スーパーコーディネーターの悪友   作:アオノクロ

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 最終決戦、というかかっこいいはずの新フリーダムより印象が強すぎる運命と正義。

 どう頑張っても原作のインパクトを超えることができません。


点火

 白く輝くホワイト、赤いエール、そしてジグラートとカルラ本体のドラグーンが月面を飛び回る。

 

「下等なナチュラルに失敗作がァ!」

 

 叫ぶオルフェだが、さっきまでと違いドラグーンを打ち落とすことも機体へダメージを与えることもできずにいる。

 

「メサイアの向こうにいるやつ何?」

「随伴機かな? にしては変な信号が出てるんだよね」

「どうにかしろよ」

「直接行って壊して来たら?」

 

 合間に聞こえる気の抜けた会話がさらにオルフェの怒りに火を注ぐ。

 

 フリーダムは装備を変えてエネルギーが回復したのであろう、しかし明確な機動力の差などはない。無敵のバリアも、全てを無に帰す傲慢な雷も物質に関係なく貫通するビームを放つこともない。

 

 たかがナチュラルが一匹増えただけで、死角を補い合い隙を埋める。攻撃の直前に向かってくるドラグーンが出だしを遅らせ、回避の余裕を生み出す。

 

「ユウキ、ユウキ・イチノセ…………」

 

 本来自分の番となるべき女が口にした、パイロットの名前。生意気にも人類を導くべき存在である己の前に立ちふさがる、

 

「貴様は必ず殺す!」

 

 全ての攻撃がフリーダムからホワイトへと集中していく。

 

「おっと」

 

 普段とは違う物静かな雰囲気で機体を操り、ホワイトを取り囲むビームの網が展開されるよりも早く抜け出していく。

 

 皮肉にもアコードが読心能力を使うように、相手の動きを先読みして躱していく。

 

 輝くホワイトの後ろを丁寧に追っていく様は、無様にもより際立たせる演出のようにも見える。

 

「このおおおぉぉぉぉ‼」

 

 優雅さなど欠片もなくしたオルフェの怒号を聞きながら、イングリットはラクスを救出しに来た人物の顔が頭に浮かんでいた。

 

 汗をかきながらも涼しい顔で、機体を操縦するユウキの顔が彼女には安易に想像できた。

 

「やっぱ使うしかねぇか」

「演算機能できたの?」

「いや? どれだけいる」

「…………3分って言いたけど5分かな」

「おっけぇ」

 

 返事をして本来ならモビルスーツには必要のない機能のスイッチを入れた。

 

 

 

「あっ、パワーダウン⁉」

 

 離れた場所でブラックナイトスコードとセンテンスの部隊と戦闘していたルナマリアだが、流石に無茶が過ぎたのかインパルスのバッテリーが切れてフェイズシフトダウンしてしまう。

 

 それは防御力を失うと同時に、戦闘が出来なくなった証であり戦場では命取りである。

 

「ルナっ!」

 

 ひと際目立つ活躍をしていたデスティニーが離れようとして、その隙を狙わないほどブラックナイトスコードは甘くない。

 

「行け! シン!」

「ここはステラたちが!」

 

 同様に、味方のカバーができるほどに仲間たちも強く、シンは振り返ることなくルナの元へと進んでいく。

 

 翼の一部が折れたフォースシルエットをパージして、最後のシルエットを灰色のままに背負うインパルスの元にたどり着くデスティニー。

 

「デュートリオンビーム照射!」

 

 お互いの腕を握り合い、近づけたデスティニーの額からインパルスの額へ虹色の細い光が橋を架ける。無限と呼べるNJCの機体だからこそできる、他者へのエネルギー供給機能。

 

 エネルギーを最大まで貯めたインパルスは深紅のような赤いカラーリングとなり、デスティニーと同じ翼を広げた。

 

「色だけ変わっても雑魚には変わんねぇだろ!」

 

 妨害するレイとステラの隙間から抜け出したグリフィンがルナマリアの元へ向かうが、背中から左脇を潜り抜けて構えられた高出力砲を構えたのを見たうえでその勢いは止まらない。

 

「まずはお前から!」

 

 赤い線の入った光を避けて接近するが、その後ろからデスティニーがレーヴァティンを振りかぶる。

 

「チィッ!」

 

 舌打ちをしながらも目の前の雑魚より心が読めないコイツだと、振り返り際の攻撃はデスティニーをすり抜けた。

 

「…………ハ? あぁっ‼」

 

 実体のない光像を前に出した隙間を見逃すほどルナマリアは甘くない。振り下ろされたアロンダイトがグリフィンの背中を切り裂いた。

 

「やるようになったな、ルナマリア」

「忘れてた? 私だってコンパスのメンバーなんだから!」

 

 混ざりこんできたセンテンスの相手をしながら、援護の準備をしていたレイが笑みを浮かべる。

 

 その時、

 

「なんだこれ?」

「歌?」

 

 戦場に似つかわしくない音が流れた。出所に気が付いたのは、

 

「へぇ! 相変わらず曲のセンスはいいな‼」

「あーこれって」

「アイツ等だろ」

「…………悪くないね」

 

 状況からして味方だと判断して共闘していたハイネと元ブーステッドマンの3人。

 

「あのバカどもが!」

「相変わらずやることむちゃくちゃだな、変わってねぇんだろ? ニコル」

「えぇ…………いや、ちょっと成長しましたよ」

 

 元ザラ隊にして、クルーゼ隊でもあったザフトの赤服たち。

 

「艦長! これは」

「気にするな、バカのやってることだ」

「こちらも突撃するわよ!」

「…………ふふ、待っていますよ」

 

 船に乗る仲間たち。

 

 たかが歌、と思われるかもしれないが、古くから存在するそれは人の心に火をつける。

 

 

 

「これは…………俺だって、やってやりますよ!」

 

 戦場に似つかわしくない加速していくその歌を聞き、デスティニーの翼から赤い羽根が射出された。

 

 四肢の関節を赤く光らせ、巨大な光の翼をはためかせた運命の機体が、鋭利な赤い羽根を纏い戦場を横断する。後を追おうにも残像しかなく、攻撃を当てても光の粒子となって消えていくのみ。

 

「っ! ドラグーン⁉ こんな小さなものが⁉」

「知らないよこんな武器!」

「だがこの程度でダメージが与えられるとでも!」

「シンクロアタックだ、いきますよ!」

 

 赤い光の奔流に巻き込まれたブラックナイトスコードの表面を赤い羽根が削るが、ダメージには程遠くむしろチャンスだと横並びになり連携の構えを取る。

 

「闇に落ちろ!」

「うっ!」

 

 グリフィンによる精神汚染がシンを襲う。心の奥底、深層心理から深いトラウマを掘り起こそうとした時、

 

 

 

 

 

「ダメですよ。お兄ちゃんに勝てないからって、こんなズルをするなんて」

 

 

 

 どこか既視感のある少女がグリフィンたちを逆に深い闇へと引きずり混もうと、両手を広げた。

 

「ヒィッ! バケモノッ⁉」

「なんだコイツは⁉」

「何故こんな闇の中を平気な顔で…………」

 

 心を乱すはずが思わぬ光景に逆に心を乱されるブラックナイツ。

 

 逆に潜り込もうとした何かの代わりに、暖かい何かがシンの心を満たした。

 

「…………ありがとうマユ」

 

 この場にいないはずの妹に伝わるはずのない感謝を口にするが、家にいるはずの妹が笑った気がした。

 

「うおおおおおぉぉぉぉっ‼」

 

 気合を入れて加速していくデスティニー、赤い光を纏いブラックナイツが追いかけるも残光しか見えず、フェムテク装甲を応用した残像の分身を嘲笑うかのように置き去りにしていく。

 

「そんな寝ぼけた分身が通用するかぁ!」

 

 左脚を下げたセイガンの構えとなったデスティニーのレーヴァティンに、赤い羽根が集まりより巨大な武器となる。

 

 形が不安定なせいか炎のように揺らめくそれを突き刺すように構え、

 

「分身は! こうやるんだァ‼︎」

 

 動きの最中に残される残光ではない、本体と全く同じ分身が目に見えるほどクッキリと現れる。

 

「何なんだよこれぇ!」

 

 未知の現象に怯えるブラックナイツたちだが、いまのシンが手加減をするなどあり得るはずもなく、

 

─────仇は頼んだよ」

 

 リデラートへ向けて突撃するデスティニーの分身から、消えた分身の背後から現れた本体のデスティニー。

 

「ルナ!」

「はぁぁぁぁぁ‼︎」

「きゃあああああ!」

 

 宙返りをするように蹴り上げられた、足の甲を覆うように発生したビーム刃で手脚を落とされた。またも突撃するデスティニーの分身が消え、エクスカリバーを構えたインパルスが現れると振り抜く、というより構えて置くだけの大剣によって切り捨てられるリデラート。

 

「うわぁぁぁぁぁぁ!」

「リデルぅぅぅぅ!」

 

 リデラートの死に際の恐怖がブラックナイツに伝染し悲鳴があがる。

 

「ステラ!」

「うがァァァァァァ‼︎」

 

 四足歩行のMA形態となったガルムがデスティニーを背負いながら戦場を翔り、飛び上がったデスティニーから投げられたフラッシュエッジ四肢を斬られバランスを崩した隙を、背部装備からVの字で伸びるビームがリューの背後から切り裂いた。

 

「レイ!」

「借りるぞシン!」

 

 赤く輝く羽根を纏い、更には自身のドラグーンを射出させるレジェンド。

 

 背後につけられた円形状の装備から光の膜が現れたかと思うと、複数の緑のリングを纏いだした。

 

 赤い羽根が、緑のリングがグリフィンを傷つけていき、フェムテク装甲が機能しなくなった隙間をドラグーンが打ち抜き、トドメと言わんばかりにデスティニーが銃形態となったレーヴァティンから赤い炎を吐き出す。

 

「うぉぉぉぉぉぉ‼︎」

 

 全ての羽根を回収し、モビルスーツ以上の大きさとなったレーヴァティン。

 

 言葉すらも発せなくなったダニエルへ向けて、握りしめる両手の掌から光が注がれ、より輝く巨人を焼く大剣を振り下ろすデスティニー。

 

 炎に焼かれ火の手があるブラックナイトスコードを振り向く事なく、小さくなったレーヴァティンを左手に持った分身が本体へ収束された時、爆発の光がデスティニーを照らした。




 イメージBGM「ignited -イグナイテッド-」from:T.M.Revolution

 主人公が活躍しないわけない! イグナイテッドに乗せて活躍するデスティニーを見たいという作者の願望でした。

 ヒルダが仇とか言ってますがマーズ&フェルトは生きてます。

 フェムテク装甲はバエルの迷彩機能を使った模擬戦で経験を積んでいたので、死なない程度には経験を詰めてました。

 シンがドラグーンを使えるのか、ですが今作では扱えないこともないってイメージです。東方のフランの羽みたいな形の小さなドラグーンを、朽木兄様の千本桜のように扱ってます。クアンタのようにレーヴァティンと合体できます。

 レジェンドのイメージ図に丸い輪っかが追加されてましたが、スターゲイザーのものです。ドラグーンをなくして近接になった時用のものです。

 ガルムはガイアみたく翼にビームサーベルがありますが、先からもVみたいに伸ばせます。

 いつも感想や誤字報告、ここすき等ありがとうございます。最後までお付き合いください。


 ひと口メモ

・シンはキラバカズラからちゃんと学んでいます。デスティニーなら足ビームサーベルも使えると思いました。


 活動報告へのコメントありがとうございます! 通販も考えていますので無理はなさらないでくださいね!
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