あと警備ザルなのは特に問題ないみたいで良かったです。いや良くないけど
「このぉー!」
プラントの外壁に穴をあけて脱出するカオス、ガイア、アビスの3機。
その後ろを機動力に特化した、赤い翼を持つフォースインパルスに換装して追いかけるシン。
「待ち伏せの可能性もある、気をつけろよ」
「分かってるよ!」
白いザクウォーリアにのって追従するレイ・ザ・バレルの忠告を聞いているのかいないのか、勢いよく飛び出していく。
「…………ほう」
その姿をエネルギーを最低限にして潜む、白い機体のパイロットが捕えた。
先に気が付いたのはレイだった。
シンを追いかけながらも周りへの警戒を怠らず、謎のノイズが耳に届くよりも少しはやく、
「⁉ シン! 気をつけろ!」
「レイ⁉」
レイの忠告と共に振り返れば自分へと向かってくるビーム。
「情報にない機体、そちらもいただいていこうか」
インパルスとの間に割り込むレイ、2人の眼に映るのは、
「⁉ …………白い……翼の……………………」
白い翼を広げ迫ってくる謎のモビルスーツ。
通信を通じて鳴り響くクラシック音楽。
2人の頭に浮かぶのは先の大戦で活躍したという、悪魔と称された地球軍の白いモビルスーツの噂。
「さぁ、見せてもらおうか。新型の性能を」
「くっ⁉」
動揺がそのまま操縦に繋がり、プラント内と同じパイロットとは思えないほどに動きが鈍くなるシン。
翼のようなスラスターから射出された細長いドラグーンが飛び交い、インパルスを取り囲んでいく。
「シン!」
その中に自ら飛び込み、ドラグーンを撃ち落とすレイ。かばうようにインパルスの前に立つと、相手の細かな動きも見逃さないと睨みつける。
「ほう、先ほどの感覚はそちらか」
狙いをシンからレイに変えてドラグーンによる飽和攻撃を仕掛けていくネオ・ロアノーク。並のパイロットならとうに撃墜されているほどの猛攻だが、攻撃を躱しながら本体への牽制も挟んでいく。
「くっ」
軽やかに躱していく、ように見えるもレイも余裕があるわけではない。ドラグーンだけでなく、操るダガー
攻撃を躱し受けとめお互いに少しづつ消耗していく中、ネオに通信が入った。
「戦艦が…………? なるほど、引き時だな」
ドラグーンを回収して下がっていく様子を見送ると同時にミネルバに気が付く2人。
撤退の信号弾とともにミネルバから襲撃したであろう謎の戦艦へ攻撃が始まる。
最新艦であるその性能を充分に発揮するも、艦長のタリアによって「ボギー1」と命名された敵艦、正式名称ガーティ・ルーのパージした予備の推進剤タンクを爆発させた結果距離が開き、戦闘は終わった。
「…………議長は、先ほどの戦闘を見て何も思われないのですか」
ボギー1への追跡任務が開始され、いっときの猶予が生まれたミネルバ。
避難のためとはいえ偶然船に乗っていたカガリたちにデュランダルは艦内の案内をしていた。
新造艦として確かに優秀とういうことは理解できるが、同時に新たな戦争の火種にもなりかねない。
そう思ったが故のカガリの言葉だった。
「わたしも心が痛みます」
「ならば、なおのこと力を求めないように!」
「いえ、争いがなくならぬから力が必要になるのです」
やはり交わることのない2人の意見、その会話に混ざる赤いパイロットスーツのザフト兵がいた。
「力を持ってないからって、敵が戦いをやめるわけないだろ」
突如割り込まれる言葉、全員の注目を向けられながらも真剣な眼差しで相手を見抜く赤い瞳。
「どんなキレイごとを言ったって、誰かを守るには力がいるんだ」
「っ!」
それもまた間違いなく正論である。
もし仮に先の大戦で力がなければ、その先を予測するのには難しくない。
歯を食いしばりながらもカガリが口を開きかけた時、
「そういう終わりのない話は他所でやってくれ、飯がマズくなる」
のんきに無重力空間用のお菓子を頬張っているバカが通路の向こう側から現れた。
「つーかそんなことより機体の詳しい解説とかもっと聞きうおっ⁉」
もしゃもしゃと食べているユウキの顔面を膝が通り過ぎるが、かろうじて避ける。
標的に攻撃を躱されて通り過ぎたのは、本来警護に当たるべき人員を置いて膝を叩きこもうとしたアスラン。警護とは何だったのだろう。
「お前、少し目を離した隙に何をしている」
「腹減ったから飯貰ってた」
「仕事はどうした!」
「お前いるからいいだろ!」
「そういう問題ではない‼」
無駄に高度なケンカを始める2人、驚いて固まるシンに珍獣を眺めるようなデュランダル。
頭を抱えるカガリに振り返って尋ねると、
「彼が、聞いていた人物なのでしょうか」
「…………あぁ、ブルーピリオドから出向してきたわたしの警護…………の、はずだ」
視線の先ではいつの間にか巻き込まれたシンと一緒に三つ巴のケンカが起こっている。
やはり優勢なのはアスランだが、ひょいひょいと躱すユウキに勢いで着いていくシン。
騒ぎを聞きつけてやってきた他の整備も止めることができず、遠巻きから眺めるしかできなかった。
「ほう、ブルーピリオドの…………」
小さくデュランダルが呟くはここ1年でもっとも注目を浴びている組織、ブルーピリオド。
それはかつての自然環境保護団体と銘打ってコーディネイターと争っていたナチュラルの団体、ブルーコスモスを盟主であるムルタ・アズラエルが解体し、新たに環境保護復興支援団体として設立されたもの。
青き世界への被害を打ち止めて新たに進む、ゆえにピリオド。
アズラエルはプラントの前議長であるアイリーン・カナーバとの交渉の際、NJCの利用、活用を許可されている。
もちろんそれはモビルスーツ開発ではなくNJによる地球の問題を回復させるためであり、実際にエネルギー問題は少しずつではあるものの解決へと歩みだしている。
そんな団体であるがゆえに敵も多く、発足からこれまでに数回、小さいものを含めれば数十回の襲撃を受けており、そのたびにオーブであったりプラントや地球軍、はてはジャンク屋までもが巻き込まれることもあった。
そのことがきっかけなのかコーディネイターナチュラル問わず所属しており、世界の融和を目指してる団体と現在世界中の注目を浴びている。
(あの身のこなし、アスラン・ザラやシン・アスカと渡り合えるあたり、やはりコーディネイターも所属しているというのは本当だったのか)
後にモビルスーツを操縦する姿も確認し、自身の計画に組み込む算段を立てるデュランダルだが、どう調べても同名のナチュラルと当てはまらないコーディネイターしか見つからず、アズラエルの秘蔵っ子なのかと笑みを浮かべた。
もちろん違う。
「すみません、ちょっと通らせて、あ! いた!」
「え?」
お互いが距離を取って隙を伺っている最中、割り込まれた少女の声で剣呑な雰囲気が崩れる。
「お兄ちゃん! ユウキさんも!」
「マユ⁉ なんでここにっ⁉」
驚いたのはシン、まさか出港したばかりである新造艦に軍人ではない妹がいるとは思わず慌てて駆け寄る。
「あー、すまない。俺のせいだ」
さっきまで笑いながら殴り合っていたはずの相手が申し訳なさそうに頭をかいている。
そのままマユから簡単に事情を聞くと、振り返ってすぐに頭を下げた。
「あの! ありがとうございます‼ 妹を助けてもらったのに、おれ」
「いや俺が巻き込んだみたいなもんだし、いいって」
というか謝るの俺だし、と知る者にはかなり珍しい自省している態度を見せるユウキ。
「そうだ、お前がいなくなってその子は不安がっていたんだぞ」
まさかの追撃をするアスラン。
カガリと一緒に救護室に行った際、怪我の手当てを終えた時にはバカはおらず、不安そうに周りを眺めていたのを知っていたからこその言葉。ちゃんとマユの事を思っての言葉だが本人からしては、
「いっいやそんな事は」
「ちゃんと言っておいた方がいい、ソイツはバカだが反省はする。釘は刺しておいた方がいい」
「うぅ…………」
一人前の大人のつもりだったが、ひとりが寂しかったなんて言うのは恥ずかしい。そんな少女の心を暴露されて少し顔が熱くなる。子どもっぽいと思われたかと思ったが、相手はどうもかなり気にかけている様子。
と、なると、
「……………………あの、静かに……離れないで…………ください」
「………………すいません」
深々と下げられた頭を見て笑ってしまった。
釣られて周りで見ていた者も笑顔になり、兄は慌てていたが少しだけゆったりとした時間が流れた。
「追いついたわね、総員戦闘配備! ルナマリアとシンに先行してもらうわ」
つかの間の平和、それは必ず戦争が起こることの証明でもある。
関係ないかもですが、ガン×ソードを見ました。とても面白かったです。
運命の序盤は事件が立て続けに起こってギャグ挟む隙間がないんですよね。セキュリティガバ? 原作再現なのでギャグじゃないですね