スーパーコーディネーターの悪友   作:アオノクロ

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 少しキレイなスネ夫になったユウナ好評みたいで良かったです。皆さんも感想で書かれてましたが、悪人ではない、と自分も思います。よくも悪くもおぼっちゃまというだけで、たぶん以前のオーブのままならワガママなボンボン程度で終わってたでしょうね。変に立場が上がって権力が与えられちゃったのが間違いなだけで。

 今作だと大西洋連邦の開戦するのかなぁ、しないってよりできるのかなぁ。アズラエルいるしハルバートン提督生きてるんですよねぇ。ジブリールの暴走だけで開戦できるか? できそうだなぁ、だってCEだもんなぁ。


進みたい道

「どういうことだ!」

 

 オーブの政治家たちが集まる会議室。オーブ特有の薄暗い紫のスーツを来た政治家たちが集まっているその中で、カガリは大声をあげた。

 

「大西洋連邦との新たなる条約など、なぜわたしに黙って進めているんだ!」

 

 机に叩きつけられた書類。それは地球軍との同盟に関する書類であり、簡単に言うと対プラントへの宣戦を張るというもの。

 

 事実上のプラントへの宣戦布告と同義であった。

 

 他国を侵略せず、他国の侵略を許さず、他国の争いに介入しないという理念を持つオーブが、この同盟を結ぶなどあるわけがないのだが、

 

「しかしですね。いま秘密裏にこのような映像が流れているのです」

 

 セイラン家現当主、ウナト・ロマ・セイランが手元のリモコンを操作すると、部屋に設置してある大型モニターで映像が再生された。

 

「! これはっ!」

 

 そこではブルーピリオド盟主も確認した、黒いジンがユニウスセブンに爆弾らしきものを仕掛けている動画。

 

「いまでこそ我々の立場で止まっていますが、いずれ民間に流れるのは時間の問題です」

「しかし!」

「プラントが悪いとは誰も言いません。だが、被災者がこの映像を見てどう思うかは代表もお判りでしょう」

 

 ウナトの言葉に言いよどむカガリ。

 

 プラントやブルーピリオド、もちろんオーブも現在ブレイク・ザ・ワールドによる被災者への復興支援を行っている最中である。

 

 NJによるエネルギー問題を解決するための、ライフラインも整い始めたこのタイミングであり、復興は進んではいるが厳しいものである、というのが現状だ。

 

 被災者のマイナスな感情はその矛先を探している。

 

 そこにこの映像が流れでもすれば、

 

「なおのこと! プラントと争う意思を欠片でもみせるべきではないだろう! 現在オーブにはミネルバもいる! そして彼らが必死に地球を救おうと行動してきた場面を、わたしはこの目で見た!」

「だとしてもだよカガリ」

「ユウナ!」

 

 カガリの拙いながらも必死の訴えを横から遮る声が上がった。

 

 その声の主はカガリの婚約者でもあるユウナ。悲し気な顔をしているが、よく見れば口元にソースの後が付いている。

 

「プラントは悪くないと言っても、それは実際に見たカガリの言葉だ。情報と知ってはいても、大半の民間人はプラントとこのテロリストとの違いが分からない。いや区別がつかないと言える」

「ならばこそ! きちんと説明すれば!」

「分かりやすく説明するために、プラントと仲のいいオーブが大西洋連邦と協力すれば、彼らはテロリストとは違うと言えるだろ?」

 

 間違ってはいない。

 

 間違ってはいないはずなのだ。

 

 事実、カガリはユウナの言葉が正しいと思っているからこそ言葉が出ない。

 

 しかしどうも納得ができない。胸の中でくすぶる違和感を、相手を理詰めで追いやる言葉にすることができない。

 

 それはカガリという少女の未熟さであり、同時に彼女らしさでもあった。

 

 条約を結ぶ方面で話が進み会議は終わった。

 

 弱々しく顔を下げて部屋を出ていく小娘と、それを慰めるように肩を寄せる息子を見て、ウナトは内心でほくそ笑んでいた。

 

 

 

「すまないカガリ、自分の立場ではああ言うしかなくて」

「いや間違ってない、ちゃんと言い返せなかった自分の未熟だ」

 

 外から見れば落ち込む少女とそれを慰める優しい婚約者、なのだが当の2人は、

 

「はぁー政治家もカガリの婚約者も、やる事多くて嫌になるね。さっさと帰ってゲームでもしたいよ」

「………………あまり大声で言うな。誰かに聞かれればめんどうなことになるぞ」

「だよねぇ………………最初はもっといいことづくめだと思ったんだけどなぁ」

 

 会議で丸め込まれたカガリよりも大きなため息を吐くユウナ。

 

 最初に出会ったころよりもかなり印象が変わったものだと、その横顔を見てカガリは笑った。

 

 

 

「は? お前偉くなったらゲームする時間なくなるぞ」

「え?」

 

 それはある日。いつも通り日が暮れて、無駄に高性能なパソコンでゲームをしていた時の事。

 

「え、ぇ、え? いや、いやいやそんなことは」

「お前カガリがどれだけ忙しいのか知ってんの? いまは婚約だけど、実際に結婚したらもっと仕事増えるんじゃね?」

 

 相手はいろいろと縁が重なって知り合った、モビルスーツのパイロット。

 

 セイラン家の跡取りに向けるにしては失礼すぎる態度だったが、安いご飯をおごるだけで褒めてくれるので、気が付けばゲームもする中になった相手。

 

 モビルスーツの模擬戦ではコテンパンにやられたが、自分の得意とする戦略シミュレーションゲームでは見事にやり返した。

 

 それに憤り再戦を受けて、別ジャンルで負けて再戦してを繰り返し、たまには協力プレイをするようになったのだが。

 

「ままままぁ? ぼくは選ばれしセイラン家の跡取りだし? 仕事なんてすぐに終わらせて」

「声震えてんぞ、あと火星から戦力追加」

「おぅけい任せたまえ」

「地上部隊は僕が操作しますね」

 

 相変わらず操作はえーなとヘッドフォンから聞こえる声に気分をよくする。が、先ほどの言葉がずっと頭に残る。

 

「えーっとそれで? 結婚したらゲームする時間がなくなるなんて脅し、ぼくには効かなくてだね」

「じゃあカガリ本人に聞いてみたらどうです? あ、補給送りますね」

「助かる、いやぁキミは上手いねぇ。バカとは大違いだ」

「言われてんぞ」

「そっちのことでしょ」

 

 友人の友人つながりで遊ぶようになった相手の言葉。確かにそれもそうだと思い聞いてみた。

 

「ん? それはまぁ立場的にはオーブの代表になるわけだし、わたしも自分の時間はあまりとれていないが………………まぁわたしの場合は仕事が趣味なところもあるからな」

 

 ちょっとした好奇心で婚約者権限を使い、カガリの一日についていくことにした。

 

 ドン引きした。

 

「婚約破棄? そしたらお前、評価偉い事になるんじゃね? あんなバカでもオーブのアイドルみたいな存在だし、よくも我らがカガリ様をコケにしたな! って」

 

 ユウナ・ロマ・セイランは頭が悪いわけではない、ただ政治家には向いていないだけだ。

 

 褒められて気前の良さを発揮したり、戦略シミュレーションでかなりの結果を出したり、ちゃんと勉強すればそれなりになるだろう。

 

 ただ本人は臆病であり、めんどくさい事はしたくないだけの普通な人間だったのだ。

 

 そんな金持ちのボンボンでも、ここまで言われたら気が付く。

 

「結婚したら地獄! 破棄しても地獄! なんでこんな選択を選んでしまったんだユウナ・ロマ・セイラン!」

「…………仮にもその婚約者がいる前で言うのはやめないか?」

 

 なぜかカガリ以上に落ち込んでいるユウナ。その横に座り白い眼で婚約者を見つめるオーブ代表。

 

 ため息をつきながらも、自分に遠慮することなく話ができる相手がいる。その幸運をカガリは知らず知らずに感じていた。

 

 

 

 

 

 オーブのとある海岸線。そこには地球軍との戦闘、オーブ解放作戦による被害者への慰霊碑が建てられていた。

 

 周りには花が植えられており、穏やかながらも戦争の悲しさを感じ取ることができた。

 

 普段の明るさもなく、実年齢よりも年上のような雰囲気を醸し出しているシンは、ひとり静かに眺めていた。

 

 戦争の激しさとは真逆に被害者は少なかった。

 

 しかし間違いなく人が亡くなったという証。もしかすると自分や家族も………………そう考えると結び付けられるように起こされる記憶。

 

 両親からの反対を押し切ってのザフトへの入隊、成績も悪く必死に勉強して周り以上に頑張った訓練、認められた矢先に起きた突発的な初の実戦、力及ばず敵を取り逃し、妹が巻き込まれたことにも気が付けなかった。

 

 そして目のあたりにした自分以上の実力。

 

 思わず握られた拳に力が籠る。

 

「………………………………慰霊碑?」

 

 波や風の音と一緒に届いた優しい声。

 

 振り返れば自分よりも少し年上の穏やかな青年が立っていた。

 

「…………みたいです、詳しくは知らないけど」

「そっか」

 

 返事を返すとそのままに手を合わせて祈る青年を見て優しい人だと思った。

 

「…………この前の津波で塩水を被っちゃったのか」

 

 周りに生えている花を見て少し悲しそうにしている青年、その原因を知っているがゆえに込みあがった感情をそのままにシンは言葉にする。

 

「何度花を植えても…………また吹き飛ばされるんです…………………………そのためにも、力が必要なんです」

 

 驚いた顔で自分を見られてハッと気が付いた。初対面の人にする話ではないし、分かるわけがない。

 

「す、すいません急に」

「そうだね。この花たちもいずれ枯れちゃうだろうね」

 

 静かに見下ろされる慰霊碑の周りを飾る色とりどりの花。キレイだが青年が言う通り、そう遠くないうちに枯れてしまうだろう。

 

 自分に力があれば、そう考えてまた拳に力が入る。

 

「何度も「なら別の花を植えよう」………………え?」

 

 驚いて顔をあげればこちらを見て笑う青年。

 

「こんどは海水がかぶっても平気な花を、それでもダメなら防波堤をつくろうかな? でもせっかくの景色がダメになるかも、どうかな?」

「どう、って言われても」

 

 思ってもいない言葉に戸惑うシン。

 

 花を植えなおすだけでなく、もっと良くなる方法を探し出す。

 

 シンプルな発想に、悩み過ぎていた自分に突き刺さり、曇っていた目の前が開けた気がした。

 

「花を植えるだけじゃなく、花を守ることも考えたらいいんだよ。なんてね」

 

 友達のマネだけど、そう言って笑う青年にシンは自分の思いを、底に潜めていた思いを吐き出した。

 

「おれにも、できますか………………花を植えることが………………誰かを守ることが」

「もちろん」

 

 2人の間を風が吹き抜ける。

 

 自分のことを何も知らない出会ったばかりの相手なのに、その言葉が嘘ではないと分かる。

 

 理屈じゃない、心が理解している。

 

 あの明るいお調子者とは正反対なのにまるで―ー

 

「あの人みたいだ………………」

「ん?」

「あ、え、あ、ありが「どこにいるのー!」とうござい?」

 

 遠くから女性の声が聞こえる。

 

 その瞬間目の前にいた青年の姿が消えた。

 

 首を振って周りを見渡せば────

 

「………………何してるんですか」

「静かに、そのまま動かないで」

 

 青年が自分の後ろにしがみつくように隠れていた。

 

「はやく私の前にいらっしゃい!」

「…………彼女さんですか? 呼んでますよ」

「ムリ、いま出ていったら死ぬかもしれない」

「何したんですかアンタ」

 

 さっきまでの尊敬の念が欠片もなくなった。

 

 冷たくなっていく視線を浴びながらも青年は微動だにせず、頼りない物陰に隠れている。

 

 その間にも女性の声は大きくなり、シンは赤い髪のキレイな人が歩いて来るのを見ながら後ろで震える青年に声をかける。

 

「はやく行きましょうよ、謝ったら許してくれるかもしれませんし」

「ムリ、絶対怒られる」

「ほんと何したんですか」

「デートの約束すっぽかして、そのまま友達の家に逃げて、気がついたら連絡なしで一晩過ごしてただけで」

「すいませーん」

「あぁ! 待って! さっき誰かを守るって言ったじゃないか! 守ってお願い!」

 

 だらしなく縋り付いてくる青年に構わず女性の方へ歩いていくシン。

 

 自分に気が付いたキレイな顔が徐々に笑顔になっていき、そのまま青年の耳を掴んだまま去っていくのを見送ると沈みきろうとしている夕日を眺めた。

 

 最近の出来事、そしてたった今あったこと。いろいろな事を思い出しながら口元を緩ませる。

 

 慰霊碑に少しだけかかっていた土を手で払うと、ポケットに入れておいた携帯端末の電源を入れた。

 

 

 

『はいはーい、こちらマユでーす。お兄ちゃん? いまね、ルナさんとメイリンさんとケーキ屋にいてね。お兄ちゃんも食べたいのあったら買って帰るよ! あ、レイさんにも買う予定なんだけど何が好きかな? うん、うん、じゃあそうするね! また後で! バイバーイ!』




 前作主人公と新主人公の邂逅でした。アツイですね! 

 この後ちゃんと怒られました。忘れられてるかもしれませんがバカの影響を一番受けてます。紛れもなくバカです。

 ユウナはゲーム友達ができて諭されて立場を自覚。今すぐやめて引きこもりたい、親父たちは何かしてるけどよく分からん。まぁどうにかなるやろの精神。影響は受けたけど別に頭が良くなったわけではないです。

 カガリがいなくなると困るというのは分かってますが、流石に追い出したりはしないだろと思ってます。

 バカたちもなんか婚約どうにかできねぇかなと考えてはいたんですが、まさかすぎる理由で成功したので棚ぼたでした。親はともかくコイツはアホなだけで悪くはねぇなと判断されてます。


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 余った奴でいい、買ってきた者が選べばいいだろう…………別に迷惑とは思っていない。その、ショートケーキをいただこう。感謝する

 ───お土産にケーキを貰った赤服のモビルスーツパイロット
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