本当はアン○ンマンマーチとかも考えたんですけど、ガンダムでBGMならジャズだろ、とお告げが来たので。好評で良かったです。
主人公も成長するのです。それがダンダム作品ですから。
いつも感想やら誤字報告やらありがとうございます。励みになってます。
始まりはひとつの星。
しかしその光につられて集いだす光たち。それはいつか、先導する光すらも飲み込まんと巨大な怪物のようになっていた。
餌に食いつかれたのは自分達とも気付かずに。
「あ゛ぁ‼︎」
赤いエールの機動力を活かして戦場を飛び回るストライク。そのコクピットでキラは叫んでいた。
覚悟は決めたはずだった、それでも心を蝕む何かがある。できることなら帰りたい。部屋に戻り布団に潜り込んでしまいたい。耳を塞ぎ目を閉じて、自分の世界に引き篭もりたい。
それでも、
「ボクが、みんなで、守るんだ!」
メビウスを狙うジンを撃ち、自分へと飛んでくるミサイルを躱す。
遠くで騒がしく飛び回る友人を確認すると前を向く。
そこには赤と黒のモビルスーツ。何度も相対したことのある相手を前に、自分の役目を思いなおす。
「キラ!」
「行かせないっ!」
「ホワイトはあの二人に、僕達でストライクを!」
「いまの数は…………充分だな」
先頭を走るホワイトのコクピット、持ち込んだ音楽プレーヤーからジャズの激しい音が流れている。最初はうるさいと思っていたが、今ではもう慣れている。
理屈ばかりで中身のない大声を聞き流すスキルの応用だ。学校で洗練されたものだ。
「せっかくの機会だ。お前の全力をみせてやれホワイト!」
ホワイトのデュアルアイが瞬き、スラスターの火がさらに輝く。
ギリギリの距離を保っていたのが、少しずつ空いていく。
「なにィ⁉︎」
気がついたイザークを始め、追いかけていたザフトのパイロットたちがさらにスピードを上げようとするが、すでにスピードは限界をむかえている。
これまでは抑える、もしくは全力で飛ぶことができなかったホワイト。それが今、スピード勝負となった時、ユウキは初めて全力でスラスターを吹かせた。
元は大西洋連邦から共同開発により受けたXシリーズ、ストライクなどを元にそれらを超える性能のモビルスーツを超えようとしたため。まだ手探りであった状態で作られたホワイトは、スペックを超えることが優先で作られた結果、機体の負荷が大きく失敗作とされた。
それはつまり、
「クッソォ! 追いつけない‼︎」
ジンを超えるスペックのG、それらを超えるスペックを持っているのである。
『よぉ、ザフトの諸君』
追いかけるザフトたちのモニターに顔が映る。薄暗いが自分たちとは同い年くらいだろう。ニヤニヤと笑うその顔と直接流れるジャズに腹がたち、血圧が上がる。
『遺伝子弄って多少出来がいいからって、モビルスーツの性能が悪けりゃ追いつけねぇ。いい勉強になったな』
「ナチュラルのくせに!」
「生意気なぁ‼︎」
上から目線で喋りだすナチュラルのパイロットに罵声がとぶが、本人に届くことはない。
『まぁ気にするな。機体が逆でも追いつけることはなかったからな』
穏やかに我儘な子どもを言い聞かせるように、丁寧でありながら相手を下に見る発言。
『なんせ俺は天才だからな、凡人は一生俺の尻だけ見て這いつくばってりゃいい。それが遺伝子に刻まれてんだから』
年若くプライドの高いパイロットたちにその言葉はおおいに刺さった。
きれて暗くなったモニターに向かって叫びだすパイロット。しかしその声は本人には届かない。
せめて何かを届かせようとそれぞれが得物を構え、ホワイトに向けて放つ。しかしそのそれもが当たらず、先導する光を輝かせるだけだった。
「来たぞ‼︎ タイミングを逃すなっ!」
そして光に目が眩んだものは自ら網に飛び込んでいく。
「撃ぇー‼︎」
メビウス、そして艦隊の一斉射撃。光に目が眩んだ者たちが気がつくことはなく、劣っていると下に見ていた相手の策略に見事にハマった。
「なんだとっ⁉︎」
唯一先頭におりホワイトと近かったため直撃を免れたイザーク、それでも攻撃の一部を喰らい左腕を破損することになった。
なんとか離脱するも振り返ればそこは残骸が漂うだけ。
同じ光景を冷めた目で眺めるユウキ。
「…………軍隊なら、軍人ならこんな策に引っかかるんじゃねぇよ」
そう呟くとその身を翻し飛び去っていく。
恨み言に泣き叫び家族を呼ぶ声、一瞬で消えたそれらと消えたジャズの音のかわりに異音が聞こえるホワイトと共に。
戦闘はまだ終わらない。
「敵モビルスーツ多数撃墜‼︎」
艦内で告げられた報告に戸惑いながらも喜ぶ声があがる。他の艦内でも喜びに湧き立っていた。
「まだ終わっておらんぞ! 引き続き気を引き締めろ‼︎」
ハルバートンに一喝され、再びモニターを睨みつけるメネラオスのクルーたち。
ユウキの作戦は単純、自らが囮となり敵をかき集め味方の元におびき寄せる。火力も機動性も敵が上だが、こちらに気がつかない状態の相手を集中して撃てばメビウスでもジンを落とすことはできる。
問題は囮となるパイロットの腕とどれだけ集めることができるか。
その問題をユウキはクリアした。
「まったく、頼りになる子どもだよ」
モニターでは戦場に戻ってきたホワイト、そして奮闘していたストライクの姿。褒めているはずなのに、ハルバートンの声は暗かった。
「待たせた」
イージスにブリッツ、そして味方のフォローをしていたキラの元に友人が帰ってきた。
「ぜんぜん、待ってないけど?」
「…………」
「なに?」
「今の、デートの待ち合わせしたカップルみたいで嫌だな、やり直さねぇ?」
「じゃあもう一回飛んできなよ」
「そこで引き留めねぇのがDTなんだよ」
「自己紹介でもしてる?」
睨みあう二人、いつもなら取っ組み合いが始まるが飛び交う銃弾が邪魔をする。
「ちっ、後でな。作戦成功、これから第二フェーズだ」
視線の先には青い命の星。これから共に向かう先だ。
「なに?」
「どこへ行く気だ?」
急に突出するストライクとホワイト、意表をつかれたが追いかけるイージスにブリッツ。
付かず離れずの距離でやり合っていたが、後ろから急に戦艦の砲撃がとぶ。
「足つき!」
艦隊から突出してきたアークエンジェルが二機の援護、をしてきたと思ったら進路を変えて地球に降りていく。
他の第八艦隊も気がつけば距離が離れていた。
「イザークとディアッカは⁉︎」
ニコルが確認すれば反応はある、あるのだがデュエルは破損、バスターに支えられながらこちらへ向かってきていた。他の味方はいつの間にか数が少なくなっている。
「イザーク! 何があったのですか!」
「ホワイトめぇ、小細工を‼︎」
その言葉で分かった。また、負けたのだろう。冷静な頭でニコルが計算する。
「………引きましょう、アスラン」
味方はほぼ壊滅と言っていい状況、第八艦隊は追いかけてもバッテリーが切れる。足つきは大気圏降下を始めている。下手をすれば道連れだ。そうニコルは判断した。
「くっ……そうだな」
アスランも同じ答えを出した。たった一機のモビルスーツにここまでやられ、すでに逃げられているような状況。追いかける方がリスクが高い。
赤く輝き始めた二機のモビルスーツも、今ならまだ足つきに収容できるだろう。まだ距離がある自分たちも重力の影響を受けているのだ。ろくに戦闘もできず終わる可能性が高い。
それが普通の考えだった。
「このまま逃すかぁ!」
「イザーク⁉︎」
しかしそれで終わらない者がいる。支えるバスターを振り切り飛び出したデュエル。
ギリギリまで攻めようと攻撃をするのだが、もはやろくに狙いもつけられず的外れな方向へ飛んでいく。
「クッソォ‼︎」
何かできないかと足つきに近づくホワイトの周りを見て気がついたのは、
メネラオスから射出されたシャトルだった。
前半だけで良かったんじゃね? と思いながら後半書きました。
今回の作戦は二重の囮でした。バカが囮で敵を減らす、その隙に二手に別れてお互いがお互いの囮となる。と言った感じ。もし白仮面いたら食いついた挙句無傷で突破して第二ラウンド(ホワイト不調)でワンチャン死んでました。今は船で悔しがるふりして笑ってます。
おまけ 〜砂漠に降りた時の原作鑑賞〜
バカ「えー被告、誰もボクの気持ちを考えないのには放送時はほんのりだったのにリマスターでめっちゃ肌色多くなってたので処刑」
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