
ラクスの言葉にも聞く耳を持たず、ラメントはどうしようもないと首を振ると、手元のパネルを操作し正面に設置してある大型モニターを起動した。
「そもそも侵攻してきたのはブルーコスモスの方だ! 反撃をするなという方が『だとしても限界がありますよネ?』なっ」
会議室に設置されている大型モニターに映し出されたのはブルーピリオド理事長にして、コンパスの出資、設立の第一人者ムルタ・アズラエル。
「ムルタ・アズラエルっ…………‼」
『どうもジャガンナート中佐、相変わらずお元気そうですネ。』
「……………何の用だ」
今にも掴みかかりそうな形相で睨まれるも涼しい顔でアズラエルは口を開いた。
『先日のオルドリン自治区の件ですが、どうもウチのものが粗相をしたみたいで申し訳ナイ』
「!?」
思わぬ言葉にラメントやラクスも驚くが、逆に首をとったかのような顔になったジャガンナートはここぞとばかりに大声を張り上げた。
「そうだ! 貴様の設立したコンパスにより我らが同胞たちが攻撃を受けた! これはいったいどのように責任を取るつもりだ‼」
『返す言葉もありませン、もう少し方法はあったものかと反省する次第でス』
「だいたい世界平和監視機構などと名前を付けておきながらその実『なので実際に確認していただきたく』…………なんだと?」
言葉を遮られたことに苛立ちながらも二の句が継げぬままにアズラエルが流したのは、当日のハイネとオルドリン守備隊との会話。
止まれと言うハイネに対し断る守備隊に、会議に参加していたザフトの顔ぶれもザワザワとしだした。
『ハイネ隊長ももう少し説得できれば良かったんですがネ? いやぁ人を口説くのはなんとも難しいものでス』
謝罪の時に見せたしおらしさなどどこへいったのか、朗らかに笑うアズラエルと対称的にジャガンナートは歯を食いしばりながらも赤く染まっていった。
『さて国境侵犯を仕掛けた兵士への処罰もいかようにするのか、そのあたりもお聞かせいただきたいのですが、よろしいでス?』
そこからは少なからず勘弁してほしいと思っていた同じ部屋のメンバーですらも、ジャガンナートに同情するほどの責任追及が行われ、爆発するのではないかと思われるほど真っ赤なジャガンナートとアズラエルをラメントが収め、会議は終了した。
「いやはや、彼を見ていると本当にナチュラルとコーディネイターの差などあってないようなものだと身に染みますな」
会議を終えて部下やラクスと歩くラメントが関心と呆れが込められた表情で息を吐く。コーディネイターの中でも穏健派であるラメントだが、ナチュラルとコーディネイターの能力に差があることを見逃しているわけではない。
生まれながらの能力の差やある程度の考え方の傾向は存在する、と踏まえた上での考えでありラクスやジャガンナートのあいだをとりもつ中立派の人間である。
とはいえ、ムルタ・アズラエルを始めコンパスに所属している幾人かのナチュラルとも出会っているが、流石と言うべきかザフトの赤服にも劣らない人間を見てきた。
「世界が探しているかのミケールもナチュラルですからな…………結局カナジには?」
「見つからなかったそうです」
悲しそうに首を振るラクスに、また面倒が続くかと内心でため息を吐く。
「そういえば久しぶりにミレニアムがプラントへ立ち寄るようですな。彼らも久しぶりに休めるでしょう」
雰囲気を変えようと話題を振ると、意図を受け取ったのか少し明るくなった顔をあげたラクス。
「はい、また食事でもしようかと話をしていまして」
「それはいいですな。彼らには働いてばかりです…………本当なら働かなくてもいい世界であって欲しいのですが」
ラメントの脳内に浮かぶのは年端も行かないコンパスのパイロットたち。数々の苦難を乗り越えたと聞くが、終わりではなく続けさせてしまったことを心苦しく思う。
「憎しみを忘れられんのは愚か者と理解してはいても、やはり我らも感情に支配される。失ったものがあまりに大きすぎましたからな」
「……………………だからこそ、目指すべき平和があるのだと思います」
少し遠い眼をして空を見上げるラクス、コロニーの内部に映し出された映像は綺麗な空が澄み渡っている。
空から飛んでいたトリィと似た青色のペットロボ、ブルーが静かにラクスの手にとまった。
「タオ閣下の?」
「あぁ、よろしく国防委員長」
「ではこちらへ」
同じように平和を願う者たちも、静かに動き出す。
──────以上がファウンデーション、アウラ女帝からの申し出だ」
「かの国はミケールの所在をかなり精密に掴んでいるようです。協力する意義はあると思いますが」
「見返りは何なのでしょうか」
ラクスの執務室でモニターに映るのは親しい中であるカガリと秘書であるトーヤ・マシマ。だが、現在は仕事中であり硬い言葉を使わねばならない。
「コンパスへの参加、これをきっかけにして独立国として認められようって算段でしょうネ」
何より、コンパスの出資者であるこの男に、勉強と称されて突かれるのはカガリとしてもラクスとしても懲り懲りである。
「独立し発展しているが、ユーラシアとの関係は良くない」
「ファウンデーションをきっかけに独立が続いたファウンデーション・ショック、まぁ独立されていけばそれだけユーラシア連邦の力は衰えまス」
美味しい事が何もない、とモニターを操作し独立していった国のリストを訝し気に見定めるアズラエル。同じ部屋ではいつものように何人かの人間が小走りで書類を運んだりと忙しなく動いている。
「…………ブルーピリオドの復興支援もあったとは思いますが、それにしても復興が速すぎます」
ラクスの言う通り、ユーラシア連邦は大西洋連邦とプラントとの戦争の余波をオーブ以上に受けている。むろん被害者というわけではないがアルテミス要塞、災害救助などの名目で進駐するザフトに、それらを処理するために暴れたデストロイと貧乏くじを引くことがまま多い。
ブルーピリオドによる復興支援こそあったものの、それを差し引いても早すぎる復興速度。デュランダルがその腕を認めたという宰相オルフェ・タム・ラオの存在があってこそだとカガリは言うが、
「! まさか、総裁はDPを疑っているのか!?」
「いえ、そういうわけでは」
カガリの気づきに自身がなさげに俯くラクス。
かつて戦争の最後の引き金となった計画、人々の遺伝子によって役割を決定するデスティニープラン。否定こそされて終わったものの、魅かれた国や人間は多くいるだろう。
「可能性はありますネ。あそこはナチュラルだけでなくコーディネイターも多く雇用していまス。濁すことなく言うのであれば、理想の国に近い」
その言葉で膝の上に置いてあった拳を握りしめるラクス。
嘗て自分たちが仲間と共に否定した計画、提唱した本人すらも放り投げたが結果を出したことさえも否定することはできない。
「コンパス理事国とユーラシアの関係がさらに拗れる可能性はありますガ、彼らには借りがあル」
「フリーダム強奪事件、あの点を突かれると我々としては痛い」
アズラエルの言葉で掘り起こされた記憶に苦い顔をするカガリ。貸し借り、というには少し大きな出来事であり今回の政治に無関係ではなくせない。
結局時間もあり、1度保留という結論で別れた後、ラクスはコンパスの総帥を引き受けた時の事を思い出していた。
フリーダム強奪事件ってなんだよ! ……………………いや本当に何だったの? が当初の自分でした。自分が知らないだけで外伝か何かが合うのかと思いきや、調べても出てこないし詳しい人たちも困惑してた印象深い思い出です。
それはそれとしてジャガンナート国防委員長なのミスでない? DPで適性調べたら?^_^
いつも感想や誤字報告、ここすき等ありがとうございます。最後の燃料となってます。
ひと口メモ
・ラクスとカガリはアズラエルに駆け引きなどを教わってます。勉強にはなりますが、普通にやりこまれてボコボコにされることが多いとか。アズラエルは結構楽しんでます。