スーパーコーディネーターの悪友   作:アオノクロ

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 アスランに異性関係で苦言を呈されるという、seed世界でもトップの悪い方での名誉をいただいた主人公をこれからもお願いします。いうて目くそ鼻くそです。2人見て笑ってるキラも五十歩百歩です。

 あとニコルは、うん、もちっと待ってください。メインヒロインは歌姫なので(あくまで代表的なヒロインであって、途中でリオ・マオがかっさらうのもアリだと思います)


投げこまれた火花

「どうですか?」

「美味いけど」

「もう少し丁寧に教えてください」

「いや美味いしか言えないし」

 

 マルキオ導師が経営する孤児院。

 

 本来ならオーブ近くの島に建てられていたのだが、ブレイク・ザ・ワールドによる津波の被害を受け、現在はバルトフェルドの住む家に移っている。

 

 住んでいるのはバルトフェルドとアイシャだけでなく、

 

「まったくなんだお前らは、どうせ来るなら入れ違いじゃなくて一緒に来いっての」

「ほんとねぇ。なんでこうもすれ違うのかしら」

 

 かつての大戦における伝説の戦艦アークエンジェルの艦長とエースパイロット、マリューとムウも同じ食卓に着いていた。

 

 呆れながらも笑いながら子どもの様子を確認し、それでいて聞こえないふりをしているバカにも声をかける。

 

「ま、その方がキミ達らしくはあるがな」

「そうねぇ。でもどうせならまた大勢で集まりたいわね」

 

 こんな風に、と口にするアイシャには大きなテーブルで子どもたちと囲む食卓。

 

 愛する人と2人きりで、とは思うがこのように大勢での生活も慣れてしまえば幸せそのものである。

 

「んぐ、そう言ってもなんだかんだ忙しいし難しいですよ」

 

 3回目のおかわりを持って来たユウキが悪びれもせずに答える。

 

 お前は忙しいんじゃなくて遊んでただけだろう、とは大人たちは思ったが、口にしたところで効果がないのも分かっていたので言わなかった。

 

「遊ぶのは忙しいうちに入るのですか?」

「うぐ」

 

 背中から新しく置かれた料理と共に出された言葉。湯気の立つ料理になのか、それとも言葉になのか、心当たりのあるバカは何かを飲み込んだ。隣からの強い圧に冷汗を流しながら、そっとナイフとフォークを皿に置く。

 

「あら、もう食べないのですか?」

「…………そろそろチビどもを風呂に入れようかなって」

 

 隣に座るラクスとは反対方向へ向いて立ち上がろうとするユウキ。確かに子どもたちは食べ終わっており、既に食器も下げ始めている。確かに風呂に入れるにはいいタイミングだが、

 

「おいおい、まだ食べ終わってないだろ? そういうのはこっちに任せとけっての、ほらパジャマ用意しろ~」

「はぁーい」

「おじちゃん先にトイレ行きたい」

「おじっ…………! 行っていいからお兄さんと呼びなさい」

 

 途中ショックで身体が固まりながらも慣れたように子どもたちを連れていくムウ。マリューも笑いながら手をつないだ女の子たちと楽しくその後ろをついていく。

 

「ではわたしは食後のコーヒーでも、頼めますか?」

「えぇお任せください」

「手伝うわ」

 

 残っていた大人たちも席を離れていき、残ったのはまだ暖かい料理と後ろでじっと見つめてくる少女。

 

 静かに座りなおし、新しく差し出された料理に手を付ける。

 

 その隣で少女は、微笑みながら食事をする少年の横顔を眺めている。

 

 伝えたい言葉はたくさんあるが、それ以上にこの時間を過ごしたい。

 

 戦争に巻き込まれた少女の、誰にでもあるほんの些細な幸せの時間がゆっくりと流れていく。

 

「美味しいですか?」

「ん、美味いよ」

 

 カチャカチャと静かな食事の音が鳴り響く2人きりの部屋。その様子をこっそりと眺めていた大人たちは、邪魔をしないようゆっくりと部屋の扉を閉めた。

 

 

 

 

 

 

 

「今さらテロリストの身柄を引き渡せなど」

「全滅したと報告したではないか」

「それを言うのなら地上からユニウスセブンを破壊した兵器の詳細を」

 

 場所は変わりプラントの評議会。

 

 ブレイク・ザ・ワールドの後始末にザラ派残党の調査、他にもするべきことは多いというのに大西洋連邦から送られてきた要望。

 

 もちろん捜索したのだが、全滅したと判断。

 

 調査自体は続けているが望み薄だろうと思われている。

 

 その矢先にだ。

 

「議長、どうしますか」

 

 評議会メンバーの視線がデュランダルへと集まる。

 

 その視線にも怯むことなく受けとめ、そして決断を下す。

 

「あくまでこちらは対話を望みます」

 

 送られてきた文章は引き渡す犯人がいないのであれば、疑いをかけるというもの。

 

 それに対して武力で応えれば再び戦争となるのは明白、ならば人望強く言葉を交わすしかない。

 

 評議会議員も思うことはあれど概ねデュランダルの意見に賛同した。

 

 そして政治的交渉が進んで行く中──────

 

 

 

「宇宙のバケモノに与する裏切り者め」

 

 

 

 あるニュースが世界を駆け巡った。

 

 

 

 

 

 夜中にも関わらず騒々しいブルーピリオドが有する建物。その廊下を早足で進むアズラエルは、手元の端末を操作しながらも付き添いの部下に耳を傾ける。

 

「何がありましタ」

「エネルギー施設にて爆発が! 被害者数は不明! それと」

「急ぎ確認してくださイ」

「その、このような動画が」

 

 部下から差し出されたタブレット。再生された動画には、

 

「………………やってくれますネ」

 

 目の前にいる部下が少し震えるほどに、笑顔のまま怒りを表に出すアズラエル。

 

 睨みつけられた画面には、ジンが施設へ向けて攻撃する様子が映し出されていた。

 

 

 

「なりません! プラントへ向けて出撃するなど、また戦争を起こしたいのですか‼」

 

 地球軍月面基地、周辺で待機していた艦のブリッジ。

 

 そこでひと際大きな声を張り上げているのは第八艦隊提督のハルバートン。

 

『映像をご覧になったでしょう。これはもうプラントから争う意思がある、そう上は判断されたのです』

「だからと言ってすぐさま答えを出すわけにはいくまい! まだ真実なのか調査も終わってないのだろう⁉」

『それを踏まえたうえでの判断です。強制ではないので断ってくれてもかまいません』

 

 熱心に言い返すもすげなく言い捨てられ、歯を食いしばるハルバートンだがその頭は冷静に働いている。

 

 説明も推理もいらない程度の今回の事件の主犯。上にも下にもいるであろう過激派の影が目に見える。

 

 アズラエル理事も動いているだろう。ならば自分がすべきことは、

 

「………………分かりました。プラントへ向かいます」

『では』

 

 通信が切れると軍帽を被りなおし声を張り上げる。

 

「総員戦闘準備! これよりプラントへ向かい、他の艦隊と合流する!」

 

 指示を出す立場の者として、不用意な争いを避けねばならない。その決意を胸にハルバートンは船を進めた。

 

 

 

 向かってくる地球軍の艦隊に大騒ぎになるプラント。国防委員会の命令によりイザークたちを始め、数多くの部隊が迎え撃とうと隊列を並べる。

 

「どういうことだよイザーク」

「分からん。が、きっかけはアレだろうな」

 

 地球だけでなくプラントでも広まった映像。

 

 それはユニウスセブンへと爆薬を仕掛けるジン、そして地球のエネルギー施設を攻撃するジンの映像。

 

 もちろんプラントはニュースでの説明や抗議文を送ったりしたのだが、それで実際に被害を受けた人の恨みが晴れるわけがない。

 

 そのことを身に染みて理解している2人。

 

 争いは一度始まればそれが終わりとなる。

 

 引き金を弾かないよう、しかし手を外さないよう慎重に操縦レバーを握る。

 

「頼む、何もしないでくれ」

 

 横に並ぶ仲間たちと、目のまえに広がっていく地球軍の艦隊を見守るイザーク。心の奥底から祈りながらも、汗ばんでいく手は引き金から離すことができない。

 

 

 

 

 

 

 

「先に撃ったのはあちらです。ならば撃ち返すのが正当な権利というものでしょう」

 

 

 

 

 

 

 

 最初に気が付いたのはザクに乗るザフトの若い兵士だった。

 

「ふぅー落ち着け、まだ何もされてないんだ。緊張することなんて…………ん?」

 

 プラントを守るように展開されていく部隊、その隅にいた彼は緊張で無意識にモニターをよく切り替えていた。

 

 ゆえに偶然。

 

 何もない空間から現れたウィンダム。その肩から伸びている装備、そこに刻まれたマークはコーディネイターにとってトラウマとなっている。

 

「う、うわぁぁぁぁぁぁ‼」

 

 報告も警告も忘れ無我夢中で引き金を弾いた。

 

 暴れ散らかる銃弾は回避するウィンダムの一機に偶然当たった。

 

「なんだ⁉」

「爆発?」

「どこの、いや何がだ!」

 

 突然の光に混乱する両陣営、奇しくもザフト本部と現場にいる地球軍のオペレーターが出した答えは同じタイミングだった。

 

「「………………核ミサイルです」」

 

 その報告に絶句する両者、意識を取り戻し指示を飛ばすよりも早く、

 

「な、ナチュラルがぁ‼」

 

 偶然部隊の前面に配置されていた、ナチュラルへの恨みが深いザフトの兵士が引き金を弾いた。

 

「バカモノ! どこの部隊だ‼」

 

 すぐさま止めようとイザークが叫ぶが時すでに遅く、

 

 

 

 ミサイルやビームが飛び交い爆発がおきる。

 

「止まれ! 撃つのをやめろ!」

「下がれ! 攻撃しなくていい!」

 

 イザークやハルバートンの声も耳には届くが、それ以上の死ぬかもしれないという恐怖が、彼らの手から引き金を結び付けて逃がさない。

 

「つってもよ! イザーク!」

「しかし何もしなければただ的になるだけです‼」

 

 友人や部下の言葉に言い返すだけの理屈も、味方を冷静にするための言葉も今は持ち合わせていない。

 

 渋々ながらも身を守るための反撃をこなしていく。

 

 そしてまた、どこからか飛んできた塊が見覚えのある光を放ち、ザフトの秘策である対核攻撃用カウンター兵器「ニュートロンスタンピーダー」によって暴発させられ一旦の幕引きとなる。

 

 第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦から小さなイザコザはあったものの、大きな争いになることはなかった。

 

 約2年の月日を経て、地球軍とプラントによる新たな戦争の幕が開いた。




 多少強引かもしれませんが開戦です。平和な前半? 夢じゃないですかね

 いやーザフトは引き金が軽いですねー。なんでそんなのが配置されてるんですかねー。国防委員会と代表評議会の指示で隊列乱れたっぽいけど不思議ですねー。

 アズラエルは有能すぎて展開が強引じゃないかな? とかそれは止められるんじゃないか? とか思いますが展開の都合ということで、はい。


 いつも感想や誤字報告、ここすき等ありがとうございます。励みになっています。


 わたしの連絡ルームをひと言日記だとでも思っているのかコイツは。………………まぁちゃんと食べているのならいい。そして艦長はこの写真をどうしろというのだ……。

 ────この後緊急の呼び出しを受けた地球軍女性大尉
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