キラが板挟みになってるっぽいですがラクスはまだ惚れてません。キラの弱いところはフレイが持っていったし、ユウキは弱いとこ見せてないので。
ただ不良に惹かれるお姫様(命懸けで自分を助けようとした)補正で気になってるだけです。自分以外にもしてるんじゃね? てきな。阿良々木に対するガハラさんみたいな感じです。
あと主人公モテるの? は感想でピッタリの方がいましたがもしかして割と良い? でもなコイツだもんなーって感じです。
ではどうぞ
「行かせてください!」
ヴェサリウスでは指名されたアスランが志願していた。真意はどうあれ友人の呼びだしだ、思うことはあるが一度会いたいという私情は含めたうえで行くべきだとも思っている。
「………………よかろう」
クルーゼは頭の中で計算し許可を出すと、勇んでいくアスランの後ろを見送った。振り返りモニターに映るホワイトの姿を確認すると副官のアデスに指示を出し、自らもモビルスーツ格納庫に向かった。クルーゼにしては珍しい、シグーを用意したのち待機という指示を受け取りアデスはその通りに指示を出し始めた。
「………………来た」
コクピットからイージスが出てくるのを確認したキラは緊張しながらもビームライフルの銃口を向ける。少しだけ震える手を落ち着かせるようにラクスはそっと手を添える。
「そこで止まってコクピットを開け!」
指示通りイージスのコクピットが開かれる。乗り出されるパイロット、影になっており顔は見えない。
「ほら、確認のためにも何かしゃべってみて」
「アスラン、見えますかー?」
開かれたストライクのコクピットから手を振るラクス。あれ、ラクスってこんな雰囲気だっけ? とキラは心の中で疑問に思った。
「………………確認した」
噛みしめる表情のアスランがそっと手を伸ばす。キラもラクスを軽く押し出そうとして、
「キラ様、フレイ様とミリアリア様、ほかの方にも感謝を」
振り返ったラクスが微笑む。心の底から込められた感謝、しかしそれだけでなく名残惜しさを込められた言葉を、キラはしかと受け取った。そして、だからこそ聞いておかないといけないと思った。
「……ユウキには?」
少し悲し気に笑うラクス。
これまで周りにいなかった不良と呼ばれる類の相手、その実自分の身を案じて独りでどうにかしようとした勇気のある少年。戦争についても、他愛のない雑談も、もっと話したかった、遊びたかったという後悔は考えるほど出てくる。
「また、と」
何も言わないのが一番だったがそれでも言いたかった言葉。たった二文字だが確実に伝えようと誓い、ラクスを押し出す。
ほんの少しの距離を漂い、イージスのコクピットから身を乗り出したアスランが受け止める。最後に出会った時と同じあどけない少女の顔を見てアスランは安心した。そして、また手を伸ばす。
「キラ! お前も来い!」
「!」
「俺は、お前と戦いたくない! だから!」
思いがけなかった、いや親友のことを考えれば充分予測できたであろう言葉。昔と変わらず優しいままだと分かった。だからこそ、時間が経ってしまったことを実感してしまった。
「…………ダメだよ、あそこには大事な友達が、仲間がいるんだ。だからボクはザフトに行かない」
優しくも強い芯をもつ友人の言葉、その言葉に意思が変わることがないのだと分かってしまった。だから、ちゃんと言葉にしなければいけない。
「次会ったときは敵同士だ…………その時はお前を撃つ!」
「…………ボクは嫌だよ」
決めたはずの意思が、瞳が揺れる。
「そんな…………子供じみた感情で!」
「それでも、さ」
歯を食いしばり悩むアスランに、言ってしまえばこんなものかとスッキリとしたキラ。二人の心を表すようにゆっくりと離れていくストライクとイージス。
まだ何か言おうと口を開いた時に、通信が入り込む。
「アスラン、ラクス嬢を確保したのなら下がれ」
「! 隊長! しかし!」
戦わないという約束、そんなものはどこにもない。むしろ人質がいなくなったのなら攻撃をしてしかるべきだが、それを行動するにはエリートであろうとアスランには若すぎた。
ヴェサリウスから発進したシグーがイージスの横を通り過ぎる。何か、止める方法はないものか、と考えるアスランの横から手が伸びた。
「ラウ・ル・クルーゼ隊長、追悼慰霊団代表のわたしがいるこの場を戦場にするつもりですか? そのようなことは許しません。すぐさま戦闘行為を中止してください」
「ラクス⁉」
ラクスの凛とした声が戦場に響く。その場にいたストライクとホワイト、イージス、それだけでなくヴェサリウスにアークエンジェルや先遣隊のすべてに強い意志を持ったその声が響き渡った。
「ふ、そういうとは思っていたよラクス・クライン。申し訳ありません、少しだけ気になることがあるので時間をいただきます」
仮面の下でほくそ笑み、スピードを落とすことなくストライクを通り過ぎ、目的の場所へまっすぐに向かう。その場とは、
「はじめましてだな、ホワイト」
「…………ラウ・ル・クルーゼだっけか? 今さら謝罪にでも来たのか?」
武器を構えることもなく、ホワイトの目前に、いやユウキの前に現れた。
「私の名前を知ってもらえているとは光栄だ、ナチュラルのパイロット君」
「有名だぜ? 民間コロニー襲っておいて、いまだに追い回してるストーカー野郎だってな」
しょっぱなから敵意をむき出しのユウキに対し、その威勢の良さに笑いだすクルーゼ。
「はっはっはっはっは! そうか、君からすれば私たちはそう捉えられても仕方ないな」
「で、何の用だよザフトのエースパイロット」
気味が悪いと今にも舌打ちが出そうなところを堪えて話を続ける。
「なに君のことが少し気になってね、よければ名前と」
シグーのモノアイが瞬いた。
「なぜ戦うのか、を聞いてみたくてね」
奇妙な感じだった。相手は間違いなく自分たちの命を狙い、住居を奪った敵である。にもかかわらずその言葉からは純粋さ、そして、二つの感情が込められていた。大抵の敵は狂気などの破綻した感情、もしくは快楽、または温もりを押し隠す冷徹な意思だというのに。
「あんた等が襲ってきた、ってのを聞きたいわけじゃねぇんだろ」
二人以外には聞こえない通信を使っていることからもすぐに察することはできる。だからこそ、分からない。分からないからこそ、ユウキは目をつむり軽く息を吐くと真っすぐに答えた。
「死にたくないし死なせたくない、まだ見ぬ明日のために」
これもまた、心の奥底からの言葉だとクルーゼは理解した。こんな戦場に巻き込まれながらも、あのようなふざけた戦いをしながらも、目の前の少年は明日のために共に生きようと足掻いている。
こんな世界で。
「ふ、ふ、フハハハハハ! そうか! 戦争の終わらないこの時代で! そんなことを言えるのか!」
「それが俺だからな」
「フハハハハハハハハハハ‼」
止まらない笑い、今では当初の薄気味悪さもない。
「キミはナチュラルだろうに、ストライクのパイロットはコーディネイターだが?」
「ダチだけど?」
即答。これにもまた笑いだすクルーゼ。何がおかしいのか分からず、こいつバカだろと安直な感想がユウキの頭に浮かぶ。
「いやいや失敬、聞いておいて笑うとは失礼した。最後に名前を聞かせてもらおう」
「…………ユウキ、ユウキ・イチノセ」
「ユウキ、ゆうき、勇気。ブレイブとは、勇ましい名前だ」
「親が付けた自慢の名前だけど?」
「そうか、さぞかし立派な親だったのだろうな……………」
笑ったと思ったら急に大人しくなる。感情の情緒についていけず困惑になりつつある。
「フフ、楽しい時間だったよユウキ・イチノセ。また話したいが、次に会う時は戦場だな」
「羽もいで泳いで帰らせてやるよ」
「まったく、勇ましいな」
そしてシグーが翻りヴェサリウスへと戻っていく。
何が何だったのか分からないまま、ぼーっとしているとストライクと慌てて発進してきたメビウス・ゼロがホワイトの隣についた。
「ユウキ! 大丈夫⁉」
「お前、あの野郎に何か言われなかったか⁉」
自分のことを心配する二人、そんな言葉に笑いながらもなんでもないと言ってアークエンジェルへと戻る。
艦長がお冠だと、キラが悪いユウキが悪い、お互いに責任を押し付けあいながら怒られるために帰っていく。
なぜ戦うのか、そこに込められた憎悪と期待を忘れることはないだろうなと思いながら。
ほんの少しだけ混ざり合うことができた者たちも、また戦うことになる。
ちょっと書きたかったクルーゼとの問答。良いキャラしてるんだよねクルーゼ、かなり好き。
たぶん主人公からは苦手だけどクルーゼからは好かれると思ってます。そんなことないと思う方、ぜひ感想ください。他人の解釈聞くの好きなので。
おまけ
キラ「ラクスがまた、だって」
ユウキ「また艦内ライブしたいのか、準備しとかねぇとな」