スーパーコーディネーターの悪友   作:アオノクロ

154 / 175
 ほぼ全てのガンダム主人公に言えることですが、鬼滅の親方様が無惨に言った本来なら寝て一生を終えたはずの虎を起こしたが当てはまると思ってます。天パとか分かりやすいですよね。なんもなければ町工場の修理屋とかやってただろうなって思います。

 ここでも例にもれず、ミケールなどはありましたが強敵はいなかったため弱体化、メンタルデバフつけてさらに弱体化、という状態です。これで仕留めきれなかったら自称新人類とか笑いますね!


ケルピーの正体

 勘、というものが人間には備わっている。

 

 一見超能力のようにも思えるが、実は科学的に説明ができたりする。

 

 早い話が、本人の身体に刻まれた経験が脳を介さずに身体を動かす、答えを導き出すというものだ。

 

 大人が小学生の算数問題を、計算せずに答えを出すものと思ってもらえればいい。

 

 つまり知識や経験を積めば積むほど、身体は無意識に最適解を導き出す。それが直感、という形になって現れるのだ

 

 幸か不幸か、ユウキ・イチノセには充分すぎるほどに戦いの経験と親友との日々が積み重ねられている。

 

 思春期という心を育てる多感な時期で、未来予知にも近いそれを生み出せるほどに折り重ねられた結果、ありえない答えを導き出した。

 

「…………なんでお前がそこにいるんだよ!」

 

 バアル・ブレイドとジンの重斬刀が鍔迫り合い、火花が散らす中でユウキの悲痛な叫びがコクピットへと届く。

 

「キラ!」

「……………………」

 

 黒いパイロットスーツのヘルメットの下ではざっくばらんに揃えられた茶髪のすき間から、離れた場所で戦っている親友と全く同じ顔が光のない瞳で敵を見据えている。

 

「クッソ!」

 

 バアルの後ろから別の継ぎ接ぎのジンが銃口の狙いをつけた。ロックオンアラートが鳴るよりも早く飛び上がり距離をとると、ジンの主武装である重突撃銃の弾丸が空を切り、バアルを抑えていたジンを掠めていった。

 

「下手糞がっ! ……………………あ?」

 

 ジンにはPS装甲のような機能はなく、それなりの装甲はあるが当たりさえすればメビウスでも…………しんどいかもしれないが、ダメージを与えることはできる。

 

 例にもれず目の前のジンも掠めた場所が壊れており、装甲が剥げていた。

 

 しかしユウキの眼にはもっとおくの別のものが見えており、

 

「! ちっ!」

 

 意識を逸らした瞬間に別のジンが銃口を向けている。反撃はできないものの、多対一にも関わらず攻撃を避け続けるバアル。ユウキがどうにか反撃の隙を見出そうとした時、一斉に攻撃が止んだ。

 

 ジンに乗るキラと同じ顔のパイロットたちが同時に、同じ操作を始めた。

 

 継ぎ接ぎに沿ってジンの外装が剥がれていき、中から現れたのはかつてナチュラルもコーディネイターも関係なく救おうと戦場を駆け巡る翼を持った伝説のモビルスーツ、

 

「……………………フリーダム」

 

 細部にはブラックナイトスコードの面影が見えるが、それでも知っているものであればその名を呼ぶであろう。真っ黒に染め上げられたフリーダムがバアルの前に立並んでいた。

 

「何のつもりだってんだよっ!」

 

 腰から引き抜かれたビームサーベルを両手に姿を重ねながら、本家にも劣らない速度で襲いかかってくる3機のフリーダム。最初の1機目の突きをバアルが身体を捻りながら躱し、2機目の肩を駆け上っていくが、向こう側から現れたフリーダムの両肩から構えられた砲口がバアルの右肩と左翼を貫いた。

 

 バランスを崩しながらも辛うじて立ち続けるバアルを3機の黒いフリーダムが逃げ場がない様に取り囲み、見慣れたフルバーストの態勢を取る。

 

 迷彩機能を起動し近場の森へと走り出すが黒いフリーダムの頭部から照射され続けているレーザーポインターは常に追い続け、木に遮られたのか途中で途切れることはあったが動きが止まった瞬間を狙い3機分のフルバーストが炸裂した。

 

 木々を薙ぎ払い出来上がった窪みに色の失ったモビルスーツの残骸を確認すると、黒いフリーダムは翼を広げて曇り空へと消えていった。

 

 

 

 同じ頃シュラの駆るシヴァに攻撃を受け続け、碌な反撃もできないよう徹底的に装備を破壊されたライジングフリーダム。ついにほぼ全ての装備を破壊したと判断された時、シヴァの胸元から発射されたスティンガーが全身に突き刺さり、灰色の姿で仰向けに崩れ倒れた。

 

「お前は俺には勝てない…………それが決められた運命だからだ!」

 

 ゆっくりと死に体のライジングフリーダムへと近寄っていくシヴァを、少し離れた岩陰から見続ける十字溝から輝くモノアイがあった。

 

「──────っ! アイツは、あのバカはまだ来ないの!?」

 

 シュラが勝つ、そのことは別に構わない。何せ自分を認めた男だ、キラ・ヤマトよりも上に決まっている。だがアグネスの狙いはキラではない。

 

 声をかけた自分を無下にして、模擬戦で醜態を晒させた憎き相手。普段はおちゃらけたガキのくせにコンパス内でも人目を惹き、大した家の生まれでもないクセに思いがけない人脈がある。

 

 この混乱した状況なら割り込んできた相手をやり返すことだって、なんて考えがあったのかは本人しか分からない。だが間違いなく同じ陣営であるキラがやられそうになっているところを、アグネスは傍観していた。

 

 シヴァの右腕で赤く熱せられたディス・パテールがボロボロになったライジングフリーダムへ振り下ろされた時、

 

 

 

 どこからか飛来してきたミサイルがシヴァに着弾した。

 

「なにっ!?」

「きたっ!」

 

 片や驚きで、片や待ちかねたと発射元を確認すれば、

 

 

 

 

 

 飛行用ユニットフォランテスを背部に装備した、赤いズゴックが水上をその鈍重そうな見た目とは裏腹に、勢いよく飛翔してきた。

 

 コクピットでは着がえる時間も惜しんだのか、パイロットスーツを着ていないアスランが険しい表情で敵を睨んでいる。

 

 腕部の重粒子力線砲やフォランテスのミサイルやビーム砲を一斉に撃ちだし、受けとめたシヴァが動きを止めた間に赤熱化した両腕のクローを構えて切りかかる。

 

 だがシュラも棒立ちすることもなく、攻撃を受け止めた後すぐに動き出し遠距離攻撃を混ぜながらの接近戦をしのいでいく。

 

「やるっ!」

「できる!」

 

 取っ組み合う形になるも膠着することなく、シヴァは脚部爪先のビームソードを起動し、ズゴックはフォランテスのウイングに展開されているビームライザーを不意打ちに混ぜて応戦する。

 

 分が悪いと判断したアスランが距離をとり、フォランテスのミサイル攻撃のため膝をついていた体勢からユラリと立ち上がる。

 

「大丈夫かキラ!」

「アスラン!?」

 

 非常用爆砕ボルトで吹き飛ばされたハッチから飛び降りたキラ、ボロボロのパイロットスーツで戦闘を見守っていると聞こえてきた友人からの声に思わず驚きの声が漏れた。

 

 しかし、のんびりと話す暇もなくシヴァとズゴックの激しい戦闘は続いていく。

 

「貴様、アスラン・ザラか?」

 

 割り込んできたタイミング、自分と戦える技量のパイロットという状況判断から相手を見抜くシュラだが、息を切らしているアスランは答えることができない。

 

(シュラ、時間だよ)

「そうか…………」

 

 人生で初かもしれない好敵手を相手に口元が緩むシュラだが、リデラートからの合図を聞き武器を収める。

 

「来るかい?」

「っ! あのバカ、バアルは!?」

「バアル、ユウキ・イチノセは部下が始末した」

「……………………いくわっ、わたしも!」

 

 シヴァに抱えられていくギャンを悩まし気に見つめているキラに、息を整えたアスランが声をかける。

 

「キラ、俺たちも逃げるぞ!」

「アークエンジェルの皆さんも一緒です」

 

 どこに隠れていたのか、ズゴックを覆い隠すキャバリアーアイフリッドに乗っているメイリン・ホークからノイマンたちの無事も聞かされるが、キラが安堵することはない。

 

「ユウキは!?」

「大丈夫だ、迎えが行っている」

 

 嘘をつく性格でもなく、ただの事実として伝えられた言葉を聞いて、ようやくキラも走り出した。

 

 

 

「おーい、大丈夫か」

 

 バアルが破壊された場所から少し離れた木々と川の境目に、黒いラインの入ったキャバリアーが降り立った。

 

「敵はどうですか?」

「撤退したらしい、アスランもキラたちを回収できたから大丈夫だ。にしても、水中に隠れなかったのか?」

 

 風もなく急に萎びていき、透明な何かに押された木々の隙間から愛嬌のあるモノアイがひょっこりと顔を出した。ミラージュコロイドが解除されて現れたのは真上を通じて後ろまで見ることのできるモノアイに、水中用なのか全体的に丸みを帯びたデザインのモビルスーツ。

 

 コクピットに座るニコルは纏めていた髪を解き、ほぐす様に首を振るとキャバリアーに乗るトールに視線を向ける。

 

「アッガイなら水中も行けたんですけど、コクピットに入れる時間がなくて」

「ケガもしてなさそうだし、充分だろ。聞こえてるかメイリン? ニコルとユウキを回収した。すぐに合流地点へ向かう」

「ユウキ、危ないので早くキャバリアーへ………………ユウキ?」

 

 人で言う指に当たるマニュピレータのないアッガイの腕で立ちすくむユウキ。トールの怒鳴り声でキャバリアーに乗り込むまでの間、視線はずっと破壊されたバアルへと向けられていた。




 はい、皆さんお待ちかねfreedom開始です。

 キラ側はいいけどユウキどうしよっかなーからの今回でした。この先めっちゃ自由に書けると思うと指が躍ります。さらに言うなら細かい設定後回しでノリで進めていきます。原作再現ですね!

 いつも感想や誤字報告、ここすき等ありがとうございます。最後までお付き合いください。


 ひと口メモ

・トールは普段、オーブで整備士やってます。モビルスーツや航空機系の適性もあったのでいい感じの雑用係になってます。

・黒いフリーダムはセンテンスガンダムと名前があります。デザインはほぼフリーダム原型を黒のイメージ

・アッガイはほぼまんまアッガイです。原作では茶色でしたが、ここではかなり黒色になってキャバリアーなしでもミラコロが使えます。

・黒色に変えただけの機体多すぎて描写で苦しんでいます。

・補足説明多すぎてひと口じゃなくなってきてる。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。