スーパーコーディネーターの悪友   作:アオノクロ

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 メイリンて自由での無法っぷりが話題ですが、それ以前に結構やんちゃなんですよね。という前回でした。

 シンがバカになついてそのまま巻き込まれレイです。メンタルそこまでなので原作よりも元気なシンが巻き込みました。相性はそこまで悪くないです。


新たな火種

「ユニウスセブンが⁉」

「えぇ」

 

 ミネルバの休憩室、そこではパイロットや整備員たちが集まって先ほど伝えられたユニウスセブン墜落について話し合っている。

 

「でもさ、丁度いいんじゃね?」

 

 事態の深刻さが部屋の空気を重くする中で、お気楽な声が出た。

 

 タイミングがいいのか悪いのか、すぐそばの廊下を歩いていたカガリとアスラン。その2人にもヨウランの声が届く。

 

「ちょうどいいって何がさ」

「だって地上に落ちても俺たちには何もないだろ? ならついでに邪魔なものも消えちゃえばプラントからすれば楽だし」

 

 言いたいことは分かる、しかしすぐさま頷いて同意もできない。そんなヨウランの言葉に何とも言えないクルーたちだが、口を開く前に割り込む人影があった。

 

「よくも! よくもそんなことが言えるな‼」

 

 怒鳴りこんでくるカガリに、驚いて飛び上がるもカガリの視線はヨウランだけでなく部屋にいた全員を見据えている。

 

「やはりそういう考え方なのか! …………同じザフトでもっ‼ がんばっている者たちがいるというのに!」

 

 怒りと悲しみと、複雑な感情が混ざりながらも睨むカガリを前に謝るでも言い返すでもなく言い淀むしかできないヨウラン。

 

 何を思ったのか割り込もうとしたシン、よりも早く動いたのは、

 

「やかましい、何言ってんだお前は」

「つっ! ユウキ⁉」

 

 仮にも一国の代表なのだが、遠慮なく後ろからカガリの頭をはたくユウキがいた。

 

「前から思ってたけどな、国の代表ならそこらの一般人の言葉くらい聞き流せ。なんでも噛みつくとか発情期の犬かお前は」

「いっ⁉ うっ、しかしだな!」

「気持ちは分かるけどな」

 

 チラリと眺められるヨウラン。

 

 普段のお気楽な人物とは違う自分を射抜く鋭い視線に思わず身体が強張る。

 

「破砕作業するでザフトとも話がついたんだろ、ならさっさとそのために行けっての。ほら連れてけ」

「あぁ」

 

 割り込んできたユウキを咎めることなくカガリの肩を抱えると、そのまま部屋を出ていくアスラン。軽く頭を下げるがその眼は真っすぐにユウキを見ていた。

 

「はぁーまったくあのバカは」

 

 呆れてため息をつくユウキにバカはアンタでは? と思う赤服の少女がいたが言わなかった。ちゃんと空気を読める女であり、赤服は伊達ではない。妹も内心で思ったが口に出さないよう口を塞いでいた。

 

「んで、だ。おい」

「は、はい」

 

 呼ばれると思わず背筋を伸ばすヨウラン。間違った、とは思っていないが言うタイミングはしくじったと考えており怒られる覚悟はあった。なおそのバカは別にザフトに所属していないしそんな権限はない。

 

「っ! ユウキさん! ヨウランは本気で言ってるわけじゃ「分かってるよ」………………え」

 

 思わず庇おうとするシンだが振り向いたユウキの眼はカガリのような怒りはなく、

 

「俺が言いたいのはだ」

 

 シンから改めて自分に顔が向けられたヨウランは何を言われるのか、叱られることに、普段とは違う雰囲気のユウキを前に緊張で唾を飲み込んだ。

 

「プラントは無関係じゃなくなるってことだ」

 

 

 

 

 

「………………え?」

 

 思わず目をつむっていたヨウランだが、怒鳴られるでもなく普通の声色、そして内容に肩の力が抜けた。

 

「で、でもプラントは何もしてないですよ⁉」

 

 いち早く反応したのはシン。無関係、だとは思っていないがそれでも何かあるわけではない。そう考えていたのは他のクルーも一緒だ。

 

「何もしてなくてもだ、地球にいる連中からすれば被害を被る。なのに自分のとこの邪魔なものを捨てられて被害はなくて? なら世界はどう思うよ」

 

 お互いの顔を見合わせて考える中で、やはりというかこういった場で冷静に考えられる人物が声をあげる。

 

「プラントへの印象は悪化。ブルーコスモス残党などは開戦のきっかけとするでしょう」

「「「!」」」

 

 レイの言葉にユウキも頷く。

 

 ブルーコスモスは解体されたが、それでもプラントやコーディネイターへの恨みを持った人間がいなくなったわけではない。

 

 規模こそ縮小しているが地球にあるザフト基地、もしくはブルーピリオドの活動地点などへのテロ活動も未だに起きている。

 

 そこへユニウスセブン墜落があればこの事件をきっかけにさらに過激するだろう。

 

 この場にいた全員がその未来を想像できたのか顔色を悪くする。

 

「ま、そうでなくても自分の国の人間が死ぬかもしれないってのに、それをふざけて言われりゃ誰だって怒るさ。俺だってオーブの出身だ、思うことはある」

「え……………」

「じゃ、俺も手伝いに行くし。やれることあったら今のうちにやっとけよ~」

 

 手をひらひらと振って出ていくユウキ。

 

 その背中を俯いて見送る若きミネルバのクルーたち。

 

 エースの証である赤服を着たり最新艦であるミネルバの搭乗員としてその能力を認められた者たちだが、平均年齢は低い。コーディネイターが優秀であるからこそ軍人としても認められているが、未だに学校に通い親に甘えてもおかしくない年齢なのだ。人生経験、といった点は能力差で簡単にひっくり返せるものではない。

 

「あ、お兄ちゃんとみなさわっ、わわ、どうしたんですか?」

 

 新しく部屋に入ってきたマユの横を無言で通り抜けていく若きクルーたち。

 

 何を思っているのかは分からないが、誰もが口を結んで真剣になっている。

 

「えっと、お兄ちゃん? どうしたの?」

 

 そんな中でレイと一緒に部屋に残って俯いていたシン。

 

 妹が懐き、自分自身も慕っている自覚はある。あのどこかいけ好かないアスラン・ザラよりも一緒にいて楽しく、たまにルナマリアに一緒に叱られて、もし兄がいたらこんな感じなのだろうかと思うこともある。

 

 だからこそヨウランではなく自分に向けられた誰だって怒る、という言葉が自分に刺さった。

 

 普段は穏やかなユウキもなのか、それともお前も怒っていいよということなのか。

 

「なんでもないよ。また作戦行動が始まるからあんまりウロウロするなよ?」

 

 そんな思いは飲み込み、兄として、ひとりのモビルスーツパイロットとして動き出す。

 

 部屋を出ていく兄と無言で着いていくレイの後ろ姿を、妹はいつもみたいに張り切って空回りしそうだと見送った。

 

 

 

 普段よりもクルーたちの士気が高い事にタリアは不思議に思いながらも、ユニウスセブンを砕くための機器「メテオブレイカー」を用意してきたプラント本国からの部隊の掩護へ向かう。

 

 その中にはかつての大戦の英雄たちが募っている

 

 事件が起きた原因が分からぬまま、解決に動きだす者たち。

 

「偽りの平和の中で何故敵と笑いあう………………!」

 

 復讐に囚われて感情のままに動き出す過去の亡霊。

 

「ほう、それはそれは…………利用できそうじゃないですか」

 

 盟主王の陰に隠れて暗躍しだす自称、ブルーコスモスの真の王。

 

 

 

 さまざまな思惑が交差する中、後にブレイクザワールドと呼ばれる事件が開幕した。

 

 

 

 

 

「あれ、この機体使うんです? 型落ちですしザクはまだ空きがありますよ」

「いいよいいよ、こっちのが慣れてるし頼むな」

「分かりました」

 

「すみません、どうか自分にもモビルスーツをお貸しいただけないでしょうか」

「…………元ザフトのパイロットであってもそれは不可能ね。なにより、カナーバ前議長の心遣いを無下にするつもり?」

「今回の作戦目標は人命救助です。人手は少しでも多い方が良いかと思います…………どうか」

「ふむ………………いいだろう、私が許可を出す」

 

 ミネルバに偶然乗り合わせることになったパイロットたちもまた、己ができることを成そうと動き出していた。

 

 

 

「あれ、ユウキさんも出るのか」

「アスラン・ザラも議長に許可をもらったらしいし、いいんじゃない? 腕は知らないけど」

 

 出撃準備をするミネルバのパイロットたちだが、デュランダルが承認しているのはアスランだけである。




 出撃後に許可を出しました。議長は笑ってますがタリアは何となく気がつき始めてます。

 ヨウランはまぁ、流石に擁護はできないかなって。カガリいなかったらシンも落ち込んでそうでしたし。



 いつも感想や誤字報告、ここすきなどありがとうございます。
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