ガンダム系は設定とか複雑だったりなので、何かあれば感想で突っ込んでくれると嬉しいです。
「え、何って敵が来るから戦おうかと」
マリューが整備室に行けば既にストライクへ乗り込もうとしているキラに、ホワイトへ乗り込んでいたユウキがいた。
話が早すぎる。
本来なら守るべき民間人に戦ってくれと、断られても怒鳴られても文句の言えないお願いをしに来たのだ。だというのに、彼らはすでに戦闘に出る気である。昨日どころかついさっきまで普通の学生だった彼らが、だ。
「? どうかしたんですか?」
困惑しているマリューにキラが首をかしげる。いつの間に借りたのか私服ではなくパイロット用のノーマルスーツを着ていた。準備も万端過ぎてむしろ止めない方がいいのではないのだろうか? そんな疑問が頭に浮かぶ。
それを頭を振ってふるい落とすと、キラに向けて口を開いた。
「ごめんなさい、あなた達は巻き込まれた学生だっていうのに。…………本当はこっちから頭を下げてお願いしないといけないっていうのに、自ら進んでいくなんて。こんなことに巻き込んでしまって本当に申し訳ないわ」
思っていたよりもスムーズに謝罪の言葉が出た。何も分からないまま頼れる上官もおらず、気が付けば新造艦の艦長という立場になってしまった。それだけでも重すぎる重圧に、民間の子供に戦ってくれとお願いする立場。無理やり背筋を伸ばしていたさっきまでの状態なら謝罪もできず、高圧的になっていたかもしれない。つくづく自分は頼りないと自己嫌悪する。
少し自虐的になっていたマリューの言葉を受けてキラは、
「…………言われてみれば確かに、僕は民間人だから戦わなくていいんですよね?」
マリューの顔が引きつった。
「あれ? 普通にモビルスーツに乗って戦おうとしてたけど、巻き込まれただけで別に軍人じゃないですし、そりゃ機密に触れたから取り調べとかはあるでしょうけど」
徐々に頭がはっきりとしていく。一度気が付けば止まることなく出てくる自分の立場、そして戦わなくていい理由。少しぶつぶつとつぶやいたあと、キラは顔を上げてマリューに言い放った。
「ぼく戦わなくていいですか?」
「ごめんなさい戦ってください」
腰を直角にまげて頭を下げるマリューにう~ん、と悩む。改めて冷静になればなるほど戦う理由がない。いや探せば見つかるのかもしれないが、戦う義務というものはこれっぽっちもない。事件に巻き込まれた、通りすがった一般人でも逮捕権を持てたりすることはあるが、武器を持って戦えというのはない。そもそもキラは地球連合軍には参加していない国の人間なので国際問題になりかねないのだ。
ザフト? 知らん。
「あれ、キラ行かないのか?」
悩みこむ二人のところに来たのはユウキに引っ張ってこられたトール。アークエンジェル内の一般的なノーマルスーツを着ている。
「よく考えたら僕らって民間人だし、オーブの人間だから戦わなくていいんじゃないかなって」
「あー…………言われてみれば確かに?」
ちなみにこんなにのんびりしている場合ではない。艦橋では熱紋照合されたジンが迫ってきているのを把握している。マリューに連絡しようとしてるが、当の本人はここにいるので連絡を受け取ろうにもできない。
「でもユウキは飛び出していったぞ?」
『進路クリア! ホワイト発進どうぞ!』
「アストレイ・ホワイトフレーム、ユウキ・イチノセ出るぞ‼」
タイミングよくストライクのビームライフルとシールドを装備してカタパルトにいたホワイト、オペレーターの了承を得て発進する。
「…………あの子はなんなの?」
聞くタイミングではない、しかし聞いておかなければいけない。そう思ったマリューが二人に聞く。顔を見合わせて考えるが、上手いこと言葉にはできず少し悩んで答えた。
「腐れ縁、ですかね? 一緒にいて飽きないですよ」
「友達ですよ、頭にバカがつく」
苦笑いをするキラに、鼻で笑うトール。いい関係なのだと気づくと同時に申し訳なさもこみ上げてきた。まだ何も分からないが、それでもどこにでもいる普通の学生たち。そんな子供に頭を下げて戦ってもらわないといけない自分の弱さに、嫌悪感が再び顔を出す。
「…………あ、でもさキラ」
「ん?」
そんなマリューの様子にも気が付かず会話を続ける二人、戦闘がはじまろうとしている、いやすでに始まっていると言えるのにのんきなのは図太いのか、まだ自覚がないだけなのか。
「ユウキがもう出ただろ」
「そうだね、だってユウキだもんね」
「あいつひとりで好きにさせていいのか?」
「……………………」
コーディネイターとして常人以上の脳を持つキラは瞬時に計算、過去の記憶、現状、全てを踏まえたうえで一つの答えを出した。
「マズいかもしれない⋯トール! 今すぐ出てくるよ!」
「だよな! 分かってた!」
慌ててヘルメットをかぶり走り出すキラ、同じくどこか別の方向へ走っていくトール。え、と思った時には一人残されたマリューに整備のスタッフが艦橋から呼ばれていると言われてようやく動き出した。
「空中戦か、はじめてだな」
ホワイトに乗るユウキがコクピットでひとりごちた。空を飛ぶ、正確にはコロニーの遠心力による疑似重力がかからない中心部で無重力で漂っているに近い。それでも自分の足がついていない場所での初戦闘である。
アークエンジェルから共有されたデータを見れば相手はザフトの主力機であるジン、D装備と呼ばれる拠点攻略用の装備を持っているらしい。
「バッカじゃねぇの? なんに使うんだよ、戦艦か? コロニーか? どっちにしろ、そんなんだからお前らは嫌われてんだよ」
悪態をつきながら操作すると、ホワイトがビームライフルを構える。
「俺のダチのほうが万倍すげぇよ」
一筋の光がジンの集団の間を通り抜けた。
「なんだ⁉」
「ビーム兵器! 情報で言われていたが本当だったのか⁉」
「ナチュラルの癖に!」
混乱しながらも装備を構えるジンのパイロットたち、その引き金を弾こうとして『おーいちょっといいかい、ザフトのコーディネイターさんたちよ』ノイズの混ざった回線がコクピットに鳴り響いた。
「国際救難チャンネル?」
「バカが、命乞いでもするつもりか?」
鼻で笑うジンのパイロットたちだが、ユウキは構わず話を続ける。
『えー、こちらヘリオポリスの民間人。オタクらが攻めてきたせいで、ろくに当たらない射撃で戦いに来た。俺以外にもあの船には民間人が乗っている、お前らがコロニーを襲撃したからなんだが、念のために聞いておく』
乾いた口の中を舐めて、再び口を開く。
『見逃す、もしくは民間人を避難させるまで戦闘をしないという選択を受け入れる気はあるか?』
「どういうことだ?」
先ほどイージスを奪取した際に昔の友人と出会った、かもしれない。その事実を確かめようと無断出撃をしたアスラン・ザラは、流れてきた音声に疑問を抱く。これは投降する気なのか、それともこちらの油断を誘うための罠なのか、判断が付けられない。中立国のコロニーといえど、地球連合軍がモビルスーツを作るという情報を入手して実際に訪れると発見した。五機のうちストライクを除く四機を奪えたものの、こちらにも被害は出ているし情報にはなかった新しい白いモビルスーツ。これを前にして見逃すことなどできないし、民間人が確実にいるという保証もない。
「ふざけたことをいいやがる」
「まったくだぜ」
「これだからナチュラルは、よぉ!」
ジンの持つ両腕に装備された誘導弾がホワイトに向けられて発射される。
「………あぁそうかい」
ため息と共に自分に向けられた攻撃を躱すと、コーディネイターである友人の顔が思い浮かぶ。もしかしたら、ため息をついて目を見開く。
「だったら遠慮はしねぇぞ!」
横から取り出したコンソールを片手で操作して、エンターキーを押す。モニターの片隅でアップロードの文字と、その下にゲージが映し出された。
未だ活躍が薄い主人公、出番はこれからだ!
何かをひらめいたバカ「なーキラ、相手のパソコンに画像を映し出すにはどうしたらいい?」
なにかを察したコーディネーター「……………ごめんちょっと分かんない」
この後アレコレあって教えることになる。