キサカさんが好きです、皆さん知ってると思いますが。freedomでも喋って欲しかったなぁ、ではオーブ編です。どうぞ
「俺たち、どうなるのかな……………」
食堂に集まった学生たち、流れとはいえ自国についたとは言え表情は暗い。
危うく撃墜されるかもと言った状況で助けられた、というのに基地内についてからは上陸どころか船を降りることさえできない。ノイマン曰くこうして受け入れてくれただけでとんでもないこと、自分の国へと帰ってきたというのに不安しかない。
「両親に会ったりも…………」
「難しい、としか言えないかな」
ゼロではないということもできたが、変に希望を持たせるよりは正直に伝えるべきだろうとノイマンは判断した。暗い表情をする学生たちを見て会えたらいいと願うが、それができるのはおそらく上陸していた艦長たちに任せるしかない。
その一方でオーブの元代表、名前ばかりで現在も実質代表、であるウズミに呼ばれたマリュー、ムウ、ナタルの三人。いろいろと話した結果、船の修復と匿う事を条件にストライクの戦闘データ、モビルスーツ用OSの開発協力を要請され承認した。アークエンジェルの修理、と同時に学生たちの親との面会をとりつけて。
「…………これは聞き逃してもらってもいいのですが、」
「ふむ」
マリューが部屋を出る直前、見送ろうとしたウズミに振り返り口を開いた。
「アストレイについて、御ひとつ伺いたいのです」
「…………聞きましょう」
ナタルとムウが目を見開く。それは先ほどの話題には出なかったもの、話題に上がらなかったということは何も聞くべきではない。触れるべきではない、ということだったのではと思っていた。
大人とは本音と建て前を使い分ける生き物である。隠し事や嘘が明白であっても口にすることをしない、曖昧にしておくものが多い。
そこを踏み込むのはよほどの阿呆か、それとも、
「アストレイ、という名前の由来を伺っても?」
厳かな雰囲気が揺らいだ。人によってはただの頑固おやじとでも言えるオーブの獅子ウズミ、しかしその政治手腕は本物でありポーカーフェイスに心理戦など専門分野である。そんなウズミでも予想だにしない質問であったため肩透かし、意表を突かれた。
「…………本来ならイチから作り上げるべきものをコピーから作った、というのがありえそうですな。王道ではない、ゆえに
答えなくてもよい質問、聞きようによっては、いや関わってきたマリューたちにとってそれは明白な答えだった。元は別物、言い換えれば盗作によるものだと。
「ただ…………わたしが聞いた話だと兵器ではなく
皮肉である。
誰にとって、誰から見てなのかは分からない。答えはまだ出ていないのだ。
「よければ、こちらからも御ひとつお聞きしてもよろしいですかな?」
「えぇ、もちろん」
そのまま口を開くウズミ、何気ない普通の会話だというのにプレッシャーがかかる。ムウは真剣に、ナタルは冷汗をかいていることに気が付かなかった。
「白い機体、そのパイロットはどんな人物なのでしょう」
「…………そうですね」
そんな世界でも屈指の傑物を前にひかない、堂々と会話ができるほどに成長していた。
「
三人が退出した部屋で思案にふける。必要だと思った、その結果自分の娘に運命の少年が巻き込まれた。これだけでも全ての仕事を放り出していきたかったのだが、そこへ現れたイレギュラー。
機密であるアストレイ、それをナチュラルの少年が操っている。キラ・ヤマトの友人として、これが運命であるというのなら? いや運命を変えてくれるのなら、そう思わずにはいられない。
「アストレイを駆るブレイバーか、皮肉なものだな」
窓の外を見て思わず自嘲気味に笑う。振り返ると今後の事予定を思案する。子どもたちの対応、ヤマト夫妻への連絡、すべきことはたくさんある。
もちろんマリューが本心におふざけと皮肉を混ぜていたのは気が付くことはなかった。
「あなた達には、この子たちのOSを完成させるお手伝いをしてほしいの」
オーブの秘密地下、モルゲンレーテ社のモビルスーツ実験場へと連れてこられたキラとユウキ。その先では主任であるエリカ・シモンズが二人に説明をしていた。
視線の先ではオレンジ色のアストレイが立ち並び、軽い格闘を披露するも太極拳のようなスピードだった。
「お前たちとは雲泥の差だな」
眺めていた三人のところに現れたのは政治家としての服を着たカガリ。アークエンジェル内で世話係に見つかり無理やりドレスに着替えさせられたカガリは、ウズミの娘であることが知られた。やっぱお姫様だ、様付しとくか、かがりさまーと悪ノリした学生たちに飛びかかったが、ドレスの裾を踏んで失敗した。大笑いされたので、いつか仕返ししようと心に誓った。
そしてアストレイのテストパイロットであるアサギ、マユラ、ジュリと騒ぎ出す。お姫様とはこういうものなのか、とキラは学んだ。ラクスやフレイが異議を唱えているが声は届かない。
「俺乗ってみてもいいか?」
静かに見ていたユウキが手をあげる。
どうぞと許可を出す前には歩き出していたユウキ、キラとカガリは止めそこなったと後悔した。
「ふーん、確かにこりゃひどいな」
アサギの乗っていたM1アストレイを借りて、調べてみる。キラのOSに慣れているからこそ分かるひどさ。操縦こそできるものの、プログラミングはそこまで得意ではない。いろいろと触ってみてどうしようもないと分かったため一つ提案をする。
『普段のOS使っていいか?』
バカバカやめろと叫ぶ二人をよそにデータ収集になると許可を出す主任。きゃいきゃいと騒ぐ三人娘と何故かすでに落ち込んでいる二人。
場所を開けてスペースを作ってもらうと軽く手足の動きを確認し、スラスターを噴かせて走り出した。
リズムよくステップを刻み飛び上がると見事な空中ひねりを見せて着地した。
思わず拍手をする見学者、たまたま通りがかっていた者たちも感心していたのだが、
「あ、やべ」
バチッ、という音がしたと思うとM1アストレイの関節から力が抜け、崩れ落ちていった。
悲鳴をあげた担当操縦者に気を失いながらもデータを取る手を止めない主任、だから言ったのにという顔をする未だに関係を知らない兄妹。残りの二人は自分の機体じゃなくて良かったと胸をなでおろした。
ちなみに本人曰く、
「できそうだからやった、反省も後悔もしていない」
むろん姫は怒った。
「だからさ、空飛びたいんだよ」
「もしくは空飛ぶサーフボードとか、外部による飛行機能」
「最低限エールくらいの滑空と跳躍力が欲しい」
なんか無茶を言ってくる。
関節を破損したM1アストレイからどうにか抽出したデータをまとめていたのだが、使い道あるのか? というものしか残らなかった。なにせ三輪車に乗り始めた状態でロードバイクの操縦をこなしたのだ。そんな運用目的はない、というかたどり着いていない。
いずれ使えるだろうと残しておき、パイロットの話を聞けば空を飛びたいと。
おいまてこちらはまだ歩き方を模索している段階なのだ、何段飛ばしするつもりだと文句を言いたいが肝心のOSはもう一人の少年が骨格を見事に組み上げてくれた。これならナチュラルでも、と思えばなぜあの少年は動かせているのだ。
念のためコーディネイターかと聞けばナチュラルだという、検査しても確かに変わらなかった。
ナチュラルのためのOSを開発しているというのにコーディネイター用で動かせるナチュラル、しかも少年がいる。どうやってと聞けば才能と根性と返される。
宇宙へ進出し遺伝子操作で才能も手に入る時代で根性で乗り越えてきたという。
自分たちは何故ナチュラル用を作っているのか分からなくなってきたエリカ・シモンズであった。
原作より大胆なマリュー、肝っ玉おかあちゃんとか言ってはいけない。
昔はエールだと空飛べると思ってました。どのシリーズでもそうですが、飛べない方が多いんですよね。改めて知ると設定の深さに脱帽、できないからおもしろい。
おまけ〜王道ではない出会い〜
???「お、すまねぇ」
バカ「わりぃ、大丈夫か?」
???「問題ないぜ! お、その工具、もしかして機械いじりとか好きなのか⁉︎」
バカ「まぁー好きだし今は必要で勉強中ってとこだな」
???「そうか! いやぁ〜俺も好きなんだよ‼︎ 良かったら、ってすまねぇ! 約束の時間過ぎてんだった‼︎ またいつか会ったら話そうぜ‼︎」
バカ「おー、またいつかなー」
「どうしたのロウ、何かいいことあった?」
「ヘヘっ! そうだな、また会いたいやつと出会えたんだ。……また会うためにも、頼むぜレッドフレーム」
次回、モルゲンレーテではしゃぐ