結構端折ってるんですが、原作映画の勢いを真似してます。不明点あれば聞いてください
…………やっぱリメイク総集編とか作るかなぁ。種も運命も見直すと書き直したいところ多いんですよねぇ
「コンパス総裁の件、引き受けようかと思います」
子どもたちも寝静まった夜、マルキオ導師の家でパジャマ姿でホットミルクを飲んでいたラクスは静かに告げた。
「…………いいんじゃない? ラクスが自分で決めたんでしょ? なら何も言う事はないわよ」
やはりと言うか一番最初に反応したのはフレイだった。同じソファに座るキラに凭れながらラクスの意見を尊重する。
「ボクもフレイと同じくっ、かなった、あっ!」
コントローラーをにぎる指先だけは激しく動かしながらも、自分の肩に頭を乗せているフレイへの振動は最小限にするという、無駄に高度な技術を披露しているキラも同調した。
『んー俺もかな、詳しい事は分からないけどキラたちもいるんだろ?』
『墜落! 知らね、勝手にすれば?』
『引き受けても受けなくてもぼくの仕事は変わらないしねぇ』
スピーカーモードにしてある携帯端末からも口々に意見が飛び交うが、反対の意見はほぼない。おそらくそんなことよりモニターで大乱闘をしているゲームの方が大事なのだろう。
「…………」
なんとなく予想されていた通りの返事を聞きながら、無言でモニターから眼をそらさないバカを見つめるラクス。なんとなく雰囲気を感じ取ったのか、スピーカー越しのメンバーも静かになっていく。
最後のひとりがモニターにへばりつくよう飛ばされた後、ユウキの操作していたキャラが勝利の決めポーズをとった。
「…………好きにすれば」
振り向きもせず返されたいい加減すぎる返答にフレイが頭をはたいた。それをきっかけにゲームではなくリアルでの大乱闘が始まり、あまりの騒がしさに起きてきたマリューによって鎮静されるまで続いた。
ラクス・クラインのコンパス総裁任命、その前日の事である。
「おれ、役に立ってるのかな」
「え?」
ミレニアムのパイロット控室で静かに呟くシン。視線の先には整備中のイモータル・ジャスティスがディアクティブ状態で佇んでいる。
「結局いつもあの2人で戦ってるからさ、じゃあ一緒にいるおれはどうなんだろって」
「信用はされてるでしょ。だからジャスティスを任されてるんだし」
「別に信用されてないとは思ってないさっ! でもさ、おれだってヤマト隊なのに」
現在コンパスでは3つのモビルスーツ部隊がある。
ヒルダ・ハーケンとマーズ・シメオンにヘルベルト・フォン・ラインハルトのハーケン隊。
モビルスーツ部隊を全て纏めるハイネ率いるルナマリアとアグネスのハイネ隊。
最後がキラを隊長にしたユウキ、シンのヤマト隊。
無論そこには個人の実力や相性、機体性能などが関わっているのだが、ハイネの指揮では基本的にキラとユウキが先鋒に命じることが多い。
「それでまたうじうじ悩んでたってわけ?」
「…………2人とも尊敬してるし、恩人だからもっと役に立ちたいって思うけど」
コンパスに誘われた時、ヤマト隊に配属が決まった時、シンは心の底から喜んだ。お世話になり、お礼を返そうと思ってた人の役に立てると、力になれると勇んできた。だが実際は後ろを眺めながら後始末をする程度であり、大事な役割だとは分かっているがそれでも心の中にしこりはあった。
「そんなのアンタが弱いだけでしょ」
「アグネス…………」
話を聞いていたのか、短か過ぎるスカートとツインテールをはためかせながら部屋に入ってきたのはアグネス・ギーベンラート。
「おかしいと思ったのよ、アカデミーで落ちこぼれだったアンタがFATHEだなんて。結局デュランダル議長の使い勝手のいい駒だったってことよね」
「っ…………!」
それはシンにとって忘れることはできない過去。認められたと、自分がするべきだと喜んだ結果誤った道へと突き進んでしまった。
本人とは謝罪をしあったが、だからといって苦い経験であることには違いない。
「一部ではフリーダムキラーなんて呼ばれてるけど、実際に倒したのはハイネ隊長なんだし」
「フリーダムキラー?」
「知らないの? おめでたいわねぇ」
本人たちだけが知らないあだ名に首を傾げるが、アグネスからすれば誤解の証明にしかならない。
「ねぇ、譲りなさいよジャスティス」
壁を蹴り勢いをそのままにシンへと迫るアグネス。与えられている専用カラーのギャンも次世代量産機としての試作機であり、誰にでも簡単に渡される機体ではない。
だがやはりネームバリューは伝説の機体であるジャスティスに劣る。
「アカデミーではわたしの方が成績が上だったんだし、アンタが持ってても宝の持ち腐れでしょう」
自分が優秀であるという絶対的な自信とシンを嘲る傲慢さで正義を冠する機体を要求する。
言葉に詰まるシンだが、アグネスのいう事は概ね事実である。フリーダムへ止めを刺したのはハイネであり、アカデミーではアグネスの方が成績が上だった。
だからといって、いけ好かないズラの後継機ともいえるガンダムを簡単に渡す気はない。
「…………ジャスティスに乗ったからって、ユウキさんに勝てるわけじゃないだろ」
「っ‼」
部屋に入ってきてからずっと弧を描いていた口元が初めて歪んだ。
「あんなのっ! バアルの性能のおかげでしょ‼」
振り返ることもせず部屋を出ていくアグネス。あんな機能が、などと呟きを残して消えた背中をシンは苦い顔で見送った。
「…………言い過ぎたかな?」
「別に、アレくらいじゃへこたれないし大丈夫よ。それより、そろそろ準備しましょ」
少し落ち込み気味の彼氏に心ばかり弾んだ声をかけるとルナマリアは立ち上がった。
パチパチと油が跳ねる音に、アナウンサーの声が重なる。
到底ひとりでは食べきれないほどの料理が出来上がっていく中、ラクスはエプロンをつけたまま鼻唄を歌っていた。
玄関のチャイムが鳴り、パタパタとスリッパの音を鳴らしながら向かって扉を開けると、
「お邪魔します総裁!」
「お土産のケーキ持ってきましたよラクス様!」
「あぁもう! すいません、お邪魔させていただきます」
運動部のような元気が取り柄のあいさつをするシン、嬉しそうに箱を持ち上げるマユ、恐れ多いと言わんばかりに頭を下げるルナマリアの3人がいた。
「お待ちしておりましたわ。さ、どうぞ」
「お邪魔しまーす!」
「あ、おい走るなって! すいません!」
笑顔で迎えたラクスに促されるまま小走りで家に入っていくマユと、慌てて追いかけるシン。
「…………すいません」
「2人とも元気ですわね」
必然的に保護者役となっているルナマリアもまた、肩を落としながら玄関に入り扉が閉められた。
「んー、ほい、これでどうだよ」
「まだエネルギー供給が安定しませんやはりまだ複数の機能を導入するには代理演算AIのプログラミングが」
「じゃあプログラムの確認はボクがやりますね」
「おいお前ら…………何してやがる」
ミレニアムの格納庫にて、バアルとコードが繋がれた白く細長い円錐状の装備を囲み話し合う男連中。私服に着替えているハイネが口元を引くつかせながら声をかけるも、顔が上がる事はない。
「やっぱ同時乗せするより分けた方が良かったか?」
「いえこれらは同時に運用することで効果を発揮するのであり機能を分けると」
「うーんこれ手動で計算した方が早い気も」
「お前等何してんだって聞いてんだよ‼」
「「「?」」」
格納庫に響き渡る怒鳴り声でようやく顔をあげるも、ハイネであることを確認してすぐにまた顔を戻す。
「時間過ぎてんだから今すぐ手ェ止めて着替えてこいってんだよ‼」
「大丈夫大丈夫少しだけだし」
「エネルギーの安定供給をするにはやはり機体の動力を調整する必要がありバアルでも充分ですがやはり戦闘時には安定した供給ができず」
「後から行くんでー」
聞く耳を持たないバカどもを相手に、腕力で従わせようと袖をまくり始めたハイネだが、
「おや? 今日は予定があるのではなかったのかね?」
この船で一番聞くことが多い低い声が割り込んだ。
「仕事熱心なのはいい事だが、休みは取らねばならんな。ましてや約束事があるというのなら…………言わんでも分かると思うが」
普段よりも圧のある艦長の声に、すぐさま走り出すパイロット2人。ひとりだけ残っているが慣れたもので作業を続けている。
「すいません、助かります」
「いえいえ、趣味を兼ねているとはいえ、若者を仕事漬けにするのも忍びないだけです」
立場上部下であるはずのハイネに対しても敬語を使うコノエ。元教師での経験もあってか、叱るのもお手の物でハイネでは無理でもバカたちの手綱を握れる数少ない人物である。
「…………これも、戦争を終わらせるために必要なのですかね」
先ほどまで彼らが触っていたものの他にも、多数の何かが置いてある格納庫。少年心をくすぐる装備ではあるが、同時に戦争の兵器でもある。
「さぁて、アイツらはそこまで考えてないでしょうが、先はずっと考えてますよ」
肩を竦めるハイネに微笑みながら軽く頭を下げて立ち去っていくコノエ。
例え短い時間だとしても、ほんの少しでいいから休んでもらいたい。そう願っているのだが、そうさせない世界である。
そしてそれとはまったく関係のない理由で3人がクライン邸へたどり着いたのは、月がのぼり切ってからとなった。
原作のキラが帰りが遅くなると連絡するシーン、何気に1番しんどいかったです。その後の早口ルルーシュで笑ったんですけどね。初見は聞き取れませんでした。同時にキラと親し気に話すコノエとハインラインに誰だお前等感が強くなったのも覚えてます。
揚げ物はシンがたくさん食べましたが、普通に残ってるのでキラたちも食べられました。
いつも感想や誤字報告、ここすき等ありがとうございます。最後の燃料となってます。
ひと口メモ
・ラクスは原作通りの家に住んでいます。バカを始め、コンパスメンバーや知り合いがそこそこの頻度で遊びに来てます。
・バカはひとりで来たことがありません。ひとりで来て欲しいと誘われたこともありません。