スーパーコーディネーターの悪友   作:アオノクロ

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 前回感想が欲しいって言ったらたくさんもらえました。ありがとうございます。元気の源なのでよければたまに投げてください。


 前回二人のプロレス見る時間あるの? って聞かれましたがイザークたちとの戦闘なし、先遣隊も生きてるので原作より余裕があります。ってのを聞かれて思いつきました

 ここおかしくね? とか矛盾してね?とかあれば普通に突っ込んでくれて大丈夫です。作者の口でまかせが飛び出します。

 なので高評価感想ありがとうございます。


子どもたちの決断

「なぁ、どうする」

 

 手に持った除隊許可証を見ながらカズイが周りに声をかける。すぐ近くでは荷物をまとめ地球に降りるための準備をしている民間人たち。

 

 自分たちも目の前の紙に記入して着替えればいい、そう分かっているのに誰も動かない。心残り、というのはもちろんある。なにせ命を預けて航海してきた船だ。そう簡単に別れられるものではない。

 

「この船、アラスカに行くんだってな」

 

 壁にもたれたまま天井を見上げるトール、見慣れた景色だというのにまだ見ていたい。不思議な気持ちが湧きあがる。

 

「…………ザフト、追ってくるのかな」

 

 不安そうにつぶやくミリアリア、頭の中では優しく機器の手順を教えてくれたクルーたちの顔が浮かんでいる。最後に見た時には笑顔で手を振ってくれていた。

 

「それよりあいつ等が、どうするのか」

 

 硬い声のサイ。アークエンジェルとクルーへの心残りは確実に学生たちの足を止めていた。そして今この場にいない、いつもの二人の存在が立ち上がらせようとしていた。

 

「…………キラは?」

「降りる、はず。だってあいつ優しいし」

 

 この言葉に全員が頷いた。

 

「じゃあユウキは?」

「…………残らないわけがない」

「学校よりも楽しそうにしてたもんね」

 

 苦笑したりため息をついたり、学校の時以上にはしゃぐバカな友人の姿を何度見たことやら。巻き込まれては叱られて、仕返しをしてはまた怒られて、落ち込む暇なんてどこにもなかった。

 

「…………ユウキが残るならキラは?」

 

 渡された二人分の除隊許可証をずっと静かに見ていたフレイが口を開く。疑問を投げかけたはずだった、だというのに誰もがその答えを知っていた。

 

 友達を置いていなくなるわけがない。

 

「……………………フレイこそ、どうするの?」

 

 分かり切ったことを置いてミリアリアが聞いた。誰もが気になっていたことだ。父親とキラとのことも全員が知っている。コープマンから報告されハルバートンによって絶対に引き合わせないよう命令が下されているが、それ以前の問題があった。

 

「パパとはあれから会ってないの、たまに聞いたけど元気ないって」

 

 自分の娘が起こした行動が受け入れられなかった。母親がおらず父親の男で一つで育ててきた目に入れても痛くない愛娘。それが自分を守るためとはいえ暴力をふるい、宿敵であるはずのコーディネイターを自分のボディガードだとかばったのだ。

 

 何があったのか、自分の育て方が悪かった、学校で何か学んだのか、どれだけ考えても分からない。自分の娘のことなのに。そんな自責の念が彼の身体を弱めていた。

 

「合流できてからすぐにシャトルで地上に降りたの」

 

 もちろんフレイも誘われた。しかし避難民のためのシャトルはまだあるし、いますぐにお別れなどできるわけがない。

 

 しかし今、決断の時間が刻一刻と迫っていた。

 

 そして、

 

 

 

「さて、足つきはおそらくアラスカへ降りるだろう。そこへたどり着いてしまえば我々に打つ手はない」

「だからその前にってことね、燃えるじゃん」

「あのふざけたホワイトなど俺が撃ち落としてみせる」

「負けない、いや勝つための目的を見失わない」

 

 決断をするのは自分たちだけではない。

 

「キラ…………」

 

 プラントへ送り届けるまでの間、周りが気を使ったのかラクスと共にいることが多かった。話はキラのこと、ではなく頼みごとが多かった。

 

「アスラン、セグウェイというものをご存じ?」

「探しに来ていただいた皆様に、感謝を込めて艦内で歌わせていただきたいのですが」

「ハロにもっといろいろなことをして欲しいのですが、できますか?」

 

 少し面食らったが変に考えこむ時間があるよりもありがたかった。ハロの機能については楽しめるくらいだった、ラクスに説明をしながら借りた工具を使っていろいろな改良を加えていく。セグウェイについては材料が足りないのでプラントに戻ってからと約束して。

 

 艦内ライブ、についてはダメもとでクルーゼに打診したところ意外にも許可が下りた。開いている一室に手の空いている者たちが集まり、ライブ会場というには質素すぎる簡易ステージが作られて行われた。艦内の通信によって全ての場所に届けられた歌声は聞いていた者たちの心を癒した。

 

 こんなにも活発的だっただろうか、と浮かんだ疑問も自分が知らなかっただけだと思えば納得しかない。困りながらも歌姫のわがままを聞き、それを叶えようと奔走する自分が少し笑っていたことに気が付けたのは独りだけ。その独りも自分のわがままが叶っているというのに、どこか物足りなさそうだった。

 

 無事ラクスをプラントへ送り届けることができた後、イザークたちと合流。地球へと降下するであろうアークエンジェルへと目標を定める。

 

 そこにいるであろう友人のことを頭から振り払い、モビルスーツの操縦桿を握った。

 

「アスラン・ザラ、イージス出る!」

 

 今はザフトのため、コーディネイターのために敵を撃つべきだと信じて。

 

 

 

「さぁ、この世界で抗う勇ましき少年よ。君の信念をみせてくれ」

 

 出撃する若い部下たちを見送る中、仮面の下は笑っていた。

 

 

 

 

 

「熱源感知! 熱紋照合、ジン、それとGです!」

「やはり来たか」

 

 部下からの報告を受けてモニターに映る自分が提案したGを眺める。味方のためにと造り出した兵器が自分たちに銃口を向ける。どこまで行っても兵器は兵器でしかないのだと自傷気味に笑うと、すぐさま指示を飛ばす。

 

「迎撃用意! それとアークエンジェルへと通信を繋げ」

 

 准将の号令の下動き出す地球軍、目的は避難民のシャトルとアークエンジェルの地球への降下。希望を託すには充分すぎるとハルバートンは不敵に笑う。

 

 

 

「お」

「あ」

「え」

 

 アークエンジェルの艦内、ブリッジに向かう通路で学生たちは再び出会った。片方は軍服で、もう片方はパイロットスーツで、驚くこともなく顔を見合わせる。

 

「……………あんた達、どうするの」

 

 その中で唯一、私服のフレイが声をかけた。かけられた二人はチラリと顔を見合わせる。

 

「学校もないし暇だから観光に行く」

「えーっと、ボクも」

「……………………どこに?」

「アラスカ」

 

 フレイの瞳が揺れる。当然と言わんばかりの太々しい態度、その隣にいる友人は気まずそうに眼を逸らした。

 

「へー、アラスカって何があるんだ?」

「パンダじゃね?」

 

 もちろんいない。

 

「パンダか、いいな。俺も見にいきたい、ミリアリアはどうする?」

「わたし…………も見たいかな」

「あ、俺も俺も」

「パンダって…………いるのか? まぁ見にいけば分かるか」

 

 トールに聞かれたミリアリアが頷きカズイも手をあげる。サイは悩んでいたが確かめたいと乗った。笑いあう学生たち、どこにでも見られる普通の、平和な光景だった。

 

「……………………私も、いきたい」

 

 そしてうつむいていた赤毛の少女も手をあげる。不安そうに顔をあげるとミリアリアが隣から抱き着いた。

 

「きゃっ」

「もちろん。フレイが行きたいなら一緒に行くわよ、だって友だちでしょ?」

 

 抱き着かれた手を軽く握り、潤んだ瞳が一人の少年と目が合う。

 

「ボクたちだけだとユウキを止められないから来て欲しい、かなって」

「なんだテメェ」

 

 そして始まる乱闘、二人だけだったのが野次を飛ばしていた男子も巻き込まれ通路で大騒ぎになった。そんな乱闘に割り込む放送とサイレン。

 

『総員、第一種戦闘配備!』

 

 一瞬でぴたりと止まり、服の埃を払ったり身体の一部をさすりながら立ち上がる。

 

「地球降りたら続きだからなテメェら!」

 

 中指を立てて連れていかれるパイロット、舌を出したり親指を下ろしたりそれぞれの返事をして走り出す。

 

 

 

「あなた達⁉」

 

 ブリッジではハルバートンによる出口をこじ開けるまで待機という指示に従っていたマリューたち。「遅れてすいません!」 という声と共に入ってくる見慣れた顔に思わず叫んだ。

 

「すいません、アラスカにパンダを見にいくことになっちゃって」

「パンダぁ?」

 

 帰ってきた返事に思わず素っ頓狂な声が出た艦長、自席で静かに待機していた副艦長も口を開いた。

 

「…………言い出したのは誰だ」

「お察しの通りですよ」

 

 苦笑いでこたえるサイ、タイミングよくブリッジのモニターにパイロットが映った。

 

『呼ばれた気がした』

『だからって割り込むのはおかしいでしょ』

「ユウキ君⁉ キラ君⁉」

『お前らなんでっ⁉』

 

 同じくメビウス・ゼロで待機していたムウも驚く。これまで力を貸してくれた彼らを無事に送り届けようと決意していたのに、あまりのことに揺らいでしまう。

 

「…………何をしに来た、遊びに来たのなら帰れ」

 

 冷たい声が響く。視線が集まる先には深くかぶられた軍帽で目元が見えない副艦長。その言い方も、した理由も分かるがゆえにマリューは口を出せない。

 

 そしてその言葉が向けられたと分かっている本人は、

 

『ありがとうございます』

 

 返事になっていないお礼の言葉が返ってきた。

 

『礼を返しに来ました』

「貴様っ…………!」

『最近知り合いに教わったのですが、信頼するのは強さらしいです。自分たちは弱いので、できませんでした』

 

 言葉になのか、普段とは違い過ぎるその態度になのか誰もが絶句して目を見開く。

 

『なので、信頼できる様子を見せてください。さもなきゃ乗っ取って全国ツアー始めますよ? いいんですか? へっぽこなら暴れ散らかしますよ???』

 

 ケラケラと笑ういつもの表情、あぁいつも通りだと誰もが肩の力を抜いた。言われた本人もため息をつき、いつもの凛々しい表情となってモニターを睨みつける。

 

「志願してきたのだ。前と同じように優しくされると思うなよ」

『いやなんでちょっと出かけてきます』

「待たんか!」

 

 モニターがプツリと切れる。誰もがそーっと目を向けると肩を震わせて下を向くナタル。誰もがあぁいつものだと察した。

 

 震えが止まるといつも通りの顔となったナタルが前を向く。

 

「艦長、地球では重力の関係で宇宙空間よりもハードな訓練ができます。最近は罰則もこりていないようですし、新たな項目を追加してもいいのではと進言します」

「…………そうね、その時は任せるわ」

 

 慣れたように副艦長の言葉を受け入れる艦長。ふぅ、とひと息はくと気持ちを切り替え、クルーにむかって何をするべきか声を張る。

 

「総員戦闘用意!」

 

 それぞれが持ち場につき、自分の役割に向かい合う。コンソールを見つめるもの、操縦桿を握るもの、モビルスーツの整備をするもの、CICを担当するもの。

 

「いいの? また怒られるよ?」

「ちゃんと言い訳は考えてるから大丈夫」

「お前らなぁ、無茶すんなよ。いいな?」

「「了解」」

 

 いつもの装備を用意しカタパルトへとホワイトを乗せる

 

「進路クリア。発進どうぞ!」

「ユウキ・イチノセ! ホワイト出撃する!」

「キラ・ヤマト! ガンダム、行きます!」

「ムウ・ラ・フラガ、メビウス出る!」

 

 少年たちは命瞬く戦場へと自ら足を踏み入れた。




 割と元気なラクス、そして気がつかないアスラン。お前カガリ以外だとほんとポンコツだな。

 艦内ライブは結構好評でした。許可した本人も割と楽しんだ模様。しかし今はもっと興味を惹くものがあるらしいです。ナンヤロネ?



 おまけ〜ライブの感想会〜

 一般兵「いや〜まさかラクス様のライブを聞けるなんてな」
 モブ兵士「めんどくさい仕事かと思ったけどラッキーだぜ」
 ズラ「ハロに簡易スピーカーの機能を、いやサイズからして低機能しか、それなら近くのスピーカーと接続できるように」
 仮面の隊長「ふむ、(いつもの彼女なら優しく相手を思いやる歌いかたなのだが今回は力がこもっていたような。それに知り合いから教わったという曲、調べたら昔のアニメの曲らしいがタイトルが直訳で勇気の心臓、もしやあの船で……やはり素晴らしいなキミは)兵士たちにも好評のようだし機会があればまた開催してもいいかもしれんな」
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