スーパーコーディネーターの悪友   作:アオノクロ

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 白い悪魔の正体、それは地球軍が極秘に開発したジョージ・グレンのクローンだったんだよ! な、なんだってー!?

 そんなことない、と言い切れないCEです。


動きだす頭上の存在

「いいか、タイミングをミスるなよ」

「ウス」

「なぜこんなことを」

「3、2、1!」

 

 

 

「でさぁ、この前」

「それ前にも聞いたぞ」

「そうだっけ?」

 

 ミネルバの私室でしゃべっているのはヨウラン・ケントとヴィーノ・デュプレ。2人ともシンの友人であり、現在は休憩時間である。

 

「じゃああれは? 最近ミネルバにお化けが出るって噂」

「噂だろ? なんでこの時代にオカルトな話がでてくんだよ」

「えー、でも結構みんな言ってるぜ? 部屋の電気が落ちてドアを叩く音がして」

 

 食べ物や飲み物を片手に他愛もない噂話を楽しむ2人、作戦行動も一旦終了しており艦内は緩い空気が流れている。

 

「だからそんな噂を」

 

 ヨウランが呆れてヴィーノの話を止めようとした時、プツッと音がして部屋の明かりが消えた。

 

「え?」

「は?」

 

 不具合、と言えばそれまでだが直前の会話の内容が内容だっただけに2人の身体は固まった。

 

「と、とりあえず電気つけないとな」

「あ、あぁ」

 

 少し腰が引けながらもヨウランは立ち上がりスイッチを押すも電気は付かない。

 

 ヴィーノが慌てて扉に駆け寄るが開こうとした直前に、

 

 ドン、と音が鳴った。

 

「ヒィィッ⁉」

 

 跳ね飛ぶように扉から下がるヴィーノ、ヨウランも冷汗を流しながら扉を眺めている。

 

 ドン、ドン、ドン、と叩かれる扉をお互いが抱きしめあいながら目を逸らせない2人。

 

 音が止み、いなくなったかと安堵の息を漏らせば──────

 

 

 

 真っ白な物体がドアのすき間からなだれ込み、部屋中に広がった。

 

「「ぎゃあー‼」」

 

 

 

 

 

「あんたらね、何してんのよ」

 

 休憩室で並んでいるユウキ、シン、レイ。

 

 その前ではルナマリアが呆れたように腕を組んでいる。

 

 その後ろではさめざめと泣くヴィーノに落ち込んでいるヨウラン。近くにいたクルーは白い大きな布を見てかぶったりしている。見ようによってはオバケにも見えるが、それで腰を抜かす軍人というのもいかがなものだろうか。

 

「あんな子ども騙しというか、子供じみた悪戯をするなんていくつなのよ」

「おれ16」

「18だよ」

「そうじゃない!」

 

 素直に年齢を答える2人に声を荒げるルナマリア。シンは思わず背を伸ばすが、隣にいる主犯はどこ吹く風と笑ったままである。レイに至っては微動だにしていない。

 

「まぁまぁお姉ちゃん、ただの悪戯だしそこまで怒らなくても」

「ダメよ! こういうのはちゃんと言っておかないと、私たちも連帯責任で巻き込まれるのよ!」

「私怨が混ざってそうだね」

 

 妹のメイリンが窘めるも、年上で他の組織のメンバーだが気にすることなく睨みつける。

 

 それにしても怒り方が激しい。

 

 どうしたのだろうかと眺めていれば、

 

「だいぶ怒ってるけどやっぱアレかな?」

「そうッスね」

「同じ悪戯をした時に反撃したのは褒められるべきことだと思うが」

「黙りなさい!」

 

 理由はすぐに分かった。

 

 ヨウランやヴィーノが泣いて終わったというのに、自分の姉は反撃したのか。

 

 レイが持っていたカメラには『え! このっ‼』という聞き覚えのある声が聞こえた。続いてボフッという何かを叩く音。

 

 周りにいたクルーたちがマジかよという目を一人に向けるが、向けられた張本人は髪色と同じくらい顔を赤くし、肩を震わせている。

 

「ルナ? 体調が悪いなら救護室に」

 

 心配して近づいたシンに振りかぶられた拳。その勢いは後ろにいたユウキを巻き込んで壁へと飛ばすほどであり、この先ルナマリアを見るクルーの目が変わったという。レイはちゃっかり逃げていた。

 

 本人は気にしないように努めていたが、私室では妹に愚痴をこぼしていたとか。

 

 悪戯に参加した兄と主犯はこの船に乗り合わせた一番年下の少女に叱られる羽目になった。

 

 この報告はタリアとカガリの下にも届いたが、お互いに頭を抱えてため息をついていたとか。

 

 出来事を聞いたアスランはバカへ制裁しに行ったが、ユウキは見事に逃走を成功させる。乗って数日という艦にも関わらず、艦内を把握していたバカを捕獲しようと躍起になるアスランとの鬼ごっこはクルーたちの少ない娯楽となっていた。

 

 そんな平穏な日が続いた時、

 

 

 

 

 

「ユニウスセブンが動いている?」

 

 平和を揺るがす情報が世界を駆け巡った。

 

 

 

「どういうことだ⁉」

「詳しい事はまだ、ただ確かなことはユニウスセブンが間違いなく移動しているのです………………それも地球へ向けて」

 

 デュランダルから衝撃的な事実を聞いたカガリは思わず叫ぶ。

 

 その反応も無理はない。いまだ幼い国の代表にとって、その情報はあまりにも大きすぎたのだ。

 

 ナチュラルとコーディネイターの戦争、始まる小さなきっかけは数多くあっただろう。だが最後の引き金となったのは何か、と聞かれれば間違いなくユニウスセブンへの核と答えられる。

 

 非正規の農業プラントではあったが、その被害者の大半は宇宙で自立するために日々を生きてきた普通のコーディネイターたちである。ユウキたちがラクスと出会った場所であり、残された残骸は悲惨な戦争の証となって、おあつらえ向きというか皮肉というか停戦条約を結ぶ場所にも選ばれた。

 

 未だ人々の記憶にも残っており、100年単位で安定周回軌道にあるために人の手が入ることはなかったのだが、

 

「………………我々はこれより、プラント本国からの援軍を持ってこれを破砕しようと思います。ご苦労をおかけしますが、もうしばらくお時間をいただけると」

「もちろんだ………………わたしたちにもできることがあったら言ってほしい」

 

 プラントとオーブのトップがユニウスセブンの破砕作業に当たることを決定したころ、地球でも動きがあった。

 

 

 

「理事、やはり事実かと」

「………………そうですカ」

 

 高級ではあるがおとなしめで落ち着きのある調度品に囲まれた部屋、その主は部下からの報告を聞いて窓の外を眺めていた。

 

「ザフトがユニウスセブン破砕作業のために動くそうです」

「でしょうネ。こんなバカなことをして得をすることはないでしょうし、新型モビルスーツを強奪されたこのタイミングで動く理由がなイ」

 

 窓の外では穏やかな日差しが降り注ぎ、近い未来で世界中に人工的な災害が起きるとは思えないほどにのんきな光景が広がっている。

 

「とはいえ誰かの手引きには変わりなイ………………まったく、いい度胸ですネ」

 

 部下の方へ振り向いた男は机に肘をついて指を絡ませると、不敵に笑いながら指示を飛ばす。

 

「カレ…………は宇宙でしたカ、ならばもうひとりですネ。オーブへ連絡を、プラントへは自分で繋ぎまス」

「はっ!」

 

 敬礼をして出ていく部下を見送り、卓上に設置されているモニターを操作すると限られた人間でしかつなげることのできない回線を開く。

 

「どうも、こちらでも情報は貰っていまス…………えぇ、議長へつなげてください」

 

 日に照らされた金髪が輝き、世界でも有数な権力者であるその男はナチュラルでありながらコーディネイターに引けを取らない胆力を持つ。本人曰く一介の商人とのことだが、地球軍への口出し、オーブのトップとの会合、プラント評議会への連絡ができる人物など世界に何人もいない。

 

「ブルーピリオド盟主、ムルタ・アズラエルも協力させていただきますヨ」

 

 もちろんロハでね、そんな冗談を飛ばしながらも頭の中ではあらゆる可能性、この先の未来について計算をしている。




 なんか関係ありませんよ見たいな顔してるやつがいますが、個室の電気を消すには艦内ハッキングできる協力者がいないとできませんよね?

 いつも感想や誤字報告、ここすき等ありがとうございます。
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