前回の水鉄砲が好評でよかったです。砂漠だし火事が起きた時のために用意していました。この作品のテーマは戦争に中指立てていくなので、ふざけて怒られながらも生きていきます。そんな遊び心を忘れちゃうのが戦争、いやですね。 ではどうぞ。
「スカイグラスパーの空きがある…………パイロットをする気はあるか?」
真っすぐとこちらを見つめる真剣な瞳、これまでの自分ならすぐにでも飛びついたであろう提案。にもかかわらず、
「…………なぜ私なんだ、お前は乗らないのか?」
自分でも驚くほど冷静な返事だった。
「前のシミュレーションで俺より成績が良かった。いちから訓練してもいいが今は時間がない。遠からず戦闘になるし、その時の俺よりも今のカガリの方が上手い」
これは単純に適性の話である。ナチュラルだろうと、いや人間である限り得意不得意は存在する。ユウキよりもカガリ、そしてトールの方が戦闘機を操縦する適性があった。それだけである。
追加するならカガリはモビルスーツの操縦だってユウキよりも適性があるのだが、今はまだ誰も知らない。
「トールにも聞いたが断られた。カガリも断ってくれていい」
え、いや俺整備士だけど? というかなんで俺? といった疑問で断った。整備士なので当然ではあるが、整備をするためにシミュレーションで動かしただけである。パイロットになる気はさらさらない。そのため次に白羽の矢が立ったのがカガリだった。
「ホワイトは海では戦えない」
「!」
「ストライクは短時間なら可能だし、主力はムウさんだ。とはいえ一機減るだけでかなり辛くなる。
そのための提案だ」
理由は分かった。そのうえで、悩む。
「…………私でいいのか?」
砂漠で止められた時、言われた言葉、見てきた行動。その全てがカガリの心を揺さぶっている。口には出さないが、目の前の人物のように、理屈と志を持って戦えるのか。これまでの自分にはなかった、そんな悩みが生まれている。
「…………ずるいかもしれないけど」
頭を下げられた。意外な行動に目を見開いた。
「キラを助けてやってくれ」
「で、なんでシミュレーションなんだよ‼」
「そりゃ訓練は必要だからな。急に出てすぐに連携を取ることもできないだろ?」
シートの後ろでムウが笑う。何か思っていたことと違うが、言っていることはあっている。仕方ないので起動するのだが、
「…………なんか、前より強くないか?」
「そりゃそうさ。あの二人が触って難易度を跳ね上げたからな」
いつもの二人である。
いちおう言っておくと真面目な理由だ。碌に操縦経験のないカガリやトールでもクリアできる程度なら訓練にはならない。そう判断して改造した、ちゃんと許可は取っている。
「このっ! くそっ!」
悪態をつきながらも何度も撃墜されては生存時間を伸ばしていく。出会ったときのおてんば娘がどこに行ったのか、真面目にしている。
「ちなみに追加された中で最低レベルがそれだからな、気張っていけよ」
「はぁ⁉」
思いがけない言葉に気を取られて撃墜判定がモニターに映った。なおたまにトールもしているのだが、そのことは知らずにやっぱ難しいなと気楽にやっている。
「……………………本当に良かったの?」
「いいんですよ、本人がやるって言ったんです」
「そうじゃなくて、本来なら艦長の私から言うべきだったんじゃ」
「…………俺のわがままなんで、俺が言わないとダメでしょ」
はしゃぎながらもアドバイスを聞き、繰り返す二人を陰から見守る人影。責任を背負わせてしまった、しかし自分で言うまで聞き入れなかっただろうとも思う。そんな少年の横顔をマリューは眺めていた。
ふと思ったのはこの少年のこれまで。どのように生活して来たのか、親御さんはどのような方なのか、マリューはふと思った。それを知っているのはこの艦ではただ一人。今はザフト製のソナーを接続するために四苦八苦している。
「おっさんは全部クリアできたのかよ!」
「当然だろ。後おっさんじゃない」
なお一発クリアはできなかったので、こっそり特訓していた。クリアの秘訣は年上の意地と艦長の激励である。
「ふん、クルーゼと砂漠の虎に落とせなかった船など俺の手にかかれば造作もないわ」
「ソナーに音が…………! モビルスーツです‼」
慣れないソナー探索が音を拾う。水中を進むグーン、そして空からはディンが襲いかかってくる。
「スカイグラスパー、出るぞ!」
海上という戦場においてアークエンジェルの最大戦力となるムウが、ランチャーストライカーパックを装備して出撃する。ソードもだが左右非対称で空気抵抗とか大丈夫なのだろうか。
「くっ、このままだと射線が取れない!」
アークエンジェルのカタパルトから身を乗り出して射撃するストライクだが、攻撃をしては身を隠すグーンに素早く移動して狙わせないディン。自由に攻撃できない歯がゆさを感じながら、マードックにバズーカを要請する。
そのまま海へ飛び込む姿を見てブリッジへ走り出すユウキ。パイロットと認定はされたが要請された時以外は出撃不可、そう言われたカガリは鎮座するスカイグラスパーを悔し気に見ながら格納庫で走る。
「ソナー借ります」
「うぇ⁉」
ブリッジに飛び込んだユウキは、急ごしらえのソナーで索敵を続けるクルーからヘッドホンを取り耳に当てる。副艦長も横目で見るが何も言わないので何もせず、目を閉じて集中する少年を眺める。
耳だけでなく、ソナーの意識を自分と重ね海中のマップを自分の頭の中に構築する。音だけでなく、その先のあまたの情報を用いたうえでのなんとなく。自分の聴覚に直感を合わせて潜水し、こちらへ向かってくる敵の位置を探り当てた。
「…………3時の方向、タイミング…………3…………2…………1…………いま」
「撃ぇー‼」
打ち合わせもない一発勝負、しかしタイミングよく顔を出したグーンはアークエンジェルによって打ち抜かれた。ふぅ、と息を吐く少年と火器担当の副艦長。お互い顔を見合わせることもなく息の合った攻撃、少年はもちろんだが副艦長もかなりすごい人だとクルーはヘッドホンを受け取りながら背中を眺めた。
同時刻、海に降りたストライクとスカイグラスパーも敵機を撃破。初の海上戦を何とか乗り越えることができた。
「敵母艦が近くにいる?」
ムウの話を聞いてこれからの事を考えるマリュー。行って帰る航続距離を考えると近くにいるのは確かにおかしくない。そしてそれを撃たねば、この先ずっと追いかけられるだろうということも。
「分かりました、では次の戦闘が起きたらお願いします」
「あぁ、それと索敵には数も欲しい。嬢ちゃんを連れて行ってもいいか?」
「そう、ですわね。気をつけてくださいね」
「無茶はさせねえさ。それよりそっちもすごかったな、チラリと見たが顔を出したグーンにドンピシャで攻撃を当ててただろ? どうやったんだ?」
通路でこれからの予定を相談するマリューとムウ。戦闘時、いいように翻弄されていたアークエンジェルがまさかの先読みと言えるタイミングの良さで反撃。思わず口笛を吹いて称えた。
「わたしもよくは見てないけど、ユウキ君がソナーで位置を特定したらしいの。それでタイミングよくナタルの攻撃が当たったとか」
「マジか、やるもんだなぁ……………………」
正直また何かやらかしたのかと思ったが、聞けば真っ当な手段である。これはあとで褒めておこうと心の中でメモする。
そして詳しく聞いてみるとナタルと阿吽の呼吸で見事に決めたと知り、二人はこっそりと盛り上がった。
ザフトによる制空権の把握、日々地球へ物資や人員が補充されている毎日。その中に、ザフト製ではない二機のモビルスーツとそのパイロットたちもいた。
「これが地球か…………」
「確かに、重力というか空気というか、変な感じがしますね」
仲間と共に地球に降り立ったのは未だ迷いが晴れない少年、運命の出会いはすぐそこである。
ついにズラが出る…………!
カガリは非常事態以外は出ません。適性があるってだけで連携とかまだからっきしなので。あと主人公の活躍考えたけど悪戯できないし、サポートにまわるしかない。と思ったら副艦長との連係プレイ、操舵手の脳にダメージ。なんか位置が分かるそうです、不思議だね。
あと多くの人がモラシム戦省く理由分かった、これアニメでは映えるけどストーリー的にはカガアス邂逅以外注意するとこないわ。
おまけ~相談~
クルーA「なぁソナーなんだけどどうやって分かったんだ?」
バカ「んーなんとなくというか勘というか、音を聞くんじゃなくて音を眺めるみたいな?」
クルーB「なんじゃそりゃ」
クルーA「なるほど、なんとなく分かった」
クルーB「え」
艦長「ねぇねぇ、どうしてタイミングが合ったの?」
副艦長「ちゃんとカウントがあったからです」
艦長「ぶっつけ本番で?」
副艦長「非常事態でバカをする……………………こともありますが邪魔をすることはないでしょう。なら合わせたらいいだけです」
艦長「……………………へぇ~」
副艦長「なんですかその顔は」
感想誤字報告いつもありがとうございます。
※活動報告にておまけネタ募集してます。
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